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博士(獣医学)。専門は獣医動物行動学。evergreen pet clinic ebisu行動診療科担当。日本獣医行動研究会研修医。藤田医科大学客員講師。
大きな体で存在感があり、周囲の人々を癒してくれる大型犬。そんな大型犬を迎え入れたいと考えている人も多いのではないでしょうか。ただし、大型犬にはさまざまな犬種があり、それぞれ性格や外見の特徴も多様です。家に迎え入れる前に、犬種の性格や飼いやすさをしっかりと理解しておく必要があるでしょう。この記事では、大型犬25種それぞれの特徴や飼う際の注意点、初心者に飼いやすいかどうかなどを、動物行動学を研究する獣医師の茂木千恵先生監修のもと、詳しく解説していきます。
目次
- そもそも大型犬はどんな犬?
- 大型犬1.ゴールデン・レトリーバー
- 大型犬2.ラブラドール・レトリーバー
- 大型犬3.シベリアン・ハスキー
- 大型犬4.サモエド
- 大型犬5.ドーベルマン
- 大型犬6.チャウチャウ
- 大型犬7.ボルゾイ
- 大型犬8.グレート・デン
- 大型犬9.グレート・ピレニーズ
- 大型犬10.バーニーズ・マウンテン・ドッグ
- 大型犬11.スタンダード・プードル
- 大型犬12.セント・バーナード
- 大型犬13.ダルメシアン
- 大型犬14.アフガン・ハウンド
- 大型犬15.オールド・イングリッシュ・シープドッグ
- 大型犬16.ニュー・ファンドランド
- 大型犬17.サルーキ
- 大型犬18.アイリッシュ・セター
- 大型犬19.ジャーマン・シェパード・ドッグ
- 大型犬20.ワイマラナー
- 大型犬21.フラット・コーテッド・レトリーバー
- 大型犬22.秋田犬
- 大型犬23.アラスカン・マラミュート
- 大型犬24.ホワイト・シェパード
- 大型犬25.ロット・ワイラー
- 大型犬を飼う際の注意点は?
そもそも大型犬はどんな犬?
実は、日本の純血犬種登録団体であるジャパンケンネルクラブには大型犬としての基準は明記されていません。しかし、アメリカンケンネルクラブでは標準体重が約20~40kgの犬種を大型犬として扱っています。それでは、そんな大型犬25種の特徴などについてそれぞれ見ていきましょう。
大型犬1.ゴールデン・レトリーバー
まずは、大型犬の中でも定番のゴールデン・レトリーバーについてご紹介します。ゴールデン・レトリーバーの性格の特徴や飼い方のコツなどは以下の通りです。
原産地
イギリス
体重・体高・平均寿命
平均体重は、オスは約30kg、メスは25~27kg程度です。体高はオス56~61cm、メス51~56cmと言われています。平均寿命は、10〜14歳。6~7歳でシニア期に入るため、体調の変化などには注意が必要です。
外見と性格の特徴
ゴールデン・レトリーバーの毛色はゴールド、クリーム、ホワイトの3種類があります。性格は、穏やかで人懐っこく、頭が良いのが特徴です。使役犬として活躍していたので人間と過ごすことが大好きで、寂しがり屋の一面もあります。
飼育の際の注意点
被毛が多く、皮膚トラブルが多いため日常的なブラッシングが必要です。
飼いやすさ(初心者向きかどうか)
性格が穏やかなので、初心者にも向いているでしょう。ただし、穏やかな性格とはいえ、力が強いので、飼い主にも体力が必要です。
大型犬2.ラブラドール・レトリーバー
古来、漁師たちと生活していたラブラドール・レトリーバー。ラブラドール・レトリーバーの性格の特徴や飼い方のコツなどをそれぞれ詳しくご説明します。
原産地
カナダ
体重・体高・平均寿命
平均体重は、オス27〜34kg、メス25〜30kgで、平均体高はオス約57cm、メス約55cmとされています。平均寿命は12歳くらいです。なお、チョコレートの被毛を持つ個体は平均寿命が短い傾向があります。
外見と性格の特徴
ブラック、イエロー、チョコレートの被毛があり、筋肉質のがっしりした体型をしています。性格は優しく人懐っこいです。また、穏やかで落ち着きがありながらも警戒心が強く、機敏に動くことができます。
飼育の際の注意点
遊びの一環として噛む子が多いので、噛み癖を防止するしつけが必要です。ストレスがかかるとひどくなることがあるので、口を使って遊べるおもちゃを使ったり、一緒に運動するような遊びなどをして、発散させてあげましょう。
飼いやすさ(初心者向きかどうか)
おおらかで友好的な性格のため初心者でも飼いやすい大型犬と言えます。
大型犬3.シベリアン・ハスキー
イヌイット族の使役犬としてソリを引いたり猟をしたりして活躍していたシベリアン・ハスキー。シベリアン・ハスキーの性格の特徴や飼い方のコツなどをご紹介します。
原産地
シベリア北東部
体重・体高・平均寿命
平均体重は、オス約20〜27kg、メスは16〜23kgくらいです。平均体高はオス54〜60cm、メス51〜56cm程度と言われています。平均寿命は12〜15歳です。
外見と性格の特徴
代表的な被毛のカラーはブラック×ホワイト、シルバー×ホワイト、レッド×ホワイト、チョコレート×ホワイトです。寒冷地で長時間そりを引ける体力を持つだけあって、エネルギッシュで運動好き。他の犬とも仲良くやっていくことができ、仲間意識が強い性格です。
飼育の際の注意点
寒い地域にルーツを持つため、暑さに弱いです。特に夏場の温度管理には注意しましょう。また、ソリを引いていたためか引っ張り癖があることも。散歩の時には無理やりやめさせるのではなく引っ張ったら声をかけるなどして、根気よくしつけていきましょう。
飼いやすさ(初心者向きかどうか)
運動量が多く、ダブルコートの被毛のお手入れは大変です。また、温度管理など住環境の整備も必要なため、初心者には向いていないでしょう。
大型犬4.サモエド
元来、シベリア地方に住むサモエド民族の使役犬として活躍していたサモエド。サモエドの性格の特徴や飼い方のコツを見てきましょう。
原産地
シベリア地方
体重・体高・平均寿命
平均的な体重は、オス20〜25kg、メス18〜23kgです。体高はオス57cm程度、メス53cm程度でしょう。平均寿命は10〜13歳です。
外見と性格の特徴
被毛の色はピュア・ホワイト、クリーム、ホワイト・ビスケットの3種類です。黒い瞳と鼻、そして両側の口角がきゅっとあがった表情は「サモエド・スマイル」と呼ばれています。性格は温和で甘えん坊ですが、神経質で警戒心が強い一面も。
飼育の際の注意点
神経質な一面があるため、室内など刺激が少ない環境で飼育してください。暑さにも弱いので湿度・温度管理にも注意しましょう。
飼いやすさ(初心者向きかどうか)
優しくて温厚な性格をしていますが、力が強いので初心者向きとは言い難い犬種です。毎日の被毛のお手入れも必要でしょう。
大型犬5.ドーベルマン
20世紀初めに警察犬として認められた歴史を持つドーベルマン。ドーベルマンの性格の特徴や飼い方のコツなどは以下の通りです。
原産地
ドイツ
体重・体高・平均寿命
平均的な体重は、オス40〜45kg、メス32〜35kg程度です。平均体高はオスで68〜72cmくらい、メスで63〜68cmくらいと言われています。平均寿命は11〜15歳です。
外見と性格の特徴
いかにも警察犬といった風情の、筋肉質でがっしりと引き締まっている体格です。被毛は、ブラックタン、ブラウンタン、稀にブルーが存在します。精悍な外見にかかわらず友好的で穏やかな性格です。警察犬として重宝されるのはその知的で忠実な点に理由があります。
飼育の際の注意点
暑さや寒さに弱いので温度管理に注意が必要です。また、警戒心が強く、犬が脅威と感じるような刺激に対して攻撃性が現れてしまう恐れもあることから、室内で飼うことをおすすめします。
飼いやすさ(初心者向きかどうか)
警戒心が強く、専門的なしつけが必要な場合もあるため、初心者には難しいでしょう。
大型犬6.チャウチャウ
「中国2000年の歴史を持つ」と言われるチャウチャウ。チャウチャウの性格の特徴や飼い方のコツなどを見てきましょう。
原産地
中国華北地方
体重・体高・平均寿命
平均体重は、オス25〜32kg、メス20〜27kgくらいです。体高はオス48〜56cm、メス46〜51cm程度でしょう。平均寿命は10歳前後と言われています。
外見と性格の特徴
被毛の色はレッド、ブラック・ブルー、フォーン、ホワイトなどです。ロングコートだけでなく、短毛でなめらかなスムースコートもいます。また、青黒い舌が特徴的です。性格は独立心が強くマイペース。愛くるしい姿とは裏腹に物静かで冷静な一面を持っています。
飼育の際の注意点
暑さに弱い犬種ですので暑さ対策が必要です。また、関節に負担がかからないように肥満対策も欠かせません。
飼いやすさ(初心者向きかどうか)
飼い主に忠実な反面、独立心が強く、マイペースで頑固な面があります。そのため、しつけの難易度は高いです。また、毎日のお手入れも必要なので初心者が飼うには難しいかもしれません。
大型犬7.ボルゾイ
伝統的にオオカミを追いかけるための猟犬として活躍していたボルゾイ。ボルゾイの性格の特徴や飼い方のコツなどをご紹介します。
原産地
ロシア
体重・体高・平均寿命
平均体重は、オス34〜48kg、メス27〜39kg程度でしょう。平均体高はオス75〜85cm、メス68〜78cm程度です。平均寿命は10〜14歳と言われています。
外見と性格の特徴
垂れ耳でマズルが長く優雅な風貌のボルゾイ。被毛はホワイト、ブラック、レモン、レッド、シルバー、ゴールドです。サイトハウンドと呼ばれる視覚を活用して行動する犬種でもあります。物静かで穏やかな性格で、周辺環境や社会的なコミュニケーションに対する感受性が豊かです。
飼育の際の注意点
人とのコミュニケーションを楽しむため、室内の落ち着いた場所にハウスを置いてあげるといいでしょう。また、耳が垂れているため外耳炎になりやすく、耳の皮膚炎には注意が必要です。
飼いやすさ(初心者向きかどうか)
ボルゾイのしつけは初心者には難しいといえます。神経質な傾向があるため、犬に対しておおらかに接することができる方が向いているでしょう。
大型犬8.グレート・デン
ブレンバイザーや、イングリッシュマスティフ、サイトハウンドをルーツに持つグレート・デン。グレート・デンの性格の特徴や飼い方のコツなどを詳しく見ていきましょう。
原産地
ドイツ
体重・体高・平均寿命
平均体重はメス45〜59kgでオス54〜90kg程。平均体高はオスで80cm以上、メスで72cm以上。平均寿命は7〜10歳です。
外見と性格の特徴
被毛の種類はフォーン、ブリンドル、ブラック、ブルーマール、マント、ハールクインなど多彩です。短毛で光沢のある毛質です。性格は温和で控えめ、服従心が強いのが特徴と言えます。
飼育の際の注意点
ギネスブックにも掲載されていたことがあるほど体高が高い犬種のため、豊富な運動欲求を満たすトレーニングが大切です。また、きちんと飼い主の言うことを聞くようなしつけも重要になってきます。胃捻転になりやすい犬種でもあるため、食事後は休息を取らせるなど、細心のケアが必要でしょう。
飼いやすさ(初心者向きかどうか)
運動量、しつけ、介護の際の難易度が高いため、どちらかというと上級者向きの犬種でしょう。
大型犬9.グレート・ピレニーズ
牧羊犬や護衛犬として従事していた背景を持つグレート・ピレニーズ。グレート・ピレニーズの性格の特徴や飼い方のコツなどについてご説明します。
原産地
フランスとスペインの国境であるピレネー山地
体重・体高・平均寿命
平均体重は、オス45〜57kg、メスは39〜52kg。平均体高はオス70〜80cm、メス65〜75cm程度と言われています。平均寿命は10〜12歳です。
外見と性格の特徴
白色の被毛が一般的です。白を基調としたグレー、薄いイエロー、ウルフカラー、オレンジなどの差し色が入った被毛も見られます。オオカミに近い血統で、生まれた時は狼爪(ろうそう)があるのが特徴です。穏やかで愛情深く忍耐強い性格ですが、縄張り意識が強い一面を持ちます。
飼育の際の注意点
寒冷地を原産とするため、温度・湿度管理には十分配慮してください。また、顎が大きく力も強い犬種なので噛み癖をつけないようにしつける必要があります。
飼いやすさ(初心者向きかどうか)
初心者向きとは言いづらいですが、しつけや健康面でのサポートしてくれる専門家がいれば、より安心して飼うことができます。
大型犬10.バーニーズ・マウンテン・ドッグ
農場の護衛や牽引犬、山岳地帯の牛追い犬としての役割を担っていたバーニーズ・マウンテンドッグ。バーニーズ・マウンテンドッグの性格の特徴や飼い方のコツなどをそれぞれ見ていきましょう。
原産地
スイス
体重・体高・平均寿命
平均的な体重は、オス41〜59kg、メス32〜45kgくらいです。体高はオス64〜70cm、メス59〜66cm程度でしょう。平均寿命は7〜11歳です。
外見と性格の特徴
被毛はアンダーコートとオーバーコートの二重構造(ダブルコート)になっています。毛色は黒・白・赤褐色の3色を併せ持ったトライカラー。性格は、ゆったりと落ち着いている犬が多く、愛情深く従順です。
飼育の際の注意点
寒い地方が原産のため暑さ対策は必須です。また、毛量が多いため毎日のブラッシングが欠かせません。食欲旺盛なため、関節に負担がかからないような体重管理も必須です。垂れ耳のため外耳炎になりやすいので注意してあげましょう。
飼いやすさ(初心者向きかどうか)
温厚で従順な性格は初心者でも飼いやすい犬種と言えます。ただし、被毛のこまめなお手入れと大型犬を運動させることができる時間と体力は必要でしょう。
大型犬11.スタンダード・プードル
プードルの中でも最も体が大きいスタンダード・プードル。スタンダード・プードルの性格の特徴や飼い方のコツなどをご紹介します。
原産地
フランス
体重・体高・平均寿命
平均的な体重は、20〜30kgです。体高はトイ・プードルの理想体高の倍以上で、45cm以上60cm以下ですが+2cmまでは許容されています。平均寿命は12〜14歳です。
外見と性格の特徴
スタンダード・プードルの被毛は単色で、ブラック、ホワイト、ブラウン、グレー、フォーンがあります。性格は活発、従順、寂しがりで、とても賢い犬種です。また、少し怖がりな一面があることも覚えておきましょう。
飼育の際の注意点
寂しがり屋で寒さにも弱いので、室内での飼育が適しています。また、副腎皮質ホルモンの分泌量の減少により発症するアジソン病の好発犬種なので、元気、食欲が消失した時などには注意しましょう。
飼いやすさ(初心者向きかどうか)
毎日の被毛のお手入れや定期的に高額なシャンプーカットを行う余裕のある方なら飼うことができるでしょう。また、記憶力が優れており、飼い主の行動をよく観察していて良いことも悪いこともすぐに覚えます。トレーニングを生活習慣に組み込める家庭が理想的ですね。
大型犬12.セント・バーナード
小説やアニメの中でもアルプスの救助犬として有名なセント・バーナード。セント・バーナードの性格の特徴や飼い方のコツなどを見ていきましょう。
原産地
スイス
体重・体高・平均寿命
平均体重は、オス64〜82kg、メス54〜64kg程度と非常に大型な犬種です。中には100kgを超える犬もいます。体高はオスで70〜90cmくらい、メスで65〜80cmくらいでしょう。平均寿命は7〜10歳です。
外見と性格の特徴
垂れ耳にがっしりとした筋肉質な四肢を持ちます。被毛はダブルコートで、短毛のショートタイプとうねった毛先のロングタイプがあり、色は地色のホワイトにブラウン、イエローの模様が入っているでしょう。性格は人懐っこく穏やかですが、用心深い一面も併せ持ちます。
飼育の際の注意点
食欲旺盛で、肥満になりがちなので、食事管理が必要です。また、熱中症になりやすいため、特に夏場の温度管理には注意してください。遺伝的に股関節異形成のリスクもあるため、すべらないような床材にしましょう。甘えん坊で寂しがり屋なので、室内飼育がおすすめです。運動欲求は低めですが、自由に行き来できる広いスペースを用意してあげましょう。
飼いやすさ(初心者向きかどうか)
子犬の頃から、ルールを適切に教えられれば、普段は穏やかで安心感があるため、飼いやすいでしょう。ただし、飼育にかかる費用として、食費や医療費が高額になる可能性を理解しておく必要があります。
大型犬13.ダルメシアン
『101匹ワンちゃん』で有名なダルメシアン。ダルメシアンの性格の特徴や飼い方のコツなどをご紹介します。
原産地
クロアチア ダルメシア地方
体重・体高・平均寿命
平均体重は、オス27〜32kg、メス24〜29kg程です。平均体高はオス56〜61cm、メス54〜59cmと言われています。平均寿命は10〜13歳です。
外見と性格の特徴
引き締まった細身の体つきが特徴です。被毛の色は、地色がピュア・ホワイトでブラックやブラウンのスポット(斑)があります。抜け毛が少なくシルクのような手触りが魅力です。活発で好奇心旺盛な性格ですが、警戒心が強く神経質な一面もあります。
飼育の際の注意点
ダルメシアンの被毛は短い上に、シングルコートなので、寒さ対策には気をつけてあげましょう。
飼いやすさ(初心者向きかどうか)
神経質で警戒心の強い性格のダルメシアンは信頼関係を築くのに時間がかかり、しつけにもコツが必要です。また、活発であることから飼育には体力が必要なため、初心者には難しいといえます。
大型犬14.アフガン・ハウンド
アフガニスタンの山で生まれた狩猟犬、アフガン・ハウンド。アフガン・ハウンドの性格の特徴や飼い方のコツなどは以下の通りです。
原産地
アフガニスタン
体重・体高・平均寿命
平均的な体重はオス27kg、メス23kgくらいです。平均体高はオス68〜74cm、メス63〜69cm程度と言われています。平均寿命は11〜14歳です。
外見と性格の特徴
被毛の色の種類が多く、ブラックやブラウンなどあらゆる毛色があります。細くてシルキーな長毛を備えた、威厳があり神秘的な立ち姿が印象的ですね。性格はその姿からイメージできるように、独立心があり堂々としています。 飼い主への服従度は低く、自立していて自分で考えて行動する傾向も。
飼育の際の注意点
垂れ耳のため、外耳炎になりやすく、こまめな皮膚のチェックが必要です。狩猟犬がルーツのため、時には広いドッグランに連れて行って、遊ばせてやるなどストレス解消を心がけてください。
飼いやすさ(初心者向きかどうか)
独立心が強くしつけが難しいため、初心者向きとはいえません。ただし、犬の集中力を引き出すトレーニングを積み重ねることができ、スキルを習得できれば問題ないでしょう。また、毎日ブラッシングなどのお手入れに十分な時間を割ける方が望ましいです。
大型犬15.オールド・イングリッシュ・シープドッグ
もふもふの被毛が可愛らしいオールド・イングリッシュ・シープドッグ。オールド・イングリッシュ・シープドッグの性格の特徴や飼い方のコツなどをそれぞれ詳しく見ていきましょう。
原産地
イギリス
体重・体高・平均寿命
平均体重はオス32〜45kg、メス27〜36kgです。平均体高はオスで61cm、メスで56cm程度と言われています。平均寿命は10〜13歳です。
外見と性格の特徴
グレー、グリズル、ブルーの被毛で、硬くてごわつくオーバーコートと密なアンダーコートのダブルコートです。たくましい筋肉と均整が取れたスクエア型のボディを持ち、尻尾は短い犬と長い犬がいます。性格はフレンドリーで穏やか。牧羊犬ではありますが、訓練性能は中程度でしょう。
飼育の際の注意点
豊かな毛並みを持つため、外耳炎に注意が必要です。また、暑さに弱いので適切な室内の温度管理を心がけてください。運動欲求を満たす機会を多くもつことも重要です。また、表情が読み取りづらく突然攻撃的になる印象を持つことがあるかもしれません。
飼いやすさ(初心者向きかどうか)
独立心があるので、号令トレーニングを継続的に積み重ねる必要があります。関わる時間をしっかりと取れれば飼いやすい犬種とい言えます。
大型犬16.ニュー・ファンドランド
水難救助犬としても活躍してきた背景を持つニュー・ファンドランド。ニュー・ファンドランドの性格の特徴や飼い方のコツなどをご紹介します。
原産地
カナダ ニューファンドランド島
体重・体高・平均寿命
平均的な体重は、オス約68kg、メス約54kgです。体高はオスで約71cm、メスで約66cmと言われています。平均寿命は7〜11歳です。
外見と性格の特徴
被毛の種類は、ブラック、ホワイト&ブラック、ブラウンです。その四角く大きな顔や筋肉質なボディと相まって熊のように見えることも。しかし、とても穏やかで優しい気質の大型犬で、すばやく動くことが苦手です。訓練性能が高いことも特徴のひとつでしょう。
飼育の際の注意点
暑さに弱いため、特に夏場は空調管理が重要です。また、よだれが多い犬種なのでこまめに拭いてあげてください。超大型犬なので、長時間室内で過ごさせるとストレスを感じます。走り回れる広い庭があれば理想的ですが、短い時間でかまわないので、ドックランなどに定期的に連れて行ってあげましょう。関節疾患を避けるためにも、肥満には要注意です。
飼いやすさ(初心者向きかどうか)
穏やかな性格で初心者にも向いているでしょう。ただし、十分な運動時間を与えられることが飼育の必要条件です。また、毛が抜けやすいので日常的にブラッシングする時間的余裕があり、飼育環境を整えられる家庭に向いています。
大型犬17.サルーキ
犬種としての歴史が、シュメール文明(紀元前6000年)まで遡るというサルーキ。サルーキの性格の特徴や飼い方のコツなどを詳しく見ていきましょう。
原産地
中東
体重・体高・平均寿命
平均体重はオス25〜35kg、メス20〜30kgで、平均体高はオスで58〜71cmくらい、メスはそれよりやや小柄だと言われています。平均寿命は11〜14歳です。
外見と性格の特徴
ボルゾイより小さめで、足と首が長くスラっとした体型です。ロングコートとスムースコートがあり、耳と尻尾に長い毛が生えています。色はブラウン、ホワイトがあるでしょう。活発で警戒心の強い性格です。
飼育の際の注意点
活発で運動能力が高いため、十分な運動時間を確保してあげてください。ただし、屋外で自由に走らせる場合、呼び戻しが難しいことも。また、少食で食べムラがあることも覚えておきましょう。耳ダニ、外耳炎にも注意が必要です。
飼いやすさ(初心者向きかどうか)
運動欲求を満たすことができれば、家の中で安全に飼育することができます。家族との距離は保ちたい性格を理解し、一貫した号令トレーニングが行えるのであれば飼いやすいでしょう。
大型犬18.アイリッシュ・セター
別名「レッド・セター」とも呼ばれているアイリッシュ・セター。アイリッシュ・セターの性格の特徴や飼い方のコツなどは以下の通りです。
原産地
アイルランド
体重・体高・平均寿命
平均体重は、オス25〜29kg、メス23〜27kg程度です。平均的な体高はオスで67cm、メスで62cm程度と言われています。平均寿命は12〜13歳です。
外見と性格の特徴
毛色はリッチ・チェスナットのみとされています。スリムで筋肉質な体に、ツヤのある栗色の被毛、飾り毛が優雅な犬種です。元気いっぱいで愛情深い性格を持っています。
飼育の際の注意点
もともと鳥猟犬で、豊富な運動量が必要なため、運動したい気持ちを満足させてあげましょう。かかりやすい病気として、外耳炎や進行性網膜萎縮症があります。やんちゃな面があるので、誤飲・誤食、いたずら対策が必要です。
飼いやすさ(初心者向きかどうか)
やんちゃな気質を持つ大型犬のため、しつけなどの面で、初心者が飼うのはやや難しいでしょう。
大型犬19.ジャーマン・シェパード・ドッグ
日本では警察犬として有名なジャーマン・シェパード・ドッグ。ジャーマン・シェパード・ドッグの性格の特徴や飼い方のコツなどをそれぞれ見ていきましょう。
原産地
ドイツ
体重・体高・平均寿命
平均的な体重は、オスは22〜40kg、メスは22〜32kgです。平均的な体高はオス55〜65cm、メス55〜60cmとされています。平均寿命は9〜13歳です。
外見と性格の特徴
ピンと立った耳を持ち、がっしりとした骨格で筋肉質の体型です。被毛はブラック&タン、グレー、オールブラック、ホワイトで、換毛期には大量の抜け毛があるので、お手入れが欠かせません。知的・精神的能力が高く、活発でありながら責任感が強く、落ち着きのある性格です。
飼育の際の注意点
活発な大型犬なので、しっかりとしつけやトレーニングを行う必要があります。また、散歩の際の熱中症対策も心がけてください。
飼いやすさ(初心者向きかどうか)
しつけにコツがいるために初心者が飼うのはやや難しいと言えます。
大型犬20.ワイマラナー
狩猟犬との交配により生まれたとされているワイマラナー。ワイマラナーの性格の特徴や飼い方のコツなどをご紹介します。
原産地
ドイツ
体重・体高・平均寿命
平均体重は、オスは30〜40kg、メスは25〜35kgです。平均体高はオス59〜70cm、メス57〜65cm程度でしょう。平均寿命は10〜12歳です。
外見と性格の特徴
シルバー、ノロジカ色(赤みがかった灰色)、マウス・グレー、シェードなどの被毛です。筋肉質で丈夫なボディで、垂れ耳、琥珀色またはブルーグレーの美しい瞳を持ちます。また、指の間に水かきがあるのも個性的な特徴です。性格は賢くて運動好きですが、甘えん坊な一面もあるでしょう。
飼育の際の注意点
狩猟犬であったルーツから狩猟本能が強いため、他のペットや子どもがいる家庭は事故が起きないよう注意が必要です。また、スムースコートであるワイマラナーは、アンダーコートがないため、寒さ対策に配慮してあげてください。
飼いやすさ(初心者向きかどうか)
体が大きく運動量が多いため、どちらかというと上級者向けの犬種でしょう。
大型犬21.フラット・コーテッド・レトリーバー
番犬として開発され、猟犬としての特質も備えているフラット・コーテッド・レトリーバー。フラット・コーテッド・レトリーバーの性格の特徴や飼い方のコツなどを詳しく見ていきましょう。
原産地
イギリス
体重・体高・平均寿命
平均体重は、オス27〜36kg、メス25〜32kgとされています。平均体高はオス59〜61.5cm、メス56.5〜59cm程度です。平均寿命は10〜13歳です。
外見と性格の特徴
ブラックまたはレバーの直毛を持ち、細身ながらも力強い体型をしています。被毛は抜けやすいため日常的にグルーミングの時間をしっかり確保してください。性格は活発で友好的ですが、興奮しやすい一面も。訓練性能・身体能力が高い犬種と言えます。
飼育の際の注意点
猟犬、回収犬としてのルーツを持ち元気いっぱいなので、運動量の確保が必要です。また、暑さ寒さには強いですが、フレンドリーで人と接することが好きなので室内飼育が好ましいでしょう。興奮しやすい性格を理解し、一貫した態度で抑制するトレーニングが欠かせません。
飼いやすさ(初心者向きかどうか)
飼い主のことを好み、遊び好きで、訓練性能が高いため、一貫した号令トレーニングができる方であれば飼うことができるでしょう。抜け毛が多いため、日常的にグルーミングの時間を確保できることも重要です。
大型犬22.秋田犬
国指定天然記念物に登録されている秋田犬。秋田犬の性格の特徴や飼い方のコツなどをそれぞれご説明します。
原産地
日本
体重・体高・平均寿命
平均体重は、オス約50kg、メス約40kgです。平均体高はオス64〜70cm、メス58〜64cmとされています。平均寿命は11〜13歳です。
外見と性格の特徴
赤、白、虎色の豊富な被毛に、つぶらな瞳とピンと立った小さめの耳、たくましいながらも愛らしい風貌で人気があります。性格は忠誠心が強く、知的です。一方で警戒心が強く攻撃性が高い一面があるでしょう。
飼育の際の注意点
北国育ちで豊かな被毛を持ち、暑さに弱いため特に夏場は対策が必要です。しつけは、しっかりと信頼関係を築き、攻撃性が出ないように育てなければなりません。特に、他の犬とのコミュニケーションに注意しましょう。
飼いやすさ(初心者向きかどうか)
やや警戒心が高い性格のためしつけの難易度が高く、初心者には難しいと言えます。
大型犬23.アラスカン・マラミュート
エスキモーのマラミュート族のもと、そり犬として活躍していたアラスカン・マラミュート。アラスカン・マラミュートの性格の特徴や飼い方のコツなどを詳しく解説します。
原産地
アラスカ
体重・体高・平均寿命
平均体重は、オス約38kg、メス約34kgくらいです。平均体高はオス約63cm、メス約58cmと言われています。平均寿命は10〜12歳です。
外見と性格の特徴
被毛は厚く、グレー、セーブル、レッド、ホワイトなどの色があり、ずんぐりとした筋肉質な四肢に広い胸を持っています。小さめの立ち耳、大きいマズルと巻き尾を持つという特徴も。性格は友好的で愛情深いですが、独立心が強い傾向があります。
飼育の際の注意点
豊かな被毛を持っているため、こまめにブラッシングをしてあげましょう。重いソリを引くための筋力やスタミナがあるため、十分な散歩時間の確保が重要です。アラスカ育ちで暑さに弱いため、空調管理された場所での運動が好ましいでしょう。
飼いやすさ(初心者向きかどうか)
筋肉質で引っ張る力も強いため、初心者が飼うのは難しいかもしれません。また、自立心もあるため、号令トレーニングなどを積み重ねる必要があります。
大型犬24.ホワイト・シェパード
アメリカで生まれ、1970年代初頭にスイスに輸入されたというホワイト・シェパード。ホワイト・シェパードの性格の特徴や飼い方のコツなどを見ていきましょう。
原産地
アメリカ、スイス
体重・体高・平均寿命
平均的な体重は、オスは30〜40kg、メスは25〜35kgくらいとされています。平均的な体高はオスで60〜66cm、メスで55〜61cmです。平均寿命は10〜12歳です。
外見と性格の特徴
真っ白な被毛にピンと立った大きめの耳、太く垂れた尻尾を持つ、堂々とした姿が魅力的な犬種です。従順な性格で、友好的な反面、注意深い一面も持ちます。
飼育の際の注意点
活発で体も大きいため、広い飼育スペースが必要です。また、消化器官が弱いため、質の高い食事の提供は欠かせません。また、運動不足などによるストレスには普段から気をつけてあげましょう。被毛が豊かで抜け毛が多いので、毎日のお手入れも必要です。
飼いやすさ(初心者向きかどうか)
ホワイト・シェパードはジャーマン・シェパードよりも穏やかと言われるので、比較的初心者でも飼いやすいでしょう。しつけなどに専門家のサポートが受けられれば理想的です。
大型犬25.ロット・ワイラー
古代ローマ軍に仕えた犬を先祖に持ち、20世紀以降は警察犬・軍用犬としても活躍したロット・ワイラー。ロット・ワイラーの性格の特徴や飼い方のコツなどは以下の通りです。
原産地
ドイツ
体重・体高・平均寿命
平均体重は、オス45〜61kg、メス41〜54kgで、体高はオス63〜69cm、メスで58〜63cmと言われています。平均寿命は8〜10歳です。
外見と性格の特徴
被毛は短めで、色はブラックを基調とし、目の上、マズル、頬、のど、胸、脚、尻尾のつけ根にタン(黄褐色)のマーキングカラーが入っている子が多く、骨太でマズルが太く、たくましい体型をしています。落ち着きのある性格で、飼い主に対して愛情深く忠誠心にあふれていますが、一方で防衛心が強いという一面もあります。
飼育の際の注意点
高温多湿が苦手なため、室内飼いで温度・湿度管理を徹底しましょう。また、縄張り意識が高いため、脱走防止の柵を設置して脱走を防止する必要があります。子犬時代は、関節や靭帯を痛めてしまう可能性があるので、すべらない床材を使い、ケガ防止に努めてください。強制的な運動も避けましょう。
飼いやすさ(初心者向きかどうか)
攻撃性が出る場合があるため初心者向きの犬種ではありません。
大型犬を飼う際の注意点は?
大型犬を飼うとなると、飼い主とその家庭にとってもそれなりの心構えが必要になるでしょう。大型犬を飼育する際の注意点を確認し、飼育が可能かどうかよく検討してみましょう。
運動量を確保する
大型犬にとって、運動量の確保は欠かせません。しかし、一方で大型犬は1歳9か月くらいまで骨格が成長期にあるため、この時期までは自発的に運動をする程度にとどめましょう。運動強度の強いエクササイズや運動の強要は、骨格の成長に悪影響を及ぼす可能性が生じるためです。また、運動させる地面はやわらかい芝やクッション材などのほうが骨格に衝撃を与えないので好ましいでしょう。万が一、成長板が骨折して損傷を受けると、骨の成長が阻害され、骨の短縮や関節の角度変形などの障害が起こることがあるので、要注意です。
広いスペースを確保する
大型犬と小型犬の最大の違いは、子犬期の1、2年ではっきりします。大型犬はこの時期に急速に成長するため、サイズの変化に驚くこともあるでしょう。また、不意に人や物にぶつかり、物を倒したりして、自分でその音に驚くことも。そのため、家具はなるべく置かないか、生活動線の周囲に余裕を持ったスペースを確保できるといいでしょう。
なお、大型犬は小型犬よりも体格と精神の成熟が遅いですが、3歳頃にようやく成熟すると小型犬よりも穏やかで静かになることがよくあります。屋内では静かに穏やかに過ごし、散歩など屋外で活発に動くような習慣づけができれば、屋内に広い運動スペースは不要でしょう。
しっかりとしつけする
性別や年齢、犬種に関係なく、どんな犬も家庭内での基本的なルールを守るように、基本の号令などの訓練する必要があります。ただし、大型犬の場合、悪い行動が起こった時の被害が大きいため、特に飼い主が動きをコントロールするための訓練は重要です。大型犬のしつけや社会化、精神的な充実には特に気を配り、退屈したりマナーが悪くなったりしないよう気をつけましょう。
すべりやすい床を避ける
大型犬の子犬は四肢の関節がやわらかく、遊んでいる最中に転がったり体をひねったりすることがよくあります。その際に床をすべったり、身体を打ちつけたりしてしまうと、骨の成長板を傷つける可能性があるでしょう。すべりやすい床材は避ける、カーペットを敷くなどの工夫が必要です。
胃捻転に気をつける
胃拡張捻転症候群は命に関わる疾患のため、注意が必要です。ボルゾイ、グレート・デンなどの、胸が深くウエストの細い体格の大型犬によく見られます。初期段階では、胃拡張または胃が膨張する程度が多いですが、症状が胃捻転症に進行すると大変危険です。この場合、緊急手術が必要になるでしょう。また、予防する手術をあらかじめ受けておくということもできます。
フードに気をつける
フードは大型犬専用のものを選びましょう。特に、一般犬種用の総合栄養食と大型犬成長期用(パピー)フードでは、カロリーとカルシウムの含有量が違います。大型犬成長期用フードは、一般的にカルシウムが低く、ローカロリーのため、肥満リスクを軽減することができるでしょう。
避妊去勢の時期に気をつける
大型犬のいくつかの犬種は、去勢によって関節やがんの疾病発生率が高まることが示されているため、去勢の時期については慎重に検討したほうが良いでしょう。
特に、ゴールデン・レトリーバー、ラブラドール・レトリーバー、ジャーマン・シェパードは、生後6か月より前に去勢手術を受けると、関節疾患の発生率が2~4倍です。また、ボーダーコリー、ゴールデン・レトリーバー、ロットワイラーは11か月以降の手術が推奨されています。さらに、23か月以降に推奨されているのはバーニーズ・マウンテン・ドッグ、ボクサー、ジャーマン・シェパード、アイリッシュウルフハウンド、スタンダード・プードル。また、ドーベルマン・ピンシェルは去勢しないことを推奨されています。愛犬の去勢手術については時期も含め、かかりつけ医とよく相談しましょう。