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愛犬が醤油を舐めてしまった……。そんな経験はありませんか? ごく少量なら大丈夫ですが、犬にとって醤油は塩分濃度が高く、飼い主が思うよりわずかな量で健康に深刻な影響を与える危険性があります。無理な応急処置はせず速やかに動物病院へ相談、診察を受けてください。
今回は、犬と醤油に関するリスクや中毒を起こす量の目安、万が一の対処法などを、獣医師の岡田京子先生監修のもと解説していきます。
目次
- もし犬が醤油を舐めた場合の対処法
- 犬が醤油で中毒を起こす分量は? 少量でも注意が必要な理由
- 犬にわさび醤油や醤油せんべいなど加工品は与えるのはNG
- 犬が醤油を舐めてしまった! なぜダメなのかNGの理由
- 犬にとって塩分とは?必要性と過剰摂取のリスク
- 犬に絶対食べさせてはいけない食べ物は?
- 醤油以外の大豆の加工食品は犬が食べても大丈夫?
- 犬が食べてもよいおすすめのおやつやフード
- まとめ
もし犬が醤油を舐めた場合の対処法
愛犬が醤油を舐めてしまった場合、どのような対処をしたらいいのでしょうか。慌てず冷静な対処が重要です。
まずは摂取した量や様子を確認し、異常がないか観察しましょう。少量であれば大きな問題にはならないこともありますが、犬にとって塩分過多は健康に深刻な影響を及ぼす可能性があるため、油断は禁物です。万が一の事態に備え、速やかに獣医師へ相談し、必要に応じて受診することが大切です。
異常がある場合と大量に摂取した場合は早急に受診する必要がある
もし愛犬が醤油を舐めた後に異常な様子が見られる場合は、すぐに動物病院へ連絡し、指示を仰ぎましょう。特に、大量に摂取してしまった場合は、食塩中毒(高ナトリウム血症)のリスクが高まり、命に関わる可能性があります。
以下のような症状が見られた場合は、緊急対応が必要です。
- 嘔吐や下痢
- 水の多飲
- ふらつき、意識の混濁
- けいれん発作
- 尿量の変化(多尿または無尿)
また、ネット上では犬が誤飲や誤食をした際、「食塩水を飲ませて吐かせる」といった情報を目にすることがあります。しかし、この方法は非常に危険なので絶対に行ってはいけません。食塩水を犬に飲ませることで食塩中毒を引き起こし、最悪の場合、命に関わる事態に陥る可能性があるからです。絶対に試さず、必ず獣医師の指示に従いましょう。
愛犬の様子を獣医師に正確に伝えるために、異常が見られた際は余裕があればスマホで写真や動画を撮影しておくことをおすすめします。これにより、獣医師がより適切な判断を下しやすくなります。
少量で異常がない場合
愛犬が少量の醤油を舐めた程度で、嘔吐や下痢、元気消失などの異常が見られない場合でも、念のため獣医師への相談をおすすめします。犬の体格や体調によっては少量でも影響が出る可能性があります。「大丈夫だろう」と自己判断せず、専門家の意見を聞くことが重要です。
摂取後、数分から2~3時間以内に何らかの症状が表れることが多いとされています。醤油を舐めてしまった時間が夕方で、症状が出る可能性がある時間帯が夜間にかかる場合は、当日診察時間内に受診したほうがいいでしょう。
舐めた時間が夜間で、元気がない、水を異常に飲む、ふらつくといった様子が見られた場合は、夜間でも迷わず動物病院を受診してください。このためにも、夜間診療をしている動物病院のピックアップも重要です。かかりつけのみだけではなく、セカンド・サード・夜間診療まで今一度検討してみましょう。
また、いつ・なにを・どれくらいの量を舐めたのかを記録しておくと獣医師に伝える際に役立ちます。時間の経過とともに症状が出る場合もあるため、その後も数時間から半日程度は様子を観察しましょう。
醤油の置き場所には注意し家族で情報共有を
醤油の誤飲を防ぐためには、犬が簡単に舐められない場所に醤油を保管することが大切です。キッチンの棚や冷蔵庫に収納し、誤ってこぼしてしまったときはすぐに拭き取るようにしましょう。
また、家族や同居人にも情報を共有し、犬が醤油を含む塩分の多い食品を口にしないよう注意を促しましょう。小さな子どもがいる家庭を含め、家族みんなが犬に人間の食べ物を安易に与える危険性をしっかり認識することが重要です。
醤油に限らず、飼い主は日頃から、犬が口にする可能性のある食品に危険なものが含まれていないかを確認し、安全な食環境を整えることが愛犬の健康を守るために不可欠です。
犬が醤油で中毒を起こす分量は? 少量でも注意が必要な理由
犬が塩分を過剰に摂取すると、中毒を引き起こす可能性があります。特に、小型犬ほど少量の塩分でも症状が出やすいため、十分な注意が必要です。
一般的に、犬の体重1kg当たり2~3gの塩分を摂取すると中毒を引き起こす可能性があるとされ、4~5gを超えると致死量に達するリスクが高まります。醤油に含まれる塩分濃度を考慮すると、体重1kg当たり大さじ1~2杯程度が危険なラインとなります。
特に、心臓や腎臓に疾患を持つ犬は、わずかな塩分でも体調を崩す可能性が高いため、細心の注意が必要です。また、肥満気味の犬や慢性疾患(肝疾患、消化器疾患)を抱える犬も、塩分の過剰摂取はさらなる負担を体にかけることになります。
犬にわさび醤油や醤油せんべいなど加工品は与えるのはNG
犬にとって、わさび醤油や醤油を使用した加工食品は危険です。わさび醤油は塩分に加え「わさび」の刺激成分が犬の健康に悪影響を与えます。また醤油を含む加工品も犬にとっては塩分過多となるため、与えないほうがいいでしょう。
わさびの成分が与える悪影響
わさびには辛味成分が含まれており、犬が摂取すると感覚麻痺や胃腸障害を引き起こす恐れがあります。具体的な症状としては、口腔粘膜の痛みや感覚神経の一時的な麻痺、嘔吐、下痢、胃腸炎などです。その他、失神、脱水症状や食欲不振、震えなどが見られる場合もあります。
醤油せんべいや佃煮など加工品もNG
醤油せんべい、佃煮、たまり漬けなど、醤油を使った加工食品も犬に与えてはいけない食べ物です。これらには高濃度の塩分が含まれているだけでなく、添加物や保存料、香料など、犬の健康に悪影響を及ぼす可能性のある成分が含まれています。犬の健康を守るためには、人間用に作られた加工食品を与えないことが重要です。
犬が醤油を舐めてしまった! なぜダメなのかNGの理由
犬に醤油を与えるのはなぜ避けたほうがいいのかについて、もう少し詳しく見ていきましょう。醤油が低塩・減塩タイプであっても、犬にとっては依然として塩分過多になる可能性があります。醤油と同様味噌も塩分が高く、人間向けの調味料は全て与えられないと思っておいたほうがいいでしょう。
醤油の塩分濃度は海水の約5倍
醤油は大豆、小麦、塩から作られ、濃口醤油や白醤油、淡口醤油などいくつか種類があります。塩分濃度は種類によって異なりますが濃口醤油で約16%~17%、淡口醤油で約18%~19%です。これは海水の塩分濃度約3.5%の約5倍に相当します。そのため、犬にとっては非常に高濃度な塩分源となるのです。
犬に醤油を与えるリスク1【塩分過多による体への影響】
醤油の高い塩分により、犬は血圧が上昇し、腎臓や心臓など、さまざまな臓器に負担がかかります。汗をかきにくい犬は塩分を排出しにくく、持病がある場合はさらに深刻な影響が出る可能性があります。
犬に醤油を与えるリスク2【食塩中毒(高ナトリウム血症)】
過剰な塩分摂取は血中ナトリウム濃度を異常に高め、脳や心臓、腎臓に大きな負担をかけます。食塩中毒(高ナトリウム血症)に陥ると、細胞内の水分が奪われ、脱水症状や神経障害を引き起こすことがあります。重症化すると、震えやけいれん、昏睡状態に陥ることもあり、最悪の場合は命に関わる危険があります。特に小型犬や持病のある犬はリスクが非常に高いため、塩分の摂取には十分注意が必要です。
中毒症状の例
軽症では水を大量に飲む、下痢、嘔吐、食欲低下などが見られ、重症ではけいれん、神経症状、呼吸困難などの危険な状態に陥ることもあります。
犬にとって塩分とは?必要性と過剰摂取のリスク
犬にとって塩分は必要な栄養素の一つですが、摂取のバランスが重要です。塩分不足・真水の過剰摂取により低ナトリウム血症を引き起こし、筋肉のけいれんや意識障害を起こす可能性があります。一方で、過剰摂取すると腎臓や心臓への負担が大きくなるほか、食塩中毒(高ナトリウム血症)を発症するリスクも高まります。
犬の健康維持には適量の塩分が不可欠ですが、ドッグフード(総合栄養食)には必要な塩分がすでに含まれているため、追加で摂取する必要はありません。人間向けの調味料や食品、特に醤油などの塩分を多く含むものは、犬にとって栄養的なメリットがなく、リスクの方が大きいため与えるべきではありません。
特に暑い時期は水分摂取が増えますが、犬は人間と異なり発汗による塩分の排出が難しいため、少量の塩分過多でも健康被害が生じることがあります。どの季節でも油断せず、食事や塩分管理を徹底することが大切です。
犬に絶対食べさせてはいけない食べ物は?
人間の食べ物の中には、犬にとって有害な成分が含まれているものが多くあります。特に、加工食品にはオニオンエキスなどの成分が含まれていることがあり、犬の健康に悪影響を及ぼす可能性があります。これらは見た目では判断しにくいため、飼い主が事前に犬にとって危険な食品を理解し、誤食を防ぐことが重要です。犬の健康を守るためにも、人間の食べ物を安易に与えないことを徹底しましょう。
醤油以外の大豆の加工食品は犬が食べても大丈夫?
醤油は犬にとって塩分が多過ぎるため食べさせるのはよくありませんが、大豆を使った他の食品の中には、犬が食べても問題のないものもあります。例えば、納豆や豆腐は、適量であれば犬にとって健康的なタンパク源となります。ただし、与える際はたれや薬味などで味付けしないで与えることが重要です。大豆を使った加工食品も食べさせないほうがいいでしょう。
犬が食べてもよいおすすめのおやつやフード
カインズオンラインショップでは、大豆を使った犬用のおやつやフードを取り扱っています。さらに、ペット用の食器やケア用品、おもちゃなど、さまざまなペットグッズも取りそろえています。ぜひオンラインショップをチェックしてみてください。なお、愛犬のフードやおやつを選ぶ際は、『犬用』と明記されているかを確認し、原材料表示に塩分・添加物が少ないものを選ぶようにしましょう。
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※上記商品は獣医師の監修外です。
まとめ
犬にとって醤油は塩分が高く、大量に摂取すると食塩中毒のリスクが高まります。少量で異常がない場合でも慎重に様子を見守り、異変があれば速やかに動物病院へ相談することが大切です。また、塩分の過剰摂取は腎臓や心臓に負担をかけるため、犬の食事管理には十分な注意が必要です。
人間向けの調味料や加工食品には犬にとって危険な成分が含まれていることが多く、知らないうちに犬の健康に悪影響を及ぼす可能性があります。安全な食生活を維持するためにも、醤油だけでなく他の有害な食品についても正しい知識を持ち、誤食を防ぐことが重要です。