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【カインズアプリ開発の裏側】導入までわずか4カ月!カインズ店員が使う〝あの端末″のヒミツ

聞いてみた

水野圭基

水野圭基

株式会社カインズ デジタル戦略本部オムニ戦略統括部長。2005年カインズ入社。店長、エリアマネージャーを経て2018年にデジタルイノベーション室に所属し、現職に。店舗業務の改善などを担当。

IT大工と呼ばれるカインズ!

競争の激しいホームセンター業界。その中でもカインズは「IT×小売業」の実現をトップスピードで進めています。

カインズ店員に商品の場所を聞けば手元の端末でサッとご案内、自宅からでもアプリで商品在庫が確認でき、売場に行けばデジタルサイネージとロボットがお出迎えする店舗も。

そんなカインズのデジタルシフトぶりが目覚ましく、近年は「IT大工」と呼ばれるようになりました。

IT大工カインズの歴史とデジタル戦略について聞いてみた前回に引き続き、今回はカインズのアプリ開発の裏側も聞いてみました。

株式会社カインズ デジタル戦略本部水野圭基

水野圭基(みずの よしき)

株式会社カインズ デジタル戦略本部オムニ戦略統括部長。2005年カインズ入社。店長、エリアマネージャーを経て2018年にデジタルイノベーション室に所属し、現職に。店舗業務の改善などを担当。

カインズのデジタル戦略おさらい

カインズの4つの戦略

──カインズは2019年頃からデジタル化を急速に進めていますね。

水野圭基さんアイコン

水野圭基

はい。カインズは2019年に新体制になり、持続的な成長に向けた2021年度までの3カ年中期経営計画「PROJECT KINDNESS(プロジェクト カインドネス)」を発表しました。その柱の1つが、デジタル戦略ですね。

カインズのデジタル戦略

水野圭基さんアイコン

水野圭基

デジタル戦略では「オンラインツールと実際の店舗をうまく融合させて、従業員とお客様のストレスを減らすこと」を目指し、様々なプロジェクトを走らせました。その中でも主なプロジェクトの1つが各種アプリの開発でした。

従業員のストレスフリーを実現するアプリ「Find in CAINZ」

アプリ「Find in CAINZ」

──具体的にどのようなアプリを開発したのですか?

水野圭基さんアイコン

水野圭基

まず開発したのは、従業員向けの売り場・在庫検索アプリ「Find in CAINZ」です。店舗で従業員が操作している端末に入っているアプリですね。

カインズ店舗メンバー用端末『SITE Phone』

カインズ店舗メンバー用端末『SITE Phone』。この中にアプリ「Find in CAINZ」が入っている

水野圭基さんアイコン

水野圭基

「Find in CAINZ」は商品名やキーワード、JANコードなどを入力するとその商品の売り場や在庫数などを即時に把握できるアプリです。従業員の作業や接客時に使用されています。

──なぜ従業員用のアプリを最初に開発したのですか?

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水野圭基

従業員のストレスって何だろう、と調査をしたのが始まりです。私も長い間店舗にいたのでわかるんですが、店舗従業員はお客様から「この商品、どこにありますか?」と聞かれることが圧倒的に多いんです。これをまず解決したかった。

カインズの商品棚

水野圭基さんアイコン

水野圭基

それまで使用していた従業員用の旧端末は非常にシステムが古く、業務効率が良いとは言えませんでした。なんとGoogleが使えなかったんです(笑)。端末の画面上に業務名とボタンがあるだけの単機能なうえに、セキュリティが高くて、作業をするたびに暗証番号を入れる必要があったりと、とにかく非効率的でした。

従業員用の旧端末

旧態依然としていた従業員用の旧端末

水野圭基さんアイコン

水野圭基

当然、従業員からも不満の声が出ていました。まずはこのストレスを解消するため、従業員用アプリの開発プロジェクトが2019年2月にスタートしました。

1週間サイクルで改善を繰り返すスピード開発

──開発はどのように進んでいったのですか?

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水野圭基

当時はカインズ社内にエンジニアチームがいなかったので、外部のベンダーさんに開発チームとして協力いただいていたんです。私はまず現場の声を聞いて、開発チームに要望を伝えるようにしていました。「こういう風に使えたら便利だと思うんだけど、できるかな?」と開発チームのエンジニアに相談すると「こういう技術やソリューションならできるよ」と回答がもらえる。そして実際に開発してもらったものを、毎週レビューするんです。

アジャイル開発

1週間から1か月の短い期間でテストを繰り返しスピーディーに開発する「アジャイル開発」の手法をとった

水野圭基さんアイコン

カインズ水野

開発した試作段階のアプリを実際に店舗に持っていき、現場の従業員に触ってもらってフィードバックをもらいましたね。例えば、以下のような改善点が挙がりました。

【現場から挙がった改善点】

  • 従業員は手袋をして歩きながら操作をするので、画面のボタンはもっと大きいほうがいい!
  • 昔から働いているパートさんも多いので、文字は大きく読みやすくしてほしい!

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水野圭基

そんな風に、最初から開発要件をしっかり決めるのではなく、短期間で改善を繰り返しながら、必要なものを足していきました。

──これまでIT分野に詳しくなかったカインズがアプリ開発に着手するのはかなり大変だったのではないですか?

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カインズ水野

大変でした…(笑)。私はITについて本当に何も知らなかったので、ご協力いただいたベンダーさんにいちから教えてもらいました。また、開発チームの約半数が外国籍の方だったのですが、私は英語が上手くないので、通訳ができるメンバーに助けてもらいながら、カタコトの英語と、日本語でコミュニケーションをとっていました。

アプリ導入後、カインズはどう変わったのか?

アプリを手に持つカインズの店員

──「Find in CAINZ」が実際に店舗に導入されるまでどれぐらいかかったのですか?

水野圭基さんアイコン

水野圭基

約4カ月ですね。2019年2月に開発を開始し、同年6月にまず4店舗へ導入しました。

──「Find in CAINZ」を導入した店舗の現場からはどのような反応が?

水野圭基さんアイコン

水野圭基

最初は「そんなの使わないよ」と言われました(笑)。長く働いている従業員ほど「売場のことは全部覚えているから大丈夫」と。でも、便利だからぜひ使ってください、と一店舗ずつ説明会をひらいて、少しずつ導入してもらいました。

カインズ従業員向け説明会の様子

従業員向け説明会の様子

水野圭基さんアイコン

水野圭基

導入から1カ月ほど経ったころ、各店舗から「すごく便利だね」と声をいただくようになりました。理由を聞くと「自分が担当する売場のことは知っているけれど、他の人が担当する売り場のことは分からないから、アプリがあって助かった」と。30年務めているパートさんからも好評をいただけるようになったので、とても嬉しかったですね。

──「Find in CAINZ」を導入した結果はどうでしたか?

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水野圭基

まず、全店舗の売場案内の接客時間が40%ほど削減されました。接客1件あたり平均約5分かかっていたのが、約3分になったんです。担当へ電話して商品の場所を聞いたり、走って見に行ったりすることなく、手元の端末でスムーズにお客さまをご案内できるようになったからですね。従業員の歩行距離が減ったデータも出ています。

カインズの店内の様子

水野圭基さんアイコン

水野圭基

お客様からも「アルバイトさんに質問したとき『わからないです』と言われる頻度が減った」というお声をいただきました。店舗ではアルバイトの人数が多いので、新人さんにはどうしても答えられない場面が出てきます。しかし、アプリがあることで従業員の誰に尋ねても正確に答えてくれる安心感が生まれているのではないでしょうか。

──従業員だけではなく、お客様の快適さにも繋がるのですね。

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水野圭基

そうです。従業員用アプリの開発と聞くと裏方的で地味な印象を受けますが、商品を探す手間を省くことで店舗全体の効率改善に大きく貢献し、最終的にお客さまのストレスフリーに繋がる、重要な施策です。

従業員用アプリの機能を応用し、お客様向けのアプリをゼロから開発

──お客様向けのモバイルアプリ「CAINZアプリ」も誕生しましたね。

水野圭基さんアイコン

水野圭基

はい。こちらはお客様が商品を検索したり、在庫確認や取り置きができるアプリです。従業員用アプリと同じく2019年2月に開発に着手しましたが、リリースは2020年2月と丸1年かかりましたね。これは従業員用アプリと違って最初から開発要件をしっかり決めてつくりました。

水野圭基さんアイコン

水野圭基

「CAINZアプリ」には、商品がどの店舗のどこの棚にあるのかがわかる機能があります。これは先ほどの従業員用アプリの商品検索機能を応用しているんです。

商品がどの店舗のどこの棚にあるのかがわかる機能

──商品の場所はあらかじめ決められているのですか?

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水野圭基

商品はただ棚に並べているだけではなく、並べた場所を記録する「棚割り登録」をしているんですよ。どの商品がどこにあるかを「棚割り表」にして、すべてデータにしています。商品の種類や店舗によって並べ方が変わるので、とてつもない量のパターンがあるんです。この棚割りパターンはカインズ商品部が命をかけているところなので、企業秘密なのですが…(笑)。

 

とにかく、商品の並べ方には意図があり、カインズが40年間培ってきたホームセンターとしてのノウハウの結晶なんです。

カインズの棚割り

水野圭基さんアイコン

水野圭基

おかげさまでカインズアプリの会員数も着々と増えています。しかしアプリにはまだまだ課題がたくさんあるので、社内のエンジニアチームと日々話し合って改良を重ねているところです。

カインズのデジタル戦略が提供する最大の価値とは?

カインズのデジタルサイネージ

──デジタルを取り入れてから、カインズはどう変わりましたか?

水野圭基さんアイコン

水野圭基

カインズらしさが出てきたと思います。昔はカインズを含め、どこのホームセンターも正直同じような品揃え・内装でした。しかし近年のカインズは「ライフスタイルを売る会社」というイメージを持ってもらえるよう、商品開発や内装にこだわり、カインズならではのサービスを増やすことで少しずつ他社と差別化できていると思っています。

──今後どのようにデジタルを活用していきますか?

水野圭基さんアイコン

水野圭基

デジタルシフト自体に価値があるわけではないと思っています。やはり私たちはリアルな店舗があってこその商売なので。前回も言ったように、お客様に不便が無いようにするのは当たり前。そのうえで、他社と違う便利さをご提供できるように体験を設計することが重要です。カインズならではの価値をお客さまへ提供するためにデジタルな手法が最適だと判断すれば、積極的に取り入れて活用するつもりです。

カインズのショッピングカート

カインズのデジタル戦略はまだまだ止まらない!

次回はアプリと連動した取り置きサービス「CAINZ PickUp」の誕生秘話や狙いについて解説します!

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