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獣医師資格取得後、小動物臨床経験6年。主に犬猫の臨床に携わる。現在は子育てをしながら、愛猫と暮らしている。
どの飼い主さんも、愛犬には誰からも愛される存在になってほしいと願うものですよね。人に対して吠えたり過度に警戒したりしない犬に育てるためには、子犬の頃から人に慣れさせておくことが大切。今回は、人に慣れさせるための「社会化しつけ」の方法を解説します。
目次
- なぜ愛犬を人に慣れさせる「社会化しつけ」が大切なの?
- 自宅に人を招いてみよう
- 外でも人に慣れさせよう
- 警戒心をゆるめるためのコツ
なぜ愛犬を人に慣れさせる「社会化しつけ」が大切なの?
「社会化しつけ」とは、愛犬を家族以外の人や犬、車の音などの刺激に慣れさせること。特に、人に慣れさせるための「社会化しつけ」は、犬が人と一緒に生活していくうえで欠かせません。
人に慣れさせていないと、散歩や来客のたびにほかの人を過度に警戒して吠えたり、動物病院に慣れづらかったりと、人間社会におけるあらゆる場面で愛犬がストレスを感じやすくなってしまいます。
順応性が高い子犬のうちから、人に慣れさせる「社会化しつけ」を始めて、愛犬がストレスなく暮らせるようにしてあげましょう。
自宅に人を招いてみよう
子犬が新しい環境に慣れてきた頃を見計らい、まずは自宅で人に慣れさせるしつけを行うのがおすすめ。
犬好きの友人などを招き、協力してもらいましょう。
- 招いた人に、最初は愛犬に対して無関心を装い、さわったり声をかけたりしないようにしてもらいます。
- 愛犬がだんだんと慣れてニオイを嗅ぎにきても、しばらくは無関心を装った状態をキープ。
- 愛犬が何度か近づいてきたら、招いた人に無言でフードを与えてもらい、愛犬がそれを食べたらOK。何度か繰り返し与えてもらいます。
- ここまでできたら、今度は招いた人の方から愛犬の名前を優しく呼び、近づいてフードを与えてもらいましょう。
これを繰り返すことで、愛犬が「ほかの人=いい人」と学習していきます。できるだけ頻繁に人を招き、性別や年齢が異なるさまざまなタイプの人とふれあう機会をつくるとよいでしょう。
こんな行為は愛犬を人嫌いにしてしまうかも
愛犬が招いた人に慣れる前に、無理やり手などを近づけてニオイを嗅がせたり、大きな声でかまったりするのはNG。愛犬の緊張や警戒心をあおってしまいます。
外でも人に慣れさせよう
自宅でのしつけと平行しながら、愛犬を少しずつ外に連れ出してみましょう。
ときどき散歩ルートや時間帯を変えて、さまざまなタイプの人とすれ違うことで、「外で会う人は警戒しなくていい存在」と覚えさせていきます。散歩中に会った知人などに頼んで、愛犬にフードを与えてもらうのもいい方法ですね。
こんな行為は愛犬を人嫌いにしてしまうかも
出会った人に慣れてもらおうと、愛犬を抱っこして相手に渡すのはNG。逃げられない状態から、犬が不安や緊張感を抱いてしまいます。
警戒心をゆるめるためのコツ
もし、愛犬がすでに人に吠えたり警戒したりしているようなら、警戒心をゆるめるためのコツを取り入れてみましょう。
人とすれ違うときにアイコンタクトをとる
人とすれ違うときに、道端によけながら愛犬の名前を呼び、愛犬が飼い主さんに注目していられたらほめてフードを与えます。まわりに人がいない状態でも、この練習をしておくと◎。このようにして、「人に対して吠える」という経験をできるだけ積ませないことが大切です。
飼い主さんからあいさつする
外で人に会ったら、飼い主さんから笑顔で明るくあいさつをしましょう。飼い主さんの振る舞いが愛犬に伝わり、相手に対しての警戒心がゆるむかもしれません。
明るい時間帯に散歩に行く
犬は、周囲が暗いと警戒心を抱きやすくなります。愛犬の警戒心を弱めるためには、なるべく明るい時間に散歩に出かけるのがおすすめです。
それでも、すでに人に対して警戒してしまっている犬には、人通りの少ない散歩コースを選ぶようにしましょう。
苦手なタイプの人を見せながらフードを与える
小さい子どもなど、愛犬の苦手なタイプの人を少し離れた場所から見せつつ、フードを与えてみましょう。これを繰り返すことで、苦手なタイプの人への苦手意識が薄まっていきます。
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