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手を触れずにゴキブリを捨てる。ゴキ嫌いの社長が生み出した究極の便利アイテムがすごかった

メーカー

堀保

堀保

大阪府堺市を本拠地とする株式会社バリアホームの代表取締役。「ゴキブリの処理が何よりも苦痛だった」という自身の実体験から「ゴキすぅ〜ぽん」を開発する。

ゴキブリ嫌いにとって一番の問題といえば、「どう処理するか問題」です。これを解決する“究極のアイテム“が生まれました。株式会社バリアホームが生み出した「ゴキすぅ〜ぽん」は手を触れずにラクラク処理ができます。開発秘話について話を聞きました。

ゴキブリの「どう処理するか問題」を見事に解決した究極のアイテム

ゴキブリをはじめ虫嫌いにとって一番ツラいことと言えば……「どう処理するか問題」です。

殺虫剤で倒すところまではいいとして、本当に大変なのはゴミ箱へ持っていくとき。実家のときは親がなんとかしてくれていたからいいものの、一人暮らしを始めてからはゴキブリが出るたびに半泣き状態でなんとか処理をしています。

そんな人にとって、救世主とも言える商品が2021年に誕生しました。

ゴキすぅ〜ぽん

株式会社バリアホームの「ゴキすぅ〜ぽん」です。

筒状の本体とフェルト玉が2つセットになった商品で、掃除機のノズルに本体を装着して使います。倒れたゴキブリをそのまま吸い込み、最後にフェルト玉でフタをしたらそのままゴミ箱へ捨てられます。値段は110円(2023年9月現在)で、全国のホームセンターなどで購入ができます。

ゴキすぅ〜ぽんを使ってゴキブリを吸い込んでいる様子

手を触れず、かつ吸い込んだゴキブリが出てこないので、今までの苦痛がかなり軽減されるのです。

「ゴキすぅ〜ぽん」は、商品自体の斬新さはもちろん、X(旧Twitter)でのユニークなポストも話題になり、17万以上の「いいね」を獲得しました。

しかしこのバリアホーム、製造メーカーとして数多くの商品を販売しているかと思いきや、もともとは工務店(建設会社)なのです。地域で愛される工務店が、なぜ「ゴキすぅ〜ぽん」を開発することになったのでしょうか? 社長の堀保さんに話を聞きました。

株式会社バリアホーム社長の堀保さん

株式会社バリアホーム社長の堀保さん

コロナ禍で工事がストップ。空いた時間で「ゴキすぅ〜ぽん」の開発をスタート

ゴキすぅ〜ぽん

——メーカーではなく工務店が作っているのが意外でした。開発の背景はなんだったのでしょうか?

堀さん(以下、堀):私たち工務店はお客さまの家などに訪問して施工をしますが、コロナ禍になり、そういった工事がすべてストップになってしまいました。仕事がなくなった分、工事以外のことをいろいろ考える時間がとれるようになったのがきっかけですね。

——ただ、そこから商品の開発・発売に至るってあまりないと思うのですが……。

堀:もともと、アイデアを考えるのがすごく好きで、「こういうのをやりたいな」と思っていたけど忙しくて実行に移せないものがたくさんあったんです。

「ゴキすぅ〜ぽん」もそういったアイデアの一つで、どうにか苦手なゴキブリを触らずに捨てられる「ゴキブリ処理ツール」が作れないかと、ずっと前から考えていました。そんなときにコロナの影響で時間がたっぷりできたので、せっかくであれば形にしてみよう、と。

——堀さん自身もゴキブリが苦手だったのですね。

堀:はい。もう大嫌いです。

自宅に結構ゴキブリが出るんですが、僕含め妻、子どもと家族全員がダメなんです。殺虫剤で倒すところまではみんなできるんですけど、処理するのは僕の役目で。本当にそれが苦痛で苦痛でたまりませんでした。

ゴキブリは苦手だと言う堀さん

——スプレーをして致死させるまではよくても、その後が一番大変ですよね。

堀:新聞の折込チラシを床とゴキブリの間に挟んでゴミ箱まで持って行くんですが、少しでも角度を間違えると自分の方へ寄ってきたりするじゃないですか。

あとは、死んでると思ってつつくと、実は生きてて動き出したり、こっちの方へ飛んできたり。もうパニックですよね。

そういった経験が重なり、家族の中でもう誰も近づけないから、ゴキブリを倒しても処理できず、何日も放置するなんてこともありました。

——それもそれでツラい……。

堀:なるべくイヤな思いをせず、ラクに捨てられる究極を考えた結果が『ゴキすぅ〜ぽん』になります。自分が助かるのであれば、きっとみんなも助かるのではないかと。

開発はゼロからのスタート。「絶対に手を触れないゴキブリ処理ツール」を実現

「ゴキすぅ〜ぽん」は、手を近づけずゴキブリ退治!

——商品の開発はどのように進んでいったのでしょうか?

堀:前提として絶対に手を触れたくなかったので、開発当初から「掃除機で吸って、そのまま捨てられる」という方法を考えていました。

今はペーパーモールドというダンボールの素材を筒状にし、その中に不織布を一枚フィルターに仕込んでいますが、初めはこのフィルターを網戸の素材で作れないかと試作を重ねていました。

網戸って、ピンと張ってるじゃないですか。そうすると掃除機で勢いよく吸ったときに、テニスのラケットと同じ感じで跳ね返ってきてしまうんです。

——ギャー。

堀:いくつも試作品を作ったものの、結局、網戸の素材で作るのは難しかったですね。

筒の部分はもともと、材料費が抑えられるプラスチックで作ろうとしていました。ですが、お客さまが実際に使う場面を考えると、どの地域でもそのまま燃えるゴミに捨てられた方がいいだろうと考え、現在のペーパーモールドを採用しました。

ゴキすぅ〜ぽんを分解したところ

——開発の中で苦戦したポイントはありますか?

堀:手を触れずに掃除機から本品を外して捨てる部分がどうしても難しかったですね。

初めは外側に付けた出っ張りの部分をゴミ箱のフチに引っ掛けて捨てる方法を考えました。

ゴキすぅ〜ぽんの商品説明をする堀さん

堀:しかし、この場合失敗したら自分の方へ落ちてくる可能性があったんです。慣れていればスムーズに捨てられますが、初めて使う方だと難しいなと。

いろいろ方法を模索していたのですが、ある日ゴミ箱のフチで掃除機をトントンしたら、勝手に落ちることに気がついて。ならそれでもう外せるじゃんって、解決しましたね。

ゴミ箱で軽く叩けば勝手に落ちる「ゴキすぅ〜ぽん」

——灯台下暗しですね。開発から販売まではどれくらいの期間がかかったのでしょうか?

堀:結構早くて、「こういうの作れないかな」と考え出してから3〜4ヶ月くらいで商品化に到達しました。

その期間中はずっと「ゴキすぅ〜ぽん」のことだけを考えていて……。作ってくれる工場など、あっちこっちに電話して探し続けていたりしましたね。

——工務店だと、工場などの繋がりももともとあったんでしょうか?

堀:いやいや、全くないですよ。

工務店っていうのは、基本的に家の工事を請け負うので、今回のように小物を大量生産するなんて全く経験がないですし、工場との繋がりもありません。材料の仕入れも同じく、ゼロの状態から探しました。

株式会社バリアホーム社長の堀保さん

——意外です。

堀:工務店という強みを活かせたことでいうと、今までの仕事で培われた「自分ができることの中でどう成し遂げるか」を考える力があったからこそ商品化までたどり着けたと思っています。

——それはどういうことでしょうか。

堀:2016年にこの会社を立ち上げる前は、父が経営をしている工務店で20年ほど働いていました。当時はお客さまのお家へ伺っての工事よりは、スーパーなどのお店の細かい修理などを担当していました。例えば「鍵が潰れてしまった」とか「フェンスに車が突っ込んで折れ曲がってしまった」 とか。

今から20年以上前というと、スマホはもちろんデジカメもあまり普及していなかったため、スーパーの店員さんから口頭で教えてもらった情報が頼りでした。必要な機材を積んでお店へ行って実際の現場を見ると、「話と全然違う!」ということが頻繁にあったんです。

——素人が口頭で伝えるとなると難しいですもんね……。

堀:それはもちろん仕方ないのですが、どうにかして今ある機材で直して帰らなければいけません。当時は不景気でしたし、こちらが「話と違うので……」なんて言い訳して直せなければ、その後仕事がなくなる可能性もあったので。

言われた状況と違ったとしても、必死でどうにかして直さなきゃいけないのが日常茶飯事だったんですよ。それがずっと続いていたので、「今あるものでどうやり遂げるか」という頭の使い方が鍛えられ、巡り巡って「ゴキすぅ〜ぽん」に繋がったのではないかなと思います。

商品を開発するうえでも、「きっとなんとかできるはず」っていう自信はずっとありましたね。

「まさかお金を出して買うとは……」一匹100円のゴキブリを仕入れて試作する日々

商品の試作について語る堀さん

——ちなみに、商品の試作はどうしていたのでしょうか? まさか本物のゴキブリは使えないと思うので……。

堀:いや、本物で試しました。

ペットショップで動物のエサになる食用ゴキブリが売っているので、それで。海外のゴキブリなので日本のよりも少し大きく、1匹100円するんです。

——1匹100円!?

堀:はい、高いですよね。まさか自分が大嫌いなゴキブリをお金出して買う日が来るとは思いもしませんでした(笑)

最初に20匹購入したんですが、店員さんが「ゴキブリ好きなんだったら、おまけしてあげる」ってサービスしてくれたりもしましたよ。

——複雑……! 最終的に何匹ほど使ったのでしょうか?

堀:正確には覚えていませんが、何百匹も使いましたね。正直な話、最初は本当に辛かったのですが、だんだん慣れてくると仲間みたいに思えました。

——ゴキブリ以外の虫にも使えるのでしょうか?

堀:はい、使えますよ。個人的に一番力を発揮するのは、クモだと思っています。田舎だとたまにものすごく大きなサイズのクモが出たりしますが、足が長いだけで胴体の部分は意外と小さかったりします。なので大きくても大抵はシュッと入るんです。

——すごい!

堀:あとはカメムシや蛾など、素早くない虫であれば殺虫剤なしでそのまま捕獲ができます。

ただ、カメムシを吸ってしまうと掃除機が臭くなってしまう可能性もあるのですが……。

ゴキすぅ〜ぽんでカメムシを吸う様子

——では、季節問わず活躍してくれる商品なのですね。

堀:はい。ゴキブリも、活発になるのは暖かい時期ですが、季節の変わり目で衣替えをしたときに端っこで倒れてるゴキブリを見つけてしまった、なんてことがあるかと思います。

そんなときでも手を触れずに処理できるので、ぜひお家に常備しておいてほしいですね。

ちなみに、一つの「ゴキすぅ〜ぽん」でゴキブリ5匹まで入るので、ワンプッシュ系の殺虫剤を使って出てきたゴキブリを狙い撃ち、なんてときにも便利です。

ユニークな商品名は母からのアイデアを採用

ゴキすぅ〜ぽんを使用している様子

——「ゴキすぅ〜ぽん」という商品名も印象的ですが、名前はどのように決めたのでしょうか?

堀:これは、私の母からのアイデアなんです。

母もゴキブリがダメなんですが、実家へ帰ったときに、「今こんなのを作ってるんだよ」って話すタイミングがあって。今まで母は「こうしたら?」なんてあまり言ってこないタイプだったんですが、これについては「『すぅ〜ぽん』なんてどう?」と提案してきたんですよ。

正直「ええ、すぅ〜ぽん?」とは思いましたが、私自身今まで親孝行ができていなかったので、せっかくだし命名権ぐらいあげようかなと。

——まさかのお母さんだったのですね。

堀:ただ、「すーぽん」と言われたところで、お客さまにはなんの商品かわからないだろうなと思いました。類似品がありませんし。

何でもいけるという意味を込めて「虫すぅ〜ぽん」にしようかと思ったものの、「何でもできますよ」って、逆にあまり商品の良さが伝わらないかもしれないと思ったんです。

工務店でもそうなんですが、「なんでも工事できますよ」って、意外と利用する側にとってはあまり響かなかったりします。「逆に何が得意なの?」となるんですよ。

——確かに。

堀:なので1個尖らせるため、みんながきっと困ってるであろうゴキブリの処理に絞って「ゴキすぅ〜ぽん」にしました。

寄せられる感謝の声。切実な悩みを解決した「ゴキすぅ〜ぽん」

ゴキすぅ〜ぽん3Dモデル

——実際に使った方からの反応はいかがでしたか?

堀:特に一人暮らしの方からの声が多かったですね。

ゴキブリは夜行性なので、夜や寝るときなどに出て来やすいですよね。苦手な人からすると、人に助けてもらいたいけどそんな夜中に誰かを呼ぶなんてできない。なんとか殺虫剤まではいけても、自分で捨てられないから一夜をともにするしかなかった……。だけどこれがあれば怖くないと言っていただけて、中には「『ゴキすぅ〜ぽん』があるから一人暮らしに踏み切った」という方もいらっしゃいました。

——すごい。

堀:あとは、ゴキブリを処理する際に、どうしても自分では捨てられなくて掃除機で吸ったものの、その後フィルターを掃除できず、そのまま掃除機を捨てた方もいらっしゃいました。

——悲しい……。

堀:しかも1人の話ではなく、10人以上は聞きましたね。それだけみなさん切実に悩んでいらっしゃるんだなと改めて実感しました。

自分が思っていた以上に「ゴキすぅ〜ぽん」があると助かる方が多く、作ってよかったなと思いました。

笑顔の堀さん

——私自身もゴキブリはじめ虫全般が苦手なので、お守り代わりに常備しようと思います。

堀:ぜひぜひ。

正直な話ですが、これを作るのにだいぶ借金をしたんですよ。妻には毎日怒られていて……(笑)「もう、人を助けてる場合ちゃうやろ!」って。なので本音としては、たくさんの人に使っていただけると嬉しいです。

まだまだ知らない方も多い商品かと思いますので、虫に悩むすべての方に知っていただいて、試していただければと思っています。

※商品のデザイン、仕様、外観、価格は予告なく変更する場合がございます。
※効果は使用環境や使用状況により異なります。

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