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chicoどうぶつ診療所所長。体に優しい治療法や家庭でできるケアを広めるため、往診・カウンセリング専門の動物病院を開設。
みずみずしく歯切れの良い食感が楽しめるセロリ。独特な香りや苦みがあることから人間でも好き嫌いが分かれますが、セロリを犬の食事として与えても問題ないのでしょうか。今回は、chicoどうぶつ診療所の所長である林美彩先生に教えていただいた、セロリを与えても大丈夫なのか、犬に与えることで健康面のメリットがあるかどうか、与える際の注意点などを解説していきます。
目次
- 犬にセロリを与えても大丈夫!
- 子犬や老犬(シニア犬)にセロリを与えても大丈夫?
- セロリに含まれる栄養素と犬に与える健康面のメリットは?
- セロリを与えない方がよい犬は?
- セロリを食べることでアレルギーや中毒症状になる犬はいる?
- 犬にセロリを与える際の一日あたりの適量は?
- 犬にセロリを食べさせるときのおすすめの与え方と注意点は?
犬にセロリを与えても大丈夫!
犬にセロリを食べさせても問題ありません。生のまま与えても、加熱して与えても、どちらでも大丈夫です。セロリには毒素が含まれている場合もありますが、大量に食べたりしない限り、犬の体には影響ないと考えられています。
子犬や老犬(シニア犬)にセロリを与えても大丈夫?
子犬や老犬であっても、セロリを与えることは特に問題ありません。ただし、犬は全般的に食物繊維の消化が得意ではなく、子犬や老犬となるとさらに消化に負担がかかりやすいと考えられます。セロリは食物繊維が豊富なため、子犬や老犬には、細かく刻み、茹でて柔らかくして与えることをおすすめします。
セロリに含まれる栄養素と犬に与える健康面のメリットは?
食物繊維をはじめ、セロリにはさまざまな栄養素が含まれています。セロリに含まれる栄養素と、それが犬の体にもたらすメリットをご紹介します。
水分
セロリは約95%が水分で、残りの5%がその他の栄養素で構成される非常に低カロリーの野菜です。セロリを食べることで多少の水分を補うことができます。
食物繊維
セロリに多く含まれる不溶性の食物繊維は、腸管を整える作用や血糖値の上昇を抑える、血中コレステロールの濃度を下げることが期待できます。
カリウム
カリウムは体内の余分な塩分を排泄するのに役立つ成分です。ただし、腎臓病や心臓病を患っている犬の場合、カリウムの摂取制限が必要なこともあります。心配なときはかかりつけの動物病院で与えても問題ないかを確認するとよいでしょう。
ビタミンC
ビタミンCは抗酸化作用もあるので、老化防止の効果が期待できます。犬は体内でビタミンCを合成できますが、加齢にともない合成量は減少していき、特に老犬では不足しがちです。ビタミンCが含まれる食物を摂ることで補ってあげましょう。
βカロテン
βカロテンはセロリの葉の部分に多く含まれています。体内でビタミンAに変換され、皮膚や粘膜を保護する作用や、免疫機能を安定させる効果などがあります。
ビタミンE
ビタミンEは抗酸化力が強く、動脈硬化のリスクを軽減に役立つことも期待できます。
犬にセロリを与えるメリット
セロリを犬に与えることで、ここまでご紹介してきた栄養素を補給でき、疲労回復にも役立ちます。また、セロリの香りには鎮静作用があり、薬膳の観点でも気を巡らせることが期待できるため、犬の精神的なケアにも繋がると考えられます。
セロリを与えない方がよい犬は?
腎臓病や心臓病を患っている犬など、カリウムの摂取制限を行っている場合には、与えないようにしてください。腎機能が低下していると、カリウムが体外へと排出されずに滞留してしまい、体への悪影響が懸念されます。カリウムの摂取制限が必要かどうかわからない場合は、かかりつけ医に食べさせても問題ないかを確認するようにしましょう。
セロリを食べることでアレルギーや中毒症状になる犬はいる?
セロリを食べてアレルギー反応を起こすと、口の周りや目などをかゆがったり、下痢や嘔吐の症状が見られることがあります。セロリを食べた犬にこのような症状が見られた場合は、食べるのをやめさせ、なるべく早く動物病院を受診してください。受診の際、いつ、どのくらいの量を食べたのか、現在どのような症状が出ているのかを伝えられるよう、状況をメモしておくとよいでしょう。
アレルギー以外で下痢や嘔吐が見られることも
セロリの茎にあるスジを大量に摂取すると、消化不良や腸に詰まって腸閉塞を引き起こす恐れがあります。この場合も下痢や嘔吐といった症状が見られます。前述のアレルギー症状の場合と同じく、すぐに動物病院を受診しましょう。
犬にセロリを与える際の一日あたりの適量は?
先述した通り、犬がセロリをたくさん食べると下痢や嘔吐など、体調不良を引き起こすことがあります。主食としてまとまった量を与えるのではなく、フードのトッピングやおやつ(副食)として与える程度にしましょう。
なお、1日に与えて良いおやつの量は、「1日に必要なカロリー」のおよそ10%までとされています。ただし、セロリはカロリーが低い野菜なので、カロリーだけで考えると与えすぎてしまう可能性もあるので気をつけましょう。初めて食べさせるときは特に、少量に抑え、愛犬の体に問題がないかをよく確かめるようにしてください。
犬にセロリを食べさせるときのおすすめの与え方と注意点は?
生のままでも加熱しても食べられるセロリですが、犬の食事として与えるときにおすすめの与え方をご紹介します。
葉っぱも一緒に与える
セロリの葉っぱにも栄養素がたくさん含まれています。茎が苦手でも葉っぱなら食べられるという犬もいるので、好んで食べてくれるようであれば葉っぱの部分も一緒に与えましょう。
茎のスジを取り除く
消化不良や腸閉塞の原因となるので、生の場合も加熱する場合も、茎のスジは取り除いてから与えましょう。包丁を茎の切り口に当ててスジを上に持ち上げるようにして引っ張ることで、スジを取り除くことができます。
消化しやすいように細かく刻む
食物繊維が豊富に含まれているため、大きめに切った状態で与えると消化不良を起こし、下痢になる恐れがあります。与えるときは、細かく刻んで消化しやすくしてあげることが重要です。
より食べやすくするためには熱を加える
腸に疾患がある犬の場合は、生のままで与えることは避け、煮込んだり、ミキサーで細かく砕いたりして、さらに消化しやすい状態にしてから与えるとよいでしょう。
少量ずつ与える
初めてセロリを与える際は、必ず少量ずつ、様子を見ながら与えるようにしましょう。食後の便の様子もチェックして、しっかりと消化できているかを確認しましょう。
※記事内に掲載されている写真と本文は関係ありません。