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Animal Life Partner代表。ペット栄養管理士など様々な資格を生かし、診療や往診のほかに、セミナー講師やカウンセリング、製品開発など幅広く活動。
価格がリーズナブルなうえに、スーパーで手に入りやすいもやし。カロリーが低いため、愛犬のダイエット食に取り入れたいと考える人も多いのではないでしょうか。今回は、犬にもやしを与える際の注意点や適量について、Animal Life Partner代表で獣医師の丸田香緒里先生に解説していただきます。
目次
- 犬はもやしを食べても大丈夫!
- 子犬や老犬(シニア犬)にもやしを食べさせても大丈夫?
- 持病のある犬にもやしを食べさせても大丈夫?
- もやしに含まれている栄養素は?
- 犬にもやしを与える健康面でのメリットは?
- 犬にもやしを与える際の1日の適量は?
- もやしを食べてアレルギーや中毒症状になる犬はいる?
- もやしを食べた犬にアレルギー症状が出た場合の対処法は?
- 犬にもやしを与えるおすすめの方法は?
- 犬にもやしを与える際の注意点は?
- 犬にもやしを使用した加工食品を与えても大丈夫?
犬はもやしを食べても大丈夫!
もやしは犬に与えても問題のない食品です。そもそも、もやしとは緑豆や大豆を発芽させて作られた発芽野菜のこと。その栄養価は、元となる豆とほぼ同様と言われています。
特に、必須アミノ酸をすべて含む大豆もやしは、栄養価の高い食品です。一般的にスーパーで手に入りやすいのは緑豆もやしですが、大豆もやしを見つけたら愛犬に与えてみてはいかがでしょうか。
子犬や老犬(シニア犬)にもやしを食べさせても大丈夫?
子犬やシニア犬にもやしを与えても問題ありません。ただし、いくつか注意点があります。まず、もやしは短くカットしてから与えるようにしましょう。短く切ってあげると食べやすくなるうえに、消化を助けてくれます。また、もやしは満腹感が出やすいため、与えすぎるとほかのフードが食べられなくなってしまいます。もやしだけでは必要な栄養素を補うことができないので、あくまでドッグフードのトッピング程度にとどめておきましょう。
持病のある犬にもやしを食べさせても大丈夫?
もやしの95%は水分でできています。そのため、もやしを食べさせ過ぎると、ほかの食品を食べる前に満腹になってしまう可能性が高いです。体重を増やす必要がある犬に食べさせる場合は注意してください。
もやしに含まれている栄養素は?
もやしは、ほとんどが水分で構成されており、じつはその他の栄養素はそれほど多くありません。しかし、食物繊維やカリウムなどの栄養素が含まれているので、犬の健康をサポートしてくれるでしょう。もやしに含まれる代表的な栄養素は以下の通りです。
アミノ酸
もやしにはアミノ酸が多く含まれているので、犬の疲労回復に役立ちます。特にアミノ酸であるアスパラギン酸はエネルギーになりやすく、夏バテにも効果的です。また、緑豆もやしでも様々な種類のアミノ酸が摂取できますが、よりバランスよく摂取させたい場合は大豆もやしがおすすめです。
ビタミンC
抗酸化物質の一つです。犬は人と違いビタミンCを体内で作ることができます。しかし、ストレスや疾患などの影響により大量消費されると、体内での生成が間に合わないことも。そのため、食べ物からもビタミンCを摂取する必要があります。
カリウム
ナトリウムとともに、体の浸透圧を維持しています。利尿効果があり、血圧を下げる働きが特徴です。
葉酸
細胞分裂や、細胞の再生を助ける働きがあります。細胞の成長や生まれ変わりをサポートしてくれるので、身体にとっては非常に重要なビタミンです。
リン
主に歯や骨を丈夫に保つ働きがあります。他にも、神経や筋肉を正常に保ったり、生体が適切に機能するために欠かせない栄養素です。
犬にもやしを与える健康面でのメリットは?
犬にもやしを与えるメリットは、主に以下の2つが考えられます。
たくさん食べても低カロリー
もやしは95%が水分のため、他の食品に比べてカロリーが低めです。緑豆もやし100gあたりのカロリーはおよそ14kcal。肥満気味の犬のダイエット食材として、フードのかさましにも適しています。
便通改善に役立つ
もやしには食物繊維が多く含まれるため、便通改善に役立ちます。特に豊富なのは水に溶けにくい不溶性食物繊維です。不溶性食物繊維は腸内で便のかさを増やして、腸のぜん動運動を促してくれます。
犬にもやしを与える際の1日の適量は?
もやしはほとんどが水分でカロリーが低いため、体重換算で考えるとかなりの量を与えてよいことになってしまいます。しかし、食べ過ぎは下痢や嘔吐を引き起こす原因にもなるため、あくまでドッグフードのトッピング程度と考えてください。
もやしを食べてアレルギーや中毒症状になる犬はいる?
大豆にアレルギーを持っている犬は、アレルギー反応が見られる可能性があります。緑豆も大豆の一種のため、同様にアレルギーが出るかもしれません。心配な場合は、少量から与えるようにしてくださいね。
もやしを食べた犬にアレルギー症状が出た場合の対処法は?
犬がもやしを食べてアレルギーを発症した場合に見られる主な症状は、皮膚のかゆみや赤み、下痢や嘔吐です。また、1回の嘔吐や下痢でその後に症状が続かない場合は、しばらく様子を見てもかまいません。ただし、嘔吐や下痢の症状が治まらず継続する場合は、すぐにかかりつけの動物病院を受診してください。
犬にもやしを与えるおすすめの方法は?
もやしを愛犬の食事に活用する場合は、以下の与え方を参考にしてみてください。
さっと火を通す
もやしは生のままだと消化しづらく、犬の胃腸に負担をかけてしまう恐れがあります。より消化しやすくするため、加熱してから与えましょう。ちなみに、基本的に日本で売られているもやしは加熱調理用なので、犬にも火を通してから与えたほうが安心です。
できるだけ細かく切る
のどに詰まらせないよう、できるだけ細かく切ってから与えましょう。もやしを湯がいてから、小さくカットするだけなので簡単です。
ドッグフードに混ぜる
ドッグフードに食物繊維が豊富なもやしをトッピングすれば、手軽に栄養素の偏りを防止できます。犬が便秘気味のときは特におすすめの方法です。
犬にもやしを与える際の注意点は?
犬にもやしを食べさせる際の注意点を以下にまとめました。
下痢に注意
食物繊維が豊富なもやしは整腸作用に期待できますが、食べすぎると消化不良や下痢を引き起こす場合があります。消化機能の弱い子犬やシニア犬は特に注意しましょう。
食べ過ぎに注意
もやしで満腹になってしまうと、ドッグフードが食べられなくなってしまいます。もやしだけでは1日に必要な栄養素をカバーできません。栄養が偏らないように、あくまでも補助食品として与えましょう。
もやしは腐りやすい
もやしは日持ちしづらく、痛みやすい食品です。犬の健康を害さないためにも、新鮮なもやしを用意しましょう。もし、匂いや色が変わっていたら、腐っているかもしれません。与えるのは控えましょう。
犬にもやしを使用した加工食品を与えても大丈夫?
人間用に味付けがされている加工食品は与えないでください。これらの食品は調味料や香辛料が多く含まれています。塩分過多などで、犬の健康に害を及ぼす危険性があります。