※商品などの紹介は、本記事の獣医師の監修外であり、編集部による情報提供です。

猫は自分で毛づくろい（グルーミング）をするからお手入れは不要と思われがちですが、実は猫にもブラッシングが必要です。毛が長くもつれやすい長毛種はもちろん、抜け毛を取り除いて毛づやを保ちたい短毛種にも定期的なブラッシングが推奨されています。またブラッシングは毛玉対策や皮膚の健康維持だけでなく、飼い主と絆を深める重要なスキンシップにもなります。

しかしブラッシングは、大好きな猫もいれば苦手な猫もいます。そこでこの記事では、猫のブラッシングについて、頻度や基本のやり方、ブラシの選び方などを獣医師の岡田京子先生監修のもと解説していきます。

猫のブラッシングは、病気やケガの早期発見、毛玉を吐くのを避けるため

ブラッシングされる猫

猫は自分でグルーミング（毛づくろい）をしますが、舌が届かない場所もあるためブラッシングは必要です。また人間が猫のブラッシングをすることで、猫が自分で毛づくろいをして飲みこむ毛の量を減らすことができ、皮膚へのマッサージ効果もあり血行促進につながるともいわれています。

また、猫が毛を飲みこんで吐くことは胃腸に負担がかかり、特に体力が低下する高齢の猫の場合は、繰り返し吐き戻すと体力を消耗する恐れがあるため、できるだけ回数を減らしたいところです。そのため毛がたくさん抜ける春と秋の換毛期は、いつもより入念にブラッシングしてあげる必要があります。

ブラッシングが習慣になれば、猫をなでるだけでは気が付けなかった愛猫の体調変化に気が付いてあげることもできます。皮膚病やケガ、ノミなどの早期発見にもなって、スキンシップの延長でのブラッシングは、愛猫と絆を深める大切なコミュニケーションにもなります。

ただし、猫によってはブラッシングを嫌うこともありますので、無理強いは避け、猫のペースに合わせて少しずつ慣らしていくことが大切です。

ブラッシングは子猫のときから慣れてもらうのが大切！苦手な猫へのやさしい練習方法

ブラッシングされて気持ちよさそうにする猫

ブラッシングは猫に終生行う必要なケアです。苦手なままだと、毎回ブラッシングが大きなストレスになってしまいます。子猫の頃から慣らしていきましょう。次に紹介するスキンシップの延長として、生後2カ月頃から慣らしていく方法をお試しください。

ブラッシングのトレーニング方法

”手のひらブラッシング“からはじめる
手でなでられる、触られることに慣れさせます。普通に撫なでられる子はなでるときに手のひらを軽く湿らせ、マッサージするようになでてください。触りやすい首や背中から飼い主の手の感触に慣れさせていきます。慣れてきたら、無理のない体勢でお腹やわきの下、顔まわりなどもなでながら触っていきましょう。そして少しずつお腹や内股など、触らせてくれる範囲を広げていきます。
ブラシに慣れさせる
手で触られることに慣れてきたら、ブラッシングで使うブラシをかじらせたり、じゃらしたりして遊びましょう。猫に「ブラシが怖いものではない」と覚えてもらいます。猫は新しいものをしっかりチェックするまで安心しないことがあります。いろいろなタイプのブラシがありますので、心地よさそうなものを探してあげるといいでしょう。
背中からやさしくブラッシング
背中にブラシをそっと当て、嫌がらない様子なら軽くとかします。猫が触られて喜ぶ場所からブラッシングしていってください。
ブラッシングできる範囲を広げていく
猫が嫌がりにくい箇所からブラッシングをして、少しずつ範囲を広げていきましょう。背中は抜け毛が多い部位なのでやさしく丁寧にブラッシングしましょう。おなかや脇、内股のあたりも毛玉ができやすいので、無理のない程度にブラッシングしてみましょう。

猫がブラッシングを嫌いにならないように気を付けること

警戒心が強い猫は、怖い経験をきっかけにブラシを敬遠しやすい傾向があります。ブラッシングを嫌いにならないように、次の2点のことに気を付けてブラッシングをしてください。

猫がストレスを感じるそぶりがあったらすぐに中断すること
一気にやりきろうとしないで、「今日は背中だけ」など短時間ずつのブラッシングを繰り返し行いながら慣れさせていくこと

愛猫がブラシになかなか慣れないときは、歯ブラシでなでることに慣れさせてみてください。歯ブラシに慣れてきたら、少しずつコームやスリッカーで触られることに慣らしていきましょう。

また、うまくできたタイミングがあれば、言葉やスキンシップでたくさん褒めることもポイントです。補助的におやつをあげてもよいでしょう。おやつは必須ではありませんが、与える場合はブラッシング後に少量とし、フード量とのバランスを取ってカロリーを調整します。習慣化しすぎないよう、慣れてきたら徐々に減らすことも大切です。

シャンプーよりブラッシングが大切

シャンプーされる猫

抜け毛が多い換毛期は、シャンプーでまとまった抜け毛を落とせる場合もありますが、水にぬれるのを嫌う猫は少なくありません。猫は体臭が少ない性質で、自らグルーミングをして清潔を保とうとする動物なので、基本的にシャンプーが苦手な猫の場合は無理にする必要はありません。しかし換毛期はブラッシング頻度をあげて、しっかり抜け毛除去をしてあげてください。

もし汚れが気になるときは、硬めに絞った蒸しタオルでやさしく拭いてあげるとよいでしょう。

猫の毛玉ができる状態でのシャンプーは避けましょう。毛玉がある状態で水分が加わると、さらに毛玉が固まりほぐれなくなります。また、毛玉内部にシャンプーの成分が残って刺激となる場合もありますので、まずはブラッシングで毛玉をほぐし、十分に取り除いてからシャンプーを行うことが推奨されます。特に長毛種の猫では毛玉が皮膚に密着しやすいため、注意が必要です。

基本の猫のブラッシング方法

仰向けで気持ちよさそうな猫

基本的なブラッシング方法を紹介していきます。猫のブラッシングでは、ブラシの先端が皮膚に当たって刺激にならないよう、力加減を確認してから始めます。自分の手の甲にブラシやコームを当てて、力加減を確認してからブラッシングしてください。

また、ケガ防止のために猫の爪切りは事前にやっておくとよいでしょう。

短毛の猫のブラッシング方法

▼使う道具：ラバーブラシやスリッカーブラシ

首元をやさしく押さえて、背中からお尻に向けてブラッシングしていく
猫の体を起こして前脚を片方持ち上げて、脇から後ろ足に向けてお腹を毛並みに沿ってやさしくブラッシングしていく
あごを軽く上げて、首まわりを上から下に胸元に向かってとかしていく
しっぽは付け根から先端に向けて一気にとかす
顔まわりや足をやさしくとかす

▼POINT

お腹のブラッシングは苦手な猫が多いので、短毛種は無理してブラッシングしなくてよい
毛が短いのでブラシで皮膚を傷つけないように注意して

長毛の猫のブラッシング方法

▼使う道具：コーム、ピンブラシ、スリッカーブラシ

コームやピンブラシで、全身の毛を軽くとかして、気になる毛玉やもつれをほぐしておく
首元をやさしく押さえて、スリッカーブラシで背中からお尻に向かってとかしていく。静電気が気になる場合はブラッシングスプレーを使う。大量の抜け毛が出るので、こまめにブラシの抜け毛を取りながらブラッシングする
仰向けにできる猫の場合は、足の付け根からお腹をブラッシングします。嫌がる場合には無理に仰向けにせず、猫が落ち着ける体勢でお腹のケアをする。お腹は喉元からお腹に向けてとかして、足の付け根は毛玉ができやすいため丁寧に解きほぐす
仰向けにできない場合は、うつぶせの状態で脇からお腹の毛をブラッシングする
猫を座らせて、あごを上げて首から胸にかけてやさしくブラッシングする
しっぽは付け根から先端に向けてとかす。しっぽの根元が皮脂でべたつく、あるいは被毛に汚れが付着している場合はブラッシングした後にぬれタオルでやさしく拭きとる
顔や足先といった敏感な部位は、背中やお腹などを終えた最後に短時間で行うのがコツ。ブラシは小刻みにやさしく動かし、毛先をそっと整えるイメージでケアする

▼POINT

スリッカーブラシは力が入りすぎないように鉛筆持ちがおすすめ
コームやブラシが引っかかるときは、無理に引っ張らないで。毛玉やもつれは手でやさしくほぐしてからブラシをいれること。さらに毛玉下の皮膚が荒れていないかもチェックして
フェルト状の毛玉は皮膚も巻き込みやすいため、無理をせず獣医師やプロのトリマーに相談を

ブラッシングの頻度は、短毛種は週2～3回、長毛種は毎日

ブラッシングをする頻度は、もつれの少ない短毛種なら週2～3回です。抜け毛や汚れを落とし、毛づやを出すようにブラッシングをしましょう。換毛期は短毛種も週に2～3回以上行って構いません。抜け毛の状態や体格にもよりますが、1回あたりの時間は3～10分程度を目安に行うと良いでしょう。

長毛種は汚れも毛のもつれも起こりやすいため、できれば毎日ブラッシングすると安心です。脇やお腹、内股は、自分の毛づくろいでは行き届かない場所です。毛玉ができやすいので、その部分のもつれや毛玉に注意してお手入れしてあげてください。

愛猫が喜ぶブラッシングのポイントとやめるタイミング

愛猫が喜ぶブラッシング

愛猫にブラッシングを好きになってもらうために（苦手にさせないために！）、次の5つのポイントを押さえましょう。

ブラッシングは、スキンシップの延長で行う。猫をリラックスさせてからが◎
温かい手のひらで猫に触ると安心します。猫に触れる前に手が冷えていないか確認して
ブラッシング中は、ブラシを持つ反対の手で頭や背中をなでてあげると猫がリラックスする
ブラッシング中は「きもちいいねー」「えらいねー」など、穏やかな声で猫が安心するように声かけをする
猫はしつこくされると嫌がる。猫の集中力に合わせて切り上げるように心がけること。短毛種なら5分が目安
猫が耳やしっぽを動かしたり、ブラシの動きを気にし始めたりしたらやめてほしいサイン。ブラッシングを終了して

部屋に舞う毛の対策、掃除方法

部屋に舞う猫の毛

猫と暮らしていると気になるのが室内に舞う被毛です。猫の毛は軽くて空気中に舞いやすいため、お掃除をしても次から次へと現れます。空気中に舞っている猫の毛を集めるためには、日常的に空気清浄機を活用するのがおすすめです。

またブラッシングをしていて部屋に舞い上がってしまった猫の毛のお掃除は、まず空気中に霧吹きで水をまいて、舞っている毛を床に落としてから、掃除機をかけたり、ハンディモップやコロコロで掃除したりするとよいでしょう。

もしブラッシング中に部屋に毛が舞うのが気になるようなら、バスルームなど毛が舞っても掃除しやすい空間でやるのもおすすめです。

カーペットやキャットタワー、布製のソファなど、猫の毛が絡まってしまう素材には、ゴム手袋を付けた手でこすると簡単に毛を集めることができます。

なにより猫の抜け毛で部屋が汚れるのを防ぐには、こまめに猫をブラッシングすることです。ブラッシングで予め抜け毛を除去しておけば、部屋に落ちる猫の毛が減ります。春と秋の換毛期は、いつもより頻度を増やして念入りにブラッシングするようにしましょう。

猫との暮らしにおすすめ、カインズのオリジナル猫グッズ

カインズでは、ペットとの暮らしを快適にするカインズオリジナル商品やアイデア商品などを豊富にラインナップしています。オンラインショップやお近くのカインズでも探してみてくださいね。

■ブラシが苦手な猫におすすめです。手にはめてなでるようにグルーミングができます。

グルーミンググローブブラック

■ソファー・カーペットに絡まってなかなか取れない猫の抜け毛集めに活躍するラバー素材の抜け毛取りブラシです。

抜け毛取りブラシ

まとめ

ブラッシングは、被毛を清潔に保ち毛玉の飲み込みを減らすだけでなく、皮膚トラブルの早期発見や飼い主とのスキンシップにもつながる大切なケアです。短毛種は週1〜2回、長毛種はできれば毎日を目安に、猫がリラックスしているタイミングでやさしく行いましょう。

ブラッシングが苦手な猫の場合は、慣れてもらうまでは時間がかかるかもしれませんが、愛猫とのスキンシップを楽しみながら習慣にしていきましょう。

※売り切れや取扱い終了の場合はご容赦ください。
※店舗により取扱いが異なる場合がございます。
※一部商品は、店舗により価格が異なる場合がございます。
※商品などの紹介は、本記事の獣医師の監修外であり、編集部による情報提供です。