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ちば愛犬動物フラワー学園所属。北里大学獣医畜産学部卒業 / 現在は専門学校に勤務しつつ、地域の動物病院にて勤務医として従事。

みずみずしさと甘みが特徴の桃は、犬が食べてもいい果物です。旬の時期の桃は栄養をたっぷり蓄えているため、愛犬に食べさせたいと考える方も多いでしょう。今回は獣医師の平田繭子先生に教えていただいた、桃の栄養素や与え方、犬が桃を食べるメリットやアレルギーなどの注意点について解説していきます。
目次
- 犬に桃を与えても基本的には大丈夫!
- 犬の桃アレルギーには注意!りんごやさくらんぼ、西洋梨などバラ科の果物とカバノキ科の樹木
- 犬に桃を与える際の注意点
- 犬に桃はどれくらい与えられる?トイ・プードルとゴールデン・レトリーバーでは適量が異なる!
- 桃に含まれる栄養素の特徴
- 犬に桃を加工したジャムや缶詰、ジュース、ゼリーを与えても大丈夫?
- 犬におすすめのおやつ・フードも!
- まとめ
- 犬が食べても良い果物・食べてはいけない果物
犬に桃を与えても基本的には大丈夫!
甘みが強い分、カロリーも高そうな桃。犬に食べさせてよいか不安になるかと思いますが、桃は犬に与えても問題はありません。
犬に桃を与えるメリット
桃は水分量が多いので、愛犬の水分補給には役立つと言えます。特に桃が旬を迎える夏時期は脱水が起きやすい季節です。愛犬が桃に対してアレルギーなどがなければ、水分補給のためにも与えても良いでしょう。
ただし、桃だけで不足している水分が全て補えるわけではないので、あくまで脱水予防をサポートする食材として考えてください。また、桃は糖質が多いので与え過ぎには注意が必要です。犬は甘味を好むので一度桃を食べると何度も欲しがりますが、与える量は飼い主の方でうまくコントロールしましょう。
子犬や老犬(シニア犬)に桃を与えても問題なし
桃に対してアレルギーを持っていなければ、基本的に子犬からシニア犬まで全ての犬が桃を食べられます。後述しますが、桃はアレルギーを発症する危険性があるため、注意しなければならない食材の一つです。
一方、シニア犬にとっては桃の栄養素を摂取することはメリットがあると言えます。桃の代表的な栄養素はビタミンCです。犬は体内でビタミンCを自ら合成できますが、加齢とともに生成量は減っていく傾向があります。シニア犬用のドッグフードにビタミンCが多く含まれているのも、生成量の変化に対応するためのものです。
適切な量をあげれば、シニア犬にとっては健康面でメリットがあるだけでなく、食事の楽しみにもつながります。
犬の桃アレルギーには注意!りんごやさくらんぼ、西洋梨などバラ科の果物とカバノキ科の樹木
犬は桃を食べても大丈夫ですが、アレルギーを発症する危険性のある食材です。桃のアレルギーを持っていなくても、同じバラ科の果物にアレルギーを持つ犬は発症する可能性があります。このように、ある種のアレルギーを持つ場合、分子構造の近い物質にもアレルギー反応が出てしまう作用を交差性アレルギー反応といいます。
バラ科の果物にはりんご、西洋梨、さくらんぼ、アーモンドなどがあり、要注意です。
また、カバノキ科のシラカバやハンノキなどにアレルギーがある場合は、桃に対してもアレルギー反応が出る可能性があるため与えないようにします。アレルギー反応が出ると皮膚の赤みや痒み、嘔吐や下痢などが見られますので、すぐに動物病院を受診してくださいね。
桃を初めて与える際は少量ずつ与えながら様子を見る、動物病院が開いている時間帯に食べさせてみるなど工夫するとよいでしょう。不安な場合はアレルギー検査を受けたり、食べさせる前に医師に相談したりするなどの対策をうってみてください。

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犬に桃を与える際の注意点
栄養価の高い桃を愛犬にたくさん食べさせたいと思うかもしれませんが、過剰摂取は犬の身体に負担がかかることがあります。
また、犬にとって毒性を持つ物質が含まれる部位があるため、与える際には十分な注意が必要です。ここではいくつかの注意点をご紹介します。
与える際は少量ずつ
桃は食物繊維が多い食材です。食物繊維は排便を促進する作用がありますが、胃で消化されず大腸まで届くので、腸が短い犬は消化がしづらいという側面もあります。
一度に大量に与えると消化器官に負担を与えるため、小さく刻んで少量ずつ与えるのが良いでしょう。
皮は取り除く
桃の皮は犬にとって消化しづらい部分なので、必ず取り除いて果肉だけ与えるようにしましょう。消化不良によって嘔吐や下痢などの症状を起こしてしまいます。
また、皮は残留農薬の危険性もはらんでいるため、愛犬が誤って口にしないよう気を付けてくださいね。桃の皮は、愛犬の目につかないところに捨てましょう。
桃の種の誤飲に注意!
桃の種は大きいため、窒息などの危険性もあります。誤って飲み込まないように気を付けましょう。桃の種は犬にとって消化も排泄もできないため、誤飲してしまった場合はすぐに動物病院を受診してください。
中毒症状を引き起こす毒性成分アミグダリンに注意!
桃を与える際に最も気を付けるべきなのが、毒性成分のアミグダリンです。アミグダリンは桃のようなバラ科植物の種子や未熟な果実に含まれます。摂取すると体内で有毒物質のシアン化水素に変わり、中毒症状を引き起こします。
一度に大量に摂取しないと命に関わる危険性はないものの、未熟な桃や種は絶対に与えないようにしましょう。
持病がある場合の注意点
桃は愛犬の身体によい作用を持つ栄養素が多い一方で、糖分が多いため糖尿病を患っている犬は注意が必要です。腫瘍を患っている犬にとっても、糖質は病状悪化の原因となるため控えてください。肥満気味の犬も摂取量には気を付けるべきでしょう。
犬に桃はどれくらい与えられる?トイ・プードルとゴールデン・レトリーバーでは適量が異なる!
文部科学省の食品成分データベースによると、白肉種の桃は100gあたり約38kcalとされています。
犬に与えるおやつは、1日に必要な総カロリーの10%程度が目安ですが、体重や年齢、活動量などによって必要カロリーは異なります。以下は、去勢・避妊をしている標準体型の成犬を想定した、あくまでも一般的な目安です。
超小型犬(体重4kg未満)
例:体重3kgの場合
1日に必要なカロリー:約200kcal
その10%:20kcal
⇒ 桃なら約50g(約2~3口分)
小型犬(体重4~10kg未満)
例:体重5~6kgの場合
1日に必要なカロリー:約400kcal
その10%:40kcal
⇒ 桃なら約100g(Mサイズの桃ならおおよそ半分)
中型犬(体重10~25kg未満)
例:体重15kgの場合
1日に必要なカロリー:約850kcal
その10%:85kcal
⇒ 桃なら約220g
大型犬(体重25kg以上)
例:体重30kgの場合
1日に必要なカロリー:約1400kcal
その10%:140kcal
⇒ 桃なら約370g
これらはあくまでも目安量です。体重以外に、年齢や活動量、体格などによって大きく必要カロリーが変わりますし、肥満気味の場合は適正体重に合わせたカロリー管理が必要になります。
与え過ぎにならないよう注意しながら、体調や便の様子などを見守りつつ調整するようにしましょう。
桃に含まれる栄養素の特徴
桃には食物繊維や各種ビタミン、カテキン、ミネラルなどが豊富に含まれています。それぞれの栄養素について以下で詳しく解説していきますので参考にしてみてください。
食物繊維
食物繊維には水に溶ける水溶性食物繊維と、水に溶けにくい不溶性食物繊維があります。特に桃に多く含まれるのは水溶性食物繊維のペクチンです。
水溶性食物繊維は腸内細菌のエサになりやすく、発酵性が高いため腸内環境を整える作用が期待されます。血糖値の上昇を抑制したという研究論文もあることから、肥満予防にも役立つかもしれません。
ビタミンC
桃にはビタミンCが豊富です。ビタミンCは水溶性のビタミンで、高い抗酸化作用を持つことで知られています。身体への酸化ストレスを軽減するため、老化やガン予防としても注目されている栄養素です。
犬は自らビタミンCを体内で合成できますが、生成量には限界があります。食材から摂取する方法もメリットがあると言えるでしょう。
ビタミンE
ビタミンCと同様に抗酸化作用を持つビタミンとして注目されているのがビタミンEです。特にビタミンEは過酸化脂質の発生を防ぐ作用が優れていると言われています。ビタミンCとの相乗効果で、犬の体への健康作用が期待できるでしょう。
一方、不足すると免疫系や皮膚への異常が見られる場合があります。犬においては身体の機能を正常に保つために重要な栄養素と言えるでしょう。
βカロテン
黄肉種の桃にはβカロテンが多く含まれています。βカロテンは、犬の体内でビタミンAに変換されます。ビタミンAは犬の目や皮膚、粘膜、被毛を健康に保つ働きがあります。また、抗酸化作用により免疫力アップや病気予防の効果が期待できます。
カテキン
桃には、緑茶に含まれる成分として有名なカテキンも含まれています。カテキンも抗酸化物質の一種で、血糖値の上昇抑制や動脈硬化・心臓病・糖尿病の予防、脂肪吸収抑制が期待できます。
緑茶は犬にとって毒性のあるカフェインが含まれるため与えることができませんが、桃はカテキン摂取の有効な手段の一つです。
カリウム
ミネラルの一種であるカリウムは細胞の浸透圧を調節する作用があり、ナトリウム(塩分)の排出を行います。塩分の摂り過ぎを抑制してくれるので、肥満対策にも役立つ栄養素です。
また、神経伝達や筋肉の収縮をサポートする側面もあります。ミネラルは犬の成長には欠かせない栄養素なので、不足しないよう気を付けましょう。
犬に桃を加工したジャムや缶詰、ジュース、ゼリーを与えても大丈夫?
桃は、食べやすく加工したジャムや缶詰、ジュース、ゼリーなどの加工品が多い果物です。人間が食べる加工品には砂糖やシロップが大量に含まれているため、与えないようにしましょう。もともと糖分が多い桃に糖分や脂肪分が追加されているので、カロリーオーバーとなり肥満につながる恐れがあります。与えるのは生の桃だけにしてくださいね。
桃のみを使用した100%ジュースの場合も、食品添加物や香料が含まれている可能性も否定できないため、与えないほうが無難でしょう。
犬におすすめのおやつ・フードも!
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※売り切れや取り扱い終了の場合はご容赦ください。
※店舗により取り扱いが異なる場合がございます。
※一部商品は、店舗により価格が異なる場合があります。
まとめ
犬に桃を与える際には、種や皮を取り除き、果肉のみを少量与えることで健康的なおやつになります。ただし適量を守り、アレルギーなどに注意しながら与えることが重要です。桃はビタミンや水分が豊富な果物ですから、上手に取り入れて愛犬の健康をサポートしましょう。