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chicoどうぶつ診療所所長。体に優しい治療法や家庭でできるケアを広めるため、往診・カウンセリング専門の動物病院を開設。
人間にとっても犬にとっても厳しい夏の暑さ。愛犬が熱中症にならないように気をつけてあげたいですよね。今回はchicoどうぶつ診療所所長の林美彩先生に教えてもらった夏に体調を崩しやすい暑さに弱い犬の種類をご紹介します。
目次
- 幼犬やシニア犬は暑さに弱い!
- 特に暑さに弱い犬種はこの5種類!
- 室内にいるときやお散歩中の熱中症対策とは?
- 普段の食事やブラッシングでも熱中症対策ができる!?
幼犬やシニア犬は暑さに弱い!
犬の中には、暑さに弱い種類もいます。例えば、まだ体温調整がうまくできない幼犬や体力が落ちているシニア犬はどんな犬種であっても猛暑が苦手だったりします。また、太っている犬や特定の疾患を持っている子も暑さに弱い傾向があります。
特に暑さに弱い犬種はこの5種類!
犬の種類によっては、日本の気候や湿度などに順応できず、日本の暑さが苦手なこともあります。特に暑さに弱いのは、短頭種、短足犬、寒い地方原産の犬種、毛が密な犬種、ダブルコートの被毛の犬種と言われます。それぞれの暑さに弱い理由を解説します。
短頭種
短頭種は、鼻が短く口腔の面積が狭いという特徴を持っています。犬は呼吸をすることで熱を体外に逃がしますが、鼻が短い鼻ペチャの犬は鼻腔が狭く、喉や気管の構造が他の犬種より複雑で、通常時でも呼吸が上手にできません。そのため、夏場は体内の熱をうまく逃がすことができずに熱中症になりやすいんです。犬種としては、パグ、ボストン・テリア、ブルドッグなどが代表的です。
短足犬
足の短い犬種は、地面が太陽の熱を反射する「輻射熱」の影響を受けやすくなってしまいます。輻射熱は地表に近いほど熱くなっており、その熱で熱中症になりやすく暑さにバテてしまうのです。犬種としては、ダックスフンド、コーギー、バセット・ハウンドなどです。
寒い地方原産の犬種
北国生まれの犬種は、寒さには強いですが暑さは苦手。もともと北の寒さに耐えるためにモフモフした毛皮であることが多く、日本の夏は順応できずぐったりしてしまうことがあります。犬種としては、シベリアン・ハスキー、ボルゾイ、グレート・ピレニーズなどが代表的です。
厚い被毛に覆われている犬種
厚い被毛に覆われている犬種は、毛の間にこもった熱を逃がしにくくなっています。そのため、暑くなると上手に体温調整ができなくなってしまうんです。犬種としては、柴犬やポメラニアンなどです。
ダブルコートの犬種
毛が二重構造になっている犬種のことを「ダブルコート」と言います。体の表面を覆っているのが「上毛(オーバーコート)」その下に生えているのが「下毛(アンダーコート)」です。ダブルコートの犬種も体毛のせいで熱を逃しにくい体になっています。犬種としては、ゴールデン・レトリバーやアメリカン・コッカー・スパニエル、シェットランド・シープドッグなどが代表的です。
室内にいるときやお散歩中の熱中症対策とは?
犬が熱中症になりやすいのは、気温22℃、湿度60%以上の時だと言われています。室内にいる時とお散歩中に気をつけたい熱中症対策を紹介していくので参考にしてみてください。
室内での熱中症対策
エアコンの温度は18~26度くらい(湿度は50%くらい)に設定し、愛犬の様子を見て調整しましょう。その際、市販のクールベッドや保冷剤、凍らせたペットボトル、湯たんぽの中に氷水を入れるなど準備しておくとよりいいでしょう。
また、エアコン使用中は乾燥しがちなので飲み水を多めに用意しましょう。エアコン使用中には愛犬が冷えすぎないように風がケージに直接当たらないようにし、愛犬が自分で体温を調整できるよう、タオルケットや毛布を置いておくようにしましょう。
屋外で飼っている場合は、ハウス(犬小屋)に直射日光が当たりすぎないようにし、2~3時間おきに水の入れ替えるときに愛犬の様子を見るように心がけましょう。
お散歩の時の熱中症対策
散歩に行く際は、飲み水を忘れずに携帯し、なるべく日陰を通るようにしましょう。また、お出かけ前に道路に手で触れて熱くないかを確かめてから出かけるようにしてあげましょう。
普段の食事やブラッシングでも熱中症対策ができる!?
与える食事の内容に気を配ったり、ブラッシングのやり方を変えるだけで熱中症を予防することができるんです。それぞれどんなことに気をつければいいかを紹介していきますね。
食事で気をつけること
体を温める作用がある食材(生姜やかぼちゃ、羊肉や鶏肉など熱性・温性の食材)を避け、排尿によって熱を逃がすために水分を多めに摂らせるようにしましょう。
ブラッシングで気をつけること
厚い被毛に覆われている犬種やダブルコートの犬種の場合、ブラッシングをこまめに行って熱を逃がしてあげましょう。こまめにブラッシングすることで、毛の間の空気を入れ替えることができます。ブラッシングで追いつかない時はサマーカットを行う選択肢もありますが、やりすぎると日焼けなどのデメリットも発生するので愛犬の様子を見て行いましょう。
※記事内に掲載されている写真と本文は関係ありません。