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Animal Life Partner代表。ペット栄養管理士など様々な資格を生かし、診療や往診のほかに、セミナー講師やカウンセリング、製品開発など幅広く活動。
犬が吠えるときには、どのような理由や意味があるのでしょうか。気付いたら吠え癖がついてしまった…など、犬の吠えに関する悩みを持っている方も多いと思います。そこで今回は、獣医師でAnimal Life Partnerの代表である丸田香緒里先生に教えていただいた、犬が吠える理由や原因、対処法や吠え癖をつけないしつけ法などについて解説していきます。
目次
- 犬が吠える理由とは?
- 犬が警戒して吠えているときのサインと吠えた時の対処法
- 犬がおねだり(要求)して吠えているときのサインと吠えた時の対処法
- 犬が興奮して吠えるときのサインと吠えた時の対処法
- 犬のストレス発散は吠えにも効果的
- 犬が吠えたとき、こんな対処法は逆効果!
- 犬に吠え癖がついてしまう理由は?
- 普段から犬が吠えないようにできることは?
犬が吠える理由とは?
犬が吠える主な理由は、警戒・要求・興奮・ストレス発散などが考えられます。どの理由で吠えているのかは、いつ・どこで・何に対して・何をしているときに吠えているのかなどの状況と、しっぽの様子や表情を観察すると、ある程度判断することができます。それぞれの吠える理由を見極めるサインと対処法を解説していきます。
犬が警戒して吠えているときのサインと吠えた時の対処法
例えば、家に見知らぬ人間が来たときに犬が吠えていたら、「警戒」のサインかもしれません。人が好きでうれしくて吠えることもありますが、自分の縄張りに敏感な犬は、知らない相手が来ると警戒心や恐怖心などから吠えることがあります。犬が警戒しなくてもいい相手に吠えてしまう場合は、あらかじめ警戒しなくても大丈夫だと教える必要があります。
警戒を解くためにおやつを与えるという方法は非常に効果的です。また来客時のチャイムに吠える場合はチャイムの音に慣れさせるために頻繁にチャイムの音を聞かせて音に慣れさせたり、来客に慣れさせることが大切です。チャイムの音には特別な意味がないことを、教えてあげましょう。また、チャイムの音が「クレートに入るタイミング」としつけをするのも効果的です。
犬がおねだり(要求)して吠えているときのサインと吠えた時の対処法
飼い主がおいしい物を持っているときに犬が吠えるのは、おねだり(要求)して吠えていることが多いでしょう。その他にも、うれしいときや構ってほしいとき、不満があるときなども吠えたりします。
「おやつが欲しい」「ケージから出して欲しい」「遊んで欲しい」など、おねだりや欲求に対する吠えの場合は、無視するのが一番の対処法です。「ケージから出たい」と訴えている場合は、吠えている間は無視してみましょう。吠えなくなって落ち着いてからケージから出すという動作を繰り返すと、吠えている間はケージから出してもらえないと学習し、だんだん吠えなくなっていきます。
犬が興奮して吠えるときのサインと吠えた時の対処法
飼い主が外出先から帰ったとき、興奮して吠える犬も多いことでしょう。また、リードなどの散歩グッズを手にしたときに「散歩に行ける!」と興奮して吠える犬もいます。うれしくて興奮している犬を見ると、ついつい甘やかしがちですが、吠え癖をつけないためにぐっとこらえましょう。
犬が興奮して吠えた場合は、飼い主が一緒になって喜ぶのは逆効果です。さらに大きな声で吠えてしまう可能性があるため、声をかけないようにしましょう。吠えているときは散歩グッズを持つだけで散歩には行かないという動作を繰り返し、犬が落ち着いてから散歩に行くようにしましょう。
犬のストレス発散は吠えにも効果的
なかなか散歩に行く時間がなかったり、遊び足りなかったりするなどの理由から、ストレスを発散するために犬が吠えることがあります。ストレスが溜まると警戒心が強くなり、要求吠えも多くなってしまうため、注意が必要です。
犬の吠えをなくすためには、犬にストレスを発散させることが一番効果的です。新しいおもちゃを買ってあげたり、平日は仕事で散歩に行く時間が少なかったりするという場合は、休みの日にドッグランで遊ばせるなどするといいでしょう。散歩コースを変えて気分転換させるのもおすすめです。
犬が吠えたとき、こんな対処法は逆効果!
犬が吠えたときに一番してはいけないことは、手をあげてしまうことです。吠えるのをやめさせるどころか、ますます警戒し、恐怖心から吠えていた場合は吠え癖を悪化させる可能性があります。
また、吠えているときに「静かにして」などと声をかけることも意味がありません。当然ですが犬は人間の言葉がわからないため、話しかけてしまうと場合によっては飼い主が吠えることを応援しているように感じてしまうこともあります。
吠えたら欲求を満たせばいいのでは? と、おやつが欲しくて吠えているときに、おやつをあげてしまうのも逆効果です。「吠えればおやつがもらえる」と誤解し、吠えが悪化する原因となります。
犬に吠え癖がついてしまう理由は?
インターホンの音、来客、おねだり、散歩中に他の犬に対して吠えるなど、犬が何かに反応して吠えることは、ある意味では正常な行動です。しかし、その行動をずっと放置してしまうと吠える習慣がついてしまいます。
「手をあげる」「吠えに反応して声をかける」「吠えの欲求を満たす」など、前述したような間違った対応は吠え癖につながってしまいます。吠えたときの間違った対処法が、吠え癖がつく最大の理由といえるでしょう。
普段から犬が吠えないようにできることは?
犬が吠えたときは無視することで吠え癖や吠える習慣をなくすことが可能です。犬は犬の中のルールで生きているため、人間の社会でのルールが分かりません。何か欲求があっても吠えることでその欲求が満たされないことを、根気強く伝える必要があります。一度吠え癖がついてしまうと、直すのに時間がかかる上に根気強くしつけなければいけません。吠え癖を直すことはもちろん、吠える状況をなるべく作らないことが大切です。
他の犬に対して吠えてしまう場合は、犬の少ないコースを選択するか、他の犬がいても犬が気付く前に道を変え、おやつなど他の物で気をそらせるなどするといいでしょう。
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