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ろろの犬猫部屋所属。麻布大学獣医学部獣医学科卒業 / 動物病院で3年間臨床医 / 現在は横浜市の福祉施設にて研究事業と臨床医として働きながら保護猫活動に従事

夏が近づいてくると食べたくなるものといえばスイカですね。みずみずしく甘いスイカを家族が美味しそうに食べていると、犬もスイカを食べたがるかもしれません。犬にスイカを食べさせても大丈夫ですが、与える部位やアレルギーなど注意点もあります。今回は、犬にスイカを与える場合の適量、スイカに含まれる栄養素やメリット、与える際に注意すべきことなどを、獣医師の栗山宏美先生監修のもと解説していきます。
目次
- 犬にスイカを与えても大丈夫!ただし、果肉部分のみ
- 犬にスイカを与える際の1日の適量は?
- スイカに含まれる栄養素や犬へのメリットは?
- スイカを食べることでアレルギーになる犬はいる?
- 腎臓病など持病のある犬にスイカを与えても大丈夫?
- スイカの食べ過ぎなどその他の注意点
- 犬にスイカを食べさせる際のおすすめの与え方は?
- 犬が食べても良い果物・食べてはいけない果物
- スイカ柄のフードボウルやおもちゃなどかわいいグッズも!
- まとめ
犬にスイカを与えても大丈夫!ただし、果肉部分のみ
スイカの果肉は90%が水分でできているため犬に与えても問題のない食材とされています。赤い色のスイカと同様に、黄色いスイカの果肉も犬は食べられます。
子犬やシニア犬、トイ・プードルに与えても大丈夫!
スイカは子犬やシニア犬にも与えることができます。果肉には有害な成分が含まれていないため、適量であれば安心して与えられます。ただし、以下の点には注意が必要です。
体を冷やす作用…薬膳の面から見るとスイカには体を冷やす効果があるとされています。そのため、病気がちの犬や体調が優れない犬には控えた方がよいでしょう。
超小型犬の場合…トイ・プードルなどの超小型犬にも与えることは可能ですが、果肉を小さく切り分けて喉に詰まらないようにしてください。
適量を守り、犬の様子を観察しながら与えることで、子犬やシニア犬にもスイカを安全に食べさせることができます。
与えるときは皮や種は取り除いて
スイカを犬に与える際には必ず果肉部分のみを与え、皮や種が入らないように注意してください。以下の理由からです。
消化不良のリスク…硬い皮や種は犬の消化器官に負担をかけ、これが原因で嘔吐や下痢を引き起こす可能性があります。皮に近い部分も硬いことがありますので、なるべく避けましょう。
喉に詰まる危険性…特に種や皮は小型犬の場合、誤飲して喉に詰まらせる恐れがあるため必ず取り除きましょう。果肉を細かく切り分けて、犬が食べやすい状態で提供することが大切です。
犬にスイカを与える際の1日の適量は?
犬にスイカを与える場合、適量を守ることが重要です。スイカは主食ではなくおやつとして扱い、1日の必要カロリーの10%以内に収めることが推奨されています。体重別の目安量を以下に紹介するので参考にしてください。
犬の体重3㎏の場合…30g
犬の体重10kgの場合…80g
犬の体重20㎏の場合…130g
スイカは水分が多く含まれるため水分補給にも役立ちますが、与えすぎると下痢を引き起こす可能性があるので注意しましょう。
スイカに含まれる栄養素や犬へのメリットは?
スイカには水分だけでなく、犬の健康に役立つさまざまな栄養素が含まれています。それぞれの成分がどのような効果を持つのか見ていきましょう。
βカロテン
体内でビタミンAに変換されます。皮膚や粘膜の健康維持に役立つ成分です。
ビタミンA
βカロテンと同じく、皮膚や粘膜の健康維持に役立ちます。
カリウム
生体の水分調節に関わるミネラルです。含有量はそれほど多くないため、心臓病や腎臓病などカリウム摂取に配慮が必要な病気を持っている子も食べることができます。ただし、愛犬の水分代わりにたくさん食べさせてしまうと、結果としてカリウムを多く摂取することにつながる点には注意が必要です。
水分
生命維持に重要な物質です。犬は体重の約60%が水分でできています。
シトルリン
スイカなどのウリ科の植物に含まれるアミノ酸です。シトルリンは血管拡張作用があり、血液循環が良くなることでむくみ改善や排尿促進が期待できます。また、尿素回路と呼ばれる代謝経路に関連し、アンモニアの代謝を行うことで疲労回復にも期待ができます。
リコピン
スイカの赤い色素であるリコピンは、強力な抗酸化作用を持ちます。細胞の老化を防ぎ、がん予防にも役立つとされています。
マグネシウム
神経や筋肉の正常な働きに欠かせない栄養素で、歯や骨を丈夫に保つのにも欠かせません。ただし、尿路結石のリスクがある犬には注意が必要な成分です。
スイカを食べることでアレルギーになる犬はいる?
犬がスイカを食べてアレルギーを起こすことは少ないとされていますが、まれにアレルギーを引き起こす犬もいます。スイカを食べた後に下痢や嘔吐、皮膚のかゆみなどの症状が現れた場合、アレルギー反応の可能性があります。このような症状が出た際は、速やかにかかりつけの動物病院に相談し、スイカの摂取を中止してください。アレルギーが確認された犬には、絶対にスイカを与えないようにしましょう。
さらに注意したいのが、特定のアレルギーを持つ犬の場合です。例えば、オナモミ、ヨモギ、ブタクサ、ニワトコ、ニンジン、ウリ科の植物に対してアレルギーを持つ犬は、スイカに対してもアレルギー反応を示す場合があります。この現象は交差性アレルギー反応と呼ばれ、アレルギーを引き起こすタンパク質の構造が似ている場合に発生します。特に、これらの植物に由来するアトピー性皮膚炎を持つ犬の場合、スイカを食べることで症状が悪化する可能性があります。
スイカに含まれるアレルギー物質の影響は軽微ですが、すべての犬にとって安全であるとは限りません。特にスイカを初めて与える際には、少量を試して、犬の体調に異常がないことを確認することが重要です。
腎臓病など持病のある犬にスイカを与えても大丈夫?
スイカは90%以上が水分で構成されており、基本的には犬にとって安全な果物です。そのため、腎臓病やその他の持病を持つ犬にも少量であれば与えても問題ありません。ただし、心配な方は、与える前に獣医師の先生に相談してみるのがよいでしょう。特に腎臓病の犬の場合、体調を考慮して適切な量を与えることが大切です。
腎臓病の犬にスイカを与える際に注意すべき点は、スイカに含まれるカリウムです。スイカのカリウム含有量はそれほど多くありませんが、腎臓の機能が低下している場合、カリウムを正常に排出できず、高カリウム血症を引き起こすリスクがあります。高カリウム血症は、心臓や神経系に悪影響を与える可能性があるため、特に注意が必要です。ただし、適量であれば大きな影響はありません。与える際には、水分補給代わりの食べさせ過ぎには注意してください。獣医師に相談して適量を確認すると安心です。
スイカの食べ過ぎなどその他の注意点
スイカは犬にとって安全でヘルシーなおやつですが、与え方を誤ると健康を損なうことがあります。適量を守り、以下の注意点をしっかり理解したうえで与えるようにしましょう。
下痢や嘔吐に注意
スイカの豊富な水分は、胃腸が弱い犬にとっては下痢や嘔吐の原因となる場合があります。特にお腹を下しやすい犬にはスイカを与えすぎないように注意し、少量ずつ試しながら与えることが大切です。水分補給のためにスイカを与える場合でも、他の水分摂取量と調整しましょう。また、スイカは冷たいままで与えるとさらに胃腸に負担をかける可能性があるため、常温に戻してから少量を与えるのが理想的です。
利尿作用がある
スイカには利尿作用があり、体内の余分な水分を排出する効果があります。これは体のむくみを取るのに役立つため、特に梅雨の時期や夏場にはおすすめです。しかし、利尿作用により尿量が増えることがあります。室内飼いの犬の場合はペットシーツを多めに用意しておく、外で排泄する犬の場合は散歩の回数を増やして尿意に対応できるようにするなどの対策をとりましょう。
スイカの過剰な摂取が原因で脱水症状を引き起こすことは稀ですが、スイカ以外の水分摂取とバランスを取ることが重要です。
アイスやゼリーなどの加工品やスイカに見立てたパン、クッキーなどは与えない
人間用に作られたスイカ味の加工品(ゼリー、ジュース、アイスクリームなど)は、砂糖が多く含まれています。犬の健康に悪影響を及ぼす可能性があるため、糖尿病や肥満が心配される犬はもちろん、持病のない犬にも絶対に与えないでください。
さらに、スイカの形を模したパンやクッキーにも注意が必要です。これらには砂糖だけでなく、犬にとって有害なチョコレートが「種」や「縞模様」として使われている場合があります。こうした食品は、見た目がスイカに似ていても犬にとって危険ですので、与えないよう徹底してください。
スイカは適切に与えることで水分補給や健康維持に役立ちますが、過剰摂取や加工品の摂取は健康リスクを伴います。安全でおいしいスイカタイムを楽しむために、正しい与え方を心掛けましょう。
犬にスイカを食べさせる際のおすすめの与え方は?
人間と同じように果肉の部分を生のまま与えれば大丈夫です。果肉を小さくカットして与えることで、犬が噛みやすくなり、喉に詰まるリスクを減らせます。初めてスイカを与える場合は、少量から試し、体調に異変がないか確認してください。
ビタミン類を摂取させることを目的とする場合には熟した部分を与えるのがおすすめです。皮や種は喉に詰まらせたり、排便に影響があったりする恐れがあるのであげないようにしましょう。
スイカを冷やしすぎると犬の消化器官に負担をかける可能性があるため、常温に戻してから与えるのがおすすめです。
スイカは正しく与えれば、犬にとっておいしく栄養価のあるご褒美になります。以下に、スイカを使った手づくりおやつのレシピを紹介するので参考にしてください。
犬が食べても良い果物・食べてはいけない果物
スイカ以外にも犬が食べられる果物はたくさんあります。その一方で、注意が必要な果物も存在します。愛犬が食卓の果物を欲しがったとき、食べても良い果物と食べてはいけない果物を知っていなければ適切に判断できません。ここで紹介する情報をお役立てください。
犬が食べても良い果物
- オレンジ
- クランベリー/アサイー
- ブルーベリー
- バナナ
- 梨
- 柿
- りんご
- 栗
- キウイ
- みかん
- いちご
- もも
- メロン
- マンゴー
- さくらんぼ
- パイナップル
- グレープフルーツ
- スイカ
- レモン
- アプリコット(果肉のみ)
- ラズベリー
- ブラックベリー
- パパイヤ
- ザクロ
- カシス
- アセロラ
犬が食べてはいけない果物
スイカ柄のフードボウルやおもちゃなどかわいいグッズも!
スイカは赤と緑のコントラストが目を引くためか、スイカ柄のクッションや洋服などを目にする機会も多いのではないでしょうか。生活の彩りとして取り入れてみるのもおすすめです。
スイカ柄のかわいいフードボウルや、犬が喜ぶひっぱり遊びができるスイカ型のおもちゃなど、カインズで取り扱いのある商品を紹介します。
※売り切れや取り扱い終了の場合はご容赦ください。
※店舗により取り扱いが異なる場合がございます。
※一部商品は、店舗により価格が異なる場合があります。
※上記商品は獣医師の監修外です。
まとめ
スイカは犬にとって安全で、適切に与えれば水分補給や栄養補助として役立つ果物とされています。果肉の部分を生のまま、常温で与えるのが基本で、皮や種は必ず取り除きましょう。与えすぎると下痢や嘔吐の原因になる可能性があるため、適量を守り、主食ではなくおやつとして楽しんでください。また、胃腸が弱い犬や持病がある場合は獣医師に相談することをおすすめします。