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往診専門Saraホリスティックアニマルクリニック院長。英国と日本を行き来し、ホリスティック診療 / メール相談 / ビデオ電話相談 / WEBセミナーを行う。
大豆は、私たちにとって身近な食材です。豆腐や納豆、豆乳をはじめ、夏は枝豆、節分の時にまく豆(炒り豆)など、様々な加工品もありますが、犬に食べさせても大丈夫なのでしょうか。今回は大豆や大豆製品を犬に与えることについて獣医師の濱田真由美先生に教えていただき、食べさせる場合のメリットや注意点などを解説します。
目次
- 犬に大豆を与えても大丈夫?
- 大豆でアレルギーを発症する犬はいる?
- 犬に大豆を与えるメリットは?
- 犬に大豆を与える際の注意点や適量は?
- 犬に大豆を使った加工品を与えても大丈夫?
犬に大豆を与えても大丈夫?
基本的には、大豆を与えても問題はありません。いわゆる黄色い大豆、黒い黒豆(黒大豆)、未成熟の枝豆など、いずれを与えても大丈夫です。ただし、アレルギーを発症する犬もいるので、まずごく少量から与えてみてください。子犬やシニア犬であっても、アレルギーがなく健康であり、また極端な与え方をしなければ問題ありません。
ただし、大豆に含まれるシュウ酸、フィチン酸、イソフラボンなどの一部の成分が身体に悪い影響を及ぼすことがあるため、与え過ぎには注意しましょう。
大豆でアレルギーを発症する犬はいる?
大豆でアレルギーを引き起こす犬はいます。発症すると、皮膚の赤み・発疹・かゆみ(特に口や目・首などの周り)・目の充血・顔の腫れ・外耳炎・軟便や下痢・嘔吐といった症状が見られることがあります。加工品の場合も同様です。初めて大豆や大豆を使った食品を与える時には、少量から様子を見るようにし、もし先に挙げたような症状が見られた場合は、動物病院を受診するようにしましょう。
犬に大豆を与えるメリットは?
大豆はタンパク質が豊富な食材です。タンパク質を構成するアミノ酸は、犬にとって重要なエネルギー源となります。ただし、肉などに含まれる動物性タンパク質に比べると、大豆由来のアミノ酸は犬にとっては吸収しにくいので、与え過ぎには注意しましょう。
また、免疫力アップも期待できます。さらに牛肉や豚肉と比べると低脂肪で低ナトリウム、コレステロールがゼロ。そして葉酸・カリウム・鉄・亜鉛・銅などのミネラルや食物繊維が豊富なので、血圧が高い犬や、腎臓の機能が弱っているような場合、高脂血症の犬などにもおすすめの食材です。
また、大豆の状態によっても栄養価は変わり、たとえば、ビタミンAや葉酸、モリブデン、イソフラボンに関しては、枝豆の方が豊富です。
犬に大豆を与える際の注意点や適量は?
大豆は生の状態、加熱・乾燥させたものなど、さまざまな状態で手に入りますが、消化不良を起こしやすい食材なので、しっかりと加熱させるか、発酵させたものを与えるようにしましょう。生や乾燥状態では、消化がうまくできずお腹にガスが溜まってしまうことがあります。また、犬はあまり噛まずに飲み込んでしまうので、潰してペースト状にして与えるとより消化しやすく、安心です。
大豆は犬の身体に害を与えるものではありませんが、与え過ぎは良くないので、他の食材とのバランスを考慮しましょう。米国獣医栄養学で推奨されている量としては、1日あたりの食事トータルの量に対して、5~15%程度が目安になります。
犬に大豆を使った加工品を与えても大丈夫?
豆腐や納豆、おから、油揚げ、豆乳、醤油や味噌など大豆を使った食品はたくさんあります。これらも、大豆アレルギーなどがない犬であれば、基本的には与えても大丈夫です。ただし、ドッグフードに少しだけトッピングするなど、適量を心がけて、食事が大豆食品に偏らないようにしましょう。
醤油や味噌などは塩分が高いため、血圧が高い犬や、心臓や腎臓に問題がある犬の場合はあまり与え過ぎないようにしましょう。また、節分用の豆は水分をほとんど含まず消化が良くないため、そのまま与えることはあまりおすすめしません。加熱したものか、発酵させたものを与えるのが基本です。
ドッグフードに納豆を混ぜて与える家庭もあるようですが、納豆は生の大豆をそのまま与えるよりは、腸への負担が少ないと言われています。それでも、与える場合にはつぶすか、ひきわり納豆のように細かくなっているタイプを選び、消化しやすいように配慮しましょう。市販の納豆にはタレやからしなどの調味料が付いている場合もありますが、基本的に味付けはせず、納豆のみを与えるようにしてください。
油揚げや厚揚げは油分が多く、カロリー過多になってしまうので注意が必要です。与える場合は、茹でるなどして油を落とすようにし、消化しやすいように細かく刻みましょう。
豆乳や豆乳を使ったおやつなどを与えている人も少なくないと思います。豆乳も基本的には与えても大丈夫ですが、市販の場合は種類を確認しましょう。「調整豆乳」や「豆乳飲料」などは、人間が飲みやすいように味付けや香り付けなどがされているため、犬の身体にはあまり良くないこともあります。大豆と水のみで作られ、添加物が入っていない「無調整豆乳」を選んでください。
おからやきな粉なども、少量であればドッグフードのトッピングや手作りおやつの材料として使えます。市販の犬用クッキーなどにも大豆製品が含まれているものがありますね。ただし、おからやきな粉、豆乳などを使ったものであっても、人間用のお菓子は、犬にとっては味が濃すぎたり、カロリーが高かったりするので控えた方が安全です。
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