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Animal Life Partner代表。ペット栄養管理士など様々な資格を生かし、診療や往診のほかに、セミナー講師やカウンセリング、製品開発など幅広く活動。
ヨーグルトは健康にいい食品で、お腹の調子を整える効果があります。そのため、飼い主さんの中には犬の健康のために「ヨーグルトを食べさせたい」と考える人もいることでしょう。そこで今回は、獣医師でAnimal Life Partnerの代表でもある丸田香緒里先生に教えていただいた犬にヨーグルトを与える際の注意点や適量、ポイントなど解説していきます。
目次
- 犬にヨーグルトを与えても大丈夫?どんな効果があるの?
- ヨーグルトを与えてはいけない犬や犬種はいるの?
- 犬にヨーグルトを与える時の適量は?
- ヨーグルトにアレルギー反応を起こす犬はいるの?
- 犬がヨーグルトを食べてアレルギー反応を起こした場合の対処法は?
- 犬にヨーグルトを与える時に注意することは?
- 犬にヨーグルトを与える時におすすめの方法は?
犬にヨーグルトを与えても大丈夫?どんな効果があるの?
ヨーグルトの健康効果は知られていますが、犬にヨーグルトを与えることは問題ないのでしょうか。犬に与えた場合、どんな影響があるのかを解説していきます。
ヨーグルトは犬の健康維持のためにおすすめの食品
ヨーグルトには乳酸菌やビフィズス菌などが含まれています。これらは、腸内にいる善玉菌を増やす効果があります。
人と同じく、犬も腸の中には善玉菌と悪玉菌が存在します。腸内環境は良好な状態だと善玉菌が増え、悪いと悪玉菌が増えるという仕組みになっており、悪玉菌が増えると腸内環境が崩れ、下痢や便秘などの症状が起こりやすくなります。そのため犬にヨーグルトを与えることは、腸内環境や健康を維持するためにおすすめです。
ヨーグルトに含まれている栄養成分
ヨーグルトには乳酸菌以外にも、ビタミンやたんぱく質、カルシウムなども含まれています。例えばビタミンは、A、B1、B2など、ビタミン群としてさまざまな栄養が含まれています。また、血液や筋肉を作るたんぱく質、骨を強くするカルシウムも、体づくりには欠かせません。これらの栄養をさまざまな食品からバラバラに摂取するのは大変ですが、ヨーグルトならまとめて摂取できます。
ヨーグルトを与えてはいけない犬や犬種はいるの?
ヨーグルトは腸内環境を整える作用がある食品です。無糖のヨーグルトであれば、基本的にどの犬に与えても問題はありません。市販のものを選ぶ際は、砂糖や添加物が含まれていないプレーンヨーグルトを選ぶようにしましょう。
ただし、無糖と記載されているヨーグルトでも、甘味料としてキシリトールが入っている場合もあります。キシリトールは人には虫歯予防など健康にいい成分ですが、犬が摂取すると中毒を起こし低血糖などの症状が現れます。そのため、キシリトールが入っていないヨーグルトを必ず選びましょう。
また、犬の中にはアレルギーなどヨーグルトとの相性がよくない場合もあるので、注意が必要です。アレルギーについては後述します。
肥満の犬にヨーグルトを与える時は注意
ヨーグルトには糖分が含まれているものがあり、犬が糖分を取りすぎてしまうと、肥満につながります。カロリーを気にする必要のある犬やすでに肥満の犬は特にヨーグルトの種類に注意しましょう。また、量にも気を配り与えすぎに注意しましょう。
子犬にヨーグルトを与える場合の注意点
子犬にヨーグルトを与える場合にも、必ずプレーンヨーグルトを選ぶようにしましょう。子犬にとってヨーグルトに含まれている成分は、成犬と比べても過剰摂取につながりやすくなります。そのため、量には注意しましょう。
1日の量の目安は、犬の体重が1kgの場合は大さじ1/2程度、犬の体重が3kgの場合は大さじ1と2/3程度と考えましょう。(大さじ1杯を15gとした場合)
犬にヨーグルトを与える時の適量は?
実際にヨーグルトを与える場合は、それぞれの犬の体型に応じた適量があります。与え過ぎに気をつけながら、1日分の適切な分量を意識しましょう。過剰に摂取しても、肥満につながります。「少しずつ・定期的に」を意識しながら犬に与えましょう。
小型犬
約5kg程度の小型犬の場合は、30gが1日分の目安になります。大さじ1杯あたりの重さは、約15gです。そのため、おおよそ大さじ2杯分と考えましょう。
中型犬
約15kg程度の中型犬の場合は、60gが1日分の目安です。小型犬の倍の量となるので、大さじ4杯程度を意識しましょう。
大型犬
約30kg程度の大型犬の場合は、100gくらいが1日分の目安です。計量スプーンを使う場合は、大さじ6と小さじ2になります。
ヨーグルトにアレルギー反応を起こす犬はいるの?
犬によってはアレルギー反応を起こす場合があります。ここではどんな犬がヨーグルトでアレルギー反応を起こしてしまうのか、解説していきます。
アレルギー反応を起こす犬は?
犬に初めてヨーグルト与える場合は、その後の反応をよく観察しましょう。牛肉にアレルギーがある犬は、牛乳やヨーグルトに反応を起こしてしまう恐れがあるので特に注意が必要です。少量ずつ与えながら体調に変化が出ないか確認し、体調に変化が見られた場合は、すぐに獣医師へ相談しましょう。
アレルギーの症状について
犬がヨーグルトを食べてアレルギー反応を起こすと、嘔吐や腹痛、下痢といった消化器系の症状がみられます。他にも皮膚のかゆみといった症状も発症します。このような症状が見られた場合は、早めに動物病院へ行くようにしましょう。
犬がヨーグルトを食べてアレルギー反応を起こした場合の対処法は?
犬がヨーグルトを食べ、アレルギー反応を起こした場合は動物病院での治療が必要となり、下痢や皮膚のかゆみなど、症状に合わせた治療を行ないます。 重症化すると、アナフィラキシー・ショックを起こす可能性もあります。犬の様子に変化があったら、動物病院へ急ぎましょう。
犬にヨーグルトを与える時に注意することは?
犬にヨーグルトを与える場合は、下記の点に注意する必要があります。前述した分量や種類以外にもあるので、確認してみてください。
冷やし過ぎに注意
ヨーグルトは冷蔵庫で保存されている食品です。冷たい状態で与えてしまうと、犬のお腹が冷えてお腹の調子を悪くする可能性があります。ヨーグルトを与える前に、少しだけ部屋に出しておき、常温に近い状態になってから与えましょう。
その際、温めると乳酸菌が死んでしまうので、40℃以上には加熱しないようにしてください。
メインのたんぱく源として与えない
ヨーグルトにはたんぱく質が多く含まれています。しかし、ヨーグルトをメインにたんぱく質を摂取させることは避け、あくまでも補助食品という位置づけにしましょう。また、食べ過ぎにも繋がるので、1日に与える適量を守りましょう。1日の適量を守れば、複数回に分けて与えても大丈夫です。
犬にヨーグルトを与える時におすすめの方法は?
人と同じく、犬の場合もヨーグルトにさまざまな工夫をすることで、より効率的な栄養摂取が期待できます。そのまま与えるのはもちろん、たまには違ったアレンジを施してみてはいかがでしょうか。
バナナとヨーグルトは食べ合わせがいい
ヨーグルトと相性のいい食品としてあげられるのがバナナです。バナナには、食物繊維やオリゴ糖といった、善玉菌のエサとなる成分が多く含まれています。そのため、ヨーグルトの乳酸菌を同時に摂取することで、腸内環境によりよく働きかけてくれます。
酸味が苦手な犬への対策
犬によっては、ヨーグルトが持つ酸味を苦手に感じることもあります。その場合は、好きな食材やフードに混ぜこみましょう。わからなくすることで、気にせず食べてくれます。アレルギー反応などがなければ、あまり細かいことは気にせず、犬が食べやすい方法で与えてみましょう。
第3稿:2021年6月14日更新
第2稿:2021年1月27日更新
初稿:2020年10月29日公開
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