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「オーブン陶土」で歩道を焼いてペンを乗せたい

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青木良太

青木良太

1978年、富山県生まれ。岐阜県土岐市のスタジオで制作を行う陶芸家。年間約15,000種類の釉薬の研究を通じて、金・銀・プラチナなど、陶芸では通常扱うことのない素材を使用し、誰も見たことのない美しい作品を生み出し続けている。国内外で年間開催される多数の個展を中心に現代美術のアートフェアにも参加し、他分野とのコラボレーションも行うなど、陶芸の魅力を世界に伝えている。陶芸家を志す学生や若手陶芸家を集めた交流イベント『夏のイケヤン★』など、陶芸界の活性化となる様々な活動やアプローチを積極的に行っている。

オーブンで焼ける陶芸粘土で、なに作る?

「オーブンで焼ける陶芸、やってみませんか?」と、となりのカインズさん編集部から連絡がきた。

陶器の類はわりと好きで、骨董市などでカッコイイお皿を見つけるとつい買っちゃうタイプのライター、きだてたくです。陶芸にだってもちろん興味はある。

勢いで買っちゃったかっこいい皿。何を乗せたらいいか思いつかず、ずっともてあまし気味

勢いで買っちゃったかっこいい皿。何を乗せたらいいか思いつかず、ずっともてあまし気味

しかし興味があるからといって、陶器好きの自分が納得するような器が作れる技術はない。なんなら万に一つの可能性にかけて「今こそ目覚めよ、我が奥底に眠る陶芸の才能よ! ハァァッ!」と叫んでみてもいいが、たぶん無理だろう。

ひとまず身の丈に合わせて、自分の持っている最低限の工作スキルだけで手軽に作れるモノを考えてみるべきかも。

“あの歩道”を陶器で焼いてみよう

で、考えついたのが「歩道っぽいトレー」である。

ほら、3色くらいのカラータイルで構成された歩道、あるだろう。あれのミニチュア版を作って、トレーにするのだ。

焼き物感のあるタイルを敷き詰めた歩道。これいけるんじゃないか

焼き物感のあるタイルを敷き詰めた歩道。これいけるんじゃないか

たとえば歩道っぽいペントレーにすると、まるで歩道に落ちていたボールペンを拾ってパクっちゃうような悪い人の気分が味わえるかもしれない。

もしくはお菓子なんかを乗せておけば、道に落ちていたお菓子の拾い食い気分も味わえる。おお、甘美な背徳感! 実際には自宅のトレーだから衛生的にも安心だし。

この時点で早くも描きあがった精密な設計図

この時点で早くも描きあがった精密な設計図

なにより、立派な器をこねて作る陶芸スキルが不要、というのが最高だ。これならタイルを量産しさえすれば、あとは適当なベースに貼っていくだけで完成しそうじゃないか。たぶんラクだぞ。

自分の中に眠る陶芸の才能、という希薄すぎる可能性に賭けなくても大丈夫そうなのが、今回最大のポイントと言える。

プロの陶芸家にお話を聞いてみた

アイデアがまとまったところで、自宅にドサッと、件の陶芸粘土が届いた。

「ヤコのオーブン陶土」は、その名の通りご家庭にあるオーブンで焼くことができる工芸用粘土。説明を読むと、形を作って数日乾燥させ、180℃前後のオーブンで焼くだけでできあがるという。へー!

ちなみに普通の陶器を焼く温度(焼成温度という)は、だいたい900~1,300℃くらいと、必要な火力がケタ違い。もし本当に180℃で陶器が焼けるなら、そりゃすごい話だ。

オーブンで焼ける陶土。4色の名前に統一感が薄いのがちょっと気になる

オーブンで焼ける陶土。4色の名前に統一感が薄いのがちょっと気になる

とはいっても、やはりこちらは陶芸ド素人。ラクそうなプランを思いついたとはいえ、実際にこれをどうやって形にすればいいのか、完全にフワッフワである。

「うーん、どうしたもんすかねー」と困っていたら、なんととなりのカインズさん編集部が、若手ながらバリバリ本職の陶芸家さん(しかも国内外のアート展覧会でも受賞歴多数!)から話を伺えるよう、手配してくれたのだ。ありがたいけど、そんなすごい人にオーブン陶芸なんてお手軽な作り方のアドバイスをもらうって、怒られたりしない?

飼っている烏骨鶏を肩に乗せたまま「オーブン陶土」を焼く青木さん(YouTubeより)

飼っている烏骨鶏を肩に乗せたまま「オーブン陶土」を焼く青木さん(YouTubeより)

……なんて不安になっていたけど、大丈夫。陶芸家の青木良太さんは、ご自身のYouTubeチャンネルでも「オーブン陶土」を使って、自ら陶器を焼く様子を公開されているのだ。

青木良太プロフィール

 

青木良太

1978年、富山県生まれ。岐阜県土岐市のスタジオで制作を行う陶芸家。年間約15,000種類の釉薬の研究を通じて、金・銀・プラチナなど、陶芸では通常扱うことのない素材を使用し、誰も見たことのない美しい作品を生み出し続けている。国内外で年間開催される多数の個展を中心に現代美術のアートフェアにも参加し、他分野とのコラボレーションも行うなど、陶芸の魅力を世界に伝えている。陶芸家を志す学生や若手陶芸家を集めた交流イベント『夏のイケヤン★』など、陶芸界の活性化となる様々な活動やアプローチを積極的に行っている。

きだてプロフィール

きだて

(今回作る「歩道トレー」について説明)……という感じのものを作ろうと思うんですけど、どうやるのがいいでしょうか?

青木良太プロフィール

青木

うーん、そうですね。タイルのようなものを作るなら「タタラ作り」というやり方がいいかもしれません!

きだてプロフィール

きだて

たたらづくり?

青木良太プロフィール

青木

粘土を薄い板にして、そこから器を作る技法です。たとえば木枠なんかの型で粘土の板を作って、そこから切り出していけばいいと思います。

きだてプロフィール

きだて

おお、それですね! それでやってみたいです!

手近にあった本を粘土に見立てて、タタラ作りの説明をしてくれる青木さん

手近にあった本を粘土に見立てて、タタラ作りの説明をしてくれる青木さん

ありがたい。あっさりと方向を指し示してもらえたので、もう全力でそこに乗っかっていくことにしよう。

それともうひとつ、オーブン陶土についても気になっていたことがあるので、それも聞いておきたい。

きだてプロフィール

きだて

「オーブン陶土」の説明書には「形を作ったら2~7日乾燥させてからオーブンで焼く」とありましたが、青木さんはYouTubeでいきなりオーブンに入れてましたよね?

青木良太プロフィール

青木

そうですね。あのときは本焼きの前に、100℃くらいの低い温度で素焼きすることで乾燥時間を短縮させました。それでもちゃんといけましたね! 素焼き中は、たまにオーブンを開けて、粘土から出てきた水蒸気を逃がしてやるのがポイントですよ。

良かったー! 今回は正直なところ、数日かけて乾燥を待つ日程的な余裕がなかったのだ。それが数十分ほどの素焼きで済むのであれば、大幅に時間短縮ができる。

もちろんメーカー推奨のやり方ではないので、そこは要注意だけど。

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