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何分でキンキンに? ぬるい缶ビールを一瞬で冷やす方法を検証してみた

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池田圭一

池田圭一

理系のフリーランス・ライター/エディター。1963年、東京都生まれ。サイエンスやIT分野など、幅広く(節操なく)取材したり撮影したり、考証したり校正したりの日々。著書の『天文学の図鑑』『デジタル顕微鏡で楽しむ! ミクロワールド美術館』(ともに技術評論社)のように、広大な宇宙から顕微鏡のミクロの世界まで、科学の視点で追っていたい。

ぬるい缶ビールを短時間で冷やすには?

梅雨が明ければ夏本番、屋外の灼熱世界から部屋に帰りついても、エアコンが効くまでには時間がかかる。いまどきは、スマホとスマートリモコンを使えば帰宅前からエアコンの遠隔制御もできるのだが、それでもルームウェアに着替えて、「さぁ! 冷えたビールを飲もう」と勢いよく冷蔵庫の扉を開ける期待感ったら、ほかにない。

……冷やし忘れていなければ!

尊敬して止まないロックバンド「ムーンライダーズ」も『冷えたビールがないなんて』と歌っているではないか。目の前にぬるい缶ビールしかないときの絶望感よ。

というわけで今回のお題は「缶ビールを短時間で冷やす!」だ。

カインズの新ジャンル・黄金

カインズの「黄金」と「黄金 芳醇」を冷やす

缶の素材・アルミニウムの熱伝導率

冷やす前にまず、缶ビールの容器について考えてみよう。

缶ビールを部屋に置いたまま冷やし忘れていると、2~3時間でほぼ室温(夏は30℃近く)になる。缶ビールの容器「缶」の素材は、熱伝導性のよいアルミニウムであり、その厚みも、もっとも薄い胴の部分だと0.1mmしかない。

金属などの熱伝導率(20℃の場合、単位:W/mK)

金属 金属以外
素材 熱伝導率 素材 熱伝導率
418 コンクリート 1.6
銅(純銅) 386 ガラス 0.5〜0.8前後
295 0.602
アルミニウム 204 木材 0.2前後
白金(プラチナ) 70 プラスチック 0.1〜0.3
鉄(純鉄) 67 断熱材 0.1以下のもの
チタン 17 空気 0.024

出典:「理科年表 2020 国立天文台編」(丸善出版)

熱伝導率とは、物質の熱の伝わりやすさを数値化したもの。金属は総じて熱伝導率が高いが、低コストで身近なものではアルミニウムの熱伝導率が特に高い。つまり、ビール缶は熱しやすく冷めやすい素材でできているのだ。

缶ビールを冷凍庫に入れるのはアリなのか?

急いで缶ビールを冷やすなら、冷凍庫に入れるのもアリかもしれないが……。冷えやすい缶ビールでも適温になるのに30分はかかり、寒冷混濁(かんれいこんだく)の心配もある。寒冷混濁とはチルヘイズともいい、ビールに含まれる麦芽やホップ由来の成分が低温で結合して、微粒子や濁りのもとになること。3℃を下回ると発生して、0℃以下で目立つようになり、泡立ちが悪くなってビールの風味が少し損なわれてしまう。

そのうえ、冷凍庫の内壁や、中に入れてある保冷剤やアイスクリームに接していると、その部分が急に冷えてしまって凍結混濁(とうけつこんだく)の心配もある。凍結混濁とは、凍ったときにビールのタンパク質や炭水化物が変質してしまい、解けても濁りとなって残ってしまうこと。マイナス3℃以下で発生し、炭酸が抜けて味も著しく劣化する。さらには、缶が破裂する可能性もある。

やはり、冷凍庫で冷やすのはナシだろう。

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