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犬の家庭教師 みつの塾 代表。YIC京都ペット総合専門学校非常勤講師

みずみずしくシャキシャキとした食感が楽しいレタスは、犬に与えても大丈夫な食材です。水分が多いため夏の水分補給としてもおすすめの食材だといえます。レタスは生で与えても大丈夫ですが、喉に詰まらないように細かく刻むなど配慮が必要です。
今回は、犬にレタスを与える際の適量や与え方、持病のある犬の注意点などを、獣医師の光野京子先生監修のもと解説していきます。
目次
- 犬はレタスを食べられる! 子犬・シニア犬は食べやすいよう調理して
- 犬にレタスを与えるときは生?茹でた方が良い?
- 犬にレタスを与えるメリットと含まれる栄養素
- 犬にレタスを与える際の適量は?
- アレルギーや持病など犬にレタスを与える際の注意点
- 犬にレタスを使用した加工食品を与えても大丈夫?
- レタスの他に犬が食べてもいい野菜やおすすめの手づくりごはんレシピ
- まとめ
犬はレタスを食べられる! 子犬・シニア犬は食べやすいよう調理して
レタスはカロリーが低く、犬にとって有害な成分も含まれていないため、犬にも安心して与えられる野菜です。食物繊維もそれほど多くないため消化しやすく、胃腸にも優しいため、基本的に適量であれば子犬からシニア犬までどの年代の犬が食べても安心です。
水分の含有量が多いため、水分補給にも適した食材だといえるでしょう。喉がかわきがちな夏場に与えてあげるのもおすすめです。
また、シャキシャキとした食感を好む犬も多く、おやつ感覚で喜んで食べることもあります。なお、サニーレタスやフリルレタスなども食べられますが、栄養素の含有量がレタスとは異なるため、与えるなら一般的なレタスがいいでしょう。
与え方には少し工夫が必要です。子犬の場合、消化器官が未発達のため、細かく刻んで少量ずつ与えるようにしましょう。一方でシニア犬は噛む力が弱いことがあるため、茹でたり蒸したりして柔らかくしてからトッピングに使うと、歯や胃腸への負担を減らせます。
犬にレタスを与えるときは生?茹でた方が良い?
レタスは生のまま与えてもいいのか、茹でたほうがいいのかなど与え方の注意点を紹介します。
生のままでもOK! 芯などは細かく刻む
犬にレタスを与える際は、味付けをせずそのまま生で与えて問題ありません。新鮮なレタスを選び、農薬が残っている可能性もあるため、必ずよく洗ってから与えるようにしましょう。傷んだ部分や外葉は取り除きます。大きな葉のまま与えると芯などが喉に詰まる危険があるため、細かく刻んでから与えてください。
レタスの選び方にも注意が必要です。新鮮なレタスの目安は芯の切り口が10円玉くらいの大きさで白く、葉がみずみずしく、ツヤとハリのあるものです。
子犬やシニア犬に与えるために手を加える際は、味付けはせず、茹でたり蒸したりするだけにしてください。冬場には加熱したレタスをドライフードにトッピングして与えると、体を冷やさずに楽しめます。
加熱するときは与え過ぎに注意
レタスを加熱するとボリュームが減るので、ついたくさん与えてしまいがちです。しかし、レタスだけを大量に与えるのではなく、総合栄養食であるドッグフードを基本にバランスをとりながら与えることが大切です。
一方で、人間と同じように塩やドレッシング、マヨネーズなどをつけて与えるのは厳禁です。こうした調味料を加えることで、塩分過多となり内臓に負担がかかってしまいます。最悪の場合は心臓病などを引き起こしてしまうケースもあるため、注意しましょう。
レタスの苦味は水にさらすか加熱して取り除く
レタスを犬に与える際は、「苦味」に注意してください。レタスの中に含まれるアクを、犬が苦く感じてしまうケースもあります。これはラクチュコピクリンと呼ばれる苦味成分によるもので、特に害はないのでそのまま与えても問題はありません。ただ、苦味を好まない犬も一定数いますので、その場合は水にさらしたり加熱したりすると苦味を取り除くことができます。ただし、加熱をすると熱に弱いビタミンや酵素が壊れる可能性があります。
犬にレタスを与えるメリットと含まれる栄養素
レタスはカロリーが低く水分量も豊富なため、犬に与えるとさまざまなメリットがあります。夏場や運動後の水分補給として優れているだけでなく、肥満気味の犬のおやつとしても、カロリーを抑えやすい点で役立ちます。
ただし、低カロリーだからといって大量に与えてもよいというわけではありません。あくまでも犬の1日の総カロリー量を管理したうえでの補助的な役割として使いましょう。過度におやつを減らしすぎたり、逆にレタスばかりを与えたりすると、栄養バランスを崩してしまう可能性もあるため、おやつの量や肥満が気になる場合は獣医師に相談してください。
とはいえ、レタスは栄養価が高い野菜というよりも、水分補給やカロリー調整に向いています。ここでは、レタスを与えるメリットと含まれる栄養素について解説します。
水分補給に最適
レタスの約96%は水分でできています。そのため、喉が渇きがちな夏場や運動後の水分補給にぴったりの食材です。レタスは低カロリーで消化も良いことから、肥満気味の犬のおやつにも適しています。食欲が落ちる暑い季節に、ドライフードに細かく刻んだレタスをトッピングするのもおすすめです。
ただし、冷蔵庫で冷えたレタスをそのまま与えると、犬の胃腸が驚いて下痢を引き起こす可能性があります。常温に少し置いてから与えると、胃腸への負担を軽減できます。レタスは水分補給に役立つものの、栄養価の面では他の野菜ほど豊富ではありません。栄養を補給する目的よりも、水分補給やカロリー調整を意識しながら与えるとよいでしょう。
レタスに含まれる主な栄養素
レタスに含まれる主な栄養素を紹介します。
- カリウム…腎臓でのナトリウム(塩分)再吸収を抑える役割があり、血圧を下げる働きがあります。
- 葉酸…ビタミンB群に分類される水溶性ビタミンです。造血作用があり、細胞のターンオーバーをサポートします。
- ビタミンE…抗酸化作用があり、細胞の老化を防ぐ効果が期待されています。
- ビタミンK…血液の凝固をサポートする働きがあります。
- ビタミンC…免疫機能を高め、健康維持に役立ちます。
- 食物繊維…腸内環境を整える効果がありますが、過剰摂取には注意が必要です。
これらの栄養素を補給するためというよりは、水分補給や低カロリーのおやつとしてレタスを取り入れるのがおすすめです。
犬にレタスを与える際の適量は?
レタスを犬にあげる際は、主食としてではなく「おやつ」「トッピング」という量を意識してあげてください。レタスはカロリーが低く、食物繊維もあまり含まれていないため、計算の上では多く与えても大丈夫だと思われがちです。しかし、水分が多い食材のため与え過ぎてしまうと下痢や頻尿を引き起こしてしまうケースもあるためです。
犬に与えるおやつの目安量は1日の総カロリーの10%程度とされています。おやつとしてレタスを与える場合の体重別の目安を以下に紹介します。
〈体重別の目安〉
超小型犬(4kg未満): 約15g~25g(葉1枚程度)
小型犬(10kg未満): 約50g~60g(葉2枚程度)
中型犬(25kg未満): 約100g~110g(1玉の1/4)
大型犬(25kg以上): 約110g~130g(1玉の1/2)
あくまでこの数字は、総合栄養食を与えている犬に、レタスのみを与える場合の数字です。レタス以外の食物を与える場合は、合計して考えてください。
アレルギーや持病など犬にレタスを与える際の注意点
レタスは犬に与えても安全な食材ですが、いくつか注意点もあります。ここでは、アレルギーや持病のリスク、過剰摂取による影響について詳しく解説します。
アレルギーの危険はほとんどないが少量ずつ与える
レタスはアレルギーを引き起こすリスクが非常に低い食材です。ほとんどの犬は問題なく食べられますが、初めてレタスを与える場合は少量から始めて様子を観察しましょう。稀にレタスに対してアレルギー反応を示す犬がいます。その場合、以下のような症状が表れることがあります。
- 嘔吐
- 下痢
- 皮膚のかゆみや赤み
こうした症状が出たらすぐにレタスを与えるのを中止し、動物病院に相談してください。また、既にアレルギー症状が出ている犬にはレタスを与えないようにしましょう。アレルギーのリスクは低いとはいえ、万が一に備え慎重に対応することが大切です。
腎臓病や尿路結石の犬は注意
レタスにはカリウムが含まれています。腎臓病にかかったことがある犬は腎機能が低下してカリウムを十分に排出できなくなり、体に悪影響を及ぼすことがあるため、気をつけたほうがよいです。しかし、他の野菜と比較しても含有量は少ないため、神経質になる必要はないでしょう。
一方で、尿路結石を患っている犬や療法食を食べている犬にはレタスを与えないほうが無難です。レタスにはシュウ酸が含まれており、これがシュウ酸カルシウム結石の原因となる可能性があります。尿路結石の犬にも基本的に避けることをおすすめします。療法食を食べている犬に関しては、レタスだけでなくその他の食材も問題になる場合があるので、何かを与える場合は獣医師に相談しましょう。
過剰摂取は避ける
レタスは水分が多く低カロリーなため、健康的なおやつとして適していますが、過剰摂取には注意が必要です。レタスを食べ過ぎると下痢や嘔吐などの消化器症状を引き起こす可能性があります。特に消化器官が未発達の子犬や、胃腸の弱いシニア犬が食べ過ぎると、胃腸に負担をかけてしまうことがあります。
また、食物繊維が過剰になると腸内バランスが乱れ、便が緩くなったり、逆に便秘を引き起こしたりする場合もあります。適量を守ることがポイントです。
キシリトールの影響
意外に思われるかもしれませんが、レタスには微量のキシリトールが含まれています。キシリトールは人にとっては無害ですが、犬が大量に摂取すると低血糖症状を引き起こしたり、急性肝不全を発症したりする危険があります。中毒症状が発生すると以下のような症状が見られます。
- 嘔吐
- 倦怠感、元気消失
- ふらつきやけいれん
- 意識の低下
ただし、レタスに含まれるキシリトールはごく微量であるため、通常の量を守っていれば問題ありません。
犬にレタスを使用した加工食品を与えても大丈夫?
犬にレタスの加工食品を与える際は、味付けがされていないものを選んでください。レタスを使用した加工食品といえば、コンビニやスーパーで手に入るカット野菜のサラダなどが挙げられます。しかし、人間用のサラダは玉ねぎなどのトッピングがされていることがあるため要注意です。「味付けがないし、レタスの部分だから大丈夫」と思っていても、玉ねぎの成分によって中毒を引き起こしてしまう可能性があります。玉ねぎのトッピングがあるものは与えないようにしてください。
犬にあげてはいけない食べ物
犬は飼い主が食べているものを欲しがることがあり、レタスのように食べても大丈夫なものもあれば、絶対に食べさせてはいけないものもあります。飼い主は犬が食べてはいけないものをよく知って、誤食から犬を守ることも大切です。以下に犬に食べさせてはいけないものを紹介します。
レタスの他に犬が食べてもいい野菜やおすすめの手づくりごはんレシピ
レタス以外にも犬が安心して食べられる野菜がたくさんあります。ただし、生で与える場合は細かく刻んで消化しやすくするか、軽く加熱してから与えるとよいでしょう。
また、新しい野菜を与える際は、必ず犬の体調を確認し、アレルギーや持病がある場合は獣医師に相談することが大切です。ここでは犬におすすめの野菜や簡単な手づくりごはんレシピを紹介します。
・アスパラガス
・セロリ
・じゃがいも
・大根
・さつまいも
・ブロッコリー
・かぼちゃ
・にんじん
・レタス
・小松菜
・きゅうり
・トマト
〈野菜を使った手づくりごはんレシピ〉は以下のリンクをご覧ください。
まとめ
レタスは水分が豊富で低カロリーなため、犬にとっても安心して与えられる野菜です。適量を守れば子犬からシニア犬まで幅広く楽しめますが、大きな葉や芯は喉に詰まる危険があるため、細かく刻んだり加熱したりして与えるとよいでしょう。
また、冷えたレタスは胃腸を刺激する可能性があるため常温で与えるのがおすすめです。初めて与える際は少量から始め、嘔吐や下痢などのアレルギー反応が出た場合はすぐに中止し、動物病院に相談してください。腎臓病や尿路結石を患っている犬にも注意が必要です。