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世界遺産も接着!? 木工用だけじゃない「ボンド」の接着史【創業150年コニシ】

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折坂俊一

折坂俊一

コニシ株式会社東京ボンド営業部DIYグループリーダー。1974年生まれ。1996年入社。現在、東日本エリアのホームセンターを担当。3児の父。休日は少年野球の送迎と日曜大工の買い出しに奔走。

アルコールの小西から「ボンド」のコニシへ

工場ラインを流れるボンド木工用

誰もが知っているコニシ社の「ボンド 木工用」。滋賀工場で製造されている

目立つ黄色い容器に「ボンド 木工用」の文字、なで肩の上の顔部分には真っ赤なキャップ。その蓋を開けて使用すると漂う独特なツンとした匂い……。

日本人なら誰もが知っているあの「ボンド 木工用」を作っているのは、大阪に本社を置くコニシ株式会社だ。多くの人にとって「ボンド 木工用」や「ボンド アロンアルフア」などが馴染み深いが、一般消費者向けの売上は実は15%程度に過ぎない。

では、あとの85%は? そもそも「ボンド」はどのように生まれたのか? 赤と黄色の容器になったワケは? など、気になるところをコニシ株式会社営業担当の折坂俊一さんに聞いてきた。

紙用から木工用に注力し「ボンド」のスタンダードに

重要文化財の旧小西家住宅

重要文化財である旧小西家住宅は資料館として公開されている

「ボンド」の歴史は古く、合成接着剤「ボンド」第一号が市場に出たのは、昭和27(1952)年。ところが会社の創業はさらに古く、明治維新の余韻冷めやらぬ明治3(1870)年で、昨年2020年で150周年を迎えた。

「創業当初は小西屋の商号で薬種商をしていました。その後、輸入アルコールや洋酒なども扱うようになり、業界では“アルコールの小西”と呼ばれるように。サントリー創業者の鳥井信治郎氏も弊社で働いていたそうです」

やがて自社でしか作れない製品開発の必要性を感じたコニシは、原点とも言える化学薬品に着目。ここから誕生したのが紙用の合成接着剤「ボンド」だった。

「当初は主に製本用の接着剤として、書籍や電話帳に使われていました。ところが、この接着剤を新聞記者が壊れた下駄の歯に使ったところ具合がいいということになり、木工用の道が開けました。モノを接着する際にお米が使われていた当時は、“米に混ぜて使ってください”と促していたそうです」

紙用から木工用。この転換は大きかった。木造の家を作る際、建具や家具などで重宝されたからだ。戦後、経済成長を背景に住宅建築の需要が大幅に伸びたこともある。この「住宅用」というカテゴリーは今でもコニシにとって大きな分野だ。木工用の「ボンド」は昔からあの形と色をしていたわけではない。変遷について折坂さんはこう話す。

「発売当初の1957年当時は実は緑色の容器でした。その後、目立たせるために容器が黄色くなり、キャラクターを使用したり、形がこけし型になったりという時期を経て、1972年におおよそ今の見た目と同じになります。キャップが赤くなったのもこの頃ですね。発売50周年となった2007年には、立体商標を取得しています」

発売から60余年。木工用ボンドは完全にスタンダードとして君臨している。一方で、コニシは「ボンド 木工用だけ有名で、困ってます」というキャッチコピーを掲げ、接着剤メーカーだけではなく、化学品の商社としても活躍する「化学の会社」であることをPR中だ。

木工用だけじゃなくて、ココニモコニシ

栃木工場の外観

住宅に使われる接着剤を主に製造している栃木工場の外観

「ボンド 木工用やアロンアルフアなど、一般家庭用の製品の知名度が高いのですが、一般消費者向けの売上は全体の15%ほどで、住宅用や産業資材用、土木建築用の接着剤が売上の大部分を占めています。特に最近は橋や高速道路、トンネルなどの社会インフラの補修用“ボンド”や、スマホなどの電子電機分野や自動車に使用される“ボンド”を強化しています」

コニシのHPでは「ココニモ、コニシ」と題して、「アンコール遺跡群の修復」「エコカーの中」「スマートフォンの強くて薄いボディ」「サンゴ礁の再生に、水中で使える水中ボンド」「橋脚などを地震から守る耐震補強工法」など意外なコニシ社製品の使われどころを紹介している。これら一般消費者がターゲットのものではない製品については、業界新聞などでPRしている。そんな多彩なコニシの商品は国内の工場で作られている。生産現場について、折坂さんはこう答えてくれた。

「私たちには滋賀と栃木の2つの工場があります。滋賀工場は1973年に建設された工場で、特に水性系接着剤やシーリング材を中心に製造しています。栃木工場は1986年に建設され、特に住宅に使われる接着剤を製造しています。どちらの工場とも品質保証部が設置され、製造後は全製品、定められている規格をクリアしているかを検査し出荷しています」

女性目線で開発にこぎ着けた「ボンド 裁ほう上手」

ボンド 裁ほう上手利用シーン

洗っても大丈夫な「ボンド 裁ほう上手」は布を接着

一般消費者向けのアイテムも「ボンド 木工用」だけではなく、様々なアイディア商品をリリースしている。その中で、針や糸がなくても簡単に裾上げや小物づくりができる「ボンド 裁ほう上手」は、布用という点でコニシの悲願とも言える商品。

「今のスティックタイプの形になったのは4年程前と割と最近なのですが、前身の商品はもう20年前くらいになります。布への接着は難しくてなかなか参入できなかったんです。それでも何とか開発に成功。研究所で洗濯機を購入して何度も実際に洗濯を繰り返し、洗っても大丈夫かどうか検証しました」

元々このアイテムは、女性に様々な悩みをヒアリングして誕生した。

「2000年頃から女性の営業担当者が増えてきたこともあり、女性目線での製品開発が活発になりました。消費者の方にヒアリングをしていくなかで、手芸にスポットライトが当たります。学校や保育園のバッグを簡単に作れるという触れ込みで、当初は母親世代をターゲットにしていましたが、裾上げやちょっとした裁縫は男女ともに必要です。今ではOLの方や作業服を着る男性などから“気軽に裁縫ができる”と支持をいただいています」

生産者には1万本でもお客様には買った1本がすべて

生活に役立つ、質の高い製品を消費者に届け続けるコニシには、「生産者が1万本作った商品でも、お客様には買った1本がすべて」という品質方針があるという。折坂さんはこう話す。

「長いこと社員の間で唱和されてきたので、このフレーズを知らない社員はいません。特に4代目の社長は事あるごとに触れていて、この考え方の重要性を説いていました。紙や木だけに使われていた以前と違って、今はクルマやスマートフォンといった精密機器に使われることもあり、品質への要求はどんどん高くなっています。品質管理が何よりも重要です」

最後に、コニシが今後目指していることを聞いた。接着することに特化してきたからこそ、もう少し力を入れるべきところも浮き彫りになっているという。

「くっつけることに力を入れてきた会社ですから、商品を開発するときもまずは“くっつくこと”が一番重要視されます。ただ、リフォームの現場などでは一度くっつけたら取れないものより、はがそうと思ったらはがしやすいものの方が喜ばれるときもあります。また、実際に手に持って使用するモノとしての使い勝手の部分には、まだ進化の余地があるかもしれません。今後も色々な新しい材質が世に出てくると思いますが、接着するというニーズは変わらずあるはずですので、これまでの技術を活かして新しい時代に対応していきたいと思っています」

今後のコニシから目が離せない。

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