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ちば愛犬動物フラワー学園所属。北里大学獣医畜産学部卒業 / 現在は専門学校に勤務しつつ、地域の動物病院にて勤務医として従事。

犬はマンゴーの果肉を食べても大丈夫ですが、与え方やアレルギー、持病のある犬は注意が必要です。マンゴーは「果物の女王」とも呼ばれ、世界三大果実の一つです。生だけでなく、冷凍マンゴーやドライマンゴーも身近ですが、アレルギーを起こしやすい果物としても知られています。
今回は犬にマンゴーを与える際の注意点や適量などを、獣医師の平田繭子先生監修のもと解説していきます。
目次
- 犬はマンゴーの果肉を食べられる!ただし、皮と種の誤飲には注意
- 犬がマンゴーを食べてアレルギー反応を起こすことはある?
- 犬に絶対与えてはいけない果物は?
- 腎臓病などの持病・与え過ぎなど犬にマンゴーを与えるときの注意点
- マンゴーに含まれる栄養素と犬の1日の摂取量目安
- 犬にドライマンゴーやマンゴージュースなど加工食品を与えても大丈夫?
- 夏は冷凍マンゴーがおすすめ!犬へのマンゴーの与え方
- 犬が食べても良い果物
- まとめ
犬はマンゴーの果肉を食べられる!ただし、皮と種の誤飲には注意
マンゴーは果肉部分であれば犬に与えても問題ない果物です。しかし、皮や種を誤飲すると健康被害のリスクがあるため、与える際は注意が必要です。
果肉は子犬からシニア犬まで食べていい
マンゴーは果物の中でもそれほど食物繊維や果糖の含有量が多くないため、安心して犬に与えることができます。年齢に関する制限なども特になく、子犬からシニア犬まで問題なく食べることができます。ただし、持病を持つ犬や体調不良の犬には、与える前に必ず獣医師に相談しましょう。
マンゴーは80%近くが水分でできており、夏場の水分補給としても役立つ食品です。暑い季節に冷やした果肉を与えることで、犬がおいしく水分を摂取できます。ただし、一度に大量に与えたり、毎日続けて与えたりすることは避けて、適量を心がけましょう。
皮と種を誤飲すると体調不良や腸閉塞などの危険が!
犬が食べても良いのはマンゴーの果肉部分だけです。マンゴーの皮は消化に悪く、体調不良を引き起こしかねませんので決して与えないでください。
さらに、マンゴーの中心には大きな種が存在しています。種を食べてしまうと最悪の場合、腸閉塞から腹膜炎になって死につながってしまったり、窒息から死につながってしまったりする可能性も。必ず皮と種は取り除いて、果肉だけを与えるようにしてください。
マンゴーの皮や種をゴミ箱に捨てる際も、犬が取り出してしまわないようフタ付きのゴミ箱を利用するなどの配慮が必要です。
犬がマンゴーを食べてアレルギー反応を起こすことはある?
マンゴーは犬にとっておいしい果物ですが、アレルギーを引き起こす可能性もあります。特にアレルギー体質の犬には注意が必要です。ここでは、マンゴーによるアレルギーの原因や症状、注意点について詳しく解説します。
アレルギーを引き起こす可能性がある
マンゴーは「漆塗り」などにも使われるウルシ科の植物であり、かぶれを引き起こす「マンゴール」や「カルドール」という成分が含まれています。主に皮に含まれていますが果肉にも少量含まれています。そのため、アレルギー反応の強い犬によっては、食べたことでアレルギーを起こしてかぶれる可能性があります。
発疹やかゆみ、嘔吐・下痢の症状が出たら中止する
初めて犬にマンゴーを与える際は、様子を見ながら少しずつにしてください。もし、アレルギー反応が出てしまったらすぐに与えるのをやめ、まずは口のまわりなどマンゴーの触れた部分を綺麗に拭いてください。特に粘膜は吸収しやすい部分なので念入りに拭くようにしましょう。
症状として、発疹やかゆみなどの皮膚症状や、嘔吐・下痢などの消化器症状が見られた場合は、早めにかかりつけの獣医師に相談してください。
食物アレルギーのある犬には食べさせない
愛犬にアレルギーによる皮膚症状や消化器症状が出ている場合、または食物アレルギーの可能性がある場合は、マンゴーを与えないでください。
また、マンゴーの皮に含まれている「マンゴール」や「カルドール」は接触皮膚炎を引き起こす原因となります。アレルギーの犬は、皮に触れるだけで皮膚が赤く腫れたりかゆみが出たりすることがあります。愛犬がマンゴーを食べなくても、興味を持って触れるだけで思わぬトラブルにつながる可能性もあります。安全のためには、飼い主が食べるつもりで購入したマンゴーでも、しっかり管理し、愛犬の手が届かない場所に保管しましょう。
犬に絶対与えてはいけない果物は?
マンゴーは犬に与えてもよい果物ですが絶対に与えてはいけない果物もあります。人間にとってはデザートとして身近な果物でも、犬にとっては少し食べただけでも害になり命取りになるものもあります。以下に紹介する果物は犬が間違って食べないように注意しましょう。
腎臓病などの持病・与え過ぎなど犬にマンゴーを与えるときの注意点
マンゴーは適量であれば安全に与えられる果物ですが、持病を持つ犬や過剰摂取には注意が必要です。腎臓や心臓の問題、肥満、尿路結石などの健康リスクを避けるため、与える際のポイントを押さえましょう。
腎臓・心臓に問題のある犬には与えない
マンゴーにはカリウムが含まれています。通常の健康な犬であれば問題ありませんが、腎臓病や心臓病を患っている犬には注意が必要です。カリウムは腎臓で排出されますが、腎機能が低下している場合は排出が十分に行えず、高カリウム血症を引き起こすリスクがあります。
心臓病を持つ犬の場合も、カリウム摂取量の管理が必要な場合もあります。持病を抱えている犬にマンゴーを与える際は、事前にかかりつけの獣医師に相談し、適切な指導を受けることが大切です。
食べ過ぎると肥満や下痢・便秘の心配も
マンゴーはおいしい果物ですが、過剰に与えると消化器系や体重管理に悪影響を及ぼすことがあります。マンゴーには適量の食物繊維が含まれており、少量であれば便通を助ける効果がありますが、摂り過ぎると下痢や便秘を引き起こす可能性があります。
また、マンゴーは糖分が多く、高カロリーの果物でもあります。そのため、与え過ぎると肥満の原因となり、長期的には関節への負担や心血管系の病気のリスクを高めることも考えられます。
尿路結石の犬も注意
尿路結石を患っている犬や、そのリスクが高い犬にマンゴーを与える際は注意が必要です。特に療法食を食べている場合、マンゴーを摂取すると療法食が持つ効果を妨げる可能性があります。尿路結石の治療や予防を行っている場合は、マンゴーを控えるか、必ず獣医師と相談してから与えるようにしましょう。
マンゴーに含まれる栄養素と犬の1日の摂取量目安
マンゴーに含まれている主な栄養素と1日の適量目安について解説します。
マンゴーを食べるとビタミンや水分補給に役立つ
マンゴーは犬にとって魅力的な果物であり、適切な量を守れば健康をサポートする栄養素が豊富です。
・βカロテン
抗酸化作用があり、体内でビタミンAに変化し、皮膚のターンオーバーなどを促します。免疫力を高め、皮膚や粘膜、目の健康に一役買ってくれます。
・ビタミンC
抗酸化作用があり、免疫力を高める栄養素。アレルギーの原因となるものの働きを弱めたり、がん予防にも効果があったりするとされています。犬はビタミンCを体内で作ることができるので、人ほど積極的に摂取する必要はありませんが、ストレスや疲れがあるときは消費量が増えるため、食事で補ってあげるのがおすすめです。
・葉酸
ビタミンB群に含まれる水溶性ビタミンで造血作用があり、貧血の症状改善と予防につながります。細胞のターンオーバーなどをサポートする役割も持っています。
・ビタミンE
抗酸化作用がある栄養素。アンチエイジングの役割を果たし、老化が原因となって起こる病気などを防ぎます。
・食物繊維
整腸作用がある栄養素。便秘や下痢などを予防したり、腸内の善玉菌を増やしたりして腸内環境を整える働きをします。
・カリウム
ミネラルの一種であるカリウムには、ナトリウムとバランスをとりながら細胞を正常に保ったり血圧を調節したりして、体の恒常性を維持する働きがあります。細胞の浸透圧を調整するうえでナトリウム(塩分)の排出を行う作用があり、高血圧を予防するために効果的な栄養素です。しかし、腎臓病の犬の場合にはカリウム過剰から心臓負担が増大するリスクがあるため、量の調節が必要です。
適量は?あくまでもおやつとして!
マンゴーを犬に食べさせる場合、1日の摂取量の目安は以下の通りです。
【犬の1日のマンゴー摂取量の目安】
・犬の体重3kgでマンゴー10g
・犬の体重10kgでマンゴー30g
・犬の体重20kgでマンゴー45g
約180gの小さめのマンゴーでも、1個あたりの可食部は約120gとされています。体重が20kg以上ある大型犬でも、3分の1以上は食べさせないようにしてください。
犬にドライマンゴーやマンゴージュースなど加工食品を与えても大丈夫?
マンゴーは犬が安全に食べられる果物ですが、加工食品となると話は別です。ドライマンゴーや市販のマンゴープリン、マンゴージュースには犬にとって有害な成分が含まれている場合が多く、注意が必要です。それぞれのリスクについて説明します。
ドライマンゴーは避けたほうがいい
ドライマンゴーは水分が抜けているため、栄養素が凝縮されていますが、それが犬にとって問題となります。特に、ドライマンゴーに多く含まれる食物繊維は、過剰摂取すると腸に負担をかけ、下痢や便秘の原因となる可能性があります。また、乾燥することで硬くなったドライマンゴーは、消化が難しく、胃腸の調子を悪くするリスクも高まります。
市販のドライマンゴーには砂糖や保存料が添加されていることも多く、これらの成分は犬にとって害になります。健康を考えると、ドライマンゴーやその他の加工された果物は避け、自然な果肉だけを与えることをおすすめします。
市販のマンゴープリンはNG
市販のマンゴープリンには大量の砂糖や人工甘味料が含まれていることが多く、これらは犬にとって有害です。砂糖の過剰摂取は肥満の原因となり、長期的には糖尿病や心臓病のリスクを高めます。さらに、一部の人工甘味料(例:キシリトール)は犬にとって特に危険で、少量でも中毒症状を引き起こす恐れがあります。
また、マンゴープリンには乳製品やクリームが使用されている場合も多く、乳糖不耐症の犬にとっては消化不良や下痢を引き起こすリスクがあります。市販のマンゴープリンは人間用の食品であり、犬の体には適さない成分が多く含まれているため、与えるべきではありません。
市販のマンゴージュースはNG
市販のマンゴージュースも犬には適していません。これらのジュースには糖分が非常に多く含まれており、肥満や歯周病、糖尿病のリスクを高めます。また、人工甘味料や香料、防腐剤が添加されていることが多く、これらは犬にとって有害です。特に、甘味料としてキシリトールが含まれている場合、中毒症状を引き起こし、最悪の場合、命に関わることもあります。
さらに、市販のジュースは果物由来の天然の栄養素が失われている場合が多く、犬の健康には何のメリットもありません。愛犬に水分補給をさせたい場合は、新鮮な水や果肉そのものを使用するのが最適です。
夏は冷凍マンゴーがおすすめ!犬へのマンゴーの与え方
犬にマンゴーの果肉を与えるときのおすすめの与え方を紹介します。
犬用ケーキなどのトッピングに
犬にマンゴーを与える際におすすめの食べさせ方は、果肉を一口大にカットし、おやつとして与えることです。犬用ケーキのトッピングにも使用することができますし、無糖のプレーンヨーグルトにのせてあげるのもよいでしょう。マンゴーは他の果物に比べて葉酸を多く含むため、貧血が気になる犬に特におすすめです。
マンゴーを冷凍しておくと便利
夏場は冷凍マンゴーにするのもよいですが、その際は喉につまらせない大きさにすることが大切です。もちろん、大量にあげてしまうと下痢を引き起こしかねませんので、少量にしてあげてください。マンゴーは水分を豊富に含んでいますから、夏場に与えることで犬の水分補給を助けることが期待できます。犬が夏を快適に過ごせるよう、室温の他にも水分補給は十分にできているか、摂取量はしっかりと管理しておきましょう。
手づくりおやつに挑戦!
愛犬に安心してマンゴーを食べさせるには、手づくりおやつが最適です。マンゴーアイスやマンゴープリン、マンゴージュースも自宅で手づくりしたものなら愛犬にあげられます。市販品ではなく、自宅で作ることで、余計な添加物や砂糖を排除し、健康的なおやつを用意できます。冷凍マンゴーを使ったレシピを下の関連記事リンクでご紹介するので、参考にしてください。
犬用のおすすめマンゴーおやつやフード
安全でおいしい犬用マンゴーおやつやフードのおすすめ商品を紹介します。愛犬の健康を守りながら、楽しいおやつタイムを演出してみませんか?マンゴー以外のおやつや愛犬との生活を充実させるのに役立つペット用品も紹介します。
ぺろっとペットデザート フォーキャンス マンゴー 6370041001 JANコード:8809058116006【別送品】
※売り切れや取り扱い終了の場合はご容赦ください。
※店舗により取り扱いが異なる場合がございます。
※一部商品は、店舗により価格が異なる場合があります。
※上記商品は獣医師の監修外です。
犬が食べても良い果物
犬が食べても良い果物
マンゴーの他に犬が食べても良い果物はたくさんあります。以下に紹介します。
まとめ
マンゴーの果肉は、適量であれば犬が安全に食べられる果物で、ビタミンや水分補給に役立つ優れた食品です。ただし、皮や種は消化に悪く誤飲すると深刻な健康障害を起こす恐れがあるため必ず取り除きましょう。また、アレルギー反応を引き起こす可能性もあるため、初めて与える際は少量から始め、様子を観察してください。持病を持つ犬や過剰摂取による肥満や消化不良にも注意が必要です。
市販のドライマンゴーやマンゴープリン、マンゴージュースなど加工品は砂糖や添加物が多く、犬にとって有害な成分が含まれているため避けるべきです。手づくりのおやつや信頼できる犬用のマンゴー商品を活用し、愛犬の健康を第一に考えた与え方を心がけましょう。