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日・米・英にて行動診療やパピークラスを実施する動物行動コンサルティングはっぴぃているず代表。日本でまだ数十名しかいない獣医行動診療科認定医として幅広く活躍。
ピーマンは独特の匂いや苦味があるものの、栄養価も高く、積極的に家庭の食卓に取り入れたい野菜の一つです。しかし、ピーマンは犬に気軽に与えても大丈夫な食材なのでしょうか? 今回は動物行動コンサルティングはっぴぃているず所属の獣医師、フリッツ吉川綾先生に教えていただいた、犬にピーマンを食べさせていいのかどうか、与える際に注意すべきことなどを解説していきます。
目次
- 犬にピーマンを与えても大丈夫!
- 犬はピーマンの匂いや苦味は好まない?
- 子犬や老犬(シニア犬)にピーマンを与えても大丈夫?
- 持病のある犬にピーマンを与えても大丈夫?
- ピーマンを食べるとアレルギーや中毒症状が出る犬はいる?
- 犬にピーマンを与える際の適量は?
- ピーマンにはどんな栄養素が含まれている? 犬に与える健康面のメリットは?
- 犬にピーマンを与える際は種やヘタに注意して!
- 犬にピーマンを与える際のおすすめの調理法は?
- 犬に赤ピーマン/黄ピーマン(パプリカ)を与えても大丈夫?
犬にピーマンを与えても大丈夫!
結論から言うと、犬にピーマンを与えても大丈夫です。ピーマンはとうがらしを改良して辛みを取り除き、独特の苦味と香りを残した野菜。ただ、生のままではピーマン独特の匂いや味が強いため、犬によっては好き嫌いが分かれる食材です。
犬はピーマンの匂いや苦味は好まない?
ピーマンの独特な青臭さや苦味の成分は、犬の健康に影響があるのか気になる人も多いと思います。ピーマンの匂いや苦味成分は、主にポリフェノールの1種であるクエルシトリンとピラジン(2-isobutyl-3-methoxypyrazine)であると言われています。両者ともに犬が食べることでの影響はありません。ただし、犬は人と比べて匂いに敏感です。好まない場合には無理に与えないようにしましょう。
子犬や老犬(シニア犬)にピーマンを与えても大丈夫?
とうがらしやピーマンはナス科に属します。ナス科の植物はアルカロイドを含み、毒性を持つものも多くあります。ピーマンの食用部にどのくらいのアルカロイドを含むのかはわかりませんが、極微量のアルカロイドを含む可能性は否定できません。そのため、子犬やシニア犬、または体型の小さい犬には与えない、またはごく少量にすることをおすすめします。
持病のある犬にピーマンを与えても大丈夫?
犬が食べ物を欲しがったとき、つい与えてあげたくなってしまいますが、体調の優れない犬、消化器症状を起こしやすい犬、子犬やシニア犬、超小型犬には注意が必要です。与えないか、与える場合には、ごく少量にするようにしてください。
ピーマンを食べるとアレルギーや中毒症状が出る犬はいる?
ピーマンはアレルギーや中毒症状が出やすい食べ物ではありませんが、注意しながら与えてください。ピーマンを食べることによるアレルギーや中毒は多くありませんが、可能性は否定できません。また、多量に食べること、種まで食べる事はおすすめできません。もし、体調を崩したら、かかりつけの獣医師に相談しましょう。
犬にピーマンを与える際の適量は?
ピーマンを与える際のはっきりした目安はありませんが、犬は肉食よりの雑食であるため、人ほど野菜をとることは高い重要性を持ちません。また、ピーマンの犬の健康への働きについても研究が進んでいません。主食のトッピングの一部として少量を使うにとどめておきましょう。
ピーマンにはどんな栄養素が含まれている? 犬に与える健康面のメリットは?
ピーマンにはさまざまな栄養素が含まれています。それぞれの栄養素が犬にどんな影響を与えるのか見ていきましょう。
βカロテン
一般には体内で必要分がビタミンAに変換されて、皮膚や粘膜を整えたり、目を保護したり、細胞の増殖や分化を助ける作用があるとされます。ビタミンAに変換されなかったものは抗酸化作用や免疫賦活作用をあるとされます。βカロテンは脂溶性で油と一緒に摂ると体内に吸収されやすいという特徴があります。
ルテイン
カロテノイドの一種であり、網膜は水晶体、皮膚などに蓄積され、保護する働きがあるとされます。
・ビタミンB1・B2・B3・B5
エネルギーの代謝を助けるビタミンです。乳酸を分解してエネルギーに代謝するのを手伝う働きもあります。熱に弱い性質があるので、長時間加熱すると消えてしまいます。
ビタミンC
抗酸化作用がある水溶性ビタミンです。犬は体内で生成できますが、体調や年齢により食べ物で補うことが必要な場合もあります。
ビタミンK
カルシウムを骨に定着させるビタミンです。脂溶性ビタミンなので、脂に溶けやすい性質を持っています。
カルシウム
骨や歯を作るミネラルのひとつ。血液の凝固や心臓をはじめとする筋肉の収縮にも関わっています。
マグネシウム
カルシウムと共に、骨や歯を作る手伝いをしています。さまざまなホルモンを活性化させたり、いろいろな酵素の働きを助けたりします。
カリウム
カリウムは酸やアルカリのバランスを保ったり、ナトリウムと共に細胞の浸透圧を維持したりするミネラルのひとつです。
クロロフィル
抗酸化作用の他、消臭殺菌効果などが知られています。
ピラジン
匂いの成分であるピラジンには、血液をサラサラにする働きがあるとされています。
クエルシトリン
ドクダミの成分にも含まれている抗酸化成分です。血流を改善し、高血圧や中性脂肪の上昇を抑制する作用があるとされます。
犬にピーマンを与える際は種やヘタに注意して!
犬にピーマンを与える際は、種やヘタを取り除き、少量から与えるよう気を付けてください。ヘタをつけたままだと、口の中や喉を傷つける恐れがあります。種は消化に悪いので、必ず取り除きましょう。誤って丸のままピーマンを飲み込んでしまうと、閉塞や消化不良を起こす可能性があるので刻んで与えるようにしましょう。
犬にピーマンを与える際のおすすめの調理法は?
ピーマンは、火を通すことで甘みが増し、柔らかくなります。火を通したピーマンを刻んであげるのがおすすめです。ただし、硬いシャキシャキした食感を好む犬もいます。味や匂いを嫌わない場合には与えて構いませんが、より少量から、与えるようにしましょう。
犬に赤ピーマン/黄ピーマン(パプリカ)を与えても大丈夫?
赤ピーマン/黄ピーマン(パプリカ)は犬に与えても大丈夫な食材です。ただし、ピーマンより大きさや硬さもあるので、より注意しながら与えてください。
パプリカの栄養価はピーマンより高い! ただし、多量の摂取は控えて
パプリカは、トウガラシを改良し、甘みを持たせることで生食できるようにしたものです。赤色のパプリカはβカロテンとカプサイシンを、黄色はビタミンCを、オレンジ色はβカロテンやビタミンCをピーマンより多く含むと言われます。カプサイシンもアルカロイドの一種です。ピーマンと同様ですが、特に赤のパプリカは多量な摂取は控えましょう。
与えるときは火を通したものをカットして
与える際には、加熱してから細かくカットします。パプリカのヘタや種はピーマンより太いので、必ず取り除きます。果肉も分厚いのでカットする際に大きくなりすぎないよう注意してください。
第2稿:2021年8月16日更新
初稿:2021年5月6日公開
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