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chicoどうぶつ診療所所長。体に優しい治療法や家庭でできるケアを広めるため、往診・カウンセリング専門の動物病院を開設。
真っ白な毛に覆われた、あどけない姿が可愛らしいウエスト・ハイランド・ホワイト・テリア。「ウエスティ」の愛称でも親しまれている小型犬です。愛らしい見た目とは裏腹に、狩猟犬にルーツを持つウエスティですが、飼う際はどのようなことに気をつければよいのでしょうか?この記事では、ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリアの性格の特徴や飼うのに向いている人、しつけのコツやお手入れの際に注意すべきことなどを、所長で獣医師の林美彩先生監修のもと解説していきます。
目次
- ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリアの歴史やルーツは?
- ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリアの平均的な体高、体重は?
- ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリアの平均寿命は?
- ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリアの毛色の種類や被毛の特徴は?
- ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリアの外見や吠え声の特徴は?
- ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリアはどんな性格?オスとメスで性格の違いはあるの?
- ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリアを飼うのに向いている人は?
- ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリアを飼う上で気をつけることは?
- ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリアのしつけを始める時期やおすすめのしつけ方法は?
- ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリアの食事の注意点は?
- ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリアにおすすめの遊びは?
- ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリアを散歩させる際に気をつけることは?
- ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリアがかかりやすい病気は?
- ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリアの日常のお手入れで気をつけることは?
ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリアの歴史やルーツは?
ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリアは、もともと害獣駆除のために猟犬として活躍していたという歴史を持ちます。ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリアの先駆けとなるのは「ポルタロック・テリア」という犬種です。マルコルムスというブリーダーによってイギリスのスコットランド地方で生まれたスコティッシュテリアのうち、白いテリアだけを選んで育てたことがきっかけとされています。その後、1907年にイギリスのケネルクラブにウエスティとして登録され、1909年にアメリカンケネルクラブ(AKC)で公認されました。現在も「ウエスティ」の愛称で人々に親しまれている犬種です。
ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリアの平均的な体高、体重は?
ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリアは小型犬に分類される犬種です。オス・メスそれぞれの平均的な体高や体重について詳しく見ていきましょう。
平均的な体高
オス:約25~30cm
メス:約23~28cm
平均的な体重
オス:約 7~10kg
メス:約 6~7kg
ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリアの平均寿命は?
ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリアの平均寿命は12~16歳程度です。もちろん、寿命には個体差がありますが、小型犬としては比較的長めの寿命と言えるでしょう。
ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリアの毛色の種類や被毛の特徴は?
真っ白な被毛は、ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリアのチャームポイントと言えます。毛色の種類や被毛の特徴について詳しく見ていきましょう。
毛色の種類
ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリアは、白い毛色に特化してブリーディングされた歴史があるため、毛色の種類は、基本的に光沢のあるホワイト一色です。しかし、一部黄色がかった毛色を持つ場合もあります。
被毛の特徴
綺麗な白い光沢のある質感が特徴的な、ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリアの被毛。針金のように硬いオーバーコートとやわらかいアンダーコートの二層構造を成すダブルコートです。特に、オーバーコートは長毛のため絡みやすい傾向にあります。また、ダブルコートのため抜け毛は多めです。また、ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリアは、年に2回、春と秋に換毛期があります。アンダーコートがたくさん抜け落ちるため、ブラッシングが欠かせません。
ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリアの外見や吠え声の特徴は?
コンパクトな体つきがユーモラスなウエスト・ハイランド・ホワイト・テリア。外見や吠え声の特徴は以下の通りです。
外見
足はさほど長くないため体高は低めで、骨格はしっかりしているもののコンパクトな体型をしています。体の大きさに対して、大きめの頭部が愛嬌たっぷりです。目はアーモンド型であごは短く、ピンと張った尻尾はテリアならではの勇敢さを感じさせます。
吠え声
吠え声には個体差があり、小型犬のような甲高い声の犬もいれば、中型犬のように少し野太い感じの声で吠えることもあるでしょう。
ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリアはどんな性格?オスとメスで性格の違いはあるの?
人間と生活を共にする猟犬をルーツに持つウエスト・ハイランド・ホワイト・テリアの性格の特徴は、主に以下の4つが挙げられます。
活動的
もともと猟犬としての歴史を持っているため、元気いっぱいな性格で、運動量も多めです。
陽気で社交的
人懐っこい性格をしているため、家族以外の人やペットとも仲良くできる犬が多い傾向にあります。
独立心が強くマイペース
愛情深い一方で自立心を持っており、マイペースで媚びない性格と言えるでしょう。
警戒心が強い
猟犬として活躍していた背景があるため、警戒心が強く番犬としての素質も持ち合わせています。
オスとメスの性格の違いはあるの?
犬の性格には個体差がありますが、オスは比較的愛情深い傾向があります。また、メスはどちらかというと独立心が強い性格であることが多いでしょう。
ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリアを飼うのに向いている人は?
ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリアを飼育するのには、どのような人が向いているのか、詳しく見ていきましょう。
こまめな被毛のケアができる人
ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリアの被毛は、ダブルコートで抜け毛が多く、長毛で絡みやすい性質を持っています。そのため、被毛を美しく健康に保つためにも、毎日ブラッシングする時間を確保できる人が向いているでしょう。
散歩や遊びの時間がとれる人
運動量が多いため、毎日の散歩や遊び時間をキープすることを負担に感じない人が望ましいでしょう。
ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリアは初心者向きの犬?
独立心、自立心が強いためしつけがしやすい犬種ではありません。そのため、どちらかというと初心者には向いていないでしょう。
ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリアを飼う上で気をつけることは?
ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリアを飼育する上で、誤飲・誤食対策は重要となります。ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリアは、好奇心たっぷりで食欲旺盛な一面を持っています。そのため、誤って人間用の食べ物を口にしてしまうことも考えられるでしょう。飼い主は、食べてはいけないものは高いところに置いたり、戸棚などの中に閉まっておくなど、きちんと食べ物の管理をしてくださいね。
ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリアのしつけを始める時期やおすすめのしつけ方法は?
自立心の強いウエスト・ハイランド・ホワイト・テリアのしつけには、ちょっとしたコツが必要です。おすすめのしつけ方法などを、詳しく見ていきましょう。
しつけを始める時期
ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリアのしつけはできるだけ早く始めることをおすすめします。家に迎え入れて、新しい環境に慣れてきたらすぐにスタートしましょう。
おすすめのしつけ方法
ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリアは、気分屋な性格も持つため、根気強くしつけを行うことが大切です。また、賢い一面も持っていますので、メリハリを持ってしつけ、トレーニングを行うといいでしょう。遊ぶ時間、トレーニングの時間、休む時間をしっかりと分けるなど工夫してあげてください。
ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリアの食事の注意点は?
ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリアはエネルギーにあふれ、運動量が多い犬種です。そのため、日々の食事では、動物性タンパク質をしっかり与えましょう。ただし、食欲旺盛のため、食べ過ぎには気を付けてくださいね。
ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリアにおすすめの遊びは?
エネルギッシュなウエスト・ハイランド・ホワイト・テリアの運動欲求を満たせる、おすすめの遊びは以下の通りです。
持ってこいあそび
ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリアは猟犬のルーツを持ちますので、何かを取って持ってくるという遊びが大好きです。フリスビーやボールを投げて、取ってくる「持ってこいあそび」は喜んでくれるでしょう。
アジリティ
活発で運動量が多く、身体能力が高いため、ストレス発散にアジリティはぴったりです。
ノーズワーク
身体能力が高いうえに賢い犬種であるウエスト・ハイランド・ホワイト・テリア。頭を使うノーズワークは満足感が得られるうえ、ストレス発散にもなるでしょう。
ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリアを散歩させる際に気をつけることは?
活発なウエスト・ハイランド・ホワイト・テリアにとって、飼い主との散歩はなくてはならない時間です。散歩をさせる際には以下の点に気をつけてください。
散歩の時間と頻度
運動量が多いため、最低でも1回30分以上の散歩を朝晩行うことは必須です。
気をつけた方が良いこと
しつけやトレーニングが不十分だとリードコントロールができず、人やほかの犬に飛びついてしまうことがあります。これは、ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリアの持つ頑固で独立心強い性格のためです。まだしつけが十分でない場合は、まわりに人の多くない場所や時間を選んで散歩するといいでしょう。また、暑さに弱いため、特に夏場は散歩する時間帯にも気をつけてあげてくださいね。
ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリアがかかりやすい病気は?
ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリアに健康で長生きしてもらうためにも、以下のようなかかりやすい病気について知っておきましょう。
レッグ・ペルテス病(レッグ・パーセス病)
太ももの骨と骨盤をつなぐ部分へ血液がうまく行き渡らなくなることが原因で、壊死してしまう病気です。現在、有効な予防法はないため、日頃から愛犬の歩き方などを観察しておきましょう。足を引きずったり、痛そうにしていたらすぐに動物病院を受診してください。
頭蓋下顎骨症
下あごが腫れてしまい、痛みや発熱が見られる疾患です。生後4~7か月頃で発症しますが、11~13か月齢で落ち着くことが多いです。痛みなどから食欲が低下し、栄養失調になる場合もあるため、注意が必要です。
アトピー性皮膚炎
ほこりやダニなどが原因で起こる皮膚炎です。1~3歳程度の若い時期に発症しやすいと言われています。主な症状は、皮膚の赤み、かゆみ、脱毛などです。発症した際は、細菌感染などによる二次的な皮膚炎を防止するためにも、早めの治療を心がけましょう。また、衛生的な環境を保つこと、腸を健康的に保つことで、予防につながります。
脂漏性皮膚炎
テリア系の犬種は脂質代謝が苦手な傾向にあります。そのため、皮膚のベタつき、脂っぽいフケなどが見られ、独特のいやな匂いを発します。また、かゆみや赤み、脱毛なども見られるでしょう。定期的なシャンプーで皮膚を清潔に保つことや、食事における脂質の見直しが予防につながります。
表皮形成異常
皮膚のたるみや脱毛、色素沈着などが見られ、アルマジロのような外観となる疾患です。別名アルマジロ症候群とも呼ばれています。皮膚のかゆみや赤みが見られる病気ですが、遺伝性のため、予防は難しいでしょう。
ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリアの日常のお手入れで気をつけることは?
ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリアを飼う上で、つやのある美しい被毛のケアは重要なケアのひとつです。日常のお手入れの際に気をつけるべきことを、詳しく見ていきましょう。
ブラッシング
長毛が絡みやすいため、毎日ブラッシングを欠かさず行いましょう。ブラッシングの際には、耳の状態や肉球の間の状態、皮膚の状態などをチェックするのがおすすめです。もし、異常が見られた場合、病気の早期治療につながります。
シャンプー
シャンプーは月1回程度を目安に行ってください。また、汚れが目立つようであればその都度シャンプーをしたり、汚れた部分だけ洗うなどのケアを行うとよいでしょう。