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アメリカ獣医行動学会会員、ペットの行動コンサルテーション Heart Healing for Pets 代表。問題行動の治療を専門とし臨床に携わる。
ふわふわの白い毛が特徴的なサモエド。にっこり笑ったサモエド・スマイルからは穏やかな雰囲気が感じられますが、どのような性格なのでしょうか。この記事では、サモエドの性格や飼うのに向いている人、しつけのコツ、手入れの方法などを「ペットの行動コンサルテーション Heart Healing for Pets」代表で獣医師の石井香絵先生監修のもと解説します。
目次
- サモエドの歴史やルーツは?
- サモエドの体高、体重は?
- サモエドの平均寿命は?
- サモエドの毛色の種類や被毛の特徴は?
- サモエドの外見や吠え声の特徴は?
- サモエドはどんな性格?オスとメスで性格の違いはあるの?
- サモエドを飼うのに向いている人は?
- サモエドを飼う上で気をつけることは?
- サモエドのしつけを始める時期やおすすめのしつけ方法は?
- サモエドの食事の注意点は?
- サモエドにおすすめの遊びは?
- サモエドを散歩させる際に気をつけることは?
- サモエドがかかりやすい病気やアレルギーは?
- サモエドの日常のお手入れで気をつけることは?
サモエドの歴史やルーツは?
「サモエド」という名前はシベリア地方に住むサモエド民族に由来します。当時は、 荷役、そり引き、トナカイの番や狩猟など、さまざまな作業をさせるために飼育されていました。見た目がよく似ている日本スピッツは、実はこのサモエドがルーツです。
サモエドの体高、体重は?
大型でふさふさの毛は存在感がありますが、実際の体高や体重はどれくらいなのでしょうか?
体高
平均的な体高は一般的に、オスは51~56cm、メスは46~51cmといわれています。
体重
平均的な体重も一般的に、オスは20~25kg、メスは18~23kgといわれています。
サモエドの平均寿命は?
サモエドの平均寿命は、他の大型犬と同じく10~13歳前後です。飼育環境や飼い主の健康管理によっては長生きをする個体も存在します。サモエドの性格をよく理解して飼育すると、長生きにつながるでしょう。
サモエドの毛色の種類や被毛の特徴は?
ここからは、サモエドの毛色の種類と被毛の特徴を見ていきましょう。
毛色の種類
サモエドの毛色は、「ピュア・ホワイト」「クリーム」「ホワイト・ビスケット」の3種類が存在します。
ピュア・ホワイト
名前の通り、真っ白な毛色です。
クリーム
ピュア・ホワイトより少し黄みがかったクリーム色です。
ホワイト・ビスケット
ピュア・ホワイトに薄い黄色のマーキングが入った毛色です。
被毛の特徴
サモエドの被毛は、密に生えたダブルコートであることが特徴です。寒い国で生まれた犬のため、皮膚を保護するオーバーコートと保温機能の高い柔らかなアンダーコートに覆われています。耐寒性が高い一方、もともと被毛の量が多いため、換毛期以外でも被毛が抜けます。
サモエドの外見や吠え声の特徴は?
サモエドの外見や吠え声にはどのような特徴があるのでしょうか?
外見
寒さに耐えられるよう被毛は白くふわふわとしており、ボリュームがあるため実際よりも大きく見えるのが特徴です。体は、厳しい労働に耐えられるよう、筋肉質な傾向があります。
口角が上がったサモエド・スマイル
真っ白でふわふわした被毛に覆われた黒い瞳と鼻、そして両側の口角がきゅっとあがった表情は「サモエド・スマイル」と呼ばれています。愛くるしい表情に魅了される人も多いでしょう。
吠え声
遠くまで通る高い吠え声を持っていて、遠吠えも得意です。
サモエドはどんな性格?オスとメスで性格の違いはあるの?
優しそうな見た目のサモエドですが、実際の性格にはどのような特徴があるのでしょうか?
温和
優しい犬種で、温厚な性格をしています。
社交的
基本的に人が好きなので、人懐っこく社交的な個体が多いです。
甘えん坊
信頼する飼い主とはいつも一緒にいたいと思う、甘えん坊で寂しがり屋な性格をしています。
警戒心が強い
神経質で警戒心が高いという特徴もあり、防衛的に吠えることもあります。
オスとメスの性格の違い
比較的オスの方が警戒心や縄張り意識が強い一方、甘えん坊な個体も多いです。
サモエドを飼うのに向いている人は?
寒い地域がルーツの大型犬、サモエド。飼うのに向いている人はどのような人でしょうか?
被毛のケアができる人
換毛期以外でも抜け毛が多いので、毎日のブラッシングが必要です。被毛が白く汚れが目立つため、散歩から帰ってきたらホコリや汚れを取り除きしっかりと手入れできる人が向いています。
散歩や遊びの時間がとれる人
よく遊び、動くことが大好きな犬種です。犬の本能要求を十分に満たしてあげないといたずらをするので、散歩や遊びを通してリフレッシュさせてあげられる人がよいでしょう。
サモエドは初心者向きの犬?
優しくて温厚な性格をしていますが、力が強いので初心者向きとは言い難い犬種です。体が大きく被毛のお手入れにも手間がかかります。迎える際は、大型犬が快適に住める住環境を整えてからにしましょう。
サモエドを飼う上で気をつけることは?
ここからは、実際にサモエドを飼う際に気をつけることを見ていきましょう。
温度・湿度管理をする
寒い国で生まれた犬種のため、夏の暑さが苦手です。部屋の温度・湿度管理をしっかり行い、ストレスを軽減させてあげましょう。
刺激が少ない場所で育てる
神経質な性格のため、屋外飼育は向いていません。大きな音や外的刺激が少ない屋内で飼育することが適しています。
誤飲・誤食を防ぐ
好奇心旺盛でいたずらをすることがあります。運動不足やコミュニケーション不足は破壊行動を加速させるので、サモエドの本能要求を十分満たし、誤飲・誤食を予防しましょう。
サモエドのしつけを始める時期やおすすめのしつけ方法は?
続いて、サモエドのしつけを始める時期と、おすすめのしつけ方法について解説します。
しつけを始める時期
サモエドに限らず、どの犬種もしつけやトレーニングは早くから行うことがよしとされています。生後4か月齢までに家の中のルールやお散歩マナー、他の犬や他者との触れ合いなどを経験させることが大切です。
おすすめのしつけ方法
警戒心が強い場合、和らげてあげることが大切なので、社会化期にさまざまな刺激に慣れさせてあげましょう。飼い主以外の人や、他の犬との触れ合いを通して、どこにいても緊張せず自分らしく振舞えるようになるはずです。万が一警戒心が表れた際は、リラックスできるよう優しい言葉をかけて安心させてあげてください。
サモエドの食事の注意点は?
サモエドはもともと食欲旺盛でむら食いをすることが少ない犬種ですが、肥満には注意が必要です。体形と体重を定期的にチェックし、一気食いや早食い防止の食器をうまく活用することで肥満を防げます。
サモエドにおすすめの遊びは?
ここでは、体を動かすことが好きなサモエドにおすすめの遊びを紹介します。
ボール遊び
運動することが大好きなので、ボールを使って体を動かしてあげましょう。ボールやおもちゃを飼い主に渡す力をつけておくと、危ないものや異物を誤って口にしてしまったときに回収することができます。おもちゃを受け取るときは「ちょうだい」など言葉とセットにすることを習慣にしておきましょう。
ドッグラン
広々としたスペースで十分に体を動かしたいときは、ドックランがおすすめです。複数の犬がリードを外し自由に過ごせますが、衛生環境や利用マナーに気をつける必要があるので、その子の性格を見ながらうまく活用してみましょう。
サモエドを散歩させる際に気をつけることは?
サモエドを散歩させる際は、どのようなことに気をつけたらよいのでしょうか?
時間・頻度
毎日の適度な運動が必要な犬種のため、天気がよい日は30分以上の散歩を心がけましょう。天候が優れない日は、家の中におやつを隠して探させるノーズワークがおすすめです。部屋のいたるところにおやつを隠すことで、楽しみながら知育ができるでしょう。市販の知育玩具なども使いながら上手に遊ばせてあげてください。
気をつけた方がよいこと
寒い地域の犬種であること、大型犬であることが、注意のポイントです。
暑い時間帯を避ける
暑さに弱い犬種のため、熱中症に注意してください。散歩の時間帯を早朝や夕方にずらすほか、日中の散歩は保冷剤を首や体につけるのがおすすめです。
食事と散歩の時間を空ける
散歩の前後に食事をすると、胃拡張・胃捻転になる危険があります。最低でも2時間ほど空けてからにしましょう。
サモエドがかかりやすい病気やアレルギーは?
サモエドを飼う際は、以下の病気に注意しましょう。
胃拡張・胃捻転
胃を支えている靱帯が緩み、胃が膨張、ねじれを引き起こす病気です。大型犬によく見られる病気で、胃がねじれると同時に大きな血管を圧迫するので、血液循環が悪くなり、最悪命を落とす危険があります。食前食後の運動によって負担がかかるので、生活の中で胃に負担がかからないよう注意しましょう。急に元気がなくなる、吐きたくても吐けない、腹部が膨満してきたなどの症状が見られたら、すぐに動物病院を受診してください。
股関節形成不全
大型犬、超大型犬によく見られる病気です。遺伝的な要因が大きく関わっており、骨の変形や関節の緩みなどの形態的な異常で起こるとされています。腰を振りながら歩く、横座りをする、運動を拒むようになった、いつもと違うしぐさが増えたなどの変化に気づいた場合、整形外科の検査を受けましょう。
糖尿病
血糖値を下げるために膵臓で作られる「インスリン」というホルモンが、不足したり、効きが弱くなったりすることで、血液中の血糖値が上がってしまう病気です。水をよく飲むようになる、尿の量や回数が増える、食べても痩せてくるなどの症状が多く、一度発症してしまうと完治は難しいです。体調の変化を日々観察し、少しでも食欲・排泄・睡眠のパターンなどに変化が見られたら獣医師に相談しましょう。少しでも早く治療を開始することで、症状の悪化を防ぐことができます。