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海動物病院所属。潜水士免許保有。動物検疫所、製薬会社での勤務を経て、海動物病院に所属。自宅で猫、実家で犬を飼っており、最近は自宅でも犬をお迎えしようか検討中。
犬は暑さに弱い動物なので日中の暑さ対策は欠かせませんが、夜の間の暑さ対策も必要なのでしょうか。今回は、海動物病院 鈴木佐弥香先生に教えていただいた、夏の夜に犬が寝るときに行うべき暑さ対策や、その際の注意点などを解説していきます。
目次
- 夏は夜寝るときも犬の暑さ対策を忘れずに!
- 犬が寝るときの暑さ対策7選
- 暑さ対策1. エアコンを切らない
- 暑さ対策2. 除湿する
- 暑さ対策3. 飲み水を多めに用意する
- 暑さ対策4. ベッドやケージは窓から離す
- 暑さ対策5. 冷感素材のベッドやマットを用意する
- 暑さ対策6. ブランケットを用意する
- 暑さ対策7. 室内を自由に動けるようにしておく
- 夏に犬が寝るときの注意点は?
夏は夜寝るときも犬の暑さ対策を忘れずに!
夏の夜は気温が下がりきらず、熱帯夜となる日も年々増えていると言われています。日中よりは暑くないはず、エアコンは電気代が高い、といった理由で夜間の暑さ対策を怠ると、犬も熱中症などの体調不良に陥る危険があります。特に犬は体温調節が苦手で、暑さに弱い動物です。一歩間違えると命の危機にもつながることもあるので、決して甘く考えず、愛犬の健康を守るため、寝るときの暑さ対策をしっかりと行うようにしましょう。
犬が寝るときの暑さ対策7選
それでは、犬が寝るときに行うべき暑さ対策にはどのようなものがあるのかを見ていきましょう。
暑さ対策1. エアコンを切らない
犬も寝ている間に熱中症になってしまうことがあります。「夏でも夜は涼しい」という考えは通用しなくなってきているため、基本的に夜でもエアコンは切らないようにしましょう。
犬にとっての適温は18〜22℃といわれています。人には少し寒いと感じられるかもしれませんが、犬が寝る場所はエアコンの温度設定を下げてあげるといいでしょう。ただ、窓を開けたりすることで室内が適温に保たれ、涼しくなるような環境であればエアコンを切っても大丈夫。自宅の環境に合わせて臨機応変に、愛犬が快適に過ごせるよう工夫してあげることが大切です。
暑さ対策2. 除湿する
犬にとって最適な湿度は40~60%とされています。犬は舌を出してハッハッハッと浅く速く呼吸をする「パンティング」をすることで体温を下げようとします。しかし、犬に適した湿度を超えた状況に身を置くと、パンティングをしても水分が蒸発せず、熱を放散できないため、熱中症のリスクが上がってしまいます。また、湿度が高いとカビや細菌が増殖しやすいため、外耳炎やマラセチア性皮膚炎などといった皮膚疾患にもつながります。適度に除湿をし、湿度が50%前後を保つようにしてください。湿度計などを利用すると湿度管理がしやすいですよ。
暑さ対策3. 飲み水を多めに用意する
水分補給も熱中症対策には有効です。犬が喉の渇きを覚えたときに飲める水の量が十分ではないと、飼い主が気づかないうちに熱中症になってしまう心配があります。犬の熱中症は進行が早いため、発見が遅れるととても危険です。夜の間もしっかりと犬が水分補給できるように、飲み水は多めに用意しておくようにしましょう。
暑さ対策4. ベッドやケージは窓から離す
「朝の日差し対策」も大切です。夜の暑さをしのいでも、窓から差し込む朝の強い日差しが犬の寝ているベッドやケージに直接降り注いでしまうと、熱中症や脱水症になる危険があります。そうならないために、ベッドやケージは窓から離れたところに設置すると安心です。もし、窓の近くに置く場合は、雨戸や遮光カーテンを利用して、朝日が当たるのを避ける工夫をしましょう。
暑さ対策5. 冷感素材のベッドやマットを用意する
犬がうまく体の熱を放散できないまま夜寝てしまうと、寝ている間に体温が上がりすぎて、飼い主が気づかないうちに熱中症になる可能性があり危険です。エアコンだけでなく冷感素材のベッドやマットがあると、ひんやりと気持ちがいいだけでなく、自然と体温も下げてくれるので熱中症の予防につながります。体温調節のためのパンティングによる体力の消耗も防げます。また、夜中に停電してエアコンが停まってしまったり、外気温が予想より上がって室温が高くなってしまうなど、不測の事態が起きたときのリスクも減らせます。
暑さ対策6. ブランケットを用意する
夏は暑さだけでなく、エアコンによって部屋の温度が下がりすぎてしまったときの寒さ対策も重要です。冷たい空気は下にたまるため、体高の低い犬は冷えすぎによる低体温症に警戒する必要があります。最悪の場合、命に関わるような危険も考えられるでしょう。クーラーをつけるときは、室温が下がりすぎてしまったときのために、体を温められるブランケットや毛布なども用意しておくと安全です。
暑さ対策7. 室内を自由に動けるようにしておく
犬をケージに入れておいたり、部屋へ出入りできないようにしていたりと自由に動けない状態にしていると、夜中に室内の温度が暑い、または寒いときに犬の逃げ場がありません。そうなると、熱中症や低体温症になってしまう危険があります。犬が自分で居心地のいい場所へ自由に移動できるように、十分な行動範囲を確保してあげましょう。
夏に犬が寝るときの注意点は?
ほかにも、犬が寝るときに気を付けるべきポイントとして、次の2点を注意しましょう。
子犬やシニア犬、暑さに弱い犬種は特に気をつける
子犬やシニア犬などはとりわけ体温調節が苦手なため、室内の温度には十分気をつけましょう。また、フレンチ・ブルドッグやパグなどの短頭種や、熱をためこみやすいダブルコートの被毛の犬種、寒冷地出身の犬種は暑さに弱い犬です。愛犬がこれらに当てはまる場合は特に暑さ対策に気を使ってあげましょう。
クーラー病に注意する
寝ている間も夜通しエアコンをつけっぱなしにしていると、クーラー病になってしまうこともあります。クーラー病とは、夏の暑い外気温と冷えた室温との差で自律神経が乱れ、冷えた床や壁に長時間触れ続けることで体調を崩してしまう病気です。クーラー病になると、食欲不振や咳、くしゃみ、鼻水、下痢、嘔吐といった症状が現れます。犬にエアコンの風が直接当たらない位置に寝床を設置し、夜間に涼しくなるようであればエアコンを切るなどといった工夫も必要です。
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