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chicoどうぶつ診療所所長。体に優しい治療法や家庭でできるケアを広めるため、往診・カウンセリング専門の動物病院を開設。
愛犬の日々の様子を見て、触れていて気づく、ちょっとした変化やトラブル。その原因はさまざまに考えられますが、何か病気が原因の症状かもしれません。犬が足を引きずって歩いているときに考えられる原因や病気についてご説明します。
目次
- 犬が足を引きずっているときは体にトラブルを抱えた可能性あり
- 犬が足を引きずっているときは外傷や腫れがないかを確認して
- 犬が足を引きずっていても外見に異常がない場合は?
- 犬が足を引きずっている時に考えられる主な原因
- 犬が足を引きずっている時の体型と年齢別に考えられる主な原因
犬が足を引きずっているときは体にトラブルを抱えた可能性あり
犬が足を引きずっているときには、まず安静にさせるのが第一です。犬が落ち着いている状態で、まずは足に外傷や腫れがないかを確認してください。
外傷がある可能性がもっとも高いのは肉球です。夏に素足でアスファルトを歩いてヤケドを負ったり、冬に雪のなかを歩いたことでしもやけを引き起こしたりしているかもしれません。ほかにもガラスやトゲなどが刺さっているケースもありますので、お散歩から帰った後は毎回しっかりとチェックしてあげてください。長毛種だと気がつきにくいので、毛をかきわけて、しっかりと地肌をチェックしてみましょう。
指先や指の間などは、特にケガしやすいポイントで、指の間や肉球に炎症を起こす指間炎もよくあるトラブルです。肉球の間を舐めるしぐさが増えたりするので、異常に気づきやすいかもしれません。その他、爪のトラブルも考えられます。巻き爪になっていないか、爪が割れていないかなども気をつけてください。
他に外見からわかるポイントとして、足の腫れが挙げられます。足が腫れているときに考えられるのは骨折と関節炎、骨肉腫、関節リウマチです。ただし、これらのトラブルがあった場合でも腫れが出ない可能性もあるということは覚えておいてください。
老若男女・体の大小を問わずどんな犬にも可能性があるのは骨折です。関節炎は過度な運動の他、肥満やすべりやすい床が原因になることもあります。
骨肉腫はいわゆる「ガン」にあたり、ゴールデンレトリーバー、ラブラドールレトリーバー、セントバーナードをはじめとする大型犬かつ老犬がかかりやすい病気です。関節などに骨肉腫が現れ、その部分が腫れます。治療しないままでいると病気から骨折をしてしまうことも。死亡率が非常に高いため、一刻も早い治療をすることが健康のカギを握るでしょう。
関節リウマチは、体のこわばりや関節が左右対称に腫れ、歩行障害などの症状が出ます。重度になると関節が変形することも。
犬が足を引きずっているときは外傷や腫れがないかを確認して
腫れなど、見た目にあまり現れないトラブルは椎間板ヘルニアや膝蓋骨脱臼、股関節形成不全、変形性関節症、レッグペルテス症、肩関節不安定症、前十字靭帯断裂、汎骨炎などが挙げられます。これらの病気に気づくポイントは歩き方にあります。まっすぐ歩けていなかったり、スキップをしているような歩き方、かばうような歩き方をしていたりするときは要注意。ジャンプができなくなった、腰を左右に振るように歩く、階段を登れない……なども気をつけて見てあげてください。
足以外に原因がある病気として考えられるのは、中毒症状、失明しかけている、白内障、変形性脊椎症、変性性腰仙部狭窄症、ウォブラー症候群、脊髄梗塞、脊髄腫瘍、特発性前庭障害、壊死性髄膜脳炎、水頭症、脳腫瘍、認知症、内耳炎、門脈シャント、クリプトコッカス症、肺動脈狭窄症などです。
犬が足を引きずっていても外見に異常がない場合は?
腫れなど、見た目にあまり現れないトラブルは椎間板ヘルニアや膝蓋骨脱臼、股関節形成不全、変形性関節症、レッグペルテス症、肩関節不安定症、前十字靭帯断裂、汎骨炎などが挙げられます。これらの病気に気づくポイントは歩き方にあります。まっすぐ歩けていなかったり、スキップをしているような歩き方、かばうような歩き方をしていたりするときは要注意。ジャンプができなくなった、腰を左右に振るように歩く、階段を登れない……なども気をつけて見てあげてください。
足以外に原因がある病気として考えられるのは、中毒症状、失明しかけている、白内障、変形性脊椎症、変性性腰仙部狭窄症、ウォブラー症候群、脊髄梗塞、脊髄腫瘍、特発性前庭障害、壊死性髄膜脳炎、水頭症、脳腫瘍、認知症、内耳炎、門脈シャント、クリプトコッカス症、肺動脈狭窄症などです。
犬が足を引きずっている時に考えられる主な原因
犬が足を引きずって歩いている場合に考えられる主な病気や原因をご紹介します。あくまでも主要なものなので、他にも気になることがあればかかりつけの病院でご相談ください。
【考えられる主な外傷】
・肉球のトラブル、爪が割れる、巻き爪
足を引きずる、歩き方が変わるなど。
・指間炎
指の間が赤く腫れ、炎症するなど。
・骨折
足を引きずる、歩き方が変わる、足が腫れるなど。特に骨が細いイタリアングレーハウンドは要注意。
【考えられる足の主な病気】
・関節リウマチ(リウマチ関節炎)
足を引きずる、歩き方が変わる、足が腫れるなど。小型犬に多い。チワワやトイプードル、ミニチュアダックスフンドなどは要注意。
・骨肉腫、股関節形成不全
足を引きずる、歩き方が変わる、足が腫れるなど。
・関節炎
足を引きずる、歩き方が変わる、足の関節が腫れるなど。大型犬によく見られる。
・椎間板ヘルニア
足を引きずる、歩き方が変わるなど。ミニチュアダックスフンドやコーギー、フレンチブルドッグなど、胴長・短足の犬種に多い。
・膝蓋骨脱臼
足を引きずる、歩き方が変わるなど。小型犬、体重が5キロ以下の子は特に注意。
・汎骨炎
足を引きずる、歩き方が変わるなど。大型犬に多い。
犬が足を引きずっている時の体型と年齢別に考えられる主な原因
犬が足を引きずって歩いている場合、体型や年齢別に考えられる主な原因をご紹介します。これ以外の病気にはかからないということはないので、少しでも気になることがあれば病院で相談してください。
●小型犬 ・ 幼犬
肉球のトラブル、爪が割れる、巻き爪、指間炎、骨折、股関節形成不全、椎間板ヘルニア、膝蓋骨脱臼、関節リウマチなど。
●中型犬 ・ 幼犬
肉球のトラブル、爪が割れる、巻き爪、指間炎、骨折、股関節形成不全、膝蓋骨脱臼など。
●大型犬 ・ 幼犬
肉球のトラブル、爪が割れる、巻き爪、指間炎、骨折、股関節形成不全、関節炎、汎骨炎など。
●小型犬 ・ 成犬
肉球のトラブル、爪が割れる、巻き爪、指間炎、骨折、股関節形成不全、椎間板ヘルニア、膝蓋骨脱臼、関節リウマチなど。
●中型犬 ・ 成犬
肉球のトラブル、爪が割れる、巻き爪、指間炎、骨折、股関節形成不全、膝蓋骨脱臼など。
●大型犬 ・ 成犬
肉球のトラブル、爪が割れる、巻き爪、指間炎、骨折、股関節形成不全、関節炎、汎骨炎など。
●小型犬 ・ シニア犬
肉球のトラブル、爪が割れる、巻き爪、指間炎、骨折、股関節形成不全、椎間板ヘルニア、膝蓋骨脱臼、関節リウマチなど。
●中型犬 ・ シニア犬
肉球のトラブル、爪が割れる、巻き爪、指間炎、骨折、股関節形成不全、膝蓋骨脱臼など。
●大型犬 ・ シニア犬
肉球のトラブル、爪が割れる、巻き爪、指間炎、骨折、股関節形成不全、関節炎、汎骨炎、骨肉腫など。
第2稿:2021年2月15日更新
初稿:2020年5月11日公開
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