更新 ( 公開)
2002年以降、毎年国際大会に積極的に参加。2017年には、USDAA Cynosport World Games グランプリファイナルで、日本人初の優勝
愛犬と一緒に力を合わせて行うドッグスポーツに「アジリティ」があります。アジリティ とは具体的にどのような競技なのでしょうか? また、向いている犬種や必要な練習などはどのようなものでしょうか? そんなアジリティに関わることについて、国内外のアジリティ大会に出場経験のあるドッグトレーナーの三浦美紀さんに解説していただきます。
目次
- アジリティはどのようなドッグスポーツなの?
- アジリティが向いている犬種は?
- アジリティはどこでできる?
- 犬とアジリティの練習をするために必要なことは?
- 愛犬とアジリティを楽しむためのコツや注意点は?
アジリティはどのようなドッグスポーツなの?
アジリティとは、犬と人が一緒に走りながら設置された障害物をクリアし、タイムを競い合うドッグスポーツのことです。人はハンドラーと呼ばれ、犬に指示を与えながら並走。犬は瞬時にその指示を理解して、正しいコースを進みます。飼い主と楽しく体を動かせるアジリティは、飼い主との信頼関係を強固にできる上、犬本来の能力を発揮できるスポーツであるため、犬にとっても楽しさや喜びが大きいと考えられています。
アジリティの歴史は、1978年にイギリスのクラフト展(ドッグショー)で、デモンストレーションとして公開されたことが始まりと言われています。日本では1990年代に始まりました。1978年から現在に至るまで、欧米を中心に世界各地で競技会が行われ、近年ではアジアでも広まりつつあります。
アジリティの主な競技種目
アジリティの主な競技種目は、以下の通りです。
・AG(アジリティ):タッチ障害(ドッグウォーク、Aフレーム、シーソー)を含む競技
・JP(ジャンピング):タッチ障害を含まない、ジャンプ障害中心の競技
・ギャンブラー:アジリティリンク内に設置された点数障害を制限時間内にクリアし、得点を競う競技
・スヌーカー:ビリヤードのスヌーカーのルールを応用したゲーム。赤障害と得点障害を交互にクリアして得点を獲得する競技
これらの競技種目、レベル、犬の体高ごとにクラス分けをします。そして、標準で30×40mの競技リンク内に設置された18~22個の障害をミスなくクリアすることで、タイムを競い合うのです。
アジリティが向いている犬種は?
アジリティが向いている犬種は?
基本的に健康な犬であれば、どんな犬種でもできます。その中でも競技犬数が多く、向いていると言えるのは、ボーダー・コリーでしょう。ボーダー・コリーは、アジリティの要素である「速く走る、急旋回する、ジャンプする」といった動きをしやすい身体構成をしています。また、彼らが仕事としていた家畜の群れを誘導する「ハーディング」は、アジリティに近い要素があるため得意だとも言えます。
一方、猟犬種は人から離れて作業する犬種のため、また愛玩犬種は作業意欲に欠ける個体が少なくないためなどの理由から、中にはアジリティに向かないものもいますが、一概には言えません。
アジリティが向いている犬の性格は?
個性それぞれによい面があるため、向いている性格や向いていない性格は一概にそうとは言い切れません。いたずら好きや落ち着きのない犬ほど、とても上手にアジリティができたり、トレーニングが進むにつれて家庭での問題行動が改善され、飼いやすくなったりすることがあります。逆に、おっとりした性格の犬は、丁寧・確実に取り組んでくれて教えやすいといったりと、それぞれによい面があります。
アジリティはどこでできる?
機材訓練にはアジリティ専用の機材が必要になるため、訓練所やアジリティスクール、時間貸しのアジリティフィールドなどを利用します。
アジリティ練習施設を選ぶポイントは?
訓練所やスクールを選ぶ際のポイントは、自宅から通いやすい範囲の場所にあること。また、競技会への出場を目指す方は、指導者や会員が競技会で活躍している、積極的に競技会に参加しているなど、実績を残しているところを選びましょう。アジリティの機材やグラウンドなど、環境が整っていることもポイントです。
基本的には、初心者を受け入れている施設を選び、ビジターで一度レッスンを体験してみるなどして、指導者との相性を確かめたり、他の会員に話を聞いたり、SNSで情報を集めてみるのも手です。その他、犬のしつけ教室や幼稚園などに通っている方は、そこの先生にアジリティスクールを紹介してもらう方法もあります。
犬とアジリティの練習をするために必要なことは?
最初はルールもトレーニング方法もわからないため、アジリティスクールなどのトレーナーのいる環境で始めてください。練習方法はトレーナーにより異なるので、まめに通って練習をしましょう。
練習に必要なアイテムは?
犬の練習には、おやつ、おもちゃ、リード、首輪、クレートなどのアイテムが必要です。人に必要なのは、運動できる服装、滑らないランニング用シューズ(多数の人はトレイルランニングシューズを着用しています)など。スクールも競技会場も公共交通機関では行きづらい場所にあるため、自動車も必要です。
犬の狂犬病予防と混合ワクチン摂取は必須
また、アジリティ施設を利用するには、犬の狂犬病予防接種と混合ワクチンの接種が必須となっています。必ず受けておきましょう。
愛犬とアジリティを楽しむためのコツや注意点は?
アジリティは犬と人がペアになって楽しむスポーツです。犬と信頼関係を築けるように、普段からよく遊んだり世話をしたり、コミュニケーションをとるなど、たくさん愛情を注ぎましょう。
叱るのは厳禁!最初は簡単なコースから
練習量や内容は初心者では判断しかねるため、注意が必要です。過度な練習や難しすぎる課題をさせることも厳禁。また、うまくできないからとハンドラーが怒ると、犬の意欲を削いでしまう恐れがあります。最初は障害の少ない簡単なコースからスタートし、徐々に難しいコースに挑戦していきましょう。
事故を防ぐには信頼関係が大事
事故を防ぐには、アジリティができる基礎の体作りだけでなく、呼べばすぐに戻ってきたり「待て」ができたりするなど、犬との信頼関係をきちんと築くことが大切です。その上で、正しい方法で取り組みましょう。