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獣医師資格取得後、小動物臨床経験6年。主に犬猫の臨床に携わる。現在は子育てをしながら、愛猫と暮らしている。
散歩中にすれ違った人や自転車・犬などに、愛犬が吠えかかるのは困りますよね。この記事では、すれ違ったものに対して犬が吠える心理や、吠えグセを直すための対処法を解説します。子犬の飼い主さんも、吠えグセを予防するためにぜひチェックしてくださいね。
目次
- 犬がすれ違ったときに吠えるのは「不安」や「警戒心」から
- すれ違ったものへの吠えグセの対処法は?
- ほかの犬にあいさつしたくて吠える場合は?
- 来客者に吠えるのも「不安」や「警戒心」から
- なぜ愛犬を人に慣れさせる「社会化しつけ」が大切なの?
- 自宅に人を招いて愛犬の「社会化しつけ」をする
- 外で愛犬を人に慣れさせよう
- 愛犬の警戒心をゆるめるためのコツ
犬がすれ違ったときに吠えるのは「不安」や「警戒心」から
犬が吠える理由の1つとして、人やものを警戒している、何かを怖いと感じていることが挙げられます。犬は自分のテリトリーに近づいてくるものや、正体がわからないものに対して不審に思い、警戒して吠えるのです。この中には、「相手を追い払いたい」という気持も含まれます。
犬は、吠えることで警戒や恐怖を感じていた対象が去っていくと学習すると、そういった対象に対して吠えるようになっていきます。犬が吠える前に、フードやおやつを与えるなどでほかに気をそらし、警戒しそうなものから離れるようにするといいでしょう。
子犬の頃は好奇心にあふれていますが、さまざまな経験を積んで成長していくにつれ、犬は警戒心が強くなっていきます。
散歩中にすれ違った人や犬などに吠えるのは、動くものから刺激を受け、「怖い」「追い払いたい」などの気持ちが生まれるためです。
すれ違ったものに吠えることを繰り返していくと、吠えたあとに人や自転車などが立ち去るのを見て、「自分が吠えたから追い払えた」と学習してしまうことも。しつこい吠えグセにつながるので、早急な対策が必要です。
すれ違ったものへの吠えグセの対処法は?
すれ違ったものに対する吠えグセの原因である警戒心や不安を取り除くためには、動くものなどの刺激に対して、「怖くない」ということと吠えなくても去っていくということを学習させましょう。
まずは、人や自転車などに吠えずにいられるくらいの距離をとり、それらを犬の視界に入れます。犬が吠える前に愛犬の名前を呼び、人や自転車が通り過ぎるまでアイコンタクトをしましょう。通り過ぎるまで吠えなかったら、おやつを与えてほめてください。
これを繰り返すことにより、「吠えずにいられたらいいことがある」と学習させます。少しずつ慣らしていくといいでしょう。
ほかの犬にあいさつしたくて吠える場合は?
ほかの犬とすれ違ったとき、「あいさつしたい」という気持ちから吠えてしまうこともあります。これは自分の要求を通すための吠えなので、「吠えてもあいさつさせてもらえない」とわからせることが必要です。
愛犬がほかの犬にあいさつしたくて吠えた場合は、抱っこするなどしてその場からすぐに立ち去ってください。
吠えを我慢できるようになったら、「おすわり」で待機させてから許可を出し、あいさつさせるといいですよ。
※記事内に掲載されている写真と本文は関係ありません。
来客者に吠えるのも「不安」や「警戒心」から
犬が来客に吠えるのは、多くの場合「うれしい」または「不安だ」という気持ちによるもの。初めての人だと「誰だろう?」と不安に思って吠えたりします。
このとき、飼い主さんが声やしぐさで反応するのは逆効果。犬は「相手をしてもらった」と感じるか、より不安を駆り立てられてしまいます。
玄関から離れた部屋や、ハウス・ケージなどに犬を移動させてから、吠えにくい姿勢である「おすわり」や「ふせ」を指示し、ごほうびにおやつをあげることで、不安定な気持ちを紛らわせましょう。
なぜ愛犬を人に慣れさせる「社会化しつけ」が大切なの?
「社会化しつけ」とは、愛犬を家族以外の人や犬、車の音などの刺激に慣れさせること。特に、人に慣れさせるための「社会化しつけ」は、犬が人と一緒に生活していくうえで欠かせません。
人に慣れさせていないと、散歩や来客のたびにほかの人を過度に警戒して吠えたり、動物病院に慣れづらかったりと、人間社会におけるあらゆる場面で愛犬がストレスを感じやすくなってしまいます。
順応性が高い子犬のうちから、人に慣れさせる「社会化しつけ」を始めて、愛犬がストレスなく暮らせるようにしてあげましょう。
自宅に人を招いて愛犬の「社会化しつけ」をする
子犬が新しい環境に慣れてきた頃を見計らい、まずは自宅で人に慣れさせるしつけを行うのがおすすめ。
犬好きの友人などを招き、協力してもらいましょう。
- 招いた人に、最初は愛犬に対して無関心を装い、さわったり声をかけたりしないようにしてもらいます。
- 愛犬がだんだんと慣れてニオイを嗅ぎにきても、しばらくは無関心を装った状態をキープ。
- 愛犬が何度か近づいてきたら、招いた人に無言でフードを与えてもらい、愛犬がそれを食べたらOK。何度か繰り返し与えてもらいます。
- ここまでできたら、今度は招いた人の方から愛犬の名前を優しく呼び、近づいてフードを与えてもらいましょう。
これを繰り返すことで、愛犬が「ほかの人=いい人」と学習していきます。できるだけ頻繁に人を招き、性別や年齢が異なるさまざまなタイプの人とふれあう機会をつくるとよいでしょう。
こんな行為は愛犬を人嫌いにしてしまうかも
愛犬が招いた人に慣れる前に、無理やり手などを近づけてニオイを嗅がせたり、大きな声でかまったりするのはNG。愛犬の緊張や警戒心をあおってしまいます。
外で愛犬を人に慣れさせよう
自宅でのしつけと平行しながら、愛犬を少しずつ外に連れ出してみましょう。
ときどき散歩ルートや時間帯を変えて、さまざまなタイプの人とすれ違うことで、「外で会う人は警戒しなくていい存在」と覚えさせていきます。散歩中に会った知人などに頼んで、愛犬にフードを与えてもらうのもいい方法ですね。
こんな行為は愛犬を人嫌いにしてしまうかも
出会った人に慣れてもらおうと、愛犬を抱っこして相手に渡すのはNG。逃げられない状態から、犬が不安や緊張感を抱いてしまいます。
愛犬の警戒心をゆるめるためのコツ
もし、愛犬がすでに人に吠えたり警戒したりしているようなら、警戒心をゆるめるためのコツを取り入れてみましょう。
人とすれ違うときにアイコンタクトをとる
人とすれ違うときに、道端によけながら愛犬の名前を呼び、愛犬が飼い主さんに注目していられたらほめてフードを与えます。まわりに人がいない状態でも、この練習をしておくと◎。このようにして、「人に対して吠える」という経験をできるだけ積ませないことが大切です。
飼い主さんからあいさつする
外で人に会ったら、飼い主さんから笑顔で明るくあいさつをしましょう。飼い主さんの振る舞いが愛犬に伝わり、相手に対しての警戒心がゆるむかもしれません。
明るい時間帯に散歩に行く
犬は、周囲が暗いと警戒心を抱きやすくなります。愛犬の警戒心を弱めるためには、なるべく明るい時間に散歩に出かけるのがおすすめです。
それでも、すでに人に対して警戒してしまっている犬には、人通りの少ない散歩コースを選ぶようにしましょう。
苦手なタイプの人を見せながらフードを与える
小さい子どもなど、愛犬の苦手なタイプの人を少し離れた場所から見せつつ、フードを与えてみましょう。これを繰り返すことで、苦手なタイプの人への苦手意識が薄まっていきます。
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