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日本には四季があり、その季節で自然は様々な姿を見せてくれる。春の新緑、夏の蝉の声、秋の紅葉など、我々を飽きさせない。季節により我々の生活が変わる。厚着をしたり、クーラーをつけたり、アイスを食べたりなど。
では、川に棲む魚はどんな生活をしているのだろうか。気になるのは冬だ。水温は下がり、餌も減るだろう。しかし、彼らは生きている。冬の魚がどんな生活をしているのか、専門家に教えてもらおうと思う。
我々人類は寒くなると厚着をしたり、温かいものを食べたりと、夏とは違う生活になる。その昔、冬場は農作物が減るので、保存食を作ったりして、過酷な冬を乗り超えるために人々は知恵を絞った。家の作りも雪の降る地域とそうでない地域では異なる。
今回は冬の川がテーマです
冬の川を見ると、関東では天候が安定するので水量が減り、春夏秋は岸沿いに緑が茂っていたが、それもなくなり寒々しい景観となっている。しかし、もちろん水中では魚たちが暮らしている。
たとえば熊は冬になると冬眠する。冬眠することで冬を乗り切る。では、川の魚たち(淡水魚)はどのようにして冬を乗り切るのだろうか。また冬に我々が魚を捕まえようと思ったらどうすればいいのだろうか。
心に少年が住む人々にとっては、冬場とて、魚を捕まえたいのだ。ということで、「一般財団法人進化生物学研究所」を訪ねた。
一般財団法人進化生物学研究所
一般財団法人進化生物学研究所は、東京農業大学育種学研究所を前身とし、1974年に設立された。昆虫や多肉植物、古生物など様々な研究室がある。今回は魚類研究室の「蝦名元」先生にお話を聞いた。
蝦名元先生
まずは季節によって魚の居場所が変わるのか聞いた。
川魚のイメージのあるアユは地域にもよるが、10月頃に川で産卵し、孵化すると海に降る。冬場は川では生活せず、水温が上がる季節になるまで海で暮らす。つまり冬場に川で鮎を探しても見つけることができないわけだ。
ウグイなどもそうだ。東京などを流れる多摩川では、3月くらいから東京湾からマルタウグイが遡上してくる。やはり冬は海で暮らしているということだ。ちなみに川魚のイメージのある「ヤマメ」も一部の個体は海に降る。意外に川と海を行き来する魚は多い。
川魚
もちろんずっと川にいる魚もいる。オイカワやアブラハヤ、ドジョウなどはずっと川で生活する魚たちだ。では、その魚たちは寒い冬をどのように乗り切るのだろうか。
深いところに行ってジッとしています。あとは流れがあまりないところ。冬は流れがなくて深いところでジッとしている個体が多いですね
ジッとすることで冬をやり過ごしているようだ。たとえば人間ならば、何かを着込めば冬でも外で暖かく活動できる。カインズのサーモライト繊維を使用した「吸湿発熱Tシャツ」などは薄くて軽くて温かいので、モコモコで動きにくいなどもない。
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当たり前だけれど、魚にはそのようなものがないので、ジッとするしか方法がない。代謝が落ちるので、餌もあまり欲しない。また厳しい季節なので、死ぬ個体も多くなる。そのため全体の個体数は、冬以外の季節と比べれば少なくなる。
川魚を捕まえる一般的な方法に「ガサガサ」というものがある。川岸の草の生えているところにタモ網を突っ込みガサガサと動かしたり、下流側でタモ網を構えて上流側から追い込むように足をガサガサと動かしたりすることで、魚を捕まえる方法だ。春夏秋はこの方法で魚を捕ることができる。
基本、小さい川の魚たちは虫を食べているのが多いですね。そうすると虫がいやすい、草の茂っている部分とか、岸沿いが人気になります
春夏秋は岸沿いに魚がいるということだ。そのため「ガサガサ」が有効なわけだ。一方で冬は深場でジッとしているのでガサガサをしてもあまり意味がない。そもそも冬場は個体が減っているので、捕まえるのが難しいということだ。
冬は深場に魚が溜まっているとも言える。では、そこに投網を投げれば効率よく大量に捕まえられるかもしれない。しかし、それには注意が必要だ。
漁業法で漁業権や禁漁区、禁止期間などが定められている地域があります。地域によって規制は様々なので事前にしっかり確認してください。投網もそうですし、タモ網が禁止されているところもあります。内水面漁協や都道府県の水産課に相談するのが一番いいと思います
河川は割と細かくルールが定められていることもあるので注意が必要だ。
冬の川で捕まえやすい魚はいないのだろうか?
狙いが絞れるという意味ではカジカの仲間とか
カジカは北海道の南部以南の日本各地に生息する淡水魚だ。冬以外の季節は活動範囲が広くなるが、寒い時期は活動範囲が狭くなるので、狙いが付けやすくなる。冬でも岸辺の石の下や隙間に潜んでいることが多く、石をどかして小石や砂ごと網ですくうように捕まえる。
カジカ
冬は藻とかも減りますし、プランクトンも減りますから川底が見やすくなります。もちろん場所にもよりますが、水が澄んでくる。そうすると石を見つけやすくなって、ひっくり返すと川虫がいますね
川虫とは、カゲロウの幼虫などだ。川虫を餌とする魚の個体数が減り、食欲も落ちるので、川虫の数が多くなり、大きな個体を見つけることもできる。冬はむしろ魚より川虫を捕まえやすいシーズンと言えるかもしれない。
川虫(カゲロウの幼虫)です
さらに水が澄むので川の構造を観察しやすい時期でもある。河原に入りやすかったり、歩きやすい季節だったりするわけだ。寒いことを除けば。
上記はアクアライフという雑誌の、2021、2020、2019年のそれぞれ8月号だ。川魚を捕まえようという特集が組まれている。アクアライフはアクアリウムの雑誌なので、通常はキューブ水槽やパルダリウムの作り方などを特集しているが、8月は川魚を捕まえる特集となっている。
つまり川魚を捕まえるのは夏なのだ。夏の終わりから秋にかけては、春に生まれた魚たちもある程度大きくなり、平均して大きな個体を捕まえるのに適した季節と言える。そして、何より寒くない。
私も必要に迫られなければ冬には捕まえません。定期的な調査で捕まえることはありますが
ただ魚でなくても、草が減ったり、水が澄んだりするので、川虫を捕まえたり、地形の観察には冬がいいかもしれない。あと草木の茂りが減るのでバードウオッチングは冬が季節だったりもする。
吸湿発熱スパッツも温かいです
季節問わず魚を捕まえた時に注意点しなければならないことがある。その一つが、外来生物法で特定外来物に指定されている魚の扱いだ。ブラックバスやブルーギル、カダヤシなどが有名だろう。持ち帰りや飼育等が禁止されおり、捕まえてしまった場合はその場でリリースする必要がある。また地域によってはリリースが禁止されていることもある。
特定外来物も問題ですが、いわゆる「国内移入種」というのがあって、それも気をつけなければなりません
国内移入種で有名なのは「オヤニラミ」だろう。本来は西日本にしか生息しないオヤニラミだけれど、現在は東日本にも定着している。アユの稚魚の放流に混じって、東日本にやってきたと考えられる。同じようにムギツクやカワムツも本来は西日本だけだけれど、東日本でも見られるようになっている。
魚だけではなくて、カブトムシとかもですね。そもそも北海道に野生のカブトムシはいないはずなんですけど、最近は北海道にもいます
クワガタは北海道にもいるのだけれど、カブトムシは本来青森までしか生息していなかった。しかし、近年は北海道南部に定着しつつある。
カブトムシ
古くはニホンメダカと分類されていたものが、現在では、日本海側から東北北部にかけて生息する「キタノメダカ」と、太平洋側と南日本に生息する「ミナミメダカ」の2種にわけられた。
DNAレベルで見ると3%くらい違います。人間とチンパンジー以上の違いです。ただキタノメダカとミナミメダカは染色体の数が一緒なので混じり合うんです
人間とチンパンジーは染色体の数が違うので混じり合うことはないけれど、キタノメダカとミナミメダカは混じり合ってしまう。そのようなことが起きるので、捕まえた場所で観察したらその場ですぐにリリースするのが一番いいわけだ。
これらは季節を問わず、捕まえた際は、気をつけて欲しいことです
メダカ
いろいろな注意点はあるけれど、海と違い全都道府県に川は流れているので、川魚を捕まえて観察するのは生態系を学ぶ上でも面白い。冬場は川の地形を把握するにはいい時期なので、暖かくなり、川魚が活発に動き出す前に、地形を観察してここで捕まえようと計画を練るのもいいだろう。川魚を捕まえるのは冬から始まっているとも言える。暖かい格好をして、川に下見に出かけようではないか。
オイカワは美しいのでぜひ見つけてみてください
魚の種類によります。たとえば、アユは小さい時は海にいて、外洋までは行かないですけど、海で生活して、川に戻ってくる。ウグイの仲間もそうだったりします