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カインズ“デジタル化”の仕掛人・池照直樹が語る「ホームセンターの未来像」

スタッフ

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池照直樹

池照直樹

群馬県生まれ。92年、上智大学理工学部卒業。日本コカ・コーラ、日本オラクル、ミスミを経て、2006年に起業。さらに米国マイクロソフト、エノテカ執行役員、ゆこゆこホールディングス代表取締役社長・執行役員を務め、2016年より顧問としてカインズのデジタル戦略を推進。2019年7月より、同社デジタル戦略本部の本部長を務める。

カインズ「デジタル化」の幕開け

カインズの売り場に、ロボットが出現した──。

2020年11月、埼玉県朝霞市にオープンしたカインズ朝霞店で、見慣れぬ“店員”がお客さまを案内していた。その名も「カインズくん1号」。新たに導入した売場案内ロボットだ。

タッチパネルで探している商品を選ぶと、商品が並ぶ棚や通路の前まで、このロボットが先導して案内してくれる。そして案内が終わると、自動で元いた場所まで戻っていく。

商品の売り場まで案内してくれるロボット

朝霞店では、2台の売場案内ロボットが活躍している

機能としてはシンプルだが、このサービスはカインズにとって悲願のひとつだった。売場でのお客さまからの問い合わせのうち、8割近くを占めるのが「目当ての商品がある場所」について。商品数の多さに比例して、店舗面積も広くなりがちなカインズでは、スタッフだけでは十分に対応しきれない、そしてもっとも対応に力を入れるべき課題だった。お客さまのストレス軽減はもちろん、スタッフの既存業務を止めずに済むというメリットもあるためだ。

2019年以降、この売場案内ロボットに限らず、カインズではさまざまなデジタル施策に取り組んできた。

従業員向けの「売場・在庫検索アプリ」の導入を皮切りに、オンラインでの注文商品を取り置く“非接触”ロッカーの設置、顧客向けアプリでの売場表示機能、店舗に併設されたドッグランのネット予約サービス……。例を挙げはじめるとキリがない。コロナ禍でマスクの需要が高まった際は、ECサイトに抽選機能を導入。素案が出てから約1週間というスピードで実装を果たした。

カインズのデジタル施策の一例

※一部店舗のみでの実施施策も含む、2021年1月時点

1時間ごとに5匹まで、無料で使えるドッグラン。アプリ認証でゲートを解錠する

1時間ごとに5匹まで、無料で使えるドッグラン。アプリ認証でゲートを解錠する

これらのデジタルサービスは、基本的に内部で開発している。その中核をなすのが、2019年に発足した新組織「デジタル戦略本部」のメンバーたち。そしてその陣頭指揮をとるのが、現在、カインズのデジタル戦略本部長を務める池照直樹だ。

デジタル化のキッカケは、8年前のひとつの出会い

遡ること8年前、2013年11月──。

池照は、Salesforceが主催するとあるイベントに登壇していた。イベント終了後、たくさんのオーディエンスと名刺交換を行うなかで、ひときわテンションの高い男性が1人。カインズの社員だった。

池照は当時をこう振り返る。

「カインズの現会長・土屋裕雅は、私の高校の先輩。出身が群馬で、カインズの前身であるいせやホームセンターにも馴染みがあった。イベントで名刺交換してからすぐに、土屋と会食の場を持つことになりました。当時はエノテカに勤めていたので、初対面のときはワインの話をした記憶しかないですが(笑)」

カインズ デジタル戦略本部 本部長 池照直樹

カインズ デジタル戦略本部 本部長 池照直樹

「何度か会食を重ねたある日、土屋がこう切り出したんです。『カインズのECサイトを立て直してほしい』と。私のカインズでのキャリアがスタートすることになるキッカケの一言でした」

その後は3ヵ月に一度のペースで、ECやIT全般について意見交換を繰り返した。池照いわく「土屋は会長になってからも勉強熱心で、わからないことはどんどん質問してくるんです。自らさまざまなイベントにも足を運んで、デジタルの知見をどんどん吸収していたのを覚えています」。

ほどなくして、amazonが主催する「AWS re:Invent」に同行した池照は、土屋にこう提案した。

「シリコンバレーに、カインズのラボを作って、デジタル事業の実験室にしよう。広い倉庫を借りて、リテールに関するいろいろな実験を行って、そこで作り上げたものを日本の店舗に導入できれば、きっと面白いことができる」

最初は「どっちつかずの反応だった」が、池照の熱に押されて、次第に前のめりになっていった土屋。その直後にカインズが打ち出した「IT小売企業宣言」も、この話と無関係ではなかった。

2019年2月、アドバイザーとして外部から関わっていた池照がカインズに正式にジョインし、それと同時に社内にデジタル推進会議が発足。議長を務めたのが、8年前に池照に声をかけた社員の内山だった。これまでまったく手をつけてこなかったデジタル事業を、どこから、どうやって“推進”していくべきか──いろいろな進め方が提案された。

そして、

「デジタル化を押し進められるチームを自前で作ろう」

という、ひとつの結論に達するまでは、そう時間はかからなかった。

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