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Animal Life Partner代表。ペット栄養管理士など様々な資格を生かし、診療や往診のほかに、セミナー講師やカウンセリング、製品開発など幅広く活動。
大豆たんぱく質が豊富に含まれ、発酵食品として知られる納豆ですが、犬の食事として納豆をあげてみようと考えたことはありませんか? そこで今回は、獣医師でAnimal Life Partner代表で獣医師の丸田香緒里先生に教えていただいた、犬に納豆を与える際の注意点や適量、納豆が体調不良やアレルギーを引き起こすかどうかなどについて解説していきます。
目次
- 犬に納豆を与えても大丈夫?
- 納豆に含まれている栄養成分と、犬に与える健康効果は?
- 持病のある犬には納豆を食べさせない方がいい?
- 大豆アレルギーを持っている犬に納豆を食べさせるのはNG!
- 犬に納豆を与えるときの適量は?
- 犬に納豆を与えるときのおすすめの方法は?
- 犬に納豆を与えるときの注意点
- 犬が納豆を食べ終わったら口周りのケアを忘れずに
犬に納豆を与えても大丈夫?
犬に納豆を与えても問題ありません。納豆は大豆が原料で植物性のたんぱく質が豊富に含まれています。ねばりや臭いなどが気になる犬もいるかもしれませんが、中には喜んで納豆を食べる犬もいます。
たんぱく質を過剰に摂取しないように適量を心掛けて、トッピング感覚で与えるようにしましょう。フリーズドライやふりかけなど、近年は犬が食べやすいように工夫された商品なども多く販売されています。
納豆に含まれている栄養成分と、犬に与える健康効果は?
納豆にはたんぱく質、鉄分、食物繊維、ビタミンの他、カリウム、マグネシウム、カルシウムなどの栄養素が豊富に含まれており、納豆を食べることで、腸内環境を整えたり、血流を良くする効果が期待できます。その中でも犬にとって重要なのが、次の3種類の栄養素です。
ビタミン
納豆に含まれているビタミンには、たんぱく質の代謝や神経伝達物質の合成に関わるビタミンB6、肌や粘膜の形成に役立つビタミンB2、血液循環改善が期待できるビタミンE、骨の代謝に関わるビタミンKなどが含まれています。特にビタミンKはカルシウムを吸収しやすく作用するため、骨を強くする効果が期待できます。
たんぱく質
納豆の大豆は大豆をそのまま与えるよりも犬にとって腸への負担が少ないといわれています。大豆は抗酸化作用、免疫アップ、血行改善をサポートするための必要な栄養素の一つです。
ナットウキナーゼ
たんぱく質を体内で分解するための酵素、ナットウキナーゼは、犬用サプリメントも販売されるなど、健康効果が高い栄養素として知られています。血液をサラサラにし、脳梗塞の予防にも役立てることができます。
持病のある犬には納豆を食べさせない方がいい?
納豆は栄養価が高い食品ですが、中には納豆の摂取を控えた方がいい犬もいます。特に、病気がある犬に与える際には注意が必要です。
心臓病、腎臓病、貧血を治療中の犬は要注意!
納豆はカリウムが豊富な食材なため、心臓病や腎臓病の犬は食べすぎないように注意しましょう。また、ビタミンKを多く含んでいるため、血栓予防剤を処方されている場合は効果が弱くなってしまうので摂取を控えましょう。
大豆に含まれるグリシニンという成分は鉄分の吸収が阻害されるといわれています。貧血気味の犬や、貧血治療のために鉄剤を飲んでいる場合には注意しましょう。
大豆アレルギーを持っている犬に納豆を食べさせるのはNG!
犬の中には、大豆にアレルギーを持っていることもあります。すでに大豆エネルギーと診断されている場合は、納豆の摂取はNGです。もし初めて納豆を食べるという場合はまずは少量から様子を見るようにし、「皮膚がかゆくなる」「口や目の周りが赤くなる」「下痢」などの症状などが出たら、すぐにかかりつけの動物病院を受診しましょう。
犬に納豆を与えるときの適量は?
犬に納豆を与える場合は、犬の体型などによって適量が異なります。大さじ1杯=15g、小さじ1杯=5gとして、以下の量を目安にしましょう。
体重5kgの犬
7g程度(小さじ1杯弱)
体重10kgの犬
16g程度(大さじ1杯弱)
体重30kgの犬
37g程度(1パックより少し少ないくらい)
市販の納豆は1パックにつき40~50gです。犬に与える場合はあらかじめ計量スプーンや計りなどで量を計算しておくようにしましょう。
犬に納豆を与えるときのおすすめの方法は?
市販の納豆を与える場合、粒の大きなものよりもひきわり納豆のように細かくカットされているタイプの方が、食物繊維も細かくカットされていて消化しやすくなります。納豆はもともと大豆を加熱発酵している食品で、そのまま与えても問題ありませんが、細かく刻むことで胃腸の負担を減らし、消化しやすくなります。
犬に納豆を与えるときの注意点
犬に納豆を与える場合は、前述した大豆アレルギーや病気などの他にも、与え方に注意が必要です。ここで注意すべき点について確認してみましょう。
大豆アレルギーや病気のある犬はかかりつけ医の診断に従う
すでに大豆アレルギーと診断されている場合は、納豆を与えてはいけません。病気があり、薬を処方されている場合なども、納豆を摂取しても問題ないかどうかかかりつけの動物病院で必ず確認するようにしましょう。初めて口にする場合は、味見する程度の少量から試して様子を見るようにしましょう。
タレや薬味はNG
市販の納豆にはタレやからしなどの調味料がついていますが、犬に納豆を与えるときはタレやネギなどのトッピングもNGです。必ず納豆のみを与えるようにしましょう。納豆に問題はなくても、調味料が原因で体調不良を引き起こす可能性があります。味付けはせずに与えるようにしましょう。
もし犬が納豆を食べない場合は?
納豆は他の食品と比べると粘り気や臭いなど、特徴のある食品です。納豆は必ず与えなければいけない食材ではないため、もし犬が食べないなら無理に与える必要がありません。
犬用の乾燥納豆は比較的食べやすいかもしれませんが、こちらも無理に食べさせるのはやめましょう。
犬が納豆を食べ終わったら口周りのケアを忘れずに
納豆を食べ終わった後は口の周りがべたついてしまったり、臭いが気になったりすることもあるかもしれません。その場合は軽く口を拭いてあげたり、歯磨きをしたりすると解消するでしょう。また、納豆と一緒に水を飲ませるのも一つの方法です。
第3稿:2021年10月18日更新
第2稿:2021年3月11日更新
初稿:2020年11月27日公開
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