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無洗米は、研ぎ洗いの手間がなく、手軽にご飯を炊ける便利なお米だ。
しかし、その一方で無洗米に対して「まずい」「栄養がない」「パサパサしている」などのネガティブなイメージを持っている人も多い。
はたして、その先入観は果たして正しいのか。
「無洗米がまずい、栄養がないというのは偏見です。おいしく栄養価が高いので、ぜひ無洗米を食べてみて欲しいと思います」
そう語るのは、カインズで無洗米のバイヤーをつとめている小島雄介。さまざまなメーカーと交渉して商品調達・開発を進めている、無洗米のプロフェッショナルだ。
彼に無洗米の疑問やネガティブなイメージをぶつけながら、無洗米の本当の魅力を探ってみたい。
小島雄介
カインズ 日用雑貨SBU 加工食品部 加工食品部。店舗業務(店長)を経て、営業企画部で売場の演出を担当し、2020年より加工食品部でバイヤーを務める。ウェルネスやウェルビーングを意識したウェルネスフードの商品調達・開発を進めており、「ウェルネスと言ったらカインズ」と言ってもらえるような未来設計を作るため日々奮闘中。日々の楽しみは、家に帰って妻とお酒を飲むこと。
──「無洗米=まずい」というイメージを持っている人がいるようですが、どのように感じていますか?
小島:まったくの誤解だと思いますし、無洗米だからといって味は変わりません。食べ比べてみればわかるのですが、むしろ精白米(普通米)の方がヌカが取れていないこともあり、ニオイが気になることがあります。無洗米はそういった匂いを感じることがないので、非常に食べやすい商品です。
──なぜ無洗米は洗わなくてもいいのですか? 精白米との違いを教えてください。
小島:標準的な精白米は、玄米の表面を覆っている茶色の糠(以下、ヌカ)を9割以上取り去って出荷されます。しかし、それらの精米した白米の表面には、一般的な精米装置では取ることが難しい肌ヌカ(精白米の表面に残っている粘着性の高いヌカ)が残っています。この肌ヌカを取り除くために、精白米は研ぎ洗いが必要となるのです。
一方で「無洗米」は、この肌ヌカをほぼ完全に除去しています。肌ヌカの除去方法はいくつかあり、肌ヌカと水が混じったとぎ汁をタピオカ澱粉で吸着させる「タピオカ式」や、肌ヌカの粘着性を利用して除去する「ヌカ式」などが使われます。いずれの方法も肌ヌカをほぼ完全に除去するので、ヌカ臭さを感じることはほとんどありません。
──無洗米の方がおいしいというのは、イメージと逆ですね。なぜ、「無洗米=まずい」と思われているのでしょうか?
小島:無洗米の市場調査でよく聞くのは、「無洗米=洗わないので汚い」というネガティブなイメージです。一般的な精白米はしっかり水で流して研ぎ洗いすることが当たり前なので、その工程のない無洗米は「汚い」と感じるのかもしれません。
しかし、精米の工程で見てみると無洗米の方がヌカを除去する工程が増えているので、精白米に比べて「きれい」な状態だといえるのではないでしょうか。実は私もバイヤーになる前は、「無洗米=汚い」という先入観があり全く買わなかったのですが、今となってはおいしくて便利なので無洗米しか使ってないですね(笑)。
──無洗米はヌカをほぼ完全に取ってしまうので、精白米に比べて栄養が少ないのでしょうか?
小島:そのイメージは全くの誤解で、無洗米の方が栄養価が高い場合もあります。というのも、精白米の場合は水で研ぎ洗いをするときに、ヌカと一緒に水溶性ビタミンなどの栄養が流れてしまうのです。
小島:いわば、水と一緒に栄養を流してしまっているようなかたちですね。無洗米の場合は、それ以前の精米工程でヌカを短時間で削りきっているので、栄養を水で洗い流すことなく食べられるというわけです。
──無洗米は表面のヌカを取っているので、ニオイがつきやすいのでしょうか?
小島:精白米とそんなに大きく変わらないと思います。普通のお米と同じく匂いがつきやすいですし、気温が高くなれば虫が寄ってくることもあります。そのため、季節に関わらず温度と湿度を一定に保つことが重要です。冷蔵庫の野菜室などで保管して、いつでもおいしく食べられるようにしておくことがオススメです。
──保管方法はどのようにすればいいのでしょうか?
小島:タッパやジップ式のビニール袋密閉できる容器に入れて、冷蔵庫や野菜質で保管するのがおすすめです。空気に触れると、お米が割れたりカビが発生する原因になるので、そのまま放置しないように気を付けましょう。あとは、米専用の虫よけ商品を活用するのも便利です。
──無洗米が他の精白米に比べて割高なのは、なぜでしょうか?
小島:精米の工程が、精白米よりも多いからです。普通に販売しようとすると、おそらく100〜200円ほど価格を上げる必要があります。ただ、無洗米に対してネガティブなイメージを持っている方も多いので、精白米と同価格で販売するところも多いようです。とにかくまずは無洗米を買ってもらって、おいしさを実感してもらうような販売戦略ですね。
──米の銘柄によって無洗米が出ていないこともあるのですが、その理由は?
小島:精米の工程が増えるだけなので、どの銘柄でも無洗米として販売できますが、そのときハードルになるのは値段が上がってしまうことです。今まで安く売っていたお米を、無洗米にする必要があるのか。あるいは、ブランド米を無洗米にして、値段がさらに上がることを許容できるのかなど、考慮するべきポイントが浮かび上がります。
私個人の考えとしては、無洗米の市場がどんどん伸びていることもあり、今後はそういった風潮を見直していくべきだと思っています。カインズでも、無洗米の売上が昨年比1.5〜2倍に高まっているので、無洗米のラインナップを増やすことも含め、色々な可能性を探っています。
──無洗米を炊いたときに「パサパサしている」という声も聞きます。その原因は?
小島:おそらく水の量が足りないのが主な原因だと思います。というのも、無洗米は肌ヌカを取っている分だけ、1カップ(計量カップ)に入る米の量が多くなります。全体の米の正味量が増えるので、通常の精米の時よりも1カップにつき小さじ1杯(5ml)程度多く水を入れてください。品種や硬さの好みにもよるので、微調整は必要です。炊飯器の無洗米モードを使うことで、さらにおいしく食べられますよ。
また、キャンプ場で無洗米を炊くときには、炊飯設備が十分ではないこともあるので、米1カップにつき小さじ1~2杯をさらにプラスするなど、普段より水の量を増やしたほうがいいかもしれません。
──他にも、無洗米をおいしく炊くためのコツはありますか?
小島:手軽にできる方法として、炭酸水(軟水)で炊くことがオススメです。炭酸水に含まれる二酸化炭素の「しゅわしゅわ」が、全体へ均等に熱を伝えることに貢献するため、ふっくらモチモチに炊き上がります。
無洗米のおいしい炊き方の基本についても聞いてみた。米の計量から炊飯後の保温まで詳しく教えてもらったので、無洗米を食べるときの参考にしてもらいたい。
小島:計量カップでお米を量ります。通常、計量カップ1杯が1合(150g)です。お米はとても乾燥しやすいため、できるだけ空気に触れさせないように、手早く計量してください。
小島:炊飯釜の目盛りよりやや多めに水を入れます。たとえば、米が1合(150g)の場合、水は1.5倍(225g)になります。
基本的に洗わなくても大丈夫ですが、気になる方は、ざるに入れて一度水で軽くすすいでください。水加減は、お好みに合わせて調整してください。軟水のミネラルウォーターや浄水器を通した水を使用すると、いっそうおいしく炊けます。
小島:お米に水をたっぷり吸わせます。夏場は30分以上、冬場は60分以上、水に漬けて下さい。米粒全体が乳白色になるまで水に漬けると、ふっくらと炊けます。
小島:炊飯時間は約30分、蒸らし時間は約10分、合わせて40分程度で炊き上がります。
小島:ご飯をほぐして、余分な水分を逃がします。しゃもじで、十文字にご飯を切り分けます。釜底からご飯を掘り起こし、切るようにほぐします。
炊き上がりの直後に、必ずほぐしてください。余分な水分を飛ばして、粒に張りのあるご飯になります。
小島:保温器にご飯を移す際には、ご飯をほぐすようにしながら移します。保温器に古いご飯が残っている場合には、新しいご飯を上に重ねないようにします。古いご飯をボールなどに移して、新しいご飯を移した後、その上に古いご飯を重ねるようにします。
近年のキャンプブームにともなって、無洗米がアウトドアで活躍することも多い。キャンプ場で無洗米はどのように活用されているのか。キャンプグッズなどのレジャー用品に詳しいカインズの坂井隆に聞いてみた。
坂井隆
日用雑貨SBU日用雑貨部 兼 加工食品部 商品開発担当。店舗業務(店長)、品質保証部、商品本部(レジャー用品バイヤー)を経て、現在商品開発を担当。くらしDIYを実現するべく差別化できる安全・安心な商品の開発に注力。趣味はマリンスポーツ、釣り、ゲーム。
──キャンプ場で無洗米が活躍することも増えているようですね。
坂井:無洗米は洗わなくていいので、そのメリットが大きいと思います。設備が充実したオートキャンプ場などでは、水場がたくさんあったりしてお米を洗う環境が整っています。しかし、流行りのソロキャンプや普通の山・河でキャンプしようとすると、洗い場自体がないことも多いので。そういったときに、洗わなくていい無洗米は非常に便利です。
特に寒くなってくる時期や、気温の低い地域などでは、無洗米を活用するのがオススメです。無洗米の年間売上を見ても、冬場は最も数字が上がっています。キャンプに関わらず、手指の荒れや冷えが気になる方にも、無洗米は支持されていますね。
──無洗米は体の冷え対策にもなるんですね。
坂井:無洗米を使うメリットとしては他にも、お米の研ぎ汁が出ないことがあげられます。研ぎ汁には、リンや窒素などの栄養素が多く含まれており、有害というわけではありませんが、下水処理場で処理しきれないことが起こっています。そのため、自然にそのまま研ぎ汁を流すことは、環境汚染につながることもあります。それを防ぐためにも、アウトドアでは無洗米を活用するのがオススメです。
──無洗米と一緒に使うと便利なアウトドアグッズがあったら教えてください。
坂井:コロナ前に比べて、10〜20倍ほど売れているアウトドアグッズがあります。それは、アルミ製の飯ごう「メスティン」です。無洗米を入れれば、水を入れて火にかけるだけでご飯が炊けるので非常に便利ですね。「時短+手間が省ける」ので、無洗米とセットで使うことがかなり定着していると思います。少量のお米(1〜2号)がパックになった商品も販売されているので、買っておくと長期保存に便利かもしれません。
──災害時に備えて無洗米を用意している方も多いのでしょうか?
坂井:そうですね。一般家庭のみならず、農林水産省でも災害時に迅速に供給するため、無洗米を備蓄しています。政府が購入・保管していた備蓄米の一部を、平成24年度より無洗米にして保管。自然災害が起こった際には、それらの無洗米を供給しているそうです。
──研ぎ洗いしなくてもいい無洗米は、災害時にも活躍しそうですね。
坂井:災害の規模によっては断水が起こることも十分考えられるので、最小限の水で炊ける無洗米が圧倒的に便利です。非常食としては、水を入れるだけで食べられるアルファ米が一般的ですが、平常時とキャンプのことも考えると無洗米の方が実用的で幅広く使えます。
坂井:日々の食卓はもちろん、災害時やキャンプなど様々なシーンで活用できる無洗米を、ぜひ一度試していただければと思います。