キッチンハイターの正しい使い方をおさらい。花王が教えるつけおき術
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「オルファ」社の代名詞とも言える折る刃式カッターナイフ
「オルファ」という社名の由来は、「折る刃」である。
第二次世界大戦後の1967(昭和42)年。大阪で創業したオルファ株式会社は、刃先をポキっと折ることで最後まで切れ味を持続させる方式を考案。世界で初めてカッターナイフを発明した会社として、世界にその名を轟かす。
創業から50年以上が経過した現在、商品は200種を超えるように。大きさや用途に応じて様々なラインナップがある。「使い勝手を落とすことなく、安全に使用できるカッターナイフができないか?」という課題に取り組んで完成させた「セーフティカッター」、「ダンボールの開梱作業をいかに安全に、スムーズに行うか?」という目的特化型の「カイコーン」など。
カッターナイフという絶対的なアイテムを軸に、未来を切り拓いてきたオルファ株式会社。同社はこれまでにどんな困難に直面し、子どものカッター離れなど最近の傾向にどう向き合っているのか。営業企画本部シニアマネージャーの岡本和宏さんにお話を伺った。
オルファ カッター EXL-500
オルファ株式会社営業企画本部シニアマネージャーの岡本和宏さん
「ポキポキと刃先を折るアイデアは、弊社創業者の岡田良男が路上の靴職人たちが靴底を削るために使っていたガラスの破片と、進駐軍の兵隊がかじっていた板チョコから着想を得ました。ただ、刃は折るたびに短くなって使いづらくなりますよね。その課題は試行錯誤の末、刃をスライド式にすることでクリア。ところが、依頼しようとした製造メーカーに相手にされなかったため、自分たちで作ることに。これが大変だったそうです」
町工場のプレス屋に注文した3000本分の部品は仕上がりがバラバラ、刃の入らないもの、外れてしまうものなどとても売れる代物ではなかった。岡田良男氏はペンチや金づち、ヤスリを手に3カ月をかけて全て自ら手直しを施し、ようやく商品を完成させた。
当初はあまりに新奇な商品だったため市場に受け入れられなかったが、岡田良男氏の信念が道をこじ開けた。
「ナイフや包丁のように刃物と言えば、切れ味が落ちたり、錆びたりしたら刃を研ぎ直して使用するのが当たり前の時代でした。でも、創業者の岡田は折る刃式のカッターナイフは一度使ってもらえれば、必ずやその便利さをわかってもらえると信じて疑ってなかったそうです。ひたすら製品開発と品質向上に務め続けた結果、大きな追い風が吹きました」
その追い風とは、高度経済成長を背景にした空前の建設ラッシュと1960年代後半から始まったDIYブームだった。
オルファ社の高井田工場。近隣の会社と連携し、日本で製造することを強みとしている
当時の時代背景について、岡本さんはこう説明する。
「建設現場では職種を問わず、何かしらを切る作業が発生します。高度経済成長期の建設ラッシュでカッターナイフの需要は大きく膨らみました。また、同じタイミングでDIYブームが起こり、ホームセンターが日本に上陸したのも大きかったんです。というのは、それまでカッターナイフの主な売り場は文房具店や金物店。店舗面積も狭かったのですが、広大なホームセンターでは一度にたくさんの商品を販売できますからね」
また、従来は箱入りで販売していたカッターナイフをホームセンターの業態に合わせ、外から中が見えるプリスターパックに入れて販売したことも奏功。売り上げは飛躍的に伸びた。
ちょうどこの頃、アメリカの大手工具メーカーがカッターナイフ市場に参入する。創業者の岡田良男氏はなんとこの動きを歓迎したという。
「社内では動揺が走りましたが、岡田は大手が参入するということは、この商品が有望である証拠だと生産量を拡大させました。実際、競合の登場で需要は世界的に広がり、輸出量は大幅に伸びました。それだけではなく、後発メーカーが弊社の規格に合わせたため、オルファの刃が世界標準規格になりました」
製品の改良を行うオルファ株式会社創業者の岡田良男氏
見た目がそっくりなコピー品も出回ったが、使う人の立場に徹底的に立って微調整が繰り返されたオルファの純国産カッターナイフに敵うものはなかった。