公開
ろろの犬猫部屋所属。麻布大学獣医学部獣医学科卒業 / 動物病院で3年間臨床医 / 現在は横浜市の福祉施設にて研究事業と臨床医として働きながら保護猫活動に従事

料理のトッピングとして重宝するパセリは、適量であれば犬に与えても大丈夫な食材です。犬の口臭予防に役立つのではないかと注目している方もいるでしょうが、過剰に摂取するとリスクがあるため注意が必要です。
今回は、パセリを犬に与える際の安全性、注意点やパセリに含まれる栄養素、果たして口臭予防になるのか、などを獣医師の栗山宏美先生監修のもと解説していきます。
目次
- 犬がパセリを食べても大丈夫! 安全性と適切な与え方とは?
- パセリに毒性はある? 過剰摂取のリスクとは?
- パセリに含まれる栄養素! 犬の口臭予防になる?
- パセリを使った手作りドッグフードのレシピ
- パセリ以外のハーブ類・野菜で与えてもいい食材、ダメな食材
- 自宅で手づくりパセリを育ててみても!その他おすすめのペット用グッズ
- まとめ
犬がパセリを食べても大丈夫! 安全性と適切な与え方とは?
パセリは犬にとって基本的に安全な食材ですが、適量を守ることが重要です。過剰に摂取すると消化不良や健康への悪影響が懸念されるため、適切な与え方を理解しましょう。ここでは、犬にパセリを与える際の適量や頻度、子犬やシニア犬への注意点、さらにイタリアンパセリとの違いについて解説します。
犬に与える場合の適量と頻度、生か乾燥か?
パセリを犬に与える際は、少量をおやつとして与えるのがよいとされています。犬の体格に合わせた1日に与えていい分量の目安は以下の通りです。
・小型犬(5kg以下):1本(約2g)
・中型犬(5~15kg):2本(約12g)
・大型犬(15kg以上):3~4本(約18~24g)
与える頻度は週に1~2回程度が適切で、日常的に大量に摂取するのは避けてください。特に初めて与える場合は、少量から試し、体調に変化がないか様子を観察しましょう。
パセリの与え方には生と乾燥の2種類がありますが、どちらも少量であれば問題ありません。新鮮なパセリは細かく刻んでから与えてください。乾燥パセリは風味が濃縮されているため、ドッグフードのトッピングとして少量振りかける程度にとどめましょう。いずれの方法でも、犬の健康を考慮して適量を守ることが大切です。
子犬やシニア犬、持病のある犬は注意
パセリには、持病のある犬などが過剰に摂取すると体に悪影響を及ぼす可能性がある成分も含まれています。特に以下のような犬は注意が必要です。また、子犬は消化不良を起こしやすいため無理に与える必要はないでしょう。
・腎臓に問題のある犬:パセリにはカリウムが豊富に含まれています。腎臓疾患を抱える犬はカリウムの排泄機能に異常をきたしていることがあるため、避けたほうがよいでしょう。
・妊娠中の犬:パセリに含まれるアピオールには子宮を収縮させる作用があるとされています。妊娠中の犬に無理に食べさせる必要はないといえます。
・胃腸が敏感な犬:パセリは香りが強く、刺激があるため、消化器系が弱い犬には適さない場合があります。消化機能が落ちている老犬も注意が必要です。
なお、パセリを摂取した後に嘔吐や下痢、食欲不振などの症状が見られた場合は、すぐに与えるのを中止し、必要に応じて動物病院を受診しましょう。
イタリアンパセリも大丈夫?
日本人になじみのあるパセリは葉が縮れ、別名・カーリーパセリと呼ばれる品種です。最近は、葉が縮れていないイタリアンパセリも店頭に並んでいるのを見かけます。カーリーパセリと同様にイタリアンパセリも犬に与えて問題のない食材です。
ただし、グレープフルーツや夏みかん、はっさくにも含まれ光毒性を示すフラノクマリンが含まれるため、与える際は細かく刻んで少量のみにし、大量には与えないようにしましょう。
パセリに毒性はある? 過剰摂取のリスクとは?
パセリは、適量であれば犬にとって安全な食材ですが、特定の成分を含むため過剰に摂取すると健康に悪影響を及ぼす可能性があります。そのため、日常的に大量に与えたり、一度に多く摂取させたりするのは避けるべきです。
特に注意すべき成分の一つがソラレンです。ソラレンは、植物に含まれるフラノクマリン類の一種で、体内に取り込まれると紫外線を吸収しやすくなり、皮膚に影響を与える光毒性を持つことで知られています。
パセリに含まれるフラノクマリンは、光過敏症や皮膚炎、消化器系の問題を引き起こす可能性があるといわれています。
犬において具体的な中毒量のデータは確認されていませんが、体重2kg程度の超小型犬であっても、小さいパセリを3本程度、摂取することで何らかの影響を受ける可能性があります。個体差があるため、全ての犬に同じ影響が出るわけではありませんが、特に小型犬には少量でも慎重に与えるべきでしょう。
生のパセリを大量に食べることは通常の食事では難しいといえますが、パセリをジュースやペースト状にすると摂取量は容易に増えてしまいます。そのため、ドッグフードにパセリを加える場合や、手作りごはんに使用する際は特に注意してください。
パセリに含まれる栄養素! 犬の口臭予防になる?
パセリは、栄養価の高い食材として知られており、適量であれば犬の健康にもよい影響を与える可能性があります。また、パセリに含まれる成分の中には、口臭予防に効果が期待できるものもあります。
パセリに含まれる栄養素
パセリに含まれる栄養素には以下があります。
・ビタミンA:視力の維持や皮膚・粘膜の健康に関わる栄養素。免疫力を高め、病気の予防にも役立ちます。
・ビタミンC:抗酸化作用を持ち、ストレス軽減や免疫機能の強化に貢献する栄養素。犬は体内で合成できますが、加齢やストレスが多い場合は外部からの補給を検討するとよいでしょう。
・ビタミンE:血行を促進し、皮膚の健康維持などの働きがあります。抗酸化作用があり、細胞の老化を防ぐ効果も期待できます。
・鉄分:赤血球の生成を助け、全身に酸素を運ぶ役割を担っており貧血予防や疲労回復に寄与しています。特にシニア犬や活動量の多い犬にとって重要な栄養素です。
・食物繊維:便通をスムーズにするなどの働きがあります。摂取しすぎると消化不良を引き起こす可能性があるため注意が必要です。
・アピオール・ピネン:パセリ特有の芳香成分で、食欲増進や消化促進、抗菌・抗炎症作用があるとされています。
・葉緑素(クロロフィル):デトックス作用があり、体内の有害物質を排出する働きや口臭予防の効果が期待されています。
パセリには口臭予防につながる成分も!
パセリには、犬の口臭予防に効果が期待できる成分も含まれています。パセリに含まれるアピオールには口腔内の雑菌の繁殖を抑える働きがあり、ピネンには消化を改善し細菌の増殖を抑える働きがあります。さらに、葉緑素には口臭の原因となるガスと結合して臭いを和らげる働きを期待できます。
パセリは口臭の軽減に寄与する可能性がありますが、あくまでも補助的な役割にとどまります。口臭の原因が歯石や歯周病である場合には、適切な歯磨きや獣医師の診察が必要です。
パセリを使った手作りドッグフードのレシピ
以下にパセリを使った手作りドッグフードのレシピを紹介します。愛犬の食事に手作りの楽しさを加えながら、健康的にパセリを取り入れられるレシピをぜひ試してみてください!
※以下に紹介している手作りレシピは総合栄養食ではないので毎日食べるには向きません。たまのご褒美として活用するようにしてください。
パセリ以外のハーブ類・野菜で与えてもいい食材、ダメな食材
パセリ以外にも、犬に与えても問題のないハーブや野菜は多く存在します。一方で、犬にとって有害となる食材もあるため、事前にしっかり確認することが大切です。ここでは、犬が安心して食べられるハーブや野菜と、避けるべき食材を紹介します。
バジル・ミントは大丈夫! その他、大丈夫な野菜
バジルやミントは、適量であれば犬に与えても問題のないハーブの一つです。また、パセリと同様に犬に与えても問題のない野菜にはにんじん、かぼちゃ、ブロッコリー、さつまいもなどがあります。これらの野菜はビタミンやミネラルを多く含み、適量を守れば健康的な食事の一部として取り入れることができます。
アスパラガス
セロリ
じゃがいも
大根
さつまいも
ブロッコリー
かぼちゃ
にんじん
レタス
小松菜
きゅうり
トマト
あげてはいけない食べ物
一方で、犬に与えてはいけない食材もいくつか存在します。
自宅で手づくりパセリを育ててみても!その他おすすめのペット用グッズ
パセリは家庭でも手軽に育てることができ、新鮮なものを愛犬に与えられるのが魅力です。カインズオンラインショップでは、パセリの種や栽培キットが販売されており、自宅で簡単に育てられます。愛犬の健康を考えた食材を自分で育てるのも楽しいでしょう。さらに、ペット用の食器やケア用品、おもちゃなど、さまざまなペットグッズも取りそろえています。ぜひオンラインショップをチェックしてみてください!
※売り切れや取り扱い終了の場合はご容赦ください
※店舗により取り扱いが異なる場合がございます
※一部商品は、店舗により価格が異なる場合があります
※上記商品は獣医師の監修外です。
まとめ
パセリは栄養価が高く、適量であれば犬に与えても問題のない食材です。しかし、過剰に摂取すると消化不良など健康への悪影響があるため、適量を守ることが大切です。子犬やシニア犬、持病のある犬、妊娠中の犬には無理に食べさせる必要はない食材だといえます。愛犬の健康を守るためには、犬が食べてもよい食材と避けるべき食材を正しく理解することが重要です。玉ねぎやネギなどの有害な食材を避けつつ、栄養バランスの取れた食事を心がけましょう。