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かどのペットクリニック院長。皮膚科や小児科、産科分野に興味があり、特にこれらの分野は院内の診療の中でも力を入れている。
映画『101匹わんちゃん』で有名な犬種、ダルメシアン。ぶち模様が特徴的で、活発そうな体格をしていますが、実際はどのような性格なのでしょうか? 今回は、ダルメシアンの性格からしつけのコツ、かかりやすい病気まで、かどのペットクリニック院長で獣医師の葛野莉奈先生監修のもと解説していきます。
目次
- ダルメシアンの歴史やルーツは?
- ダルメシアンの体高、体重は?
- ダルメシアンの平均寿命は?
- ダルメシアンの毛色の種類や被毛の特徴は?
- ダルメシアンの外見や吠え声の特徴は?
- ダルメシアンはどんな性格?オスとメスで性格の違いはあるの?
- ダルメシアンを飼うのに向いている人は?
- ダルメシアンを飼う上で気をつけることは?
- ダルメシアンのしつけを始める時期やおすすめのしつけ方法は?
- ダルメシアンの食事の注意点は?
- ダルメシアンにおすすめの遊びは?
- ダルメシアンを散歩させる際に気をつけることは?
- ダルメシアンがかかりやすい病気やアレルギーは?
- ダルメシアンの日常のお手入れで気をつけることは?
ダルメシアンの歴史やルーツは?
ルーツははっきりとわかっていませんが、古代エジプトの墓からダルメシアンの彫刻が見つかったことにより、歴史の古い犬種だと考えられています。ヨーロッパの教会から発見された資料によるとその起源は地中海にあり、クロアチアのダルメシア地方が名前の由来になったともいわれています。
ヨーロッパやアメリカでは、ダルメシアンは馬車犬や消防車の伴走犬として活躍していた時代がありました。その名残から現代でも、消防署のマスコット犬として扱われている犬種です。
ダルメシアンの体高、体重は?
ダルメシアンの一般的な体高と体重は以下の通りです。オスよりメスのほうが体が小さい傾向にあります。
体高
ダルメシアンの平均的な体高は、オス56~61cmくらい、メス54~59cmくらいです。
体重
ダルメシアンの平均的な体重は、オスで27~32kgくらい、メスで24~29kgくらいです。
ダルメシアンの平均寿命は?
ダルメシアンの平均寿命は、10~13年です。大型犬の平均寿命が10~12年程度のため、標準的といえるでしょう。ただし、ダルメシアンは先天性疾患が多い犬種です。心配事がある際はかかりつけ医にあらかじめ相談しておくと安心です。
ダルメシアンの毛色の種類や被毛の特徴は?
ダルメシアンの毛色や被毛には、次のような特徴があります。
毛色の種類
ダルメシアンの毛色は2種類です。いずれも地色は白(ピュアホワイト)で、スポットと呼ばれる斑点が見られます。斑点の直径は2~3cm程度で、頭部や尾などのスポットはボディに比べると小さくなります。
ホワイト×ブラックスポット
白い地色に黒色の斑点が見られます。「ブラック・スポット・バラエティー」とも呼ばれる毛色です。
ホワイト×レバースポット
白地にブラウンのスポットが見られる毛色です。「レバー・スポット・バラエティー」とも呼ばれます。
被毛の特徴
ダルメシアンの被毛は毛が短くまっすぐなスムースコートで、シルクのような滑らかな手触りをしています。また、オーバーコート(上毛)のみが生えるシングルコート(一層構造)なので、ダブルコートに比べ抜け毛が少ない点も特徴です。
ダルメシアンの外見や吠え声の特徴は?
ここからは、ダルメシアンの外見や吠え声に関する特徴を紹介します。
外見
筋肉の発達により引き締まった体つきで、バランスがよいのが特徴です。
吠え声
体が大きい分、吠え声は大きく、力強く響くことが多いです。しつけの際は無駄吠えの習慣をつけないように気をつけましょう。
ダルメシアンはどんな性格?オスとメスで性格の違いはあるの?
活発そうな体格をしているダルメシアンですが、性格にはどのような特徴があるのでしょうか?
明るい
一般的に、明るくて陽気な性格の子が多いといわれています。
好奇心旺盛
外向的で遊び好きな一面があり、好奇心旺盛な性格です。
活発
体が大きく筋力もある犬種なので、活発に体を動かすことが大好きです。伴走犬としての歴史からも体力があり、パワフルに遊びまわります。
聡明
ダルメシアンはとても聡明で、信頼関係を築いた飼い主や、一緒に生活する家族には従順です。
友好的
やさしい性格をしているダルメシアンは愛情深く、気を許した相手には友好的な態度を示します。
警戒心が強い
信頼関係を築いた相手にはフレンドリーなダルメシアンですが。知らない人には警戒心が強めです。
神経質
警戒心が強いことから、神経質な一面があります。見知らぬ人や犬に急に近づかれると怖がってしまうこともあるでしょう。
オスとメスの違い
オスとメスで性格に大きな違いはありませんが、運動量や体力が異なるため、注意が必要な場面があります。特に筋力のあるオスは運動量が多い分、有り余った体力が攻撃に向いてしまうと、ケガや事故などのトラブルを引き起こす危険性が考えられます。
ダルメシアンを飼うのに向いている人は?
とても活発で、陽気な性格のダルメシアン。一体どんな人が飼うのに向いているのでしょうか?
体力に自信がある人
ダルメシアンは、活発で体力のある犬種です。ストレスをしっかり発散させるためには、飼い主も散歩や運動に付き合う体力が必要になるでしょう。
散歩の時間がとれる人
筋力と体力があるダルメシアンは、小型犬に比べて散歩時間が長く必要です。散歩時間が短いとストレスが溜まってしまうので、毎日その時間を確保できる人がダルメシアンの飼育に向いているといえます。
広い飼育スペースがある人
体の大きなダルメシアンは、十分な飼育スペースが必要です。さらに、シングルコートで寒さに弱い傾向があることから、室外飼育にはあまり向いていません。そのため、室内で飼育スペースを確保できるかが大切になります。
ダルメシアンは初心者向きの犬?
友好的で活発な性格から飼育しやすそうに見えるダルメシアンですが、神経質な一面もあることから初心者には難易度の高めな犬種です。犬の飼育に慣れていない場合、信頼関係を築くまでに時間を要する可能性があります。また、体力のあるダルメシアンに合わせる生活は、初心者にはハードルが高いでしょう。
ダルメシアンを飼う上で気をつけることは?
ダルメシアンを飼う際に気をつけたいのは、以下の2つです。
室内で飼う
ダルメシアンの被毛は短い上に、シングルコートなので、寒さに強くない子が多いです。特に冬の寒さは体調不良につながる危険性があるので、室内飼育を徹底することをおすすめします。
床の滑り止め
ダルメシアンは大型犬なので、床が滑りやすいとより四肢に負担がかかってしまいます。特に加齢に伴い筋力が落ちると、関節への負荷が心配されます。滑りにくい床に変える、滑り止め対策としてマットを敷く、などの工夫をしましょう。
ダルメシアンのしつけを始める時期やおすすめのしつけ方法は?
ここからは、ダルメシアンのしつけについて解説します。
しつけを始める時期
神経質で警戒心の強い性格のダルメシアンは、早い時期から社会化の訓練が必要です。飼い主以外の人やほかの犬、生活音に慣れさせるよう、子犬の頃からしつけを始めるようにしましょう。
おすすめのしつけ方法
ダルメシアンをしつける際は、次のようなポイントを意識しましょう。
褒めてしつける
繊細で神経質な性格のダルメシアンには、ただ叱るだけのしつけはおすすめできません。強く叱ると嫌な記憶が植えつけられ、飼い主との信頼関係が築きにくくなってしまいます。成功したらきちんと褒めるしつけを心がけましょう。
ハンドシグナルを使用する
愛情深いダルメシアンにとって、大好きな飼い主と一緒に楽しみながらいろいろなことを覚えるのは楽しい経験になるはずです。愛犬が飼い主にしっかり注意を向けられるのであれば、ハンドシグナルは有効的です。
無駄吠えを注意する
体格のいいダルメシアンの吠え声は大きめです。神経質になっているときや、恐怖を感じたときの無駄吠えは、ご近所トラブルに発展してしまうケースも考えられます。無駄吠えをしないよう、子犬の頃からからしつけをしましょう。
ダルメシアンの食事の注意点は?
ダルメシアンは大型犬のため、肥満になると四肢への負担がかかりやすくなります。フードの量に注意して、肥満を予防する習慣が大切です。
ダルメシアンにおすすめの遊びは?
ここからは、活発で運動好きのダルメシアンにおすすめの遊びを紹介します。
フライボール
フライボールはドッグスポーツの一種で、ボールとハードルを使います。飼い主と一緒に楽しめるので、友好的な性格のダルメシアンにとってはぴったりの遊びです。ストレスを発散できる上に、飼い主との絆も深められ、スキンシップの一環としても最適でしょう。
アジリティ
アジリティもフライボールと同様、ドッグスポーツの一種です。飼い主の合図に合わせてコース上のハードルやトンネルなどの障害物をクリアしていきます。大好きな飼い主との絆を深めながらストレスも発散できるので、ダルメシアンにとって楽しいひとときとなるでしょう。
ノーズワーク
ノーズワークは嗅覚を使って、隠されたおやつを探す知育遊びのひとつです。ダルメシアンは聡明なので、ノーズワークを気に入る可能性が高いでしょう。外で遊べない雨の日や夜などに、スキンシップの一環として室内でできる遊びも習慣づけておくことをおすすめします。
ダルメシアンを散歩させる際に気をつけることは?
筋肉量が多く、体力もあるダルメシアンにとって散歩は重要です。その際の注意点もチェックしておきましょう。
時間・頻度
大型犬で体力のあるダルメシアンには、朝晩1時間ずつの散歩が望ましいです。ただし、体質や持病の有無によって適切な時間と頻度は変わるため、かかりつけ医と相談すると確実でしょう。
気をつけた方がよいこと
毛が短く、下毛のないシングルコートのダルメシアンにとって、散歩での寒さ対策は必須です。特に冬場は寒さをより厳しく感じる場合があるので、気温が高い時間帯を選んだり、洋服を着せたりして、体を冷やしすぎないよう工夫しましょう。
ダルメシアンがかかりやすい病気やアレルギーは?
ダルメシアンは聴覚障害やワーデンブルグクライン症候群など、先天性の疾患を持つことが多い犬種です。心配な症状がある場合はかかりつけ医に相談して、すぐに連携をとれるように準備しておきましょう。
聴覚障害
ダルメシアンには先天的な難聴を持つ子がいる場合があります。声をかけても反応がなかったり、普段の行動に変化があったりした場合は受診を検討した方がよいでしょう。
ワーデンブルグクライン症候群
遺伝性の皮膚疾患で、メラニン色素の欠損によって引き起こされます。一般的な皮膚疾患との区別は飼い主には難しいため、違和感を感じたらすぐに動物病院を受診してください。
白内障
白内障は、眼の水晶体が濁ることで視力が低下し歩行障害などを引き起こす病気です。ダルメシアンは加齢性よりも疾患性の白内障になる可能性が高く、最悪の場合、失明に至る恐れもあります。疾患性の白内障は加齢性のものと異なり、進行速度が早かったり、左右の進行速度に違い生じたりするケースが多いです。
アトピー性皮膚炎
アレルギーと同様、免疫異常により起こる疾患で、皮膚に強いかゆみが生じます。目周りや口周りなどの粘膜や皮膚の境界部に強い炎症・脱毛・発赤などがある場合は、速やかに動物病院へ連れていきましょう。
ブロンズ症候群
ダルメシアンによく見られる病気のひとつで、皮膚に蕁麻疹が発生して化膿することが多いです。代謝異常をはじめ、原因は多岐にわたります。皮膚の異常に気づいたら、まずは動物病院を受診しましょう。
尿路結石
ダルメシアンは、尿酸の代謝異常がよく見られる犬種です。尿路結石はこの尿酸が原因になることが多く、血尿や排尿時の異常が見られます。異変を感じたら、まずは動物病院で採尿をして検査しましょう。尿路結石の場合、結石の種類に応じて治療を行います。最初は療法食で結石を溶かす方法がすすめられますが、変化がなければ外科的に摘出する可能性が高いです。
ダルメシアンの日常のお手入れで気をつけることは?
ダルメシアンの普段のケアについて、ポイントを2つ紹介します。
ブラッシング
ダルメシアンは週1〜2回ほどのブラッシングが必要です。ブラッシングは皮膚マッサージ効果だけでなく、愛犬とのスキンシップにもなるので、定期的に行う習慣をつけましょう。
おすすめはやわらかい毛質のラバーブラシです。短毛のダルメシアンは、スリッカーのような先のとがったブラシだと皮膚を傷つけ、衛生面でも悪影響を与えます。愛犬が皮膚トラブルを持っている場合は、かかりつけの先生にブラッシングの頻度を指導してもらいましょう。
耳のケア
耳の奥まで掃除する必要はありませんが、手前に出てきた汚れを拭き取る習慣をつけるとよいでしょう。日頃からスキンシップも兼ねて、耳に触るのを慣れさせる必要があります。特に夏場のようにジメジメする時期は外耳炎をはじめとする耳のトラブルが心配されます。掃除のついでに、耳の状態を定期的にチェックしましょう。
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