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【青汁進化論】まずい青汁は時代遅れ! 開発者が語る最新事情と効果

スタッフ

日用雑貨部 開発者M

日用雑貨部 開発者M

カインズ 日用雑貨事業部 日用雑貨部。薬剤師として大学病院で勤務しながら、「処方薬だけでなく市販薬の知識も身につけたい」と考え、週末だけカインズホーム桐生広沢店でアルバイトとして働いていたが、お客さまと直に触れ合える販売業務に魅力を感じて入社を決意。薬剤師の資格を生かし、現在は本部で医薬品・健康食品・サプリメント・衛生用品・介護用品などの仕入れおよび商品開発を担当している。

CMで広まった青汁への誤解

まずい青汁は時代遅れ。最近の青汁はおいしく、種類も豊富になってきています。原材料となる野菜の選択肢が増えたことに加え、「乳酸菌入り青汁」「フルーツ風味」「炭入り」など、さまざまな青汁商品が各メーカーから販売されています。

「まず〜い、もう一杯!」

“昭和の名悪役”八名信夫さんがテレビCMで発した、まさかの一言。CMのメッセージが今ほど多様化していなかった時代に、強烈なインパクトで青汁という商品を世に知らしめ、「まずいけどカラダに良い」という青汁のイメージを定着させたキッカケになりました。

しかし、いま振り返ると「カラダに良いもの=まずい」というイメージを植えつけてしまった感も否めません。かの孔子さまも「良薬は口に苦し」とおっしゃいましたが、では、本当に「カラダに良いもの=まずい」「青汁=まずい」なのでしょうか? いえいえ、決してそんなことはありません。

多様化する青汁の種類

そもそも青汁の定義は「緑葉野菜の汁」。実はこれだけです。ケール、大麦若葉、明日葉、桑の葉、どれを原材料に使っても青汁と呼ばれます。製品化できるかどうかは別として、緑色の野菜を絞って液体にすれば青汁と言えてしまうのが実情です。

最近では、さまざまな原材料の青汁が売られています。よく使われている原材料は、ケールと大麦若葉。そのほかにも明日葉、桑の葉、よもぎ、小松菜、モロヘイヤなどが挙げられます。

多様化する青汁の種類

日本で青汁が誕生した歴史については諸説ありますが、有力な説としては1943年、戦中の食糧難の時代に岡山県出身の大学教授・遠藤仁郎博士が開発したとされています。身のまわりにある野菜の“実”や“根”ではなく、捨てられてしまうことも多かった“葉”に目をつけたところが画期的でした。

そんな青汁が製品化されるようになったのが、例のCMが放送された1980年代。当時は、開発者の遠藤博士が推奨したケールのみが原材料として使われていたので、このときはまだ「青汁=まずい」が正しかったと言えるのかもしれません。

青汁の“2大”原材料

昔の青汁が「まずい」と言われてきた理由は、ケールという野菜が原材料に使われていたためでした。ケールには、ビタミン・ミネラル・酵素・葉緑素・フラボノイドなどが含まれていて、生活習慣病の予防効果が期待できますが、その反面、青臭さや苦味があって飲みづらいです。

アブラナ科に属するケールはキャベツの仲間で、日本では古くから「羽衣甘藍(はごろもかんらん)」や「緑葉甘藍(りょくようかんらん)」と呼ばれていた

アブラナ科に属するケールはキャベツの仲間で、日本では古くから「羽衣甘藍(はごろもかんらん)」や「緑葉甘藍(りょくようかんらん)」と呼ばれていた

それに対して、最近の青汁では、主原料に大麦若葉がよく使われています。口当たりがよくて飲みやすいうえ、ビタミン(特にビタミンC)や食物繊維が豊富。便秘・肌荒れの解消やダイエット効果(肥満の予防)など、美容・健康維持のための効果を期待して愛飲する人もいます。食物繊維で便秘が解消されると体内に溜まった老廃物が排出されやすくなるので、青汁の効果を実感しやすいのかもしれません。

中国産の普及によって日本でも定番化した大麦若葉。読んで字のごとく、大麦が穂をつける前の“若い葉”のことを指す

中国産の普及によって日本でも定番化した大麦若葉。読んで字のごとく、大麦が穂をつける前の“若い葉”のことを指す

フルーツ青汁、乳酸菌入り青汁……いろいろな青汁

近年の青汁は、主原料となる野菜の種類以外にも、「何と混ぜるか?」や「どんな味・風味を加えるか?」という点で、各メーカーが独自性を競っています。

たとえば私が開発した青汁の中には、蜂蜜入り青汁フルーツ青汁乳酸菌入り青汁6種の葉っぱが入った青汁などがあります。いろいろな味や成分にチャレンジしてきました。

市販の青汁にはほかにも、黒糖入りや抹茶入り、酵素入りにプラセンタ入り、寒天ジュレの青汁などもあります。

特にユニークで、個人的にオススメしたい青汁は、炭の入ったレモン風味の青汁。爽やかな風味を加えたことで飲みやすくなりすぎて、青汁らしさが消えてしまったため、社内でも「これは青汁の味じゃねえ」と指摘されたことすらありました。

炭の入った青汁の特長は、「老廃物を排出する」という意味でのデトックス効果。炭には小さい穴が無数に空いていて、その穴が体内の老廃物を吸着してくれるんです。最近では消臭剤にも炭がよく使われていますが、それも同じ理屈で、その穴が悪臭や余計な水分を取り除いてくれます。

新たな青汁の開発、次は「香煎茶」入りの青汁

ちなみに、青汁は「医薬品」ではなく「健康食品」。開発を始めてから半年くらいで製品化できるので、いろいろと開発しがいのある商品です。そのため、青汁の商品開発を手がけている身としては現状に満足せず、次なる一手を考えないといけません。前述のとおり、成分や味が多様化しているこの時代に、いったいどんな青汁が支持してもらえるのか──?

考えに考え抜いた結果として、たどり着いたひとつの答えは「とにかくおいしい青汁を作ろう!」ということ。やっぱり作るからには飲み続けていただきたいので、原料や成分も大事にしつつ、味へのコダワリは捨てちゃいけないなと。

そこで考案したのが「香煎茶」入りの青汁。あまり耳慣れない名前かもしれませんが、ベースは昆布茶で、緑茶・青じそ・梅肉の風味も楽しめる、和菓子によく合うお茶です。実際に香煎茶入り青汁のサンプルを作って飲んでみたところ、期待していたとおりとってもおいしく仕上がりました。

さらに飲みやすくするために、フルーツのフレーバーなどでムリヤリ甘みを出すのではなく、丹波の黒豆で自然な甘みをプラス。黒豆は、栄養素もありながら味にまろやかさを加えてくれる、青汁と相性のよい素材のひとつです。社内でも好評だったので、それこそ「旨味あふれる青汁」くらいのキャッチコピーで、おいしさを前面に押し出していきたいと考えています。

旨味の青汁(粉末)

インタビュー当時は開発段階だった香煎茶入りの『旨味の青汁(粉末)』

粉末タイプの青汁とバニラアイス

青汁には、原材料の違いとは別に、「液体」と「粉末」という形状の違いもあります。液体のメリットは、シンプルに「すぐに飲める」というところ。対して粉末の青汁のメリットは「味の調整がしやすい」というところです。

粉末タイプの青汁

フルーツジュースはもちろん、牛乳や豆乳で割っても、ヨーグルトに混ぜてもOK。粉末の青汁は「何で割るか」だけでなく「どれくらいの濃さにするか」も、お好みに合わせていろいろ試すことが可能です。バニラアイスにふりかけると、抹茶アイスのような風味を楽しめるのでオススメです。

さらに最近では、予期せぬ自然災害などへの対応策として、「非常用持ち出し袋」に粉末青汁を備えておくこと農林水産省が推奨しています。

避難中の食事で懸念されるのが野菜不足。これが原因で便秘や体調不良になり、病気につながるケースも多いといわれます。常温で保存できる野菜ジュースのほか、乾燥野菜やドライフルーツ、粉末の青汁、乾燥わかめ、焼きのりなどを用意しておきましょう。

日々の健康維持のためのサポート飲料として、さらには“もしものとき”の備えとして──粉末青汁が多くの家庭に受け入れてもらえたら、開発者冥利に尽きます。

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