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ハイコーキが「電動工具をコードレス化」する本当の狙い

2020.10.01

聞いてみた

押井 奨

押井 奨

工機ホールディングス株式会社 日本事業統括本部 HC推進部長。 外資系日用消費財メーカーにてトレードマーケティング部門を経験後、高い製品力と新たなステージで成長意欲に湧く企業マインドに魅力を感じ、工機ホールディングスに入社。 2020年4月より現職。

日本生まれ、プロ職人に鍛えられて72年目の老舗メーカー

ハイコーキ_オフィス1

「HiKOKI(ハイコーキ)」という電動工具ブランドをご存じだろうか。実は老舗メーカーであった「日立工機」が、社名を「工機ホールディングス」に変更したことをきっかけに誕生した、電動工具の新ブランドである。

そのハイコーキから2017年に発売されたコードレス電動工具の新製品が「マルチボルトシリーズ」だ。それは建築現場の作業効率や安全性を高め、言うならばコードレス電動工具の常識をも変えた。

そんな同シリーズの核となる「マルチボルト蓄電池」とは、いったいどのようなものなのか? 驚きの技術が満載だという技術の秘密と、ハイコーキブランドが目指す未来について、工機ホールディングス株式会社 日本事業統括本部 HC推進部長である、押井 奨さんに伺った。

新会社だからできる、自由でスピーディーな製品開発

まずはハイコーキが誕生した経緯と、前身であるHITACHI/Hitachi Kokiとは何が変わったのか、話を聞いてみる。

工機ホールディングス株式会社 日本事業統括本部 HC推進部長 押井奨さん

工機ホールディングス株式会社 日本事業統括本部 HC推進部長 押井奨さん

「工機ホールディングスは、世界有数の投資ファンド・KKRという強力なパートナーを得て、2017年に日立から自主独立する形でスタートした新しい会社です。ブランド名もHITACHI/Hitachi Kokiからハイコーキへと一新しました。

プロの職人さん向けの電動工具を軸足にしている点は変わっていませんが、そこで築き上げた技術をDIY向けのアイテムにも生かし、プロユース/ホビーユース双方を大事にしていくというのが今のハイコーキの姿勢です」

創業以来70年の歴史がある日立工機時代に培ってきた技術やDNAはしっかり引き継いでいるという工機ホールディングス。新しい会社となり、今は「日本発のグローバルな電動工具メーカーへの成長」が目標だと押井さんは語る。

だが、ブランドが変わったことで、ユーザーの反応は心配だった。

「全く新しいブランド名なので、認知度や知名度をいかにして上げていくかが大きな課題でした。とはいえ職人の方は、ロゴではなく物自体を見て良し悪しを判断します。どうなるかと心配しましたが、それは杞憂でしたね」

多くの職人は実際に製品を手に取り、それがHITACHIやHitachi Kokiを引き継ぐブランドだと理解して受け入れてくれた。ただし、全ての職人がそうではなかったし、一般の方への認知はより難しかった。

認知拡大のため、カインズのようなホームセンターの店頭にトップボードを置くなどして、積極的にブランド名の変更をアピールし認知度を上げる努力をしてきた。

また、新会社となったことで組織的にも大きな変化があったと押井さんは語る。

「以前は日立という大きな冠があったためか、自由な発想による製品開発が正直難しいこともありましたが、独立したことで社内での意思決定も早くなりました。

加えて、弊社には今まで培ってきた高い技術があり、優秀なエンジニアもいます。そんな新たな環境で生まれたのが弊社のコードレス電動工具、マルチボルトシリーズなんです」

コードレス電動工具のメリットとデメリット

今プロの建築現場では、コードレス電動工具の使用率が上がっていると押井さんは言う。

「例えば新築の住宅の現場では、大工さん以外にも電気設備屋さんや水道設備屋さん、外溝屋さんなどが同時に作業を行います。電源のない現場では発電機も使用されますが、その数は十分ではなくどうしても電源の取り合いになってしまう。それでは仕事が進みませんよね。

さらに、日本では職人さんの高齢化が進み、人数自体も減少傾向にあります。そうした状況の中で、より生産性を高められるコードレス電動工具が重宝されるようになったのです」

コードレスインパクトドライバ

ハイコーキの代表製品「コードレスインパクトドライバ」は、前身であるHITACHI/Hitachi Kokiが元祖。マルチボルトシリーズではパワーの向上だけでなく、トリガースイッチのタッチ感やグリップ・本体のモーター内蔵部分のサイズ、さらに手にした時の重量バランスなどが最適化されており、こういった目に見えない部分の品質の高さがプロの職人から高く評価されている

また、工場内では床にたくさんのコードがあり、引っかかったりする危険も解消できるなど、コードレスゆえ生まれた付加価値も少なくない。ただ、そんなコードレス電動工具にも欠点があった。

「弊社でも40年前からコードレス電動工具自体の開発を進めていたものの、ACの100Vに比べるとコードレスの18Vでは出力が物足りない、長い時間使用できないという弱点も指摘されていました。『取り回しや使い勝手には優れているけど、やはりパワーやスピード、トルクはAC工具に敵わない』というのが、長年のコードレス電動工具への共通認識だったんです。

だったら長年研究を重ねノウハウもある我々が、いち早くハイパワーのコードレス電動工具を製品化することで、それを解決しようじゃないかと考えました。そこで従来の18Vから倍の36Vへと、更なるバッテリーの高電圧化を目指したのです」

新型バッテリーでは短時間に大電流を流せる高品質なセルを使用し、18Vのユニットを内部で並列(18V×2ユニット=36V)に配置。なおかつ制御回路なども新たに自社で開発することで36V化を実現する。

確かに36Vは効果的で、100Vと同等以上の高出力を発揮できたという。しかし、一方で別の課題が生まれた。

「従来の工具とのバッテリーの互換性です。職人さんにとっては、さまざまな工具を同じバッテリーで使用できることが、非常に大事な要素です。18Vの製品を愛用されている方に、互換性のない36Vのコードレス電動工具をアピールしても、簡単には受け入れられません。工具だけでなく、バッテリーや充電器も新しく買い直さないといけませんから」

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