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往診専門るる動物病院、TNRののいちアニマルクリニック 所属。小動物臨床15年、往診による一般診療、終末期医療、オンラインでの診療や相談にも積極的に取り組む。

砂糖は犬にとって毒ではありませんが、健康に悪影響を及ぼす可能性があるため、あえて与える必要のないものです。犬が甘いものを喜んで食べる姿をかわいいと思うかもしれませんが、犬にとってはよくない習慣だといえるでしょう。
この記事では、砂糖入りのお菓子などを常食することのデメリットや、犬に絶対に与えてはいけない甘味料などについて、往診専門るる動物病院 院長、TNRののいちアニマルクリニック 顧問獣医師の岡田京子先生に解説していただきます。
目次
- 犬に砂糖を与えても大丈夫。ただし、基本的に糖質はほかの食材から摂って
- 万一、犬が砂糖を大量に食べたら水を飲ませて病院へ
- 犬は砂糖の甘みを感じられる
- 犬が砂糖を食べると糖尿病や肥満のリスクが高まる
- 犬にとって人工甘味料「キシリトール」は危険!
- 愛犬におすすめのおやつ
- まとめ
犬に砂糖を与えても大丈夫。ただし、基本的に糖質はほかの食材から摂って
砂糖(白砂糖)の主成分はスクロース(ショ糖)で、小腸でブドウ糖と果糖に分解されます。犬はこれらの糖質を脳や体を動かすエネルギー源として使うことができます。
犬にとって糖質は大切な栄養素だといえますが、砂糖から摂取することはおすすめしません。砂糖を与えなくても、ドッグフードなど普段の食事で必要量は十分摂取できるからです。
代わりに、さつまいもやかぼちゃなどの自然な甘みを持つ食材を適量与えることで、安全に糖質を摂取できます。これらの食材は食物繊維やビタミンも豊富で、健康維持にも役立ちます。市販の犬用おやつも砂糖不使用のものを選ぶと良いでしょう。
ただし、食材からの糖質も摂り過ぎは肥満の原因になるため、トッピングやおやつの量は1日に必要なカロリーの10%までにし、急な体重変化がないよう、食事や体重管理を行う必要があります。
犬は少量の砂糖を食べても、中毒を起こしたりすぐに健康を害したりすることはありません。しかし、砂糖の入った甘いものを犬が好んで常食すると、糖分過多になります。その結果、治療やダイエットの必要が生じて、愛犬につらい思いをさせることになってしまいます。
万一、犬が砂糖を大量に食べたら水を飲ませて病院へ
もし、犬が砂糖を大量に食べてしまったら、水をたくさん飲ませます。そして、いつもと違う様子がないか観察しましょう。
下痢や嘔吐など消化不良、意識レベルの低下やぐったりするなどの症状があれば、すぐに動物病院へ連れていく必要があります。くれぐれも自己判断での様子見は禁物です。
動物病院で診察を受ける際には、以下の情報を準備しておくとスムーズです。
- 食べた量と時間
- 砂糖が含まれている食品の具体的な名称や成分
- 犬の現在の体調や症状
犬が食べてしまった砂糖や、砂糖をたっぷり使った食品をいつ、どれくらい食べたかのメモがあると、診断に必要な情報を正確に伝えられます。食べたものをビニール袋に入れて持っていき、獣医師に確認するのもいいでしょう。
キッチンの対策としては、犬が入れないように扉を付けたり、食卓に食べ物を置きっ放しにしたりしないなど、日頃から犬の手が届かない環境に整理し、管理を徹底しましょう。例えば、調理中に砂糖を使った食品は放置せず、ゴミ箱はふた付きのものを使用するようにしましょう。
また、犬が思わず食いついてしまったり落としたものを拾って食べたりする可能性も考慮しておく必要があります。人間の食べ物を犬に与えないよう子どもと約束しておく、などの家庭間のルールを決めておくと改善しやすいでしょう。
犬は砂糖の甘みを感じられる
犬の味覚は甘みを感じることができ、甘い味を好むといわれています。甘いものを食べることが習慣になると、犬は常に欲しがるようになってしまいます。
砂糖を使った甘いお菓子や食事に味覚が慣れると、食べ過ぎで太ってしまったり、ドッグフードを食べなくなったりする恐れがあります。
一緒に暮らすペットには、つい「少しだけならいいだろう」と人間の食べ物をあげてしまいがち。しかし、人間の成人と犬の体重差を考えると、人間の「少し」は犬にとっては結構な量になります。くれぐれも注意しましょう!
犬が砂糖を食べると糖尿病や肥満のリスクが高まる
人間と同様に、犬も糖質を摂り過ぎると病気や肥満になります。どのようなリスクがあるのか、次に詳しく説明します。
糖尿病
犬の糖尿病は、血糖値を下げるインスリンの分泌が不足していたり、インスリンが分泌されていてもその作用が働きにくくなったりすることで、血糖値の高い状態が続く病気です。
多飲多尿、食欲はあるのに体重が減る、尿から甘い匂いがするなどの症状に注意しましょう。
糖尿病は合併症もあるのが、恐ろしいところです。細菌が感染して膀胱炎になることがあります。糖尿病性ケトアシドーシスは、脱水、低血圧、意識障害、やがては死に至る危険もある危険な合併症です。
また、犬が糖尿病になると、多くの犬が白内障になるといわれています。
治療法はインスリン補充療法と食事療法がメインになります。
食事は1日2~3回、決まった時間に与え、おやつの頻度を1日1回以下に抑えます。カロリー管理は必須で、毎日インスリンの注射をしなければいけないケースがほとんどです。
日々の運動量を洗い出し、散歩や遊ぶ時間を増やすなど、糖尿病や肥満を予防するために生活習慣を定期的に見直すことが大切です。
インスリンの量が決まるまで入院もしくは通院が必要で、状態によっては入院管理が必要になることもあります。治療の効果がなく死亡する例や、途中でインスリンが効かなくなるケースもあります。
肥満
人間同様、犬にとっても肥満は健康を損ねる要因となります。心臓病、糖尿病、関節や呼吸器の病気など、肥満が引き金になる疾病は多く、命に関わるものも少なくありません。
犬の体を横から見たときのおなかのへこみ具合、上から見たときのくびれ具合、肋骨のあたりをさわったときの骨の感触が感じられるかなどから、肥満度を確認できます(「ボディコンディションスコア」評価法)。
自宅でも行えますが、飼い主はつい判定が甘くなってしまいがち。動物病院で獣医師に確認してもらうのがおすすめです。また、動物病院では体脂肪率を測定してもらうことも可能です。
犬の様子の変化からも、肥満の傾向に気付くことができます。体重の増加と共に、散歩に行くのを嫌がったり、息づかいが荒くなったり、だるそうな様子が見られたりしたら獣医師に相談しましょう。
犬のダイエットには、散歩時間を増やす、坂道や階段のあるコースを選ぶ、室内での遊びを積極的な行うなど、運動量を増やす方法があります。
また、ダイエット用のフードに切り替えたり、野菜でかさ増ししたりするなど、食事内容を見直す方法もあります。
ダイエットが愛犬、飼い主共にストレスとなってしまい、リバウンドしては元も子もありません。獣医師に相談しながら、無理のないやり方で進めていきましょう。
なお、砂糖といえば虫歯が気になる飼い主が多いのではないでしょうか。人間の場合、砂糖が虫歯のリスクを高める原因になりますが、犬は人間と口内環境が異なるため虫歯にはなりにくいといわれています。
一方で犬は歯周病になりやすいのですが、糖ではなく歯石がその原因になります。
犬にとって人工甘味料「キシリトール」は危険!
人間の食べるガムやあめに入っているキシリトールは、砂糖の代わりの甘味料としてよく使われますが、犬にとっては危険な成分です。
人間がキシリトールを摂取するとインスリンの発生を抑えられるため、糖尿病などの療養食で用いられる場合があります。
しかし、犬がキシリトールを摂取すると、逆にインスリンの発生を促してしまうのです。
そのため、犬がキシリトールの入った食品を食べると、体内のブドウ糖の濃度が急速に下がってしまい、低血糖などの中毒症状を引き起こす可能性があります。
犬が低血糖を起こした場合、次のような症状がみられます。
- 意識の低下
- 脱力
- 昏睡
- けいれん
- 肝不全 など
症状が出るのは食べてから30〜60分以内のことが多いとされています。
犬の体の大きさや体調によっても危険なキシリトールの量は変わりますが、体重1kgあたり100mgのキシリトール成分を摂取したときに重篤な低血糖の症状が見られたという報告もあります。治療をしないままで死亡した例も報告されています。
キシリトールの含有量は商品によって異なりますが、市販のキシリトールガムの場合、一般的にキシリトール100mgはガム0.2個に相当します。犬の体重1㎏あたり100mgと考えると、体重5㎏の犬がキシリトールガムを1個食べただけで危険ということになります。
これ以上食べてしまうと、重度の中毒症状(肝障害や致命的な低血糖、ふらつき、嘔吐など)が起こる可能性があります。
なお、キシリトールはスモモ、ラズベリー、イチゴなどにも含まれており、乾燥状態(ドライフルーツ)のものは要注意です。
ガムやあめを犬が誤って口にしないよう、置きっ放しにしないことが大切です。キシリトールが使われている食品の保管場所にはくれぐれも気を付けましょう。
この機会に、犬にとって危ない食べ物を確認しておきましょう。
- ネギ類(玉ねぎ、長ねぎ、らっきょう、にら、ニンニクなど)
- ブドウ、レーズン、マスカット
- キシリトール
- チョコレート、ココア
- アボカド
- いちじく
- カフェイン(コーヒー、お茶類)
- アルコール(お酒)
- マカダミアナッツ
- 銀杏
- アロエ
- ホップ
- 香辛料(わさび、唐辛子、コショウなど)
以下の記事ではなぜこれらの食べ物が犬にとって危険なのか、食べてはいけない理由や中毒症状、動物病院での処置と治療費の例も解説しています。ぜひチェックしてください。
愛犬におすすめのおやつ
愛犬に甘いおやつをごほうびとしてあげたいときがありますよね。カインズのオンラインショップでは、砂糖を使わない野菜の自然な甘みを生かして作られた犬用おやつを購入できます。ぜひチェックしてみてください。
カインズオリジナルの犬用おやつ「ハピウェルピューレ」は、無添加で愛犬の健康を考えたピューレタイプのおやつです。
京都産かぼちゃを使用し、素材そのものの旨味をギュッと濃縮。増粘剤や着色料、甘味料、調味料を一切使用せず、シンプルな配合かつ小分けで安心して与えられます。
ペロペロなめさせるだけでなく、フードにかけるなど使い方は自由自在。水分補給も兼ねられるため、愛犬とのコミュニケーションタイムにぴったりです。
素材を活かしたピュア配合&水分補給で、愛犬の身体への健康維持に配慮しています。特徴:国産/増粘剤・着色料・甘味料・調味料不使用/全犬種用
※売り切れや取り扱い終了の場合はご容赦ください。
※店舗により取り扱いが異なる場合がございます。
※一部商品は、店舗により価格が異なる場合があります。
※上記商品は獣医師の監修外です。
まとめ
この記事では、砂糖を与えることの注意点について解説してきました。
犬は甘いものを喜んで食べますが、糖分はドッグフード、総合栄養食を食べていれば十分に摂れています。犬の健康を守るためには、砂糖を与えないだけでなく、日頃から愛犬に適したおやつを選ぶことが重要です。
おやつ選びの際には原材料名を確認して砂糖不使用、野菜や果物の自然な甘さをいかした素材選びをしたいですね。
犬の喜ぶ顔見たさに砂糖入りのお菓子などを与えるのは避けて、飼い主として健康的な食生活や愛情表現の方法を考えていきましょう。