更新 ( 公開)
獣医師資格取得後、小動物臨床経験6年。主に犬猫の臨床に携わる。現在は子育てをしながら、愛猫と暮らしている。
犬は、すぐれた運動能力や感覚で人々を支えてくれる大切なパートナーです。その素晴らしい資質を「仕事」に活かして、働く犬たちも数多く存在します。わたしたちの生活に欠かせない「犬の仕事」に注目してみましょう。
目次
- 生活をサポートする「補助犬」
- ピンチの人を助ける「救助犬」
- ターゲットを追う「警察犬」
- 心を癒やす「セラピー犬」
- 危険を察知する「探知犬」
生活をサポートする「補助犬」
補助犬とは、「盲導犬」「聴導犬」「介助犬」の総称です。さまざまな種類の犬が訓練を積み、人の失われた機能を補って生活をサポートしてくれています。
盲導犬
目の不自由なかたが安全に歩けるようサポート。段差や曲がり角などで立ち止まるよう訓練されており、人は犬の体につけた「ハーネス」を通して情報を読み取ります。
聴導犬
ドアのチャイム音や赤ちゃんの泣き声などが聞こえると、体にタッチして知らせ、音源まで誘導。災害時には、聴覚障害があることを周囲に知らせる役目も担います。
介助犬
日常動作の補助だけではなく、不足の事態が起きたときには、携帯電話を探して持ってくるといった動作も要求されます。病気や障害に合わせた作業が多いのが特徴です。
ピンチの人を助ける「救助犬」
すぐれた嗅覚を使い、行方不明者の捜索などを行うのが救助犬です。大型犬のイメージがありますが、小型犬も狭い場所などで活躍しています。
水難犬
川や海など、水辺で溺れた人の救助や捜索にあたる水難救助犬。犬種としては、足に水かき状の膜があり、泳ぐ能力が高いとされるニューファンドランドが有名です。
山岳犬
山に入って遭難した人を捜索する山岳犬。雪山への出動も想定して訓練を受けており、空気中に漂うニオイをたどって行方不明者を捜索します。
災害犬
地震など自然災害で行方不明になった人を捜索する災害犬。崩落した建物などで人間のニオイがする場所を見つけると、吠えたり引っかいたりして位置を知らせます。
ターゲットを追う「警察犬」
鋭い嗅覚を発揮できるよう訓練された警察犬。日本警察犬協会が指定しているのはジャーマン・シェパード・ドッグなど7種ですが、嘱託警察犬にはほかの犬種も。
臭気選別犬
人の数千倍以上あるといわれる嗅覚を活用し、犯人などのニオイを識別します。複数のものの中から、遺留品と同じニオイのものを選ぶ訓練などを受けています。
足跡追及犬
人間の足跡のニオイを追跡して、犯人や行方不明者、遺留品などを発見。ニオイを頼りに足跡をたどる訓練では、できるだけ短時間で追跡を完了することが求められます。
心を癒やす「セラピー犬」
高齢者施設や病院、刑務所や被災地への訪問活動を行うセラピー犬。犬が人に忠誠心や愛情を示すことが、心身の機能回復を助けることにつながっています。
危険を察知する「探知犬」
犯罪防止のため、たくさんの人が行き交う空港で働く探知犬。集中力を途切れさせることなくすぐれた嗅覚を発揮し、危険な物品が入ってくるのを水際で防いでいます。
麻薬探知犬
訓練で麻薬のニオイを覚え、見つけるとその場に座って知らせます。東京税関で昭和54年に導入され、実績を上げたことをきっかけに、全国で活動するようになりました。
検疫探知犬
手荷物の中から、検疫を必要とする動植物・肉製品・果物などを発見します。家畜の伝染病や植物の病害虫を防ぐ重要な役割を担っています。
地雷探知犬
火薬やプラスチックなどのニオイをかぎ分け、地雷や不発弾などを発見するとその場に座って知らせます。犬は体重が軽いため地雷を踏んでも爆発の可能性は低いです。
※記事内に掲載されている写真と本文は関係ありません。