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「世界初の電動工具」を開発しすぎ! ボッシュが支えるクルマ、建設業、そしてDIY…

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高橋 俊輔

高橋 俊輔

ボッシュ株式会社 電動工具事業部 事業部長。1977年生まれ。ボッシュドイツ本社でのインターンシップを経て、2001年からボッシュ株式会社 電動工具事業部に入社。コールセンターからキャリアをスタートして、営業、マーケティング業務を経験。アジアパシフィックの本社(上海)での勤務を経て、現職。日本のユーザー様に電動工具をより安全に使っていただくために日々奮闘しています。

渋谷のカフェ、その奥に潜む「ボッシュ」の正体

渋谷駅から徒歩数分。青山通りを登っていくと、洒落たカフェが目に入る。「café 1886」という店名の下には、控えめだが確かに「at Bosch」とある。

渋谷にあるカフェ「café 1886 at Bosch」

ホームセンターの電動工具コーナーを愛するDIY好きの方、クルマいじりが大好きな方にはお馴染みだろう。ドイツが誇るテクノロジー・カンパニー「Bosch(ボッシュ)」の日本における拠点が、ここ渋谷にあるのだ。

一方、「ボッシュ」はドイツ語読みだから、その響きすらあまり馴染みのない方もいらっしゃるかもしれない。「知っている人はイヤになるほど知っている。知らない人はまったく知らない」。そのギャップもまた、ボッシュの巨大さゆえだろう。

今回は、ボッシュという企業(あるいはそれは企業というより、知の集合のようなものかもしれないが)の片鱗に迫ってみよう。

事実、ボッシュなしに自動車は走らない

ボッシュ株式会社 電動工具事業部 部長 高橋俊輔さん

ボッシュ株式会社 電動工具事業部 部長 高橋俊輔さん

「café 1886」を抜け、ボッシュ社内で迎えてくれたのは、電動工具事業部の高橋俊輔部長だ。高橋さんは文字通り、電動ドライバー、電動ドリル、電動グラインダーなどを扱うセクションに所属するが、専門分野の話の前に、まずはボッシュの全体像について探っていきたい。

「ボッシュはさまざまな分野のテクノロジーやサービスを提供していますが、もっとも大きな事業領域はモビリティ ソリューションズ、つまり自動車関連の技術・製品・サービスです。19世紀末、自動車エンジンの点火装置を開発したのを原点に、世界の自動車産業において大きな役割を果たしてきました」

エンジンの点火プラグ、ディーゼルエンジン用燃料噴射ポンプ、電子制御式アンチロック ブレーキング システム(ABS)、トラクション コントロール システム(TCS)……。現在の自動車における主要機能になっているものの多くに、ボッシュが関係していることは、一般には意外なほど知られていない。

「もちろん自動車はボッシュの部品だけでできているわけではありませんが、ボッシュが持つ特許技術なしに、現在の自動車が成立しないのも事実です。より快適な走り、より安全なドライブ、時代とともに変化する世界のニーズを先取りしながら、ボッシュは成長を続けてきました。

自動車のほかにも、たとえば、最近のスマートフォンは横向きにすると、画面の表示も自動で横になると思いますが、あの機能もボッシュのセンサー技術です」

年間1兆円の研究開発費を投資する“凄み”

時代のニーズを先取りする開発力は、ボッシュのコーポレートスローガンである「Invented for life」にも見てとれる。驚かされるのは、その理念を体現する研究開発への姿勢だ。

「ボッシュは利益の約10%を、常に研究開発費に投資してきた伝統があります。2015~2017年の研究開発費は、売上の約9.0~9.5%。2018年と2019年はやや下がりますが、7.6~7.8%を投資しています。

2019年の売上高は777億ユーロ(約9.5兆円)、研究開発費は61億ユーロ(約7500億円)でした。ボッシュでは毎年1兆円弱の規模感で、さまざまな分野の研究開発が行われています」

たとえば、日本における医薬部外品全体の「市場規模」がおよそ1兆円と言われているから、いかに大きな額が研究開発費として継続投資されているかがわかる。

日本のボッシュ・グループの主要拠点

「ボッシュはドイツ発祥の企業ですから、研究開発もドイツで行われていると思われがちなのですが、研究拠点は世界中にあり、中でも日本は非常に大きな役割を果たしています。特にボッシュの主要事業領域であるモビリティ ソリューションズは、自動車産業で世界に影響力を持つ日本と、非常に親和性が高い分野といえます。

日本国内の12の主要拠点のうち、実に11の拠点でモビリティ ソリューションズの研究開発が行われています。北海道の女満別テクニカルセンターでは、広大な敷地にサーキットが設けられ、さまざまな試験が行われているんですよ」

現在、世界の従業員は約41万人、国内で研究開発に携わるスタッフは1,400名にのぼるという。研究開発人員だけで大企業といっても差し支えない人数を擁する、ボッシュの巨大さを実感させる数字といえるだろう。

IoTのカギを握るセンシング技術

モビリティ ソリューションズのほか、ボッシュの事業領域は電動工具や家電などの「消費財」、生産現場を支える「産業機器テクノロジー」などに及ぶが、すべての領域において重要な役割を担っているのがセンシングテクノロジーだ。

ボッシュの事業領域は産業機器テクノロジーにも及ぶ

「ボッシュは今、『IoTカンパニーになる』という明確な方針を打ち出しています。私たちはネットワークとモノがつながるために欠かせない『センサー』についての技術を数多く持っていますが、センシング技術はそれぞれの分野においてますます重要度を上げています。

たとえば、クルマのエアバッグを適切に作動させるためのセンサーシステムのほとんどは、ボッシュが提供しています。エアバッグが普通の急ブレーキで作動したら困りますよね。生命に深刻な影響を与える衝撃が予想されるとき“だけ”作動させる必要があります。

それが『どのような衝撃なのか』を瞬時に判断し、必要なときには確実に作動させる。このようなセンシング技術について、ボッシュは市場を大きく牽引しています」

ボッシュの電動工具

センシング技術におけるボッシュの存在感を知ると、その製品のクオリティや信頼性がいかに世界に浸透しているかが見えてくる。

そして、その名を冠する商品は、私たちの身近な場所、ホームセンターでも見つけることができる。工具類にもセンシング技術が応用されているのだ。

ここからは、我々が直接手を触れることができるボッシュの世界に踏み込んでいこう。

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