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博士(獣医学)。専門は獣医動物行動学。evergreen pet clinic ebisu行動診療科担当。日本獣医行動研究会研修医。藤田医科大学客員講師。
通いやすさや口コミで選びがちな「かかりつけ動物病院」。口コミで評判がよくても、自分たちには合わないということもあります。犬と飼い主に合う動物病院とはどんな病院なのでしょうか。獣医師との相性や病院の質も含めた見つけ方・見極め方をご紹介します。
目次
- 動物病院はニーズを満たす医療水準かどうかで選択を
- 動物病院を見つける手順は、ネットなどで情報収集してから絞り込みを
- 電話や動物病院で確認すべきチェックポイントとは?
- 犬や飼い主にとって相性のよい獣医師とは?
- 犬や飼い主にとってよい動物病院スタッフとは?
- セカンド・オピニオンで、別の動物病院を受診してもOK!
動物病院はニーズを満たす医療水準かどうかで選択を
動物病院を選ぶ際に多くの人が重視するのは、獣医師やスタッフの親しみやすさと責任ある態度でしょう。他に所在地、診療時間、ペット保険が使えるかなども気がかりだと思います。ですが、本当に大切なことは、愛犬の医療ニーズを十分に満たすことができるか、つまり獣医療水準の高さです。愛犬の犬種や年齢、持病などを考慮しつつ、下記を選ぶポイントとして下調べしてみてください。
【動物病院選びで重要なポイント】
・病院の専門を把握
診療対象は犬猫か、ハムスターなどの小動物やエキゾチックアニマルも含むのか。専門は内科か外科か。動物病院のホームページには獣医師の認定医資格、専門分野などが書かれているので参考に。
・病院の規模や設備を確認
個人病院は大学病院や2次診療専門病院と違い、病院によって規模がまちまちです。X線(レントゲン検査)、エコーや血液検査機器、手術室、入院設備などを確認しましょう。
・獣医師やスタッフの人数、診療体制を確認
診療に当たる獣医師は1人か複数人か。動物看護師の人数も確認を。
・夜間救急時の対応について
夜間救急対応の有無、夜間は別の病院を紹介してくれるかどうか。
動物病院を見つける手順は、ネットなどで情報収集してから絞り込みを
動物病院を探す際、インターネットを使うのも有用な方法のひとつです。日本獣医師会や日本動物病院協会など、動物病院を検索できるサイトを活用しましょう。
純血種の犬を飼っている方は、地域にあるその犬種のブリーダーや保護団体に問い合わせるのも手です。また、ご近所の犬友達や地域で動物保護活動をしているボランティアからの口コミ情報も重要な判断材料になります。どこの動物病院に通っているか、なぜその病院を選んだのか理由を尋ねてみましょう。
いくつか動物病院の候補が見つかったら、自分の希望条件に合うよう絞り込んでいきます。まずは、アクセスの確認を。徒歩なら抱っこで連れていける距離、車など移動手段が他にある場合は10~20分以内にたどり着ける距離が目安です。
電話や動物病院で確認すべきチェックポイントとは?
動物病院を絞り込んだら、次は候補の病院に電話をかけていくつか質問をし、納得できる応対かどうか確認します。通常、電話応対をするのは動物看護師や受付などのスタッフの方です。教育が行き届いていれば、獣医師でなくとも飼い主の質問には十分対応できるでしょう。
【電話質問でのチェックポイント】
□料金(ワクチン、健康診断、避妊手術など具体的に聞く)、支払いはクレジット可か。
□難しい病気や緊急手術が必要な場合、2次診療の病院を紹介してもらえるか。
□入院時、夜間の入院室の監視体制や面会について。
□診断用の医療検査機器はどんなものを使用するか。
□専門医や認定医などによる専門外来が受けられるか。
□麻酔と手術の前後はどのようにモニタリングしてもらえるのか。
□スタッフに動物看護師の認定資格を取得している人がいるか。
信頼できる動物病院は、こうした質問にもきちんと応えてくれるはずです。質問の回答によい印象を抱いたら、実際に訪れてみるとよいでしょう。
実際に動物病院を訪れた際は、次の項目を目安にチェックしましょう。
【動物病院を訪れてのチェックポイント】
□病院の外観や院内の清潔が保たれているか。待合室に入った時、ニオイがしないか。
□問診に時間をかけてくれるか。飼い主本人が話しやすいと思えるかどうかも大切。
□触診時、犬を乱暴に扱っていないか。動物看護師やスタッフのハンドリングが適切か。
□検査の目的を事前に説明してくれるか。検査結果を分かりやすく説明してくれるか。
□希望した場合、愛犬への治療や処置を見ることができるか。
□薬の処方時、用法用量の説明・副作用として考えられる症状、再診すべき状況の見極め基準などが説明されるか。
□診療明細を提示した上での支払いができるか。
犬や飼い主にとって相性のよい獣医師とは?
診察時、強い不安を感じている犬にとっては、安心させるための努力や気遣いを示してくれる獣医師がよい先生と言えるでしょう。また、獣医師が懸命に犬の機嫌を取っても、犬がそれに応じない状態(震える、耳を引いて伏せる、飼い主にのぼってくる、差し出されたフードを口にできないなど)が続く場合は、犬と獣医師の相性がよくないかもしれません。とはいえ獣医師のフレンドリーで辛抱強い対応が功を奏し、犬が何か食べられる状態になったとしたら、それは少し心を開いてリラックスした証。その後の診察は穏やかに進むはずです。
一方、飼い主にとってよい獣医師とは、飼い主と犬に寄り添い、ともに病気を解決していこうという姿勢を貫ける人です。こちらの質問に的確に答え、その回答から飼い主自身の気持ちがポジティブになれたなら、その獣医師とは相性がよいと考えられます。
犬や飼い主にとってよい動物病院スタッフとは?
動物看護師などのスタッフも、動物病院選びには重要なポイントです。ホームページにスタッフ紹介があれば、掲載されている出身校や勤務歴などは一定の質の保証になります。ですが、電話や受付での安心感や親しみのある応対や、清潔な印象というのも欠かせません。犬のハンドリング技術が丁寧かつ必要十分か、高度な検査のサポートに入っているか、という点でも質の高さがわかるでしょう。
また、犬に好意を持って優しく接してくれたり、飼い主の質問にしっかり答えて親身になってくれたりということがあれば、そのスタッフは犬や飼い主にとって相性がよいと考えられます。
セカンド・オピニオンで、別の動物病院を受診してもOK!
最近は動物病院でも、かかりつけ病院とは別の獣医師に意見を聞く「セカンド・オピニオン」が増えています。何度かやり取りをしても、かかりつけ病院の診断や治療に不満や不安を感じる場合は、別の病院でセカンド・オピニオンをして構いません。
他院でセカンド・オピニオンを得た後、その病院に移るかどうかは飼い主次第です。ただし、よりよい治療を受けるには、かかりつけ病院から他院へ治療歴を伝えてもらう必要があります。飼い主ご自身が獣医師に他院へ移ること、治療歴をその先生に伝えてほしいことを説明しましょう。
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