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地味なゴム手袋をカラフルに変えて大ヒット。年間100万双を売る「プリティーネ」開発秘話

聞いてみた

倉田堅心

倉田堅心

株式会社ダンロップホームプロダクツ東京支店一課長。1978年生まれ。2003年に入社し、小売店ルートの営業を担当。

年間100万双を販売するゴム手袋「プリティーネ」

ププリティーネ使用イメージ

随所に工夫を散りばめて主婦の支持を集めるプリティーネ

家事や育児などで大活躍するゴム手袋。この手荒れから守ってくれるアイテムの色と言えば、どんな色が頭に浮かぶだろうか。また、ゴム手袋を利用するうえでどんな不満点があるだろうか。

「色と言えば、ピンク」「水が袖から入ってくること」「ゴム臭いこと」こういった認識は、今や少し古い。

ゴム手袋は長年、同じ色、同じ形、そして同じ不満を持たれたままでずっと生き長らえてきたアイテムだった。使用する年齢層が高く、購入パターンも固定していたため、新商品を投入しても見向きされないリスクがあった。そこに果敢に挑んだのが、大阪府大阪市に本社がある株式会社ダンロップホームプロダクツだ。東京支店一課長の倉田堅心さんはこう振り返る。

「ゴム手袋の主要なターゲットは40~50代です。この層が潜在的に抱える不満点を全て解消し、乗り換えていただくことを考えました。でも、それ以上に目指していたのがゴム手袋を使わない30代以下の若年層のニーズを喚起し、新規のユーザーを獲得することでした」

現在では、年間100万双の販売を達成する「プリティーネ」の開発はこんな狙いで始まった。

 

ピンクとグリーンから脱却した「プリティーネ」

ダンロップホームプロダクツの倉田堅心さん

株式会社ダンロップホームプロダクツの倉田堅心 東京支店一課長

まずダンロップホームプロダクツが徹底的に洗い出したのが、従来型のゴム手袋に対する不満点だった。倉田さんはこれについて、最終的に3つに絞られたと話す。

「一番の不満点はつかみにくいことでした。直に触れるのを避けるためにゴム手袋をするわけですから、ある意味では当たり前なのですが、とは言えあまりにも指の感覚との乖離が大きいと作業によっては意味を成しません。2番目はゴム臭さ。作業を終えた後、手に嫌な匂いが移るのはかなりネガティブな要素として多くの声がありました。そして、3番目が袖に水が入ってくること。アンケート調査を眺め、この3点は完全に改善すると決めました」

2010年に発売された「プリティーネ」は、女性の手に合わせた指先仕様にするとともに、ゴムの匂いをカット。さらに袖部分を絞ることで水の侵入を防ぐユニークな形を採用した。

そしてもう一つ、大きな決断をした。色の展開である。

「ゴム手袋の色と言えば、長年ピンクとグリーンが相場でした。そこに必然性はなかったのですが、これまで通りの定番2色にすべきだという意見もありました。それでも、新規ユーザーを獲得すべく思い切って赤と黄色を採用し、オレンジ、緑の4色展開にしたのです」

 

カラフルな「プリティーネ」は若い世代が支持

実際、「プリティーネ」は発売直後からヒットしたわけではなかった。そのため「やはり無難なピンクとグリーンにすべきだった」という社内の声も。一方で、若い世代の消費者から「キッチンの色とゴム手袋の色を揃えられてうれしい」という声も届き、製作チームの支えになったという。

「このプリティーネは“樹から生まれた手袋”です。地中に埋めても分解される、循環型エコ素材である天然ゴムの良さを広く知って欲しい!という思いから誕生しています。でも、天然ゴムに色を付けるのって難しいんですよね。その難題をクリアして色をのせたので、そこを評価いただけたのは嬉しかったです」

また、そんな天然ゴムでありながら、たんぱく質と不純物をほとんど取り除いたセラテックスで製造。ゴム特有の匂いを大幅に抑えることができたというワケだ。

そんなプリティーネ、売り出すにあたって工夫したことがあるという。独特な形の積極的なPRだ。

「水が袖から入ってこないような形状なのですが、パッケージ越しだとなかなか伝わりません。そこで、中身を出すことを意識しました。店頭でも必ず中身を出して、一目で普通のゴム手袋との違いがわかるように。これで手に取ってもらう機会が増えました」

 

ダンロップホームプロダクツの森を作る

ダンロップホームプロダクツの森看板

ボルネオ島にあるダンロップホームプロダクツの森

発売から5年後、そのコンセプトが評価されてグッドデザイン賞を受賞。「家事を少しでも楽しくさせる秀逸なデザイン」と評された。現在、プリティーネは年間100万双売れるヒット商品へと成長した。ダンロップホームプロダクツは、主な購買層である女性や主婦の社会的利益につながる活動にも力を入れている。倉田さんは社会貢献活動についても紹介してくれた。

「弊社では、購入いただいた“樹から生まれた手袋”1双(1ペア)あたり1円を、地球環境保護活動や社会貢献活動に役立てています。具体的にはマレーシアでの植樹活動です。マレーシアのボルネオ島に“ダンロップホームプロダクツの森”を作り、原生林に近い環境づくりを進めています

また、日本乳がんピンクリボン運動や大規模災害の義援金寄付等に充てている。さらに、人と地球にやさしい家事「エコカジー」という概念を提唱し、啓発活動を行っている。

「もともと、企業として社会に貢献したいという思いから始めたことですが、お客さまにとってもプラスになればと考えています。日用品の購入を通じて社会貢献活動に参加でき、それがお客さまの社会的利益に繋がる。そんな風になればと願っています」

 

男性をターゲットにした商品開発にも着手

樹液採取の様子

昔ながらの方法で採取した樹液で最新のゴム手袋が作られる

これまでは主婦をターゲットにしていたが、時代が少しずつ変わり、男性もターゲットに入ってきているという。

「男性の家事や育児への参画を啓発する、NPO法人ファザーリング・ジャパンの活動も支援中です。ゴム手袋という、モノ自体はそれほど変わっておりませんが、用途も時代で変わっています。以前は冬場の水仕事などをラクにする目的がメインでしたが、今は手肌を守る目的の方が強くなりました。また、新型コロナウイルス流行の影響もあり、使い捨て用の需要が一気に高まっています。そんなニーズの変化にも目を配る必要性を感じますね」

2019年秋には、指先にぴったりフィットするプリティーネとは反対に、指先にゆとりのある「デイリープリーツ」をリリース。男性やネイルをしている女性などのニーズにも対応している。ダンロップホームプロダクツの進化はまだまだ止まらないようだ。倉田さんは最後にこう将来を見据えた。

「弊社の天然ゴム製手袋の良さを広く認知していただき、これまで使用していなかった若い世代にもっと利用していただきたいと思っています。家庭用手袋市場も新型コロナウイルスで一変し、また新たなニーズが生まれているところ。市場自体を拡大していくことができればと考えています」

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