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アメリカ獣医行動学会会員、ペットの行動コンサルテーション Heart Healing for Pets 代表。問題行動の治療を専門とし臨床に携わる。
筋肉質でがっちりとした見た目が特徴的なロットワイラー。古くから護衛犬として私たち人間を支えてきてくれた犬です。この記事では、ロットワイラーの性格や飼うのに向いている人、しつけのコツ、手入れの際に注意することなどを「ペットの行動コンサルテーション Heart Healing for Pets」代表で獣医師の石井香絵先生監修のもと解説します。
目次
- ロットワイラーの歴史やルーツは?
- ロットワイラーの体高、体重は?
- ロットワイラーの平均寿命は?
- ロットワイラーの毛色の種類や被毛の特徴は?
- ロットワイラーの外見や吠え声の特徴は?
- ロットワイラーはどんな性格?オスとメスで性格の違いはあるの?
- ロットワイラーを飼うのに向いている人は?
- ロットワイラーを飼う上で気をつけることは?
- ロットワイラーのしつけを始める時期やおすすめのしつけ方法は?
- ロットワイラーの食事の注意点は?
- ロットワイラーにおすすめの遊びは?
- ロットワイラーを散歩させる際に気をつけることは?
- ロットワイラーがかかりやすい病気やケガ、アレルギーは?
- ロットワイラーの日常のお手入れで気をつけることは?
ロットワイラーの歴史やルーツは?
ロットワイラーの歴史は古く、古代ローマ軍がヨーロッパを侵攻していた際、兵士のための食糧用の牛を追う仕事をしていた犬が先祖とされています。ドイツのロットワイル地方で牧羊犬・牧畜犬として改良され、20世紀以降は警察犬・軍用犬として活躍の場を広げた非常にパワフルで賢い犬種です。
ロットワイラーの体高、体重は?
ガッチリとしているロットワイラー、体高と体重はどれくらいでしょうか?
体高
平均的な体高は一般的にオスで63~69cm、メスで58~63cm前後です。
体重
平均的な体重も一般的にオスで45~61kg、メスで41~54kg前後です。
ロットワイラーの平均寿命は?
ロットワイラーの平均寿命は8~10歳です。大型犬の平均寿命の10~13歳よりも、やや短めといえるでしょう。
ロットワイラーの毛色の種類や被毛の特徴は?
次に、ロットワイラーの毛色の種類と被毛の特徴を見ていきましょう。
毛色の種類
毛色はブラックを基調とし、目の上、マズル、頬、喉、胸、脚、尾の付け根にタン(黄褐色)のマーキングカラーが入っている個体が多いです。
被毛の特徴
被毛は艶があり短く、硬い毛が密集しています。構造は、外からの刺激から皮膚を守るためのオーバーコートと体を保温するためのアンダーコートのダブルコートです。春と秋の換毛期は特に抜け毛が多くなり、短い被毛の印象以上に抜け毛が多い犬種です。
ロットワイラーの外見や吠え声の特徴は?
ロットワイラーの外見や吠え声の特徴について解説します。
外見
体は筋肉質で引き締まっているのが特徴で、骨太でたくましい外見をしています。口まわりから鼻先は太く、短く断尾されています。
吠え声
警戒心が強いため、危険を感じたり、縄張りを侵されたと感じたりしたときは力強く太い声で吠えます。常に刺激を拾って吠えることはありません。
ロットワイラーはどんな性格?オスとメスで性格の違いはあるの?
飼い主に忠実で賢そうなロットワイラー、実際はどのような性格なのでしょうか?
落ち着きがある
落ち着いた性格で、信頼関係が構築された家族には特に従順です。
愛情深い
信頼できる相手や飼い主に対しては愛情深い姿勢を示します。
忠誠心がある
護衛犬としての素質を持っているため忠誠心が高く、環境によって縄張り意識や警戒心を強く表に出すこともあります。
防衛心が強い
防衛心が強く、それによる攻撃性が出やすい犬種としても認知されています。
オスとメスの性格の違い
メスよりもオスの方が警戒心、縄張り意識が高く、攻撃行動が強く出ます。メスはホルモンのリズムによって変動がありますが、基本的には穏やかな傾向があります。
ロットワイラーを飼うのに向いている人は?
ここからは、ロットワイラーを飼うのに向いている人について紹介します。
体力に自信がある人
ロットワイラーは筋肉質で体重が40kgを超える個体が多いため、飼い主は力負けしない体力が必要でしょう。
犬の行動をコントロールできる人
決して飼育が簡単な犬種ではないので、子犬の頃からしつけやトレーニングにきちんと向き合い、ダメなものはダメとコントロールできる人が向いているでしょう。
散歩や遊びの時間がとれる人
運動、遊び、コミュニケーション、飼育環境などを十分に提供できる人に向いています。ロットワイラーの性格をよく知り、気質を伸ばすことができるよう日々時間を割いてあげられるとよいでしょう。
金銭面・環境面での余裕がある人
大型犬ゆえに食事、医療で出費を求められることが多くなります。また、大型犬に適した住環境を整える必要もあるでしょう。
ロットワイラーは初心者向きの犬?
ロットワイラーは、しつけやトレーニング経験を積んでおり、大型犬と暮らしたことがある方におすすめなので、初心者向きとは言い難い犬種です。気質的な条件が重なると攻撃行動が強くなる傾向があるため、感情をコントロールし冷静に対応するすべを知っている人が適しています。
ロットワイラーを飼う上で気をつけることは?
実際にロットワイラーを飼う際は、以下のことに注意しましょう。
温度・湿度管理をした室内で飼う
高温多湿が苦手なため、屋外飼育はおすすめしません。室内で飼育する際は、空間に余裕があり、快適に過ごせる環境を整えることが望ましい犬種です。
脱走防止の柵を設置する
縄張り意識が高いため、脱走防止の柵を設置する必要があります。高さと強度を兼ね備えた柵を設け、飼い主は必ず目を離さないようにしましょう。
子犬時代に激しい運動は避ける
子犬時代は体が大きく変化する大切な時期です。激しい運動を継続的に行うと、関節や靭帯を痛めてしまう可能性があるので注意しましょう。特に滑る素材の上での激しい運動は控えてくださいね。
ロットワイラーのしつけを始める時期やおすすめのしつけ方法は?
ロットワイラーを迎え入れたら、どのようなしつけをすればよいのでしょうか?
しつけを始める時期
ロットワイラーに限らず、しつけやトレーニングは早ければ早いほどよしとされています。家族として迎えたらすぐにしつけを始め、少しずつ家の中のルールを教えてあげましょう。
おすすめのしつけ方法
大型犬ゆえの力をコントロールできるようなしつけが必要です。
信頼関係を築く
一緒に遊ぶことや、散歩、トレーニングを通して飼い主と信頼関係を築いていくことが大切です。楽しいことを共有した時間が増えることで、関係が構築されていきます。
社会性を身に付けさせる
将来、攻撃的な振る舞いが誘発されないよう、子犬の頃からしつけを通して社会性を身に付けさせましょう。社会性は他の犬や人との楽しいふれあいによって育まれるので、積極的にパピークラスやパピーパーティーに参加してみましょう。
「待て・止まれ」を覚えさせる
子犬の頃からトレーニングとして「待て・止まれ」をしっかり習得させておきましょう。家庭内や屋外でのルールにすることで、コミュニケーションツールとしても役立ちます。
噛み癖をやめさせる
顎の力が強い犬種です。子犬の頃に見られる遊び噛みは、できだけ早いうちに解消させてあげてください。噛んでもよいおもちゃを渡して、そのおもちゃに興味を持ってくれたら褒めるとよいでしょう。
ロットワイラーにおすすめの遊びは?
ロットワイラーと遊ぶ際は、以下のようなものがおすすめです。
ノーズワーク
ロットワイラーには、激しい運動よりも、頭や鼻を使った遊びの楽しさを教えてあげることがおすすめです。頭がよく自分で物事を判断できるため、家の中でおやつを隠す「宝さがし」や、「かくれんぼ」で楽しむことができます。
ドッグラン
大型犬のみで遊べるようなドックランがおすすめです。ドックランでは犬同士の相性が重要ですが、なかには乱暴な遊びをしてくる犬がいる場合もあります。喧嘩をさせないためにも、環境が合わないと判断した場合はすぐに出るなどの工夫をしましょう。
ロットワイラーを散歩させる際に気をつけることは?
ここからは、ロットワイラーの散歩方法について解説します。
時間・頻度
毎日1、2回、30分から1時間程度の散歩をしてあげましょう。犬の体調や年齢、天候によって臨機応変に対応し、適切に体を動かしてあげる必要があります。
気をつけた方がよいこと
ロットワイラーを散歩させる際は、以下のことに気をつけてあげましょう。
散歩中のルールやコミュニケーションを大切にする
力が大変強い犬種なので、散歩中に瞬発的にリードを引かれた場合、成人の男性でも制御が難しいことがあります。力でコントロールしようとせず、日頃からコミュニケーションを密にし、散歩中のルールを決めておと安心です。
暑い時間帯を避ける
炎天下では黒い被毛が熱を吸収し、熱中症になる危険があります。夏場は早朝や夕方に出かけるようにしましょう。
ロットワイラーがかかりやすい病気やケガ、アレルギーは?
ロットワイラーを飼う際は、以下のような病気に・ケガに注意しましょう。
外耳炎
ロットワイラーは垂れ耳のため、耳の中の通気性が悪くなりがちです。外耳炎になる原因はさまざまで、アレルギー・ダニ・細菌・真菌などが挙げられます。耳を掻くしぐさが増える・耳垢が増えるといった症状が見られたら、早めに動物病院で診てもらいましょう。
拡張型心筋症
心臓の筋肉が薄くなり、全身に血液を送ることができなくなる病気です。初期症状が表れにくいですが、進行すると咳がでたり呼吸が速く荒くなったり、失神したりすることもあり、命にかかわります。動物病院で定期的に健康診断を受診し、早期発見治療につながるようにしましょう。
胃拡張・胃捻転
胸の深い体型の大型犬によく見られる病気で、食べてすぐの運動や加齢によって、胃を支えている靱帯が緩むことが原因となって発症します。胃がねじれると同時に大きな血管も圧迫されるので、最悪の場合は命を落とすこともあります。急に元気がなくなる、吐きたくても吐けない、腹部が膨満してきたなどの症状があれば早めに動物病院を受診しましょう。
股関節形成不全
骨の変形や関節の緩みなどの形態的な異常で起こる病気です。腰を振って歩く、横座りをする、運動を拒むようになるなど、動きに変化が見らえるようになったら整形外科の検査を受診してください。
がん(リンパ腫・骨肉腫・組織球肉腫など)
ロットワイラーは遺伝的にがんになりやすい犬種です。初期の段階では気づかないことが多いので、食欲や動き、体重など、日頃から小さい変化を見逃さないよう健康状態に気を使ってあげましょう。
前十字靭帯のケガ
遺伝的または形態的な問題、肥満などが原因で、後肢の膝関節の中にある靭帯が部分的にまたは完全に断裂してしまう病気です。前十字靭帯断裂のまま運動すると症状が悪化するので、異変に気づいたら早めに治療を受けましょう。
ロットワイラーの日常のお手入れで気をつけることは?
ロットワイラーを飼う際は、被毛と耳のケアを重点的にしてあげましょう。
被毛のケア
短毛ですが比較的毛が抜けやすい犬種です。毎日のブラッシングを行い、皮膚や被毛の健康を保ちましょう。皮膚に合わないシャンプー剤を使用すると、かえって健康を損ねる可能性があるので注意が必要です。皮膚に問題がないようであれば1、2か月に1度の頻度でシャンプーをします。シニアの場合はシャンプーがストレスになることもあるので、時間も頻度も考慮してあげましょう。
耳のケア
耳が垂れているため、外耳炎を起こしやすいです。耳の汚れやにおいが気になる、耳を気にするしぐさが何度も見られる場合は病院で診察をしてもらいましょう。
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