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ちば愛犬動物フラワー学園所属。北里大学獣医畜産学部卒業 / 現在は専門学校に勤務しつつ、地域の動物病院にて勤務医として従事。

甘くて喉越しのよいプリンは栄養豊富ですが、人間用のプリンは糖分が多く犬に与えない方がいい食べ物です。
今回は、犬がプリンを食べるリスクについて、獣医師の平田繭子先生に解説していただきました。安心して与えられる手作り「犬用プリン」のレシピもご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
- 犬にプリンをあげるリスクとは?
- 犬が食べても良い果物・食べてはいけない果物
- 犬がプリンを食べてしまったら?
- 安全な犬用プリンなら大丈夫
- おすすめの犬用ミルクやプリン型などの製菓用品
- まとめ
犬にプリンをあげるリスクとは?
プリンは、牛乳、卵、砂糖というシンプルな材料で作られているデザートです。その柔らかい食感と優しい味わいから、「少しだけなら犬にあげても大丈夫かな?」と思う方もいるかもしれません。しかし、人間用プリンは犬にとって避けるべき食べ物です。その理由を詳しく見ていきましょう。
肥満や糖尿病、歯周病の原因になる
人間用のプリンには砂糖が多く含まれています。犬が糖分を多く取り過ぎると肥満になったり、糖尿病や歯周病といった深刻な健康問題を引き起こしたりする可能性があります。犬は毎日の食事で糖質を十分摂取しています。そのため、ドッグフード以外に甘い物を食べ過ぎると糖質過多になり、長期的な健康リスクが高まってしまいます。
また、人間用のプリンの濃い味付けに慣れてしまうと、ドッグフードを食べなくなったり、食べる量が減ったりすることがあります。このような悪循環は栄養バランスの乱れを引き起こし、体調不良や病気の原因となりかねません。
下痢の原因になる
牛乳に含まれる乳糖(ラクトース)を分解する乳糖分解酵素(ラクターゼ)が少ない体質を「乳糖不耐症」といいます。犬は、生後ある一定の期間を過ぎると乳糖不耐症になるといわれています。そのため、牛乳を原材料とするプリンを食べるとおなかを壊す可能性があります。消化器官が未発達な子犬や、消化機能が衰えているシニア犬は特に注意が必要です。
アレルギーの可能性がある
プリンの材料である牛乳と卵が原因となり、アレルギーを発症する可能性があります。万一、人間用のプリンを食べて愛犬に嘔吐、下痢、かゆみ、目の充血などの症状が出た場合には、卵アレルギーか乳製品アレルギーを疑い、かかりつけの動物病院を受診しましょう。
また、腎臓病の犬はタンパク質の制限が必要になります。牛乳や卵のタンパク質を豊富に含むプリンは避けるべきだといえるでしょう。
添加物が多い
人間用として販売されているプリンには、乳化剤や香料などの添加物が使われているのが一般的です。いずれも犬の体にはよくないので、避けた方がいいでしょう。
犬が食べても良い果物・食べてはいけない果物
犬がプリンを食べるリスクや安全な代替案について理解を深めたところで、次に気になるのは果物です。果物は犬にとって適量であれば健康的なおやつになりますが、中には健康に悪影響を及ぼすものも存在します。ここでは、犬が安心して食べられる果物と、避けるべき果物について詳しく解説します。
犬が食べても良い果物
- オレンジ
- クランベリー/アサイー
- ブルーベリー
- バナナ
- 梨
- 柿
- りんご
- 栗
- キウイ
- みかん
- いちご
- もも
- メロン
- マンゴー
- さくらんぼ
- パイナップル
- グレープフルーツ
- スイカ
- レモン
- アプリコット(果肉のみ)
- ラズベリー
- ブラックベリー
- パパイヤ
- ザクロ
- カシス
- アセロラ
犬が食べてはいけない果物
犬がプリンを食べてしまったら?
万が一、犬がプリンを食べてしまった場合、まずは様子をよく観察してください。下痢や嘔吐、元気がないなどの異変が見られたら、速やかに動物病院を受診しましょう。その際、「いつ」「どのくらいの量を」「どんな種類のプリンを」食べたのかを伝えます。また、成分表示の書かれているパッケージを持って行くことをおすすめします。
プリンの容器ごとかじってしまい、プラスチックのかけらが見つからず、誤食した可能性が高い場合もパッケージを持っていくとよいでしょう。
安全な犬用プリンなら大丈夫
最近は、原材料や味付けなどに配慮した犬用プリンも市販されています。たまの楽しみとして、適量を与えるのもよいでしょう。ただし、犬に必要な栄養はあくまでもドッグフード(総合栄養食)から取るのが第一です。おやつとして与える場合は、1日のカロリー摂取量の10%程度に抑えるのが理想的です。
また、安心して与えられる犬用プリンを手作りすることもできます。ただし、手作りレシピの場合は、1日の栄養やカロリー量を計算したうえで与えることが大切です。
次に、犬用プリンの簡単な手作りレシピをご紹介します。
犬用プリン【手作りレシピ】
【材料】犬用ミルク150ml、さつまいも50g、寒天パウダー1g
【作り方】さつまいもは皮をむき、1cm角に切ってやわらかくなるまで茹でます。茹でたさつまいもはザルでこしましょう。鍋に犬用ミルクと寒天パウダーとこしたさつまいもを入れて中火にかけ、混ぜながらフツフツするまで加熱します。容器に注いで粗熱が取れたら、冷蔵庫で固まるまで冷やします。
【仕込み5分】豆乳フルーツプリン
【材料】冷凍マンゴー(解凍したもの) 50g、無調整豆乳 10cc、水 20cc、粉ゼラチン 2g、水(ゼラチン用) 大さじ1
【作り方】ミキサーやブレンダーなどの容器に、冷凍マンゴー、無調整豆乳、水を入れて、よく混ぜます(A)。事前に水でふやかしたゼラチンを電子レンジで液状になるまで溶かし、Aに混ぜ入れます。冷蔵庫で冷やし、固まったら完成です! 詳しい作り方は、この章の最後にある関連記事を参考にしてくださいね。
【シニア犬も食べやすい!】プリン風にアレンジのドッグフード
【材料】ドライフード 60g、水 120ml
【トッピングの材料(3種類)】プレーンヨーグルト 60g、かぼちゃ 10g + 5g、さつまいも 10g + 輪切り5g、じゃがいも(男爵)10g + 角切り5g ※かぼちゃ、さつまいも、じゃがいもの5g分は飾り用
こちらはプリンではなく、プリン風にアレンジしたドッグフードのメニューです。デザート気分で愛犬のお食事タイムを盛り上げたいときにどうぞ!
【作り方】小鉢にザルをのせ、ペーパータオルを当てます。プレーンヨーグルトを入れて1時間ほど置き、水切りヨーグルトを作ります。
食品用ポリ袋にドライフードと水を入れて袋の口を縛り、1時間ほど置いてふやかします。ふやけたドライフードを袋の上から揉みほぐしておきます。
軽く水にくぐらせたかぼちゃ、さつまいも、じゃがいもを電子レンジにかけて柔らかくし、飾り用を取り除いた残りをペースト状にします。シリコン型にかぼちゃ、さつまいも、じゃがいもをそれぞれ詰め、その上にほぐしたドライフードを詰めて成形します。
型から取り出して器に盛り、それぞれに水切りヨーグルト、飾り用のかぼちゃ、さつまいも、じゃがいもをトッピングして完成です。詳しい作り方は、下の関連記事を参考にしてください。
おすすめの犬用ミルクやプリン型などの製菓用品
カインズのオンラインショップでは、犬用ミルクや製菓用品などを購入できます。ぜひチェックしてみてください!
(例)
ペットフレンド わんちゃんにもやさしいみるく 国産プレミアムみるく 300ml
これ以外にも、愛犬との生活をサポートするアイテムが数多くそろっています。
※売り切れや取り扱い終了の場合はご容赦ください。
※店舗により取り扱いが異なる場合がございます。
※一部商品は、店舗により価格が異なる場合があります。
※上記商品は獣医師の監修外です。
まとめ
犬に人間用のプリンを与えることにはさまざまなリスクがあり、おすすめできません。もし、愛犬にプリンを与えたいなら、人間用に調味されるなど加糖されていない市販の犬用プリン、もしくは手作りの犬用プリンにしましょう。普段の食事に影響がないように、たまのご褒美程度にしておきましょう。
プリンに限らず、人間用のデザートは基本的に犬には与えない方がよいものです。犬がいたずらして食べたりしないように、保管場所には気を付けてください。