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「人間には“火の力”が必要です」 ろうそくを売り続けて約100年、カメヤマローソクが今こそ伝えたいこと

メーカー

古川多美華

古川多美華

カメヤマ株式会社 営業戦略本部所属。新卒で冠婚葬祭業に携わり、もっといろいろな商品や演出を業界に広めたいという思いから、2012年にカメヤマに入社。入社後は福岡・東京でブライダル部門の営業を担当。その経験を活かし、2019年に現部署に配属。業界のデータ分析・営業の提案資料の作成や販売促進などを通じ、文化としてのローソク・線香の普及を目指している。

知ってるようで意外と知らない「ろうそく」の話

紺色の箱に入った、白くて細長いろうそく。お仏壇やお墓参りで、みなさんも一度は目にしたことがあるのではないでしょうか?

このろうそくを作っているのは、1927年(昭和2年)創業の老舗・カメヤマ株式会社。神仏用ろうそくのトップシェアを誇る同社のブランドが「カメヤマローソク」です。

仏壇のある家が減りつつある今、弔いのかたちはどのように変わったのでしょうか? また、ろうそく業界に変化は? カメヤマ株式会社の古川さんにお話を伺いました。

そもそも「神仏用ろうそく」とは?

カメヤマ株式会社 営業戦略本部 主任の古川多美華さん

カメヤマ株式会社 営業戦略本部 主任の古川多美華さん

──カメヤマさんは神仏用ローソクが有名ですが、そもそも「神仏用」って普通のろうそくとは違うのでしょうか?

「実は『神仏用』って、カメヤマが独自に定義しているだけなんです。弊社では、お仏壇や葬儀に使う白くて細長いろうそくのことを『神仏用ローソク』と呼んでいます。一般的には『普通のろうそく』とおっしゃる方も多いですよね(笑)」

──そうだったんですね! ろうそくには、神仏用以外にもさまざまな種類と用途がありますよね。

「はい。国内で消費されているろうそくのうち、およそ半分が神仏用、アロマキャンドルなどの香りを楽しむ用途が3割くらい、あとはケーキ用が1割、残りが葬儀や結婚式で使う業務用……といった具合です」

──神仏用ろうそくのうち、カメヤマさんのシェアはどのくらいでしょう?

「神仏用では、弊社が8割以上を占めています」

──圧倒的ですね!

神仏用ろうそく

──ろうそくのユニークな使用法があれば教えてください。

「蝋(ワックス)は撥水性が高いので、上靴に塗って防水加工をしたり、スキー板の裏に塗って滑りをよくしたり。トラックの荷台に塗ると荷物の積み下ろしがしやすくなるので、それに特化した商品もありますよ」

トラワックス

トラワックス

「また、砂時計のように使う方もいらっしゃいます。たとえば10分で燃焼するろうそくを使って、火が灯っている間だけ瞑想やヨガをするとか」

──たしかに瞑想向きですよね。ろうそくの炎をじっと見ていると、5分が1時間くらいに感じることがあります。

「ろうそくの炎のゆらぎは『1/fゆらぎ』といって、人間に心地よさや安らぎを与えるリズムなんです。

また、ろうそくの炎からは森林や滝以上のマイナスイオンが出ると言われています。私はパソコンで作業するとき、お供として必ずアロマキャンドル(※)を灯していますが、ちょっと疲れにくくなる気がします。家で映像を見るときも、照明をやや暗めにしてろうそくやアロマキャンドルをつけるとリラックスできますよ」

※ここでは、「ろうそく(キャンドル)」はパラフィン純度の高い無香のものを、「アロマキャンドル」は精油が入った香りのするものを指します。

1927年創業の老舗、カメヤマローソクの歩み

カメヤマキャンドルハウス 東京ヘッドオフィス

──カメヤマローソクさんの創業の経緯について教えてください。

「1927年(昭和2年)に三重県の亀山市で創業しました。創業者はもともと宮大工をしていて、信心深い人だったようです。創業当時、ろうそくメーカーは全国に数百社ありましたが、三重県にはなかったんですね。そこにビジネスチャンスを見出だしたんです」

──昭和2年当時、ろうそくは照明として使われていたのでしょうか?

「すでに都会では電気が普及していて、照明としての用途は先細りになっていたようです。数百社あったろうそくメーカーも、その10年ほど後には100社くらいに減っていたそうですよ」

──それじゃ、創業当時はかなりご苦労されたのでは……?

「そうなんです(笑)。このままじゃ危ないということで、絵が描かれた『美術ローソク』をアメリカへ輸出し、当時はそれがメイン事業でした」

社史『カメヤマローソク80年史』に記載された美術ローソク

社史『カメヤマローソク80年史』に記載された美術ローソク

──きれい! 美術ローソクの絵は手描きですか?

「今は転写シートでプリントしていますが、当時は職人さんが一本一本描いていました。そのため美術ローソクは高級品で、海外でも貴重だったんです」

──なるほど。その後、今のように神仏用ローソクの販売がメインになったのはいつ頃でしょう?

「定番品は創業当時からありましたが、本格的に大量生産するようになったのは昭和30年代からです。やがて、多くのスーパーやホームセンターにも置いていただけるようになりました」

カメヤマローソクの定番商品

──カメヤマローソクさんのロゴは、ずっと変わっていないのでしょうか? ずいぶん昔から見ている気がしますが……。

「数回マイナーチェンジしていますが、大きくは変わっていません。カメヤマローソクといえば紺色の箱のイメージが強いので、簡単に変えられないんです。変えたら、何十年も買い続けてくださっているお客様が、店頭で見つけられなくなってしまうので」

──定番ですもんね。

「定番といえば、海外で定着している、くるくるねじれたスパイラルキャンドル、これはカメヤマが作ったんですよ」

──えぇ! 欧米のイメージが強いですが、カメヤマ発祥なんですね。

スパイラルキャンドル

スパイラルキャンドル

「結婚式の『キャンドルサービス』も実はカメヤマ発祥です。海外の文化を参考に弊社社員が考案し、昭和34年に自分の結婚式で行ったのが始まりなんですよ。ゲストが1個ずつキャンドルを持ち、新郎新婦が各テーブルをまわって1人のキャンドルに点火し、ゲストから隣のゲストへ火をリレーする『キャンドルリレー』も、平成14年に弊社より提案させていただきました。」

──商品だけではなく、文化も作っているんですね!

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