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シャクヤク(芍薬)の花の育て方を解説! 特徴や栽培の注意点やボタン(牡丹)との見分け方も紹介

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土屋悟

土屋悟

フリーランスのライター/編集者。植物・園芸関係、DIY関連の雑誌、書籍、ウェブメディアなどで活動。庭いじりやベランダでの植物の栽培もしつつ、最近は室内での植物栽培やトイレのタンクの上の手洗いで植物を育てる「トイレリウム」を製作したりしている。

初夏の華やかな花として古くから親しまれてきたシャクヤク(芍薬)は、今でもとても人気のある花。大ぶりな花をしっかりと咲かせるためにも、基本的な育て方や季節ごとの手入れなどをしっかり把握しておきましょう。

この記事では、シャクヤク(芍薬)を自分で育てて咲かせてみたい人のために、花の特徴や育て方を紹介します。よく似ているボタン(牡丹)との見分け方もご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

シャクヤク(芍薬)の特徴

花開いた芍薬

シャクヤク(芍薬 Paeonia lactiflora)はボタン科ボタン属の植物です。よく似た植物であるボタン(牡丹)は落葉しても地上部が残り、成長すると茎が木化していく木の仲間(木本、もくほん)ですが、シャクヤク(芍薬)は草の仲間(草本、そうほん)です。

英語圏では花についてはボタンとシャクヤクのいずれも「Peony(ピオニー)」と呼びます。

植物としてしっかり区別して呼ぶ場合は、シャクヤクをそのまま「Peony」と呼び、ボタンは木になるピオニーということで「Tree peony(ツリーピオニー)」「woody peony(ウッディピオニー)」と呼ばれたり、中国が起源であったりすることから「chinese peony」などと呼ばれることもあります。

名前に「薬」とあるように、中国では古くから観賞用だけでなく薬用としても利用されており、日本にも8世紀ごろまでに薬草として伝来しました。日本に伝わったころから品種改良が始まり、古くから茶花としても利用されてきた花です。

日本スタイルの「一重」「翁咲き、洋風スタイルの「八重咲き」

八重咲きの芍薬

シャクヤクには一重咲き(シングル咲き)から八重咲き(フルダブル咲き)まで、さまざまな花形があります。日本では一重咲きのほか、雄しべが細い花弁になった「翁咲き」という花形が盛んに育種されました。

室内で飾る時に花粉が落ちないように作られたのが「翁咲き」と言われますが、この咲き方は欧米ではあまり育種されていないため、海外では「ジャパニーズスタイル」と呼ばれています。

豪華な花形は主に欧米で品種改良され、アネモネ咲き、ボム咲き、セミダブル咲きなどの花形が作られています。

シャクヤク(芍薬)の育て方

ピンク色の芍薬

シャクヤク(芍薬)の基本的な育て方や季節ごとの手入れのやり方を詳しくご紹介します。

シャクヤク(芍薬)を育てるのに適した環境、置き場所

ガーデン

シャクヤク(芍薬)は、日当たりと風通し、そして水はけのよい場所を好みます。シャクヤク(芍薬)はあまり暑さには強くないので、夏の日ざしがよけられるような場所で育てるのが適しています。

庭植えであれば午前中だけ日ざしが当たる場所や、西側に落葉樹が植えてあって真夏の西日が避けられるような場所です。夏の間は株元をバークチップや腐葉土で覆うマルチングをして、地温が高くなるのを防ぐのもよいでしょう。

また、シャクヤク(芍薬)は冬の間は地上部が枯れてしまいますが、春から生育をはじめると枝葉が旺盛に茂りとても場所を取ります。何年も植えていて大株になることもあるので、スペースに余裕がある場所に植えるようにしましょう。

鉢植えは春と秋は終日直射日光に当ててもかまいませんが、夏の間は午後からは日ざしが避けられるような場所に移動させます。夏の暑い時間帯に鉢に直射日光が当たると根が高温にさらされるので、もう一回り大きな鉢の中に鉢植えを入れる「二重鉢(にじゅうばち)」にしてもよいでしょう。

外側の鉢と株が植わっている鉢の間には鉢底石や発泡スチロールのかけらを詰めておくと、外側の鉢で日光の熱が遮られ、根を高温にさらさずに済みます。

ホームセンターや園芸店では強い日ざしを遮るための「遮光ネット(しゃこうネット)」という資材が販売されているので、そうした資材を使って日当たりを調整してもいいでしょう。

シャクヤク(芍薬)は肥沃な土壌を好むので、植えつけ前に腐葉土や牛ふん堆肥などの有機質をたっぷりと土に加えて土壌改良をしておきましょう。

また、ボタンは水が滞留するような場所では育ちが悪くなってしまうので、花壇をつくって高植えにしたり、東向きの土手や斜面に植えたりするのもおすすめです。

シャクヤク(芍薬)の水やり

庭植えの場合は、基本的に水やりは不要です。土が乾きやすい真夏のみ、気温が低い朝か夕方に水やりをしましょう。

鉢植えの場合は、鉢土の表面が乾いたら鉢底から流れ出すまでたっぷり水を与えます。シャクヤク(芍薬)は過湿を嫌いますが、中途半端な水やりはよくありません。

葉が落ち始めたら少しずつ水やりの間隔を開け、冬の間も週に1度は必ず土の乾き具合を見て、土が乾いているようなら水を与えます。

肥料のやり方

3月に芽が動き始めたら緩効性化成肥料(ゆっくり効く粒状肥料)か固形の発酵油かすを与えます。庭植えは株から20cmほど離れたところに、鉢植えは鉢の縁に与えます。また、花が終わったら同様に肥料を与えましょう。

シャクヤク(芍薬)は高温多湿が苦手なのですが、多湿な梅雨時や梅雨明けからの猛暑の時期に肥料分が残っていると、根は強いストレスにさらされてしまいます。夏に肥料が残るほどたくさんの肥料を与えてしまわないよう、気をつけてください。

猛暑の時期が過ぎたら再び緩効性化成肥料か固形の発酵油かすを与えます。「暑さ寒さも彼岸まで」と言いますので9月の下旬が目安ですが、最近は10月に入るころまで暑い日が続くことがあるので油断できません。最高気温が30℃を下回るようになってから肥料を与えるようにしましょう。

植えつけの際に初期の生育に必要な肥料を元肥(もとごえ)として混ぜ込むことがありますが、ボタンの場合は不要です。

シャクヤク(芍薬)の植え付け

シャクヤク(芍薬)の植え付けは秋に行うのがおすすめです。シャクヤク(芍薬)は暑さが苦手なので、植えつけてすぐに夏が来てしまうよりは、秋〜初夏までにしっかり根を張って体力をつけさせた方がよく育ちます。

庭植えは直径40cm深さ30cmの植え穴を掘り、土に腐葉土か牛ふん堆肥を20〜40リットル混ぜ込んで土づくりをします。植えた場所がこんもりと高くなるように土を盛るか、レンガなどで囲ってレイズドベッドを作って植えつけます。植えつけ後は水をたっぷり与えましょう。

鉢植えは8〜10号(直径24〜30cm)の鉢に赤玉土6:腐葉土4などの用土で植えつけます。鉢は土が乾きやすい素焼きやテラコッタ、釉薬を塗っていない陶器や駄温鉢(だおんばち)がおすすめです。こちらも植えつけたらたっぷりと水を与えます。鉢底から流れ出る水が透明になるまで与えてください。

シャクヤク(芍薬)の苗を選ぶときのポイント

芽数、枝数が多く、茎がしっかりしているものを選びましょう。開花期に、花を確認して好みの株を買うのもおすすめです。

シャクヤク(芍薬)を育てるときのポイント

日に当たる芍薬

健やかに株を育てきれいな花を咲かせるには、季節ごとの手入れも重要です。植え替えの危険や、病害虫についても把握しておきましょう。

花後の花がら摘み

花をつけたままにしているとタネがついて、翌年咲く花芽の形成や株の生育に必要な大量を消耗してしまいます。花を庭で楽しむのもいいのですが、翌年のことを考えると、ある程度花が咲き進んだら花茎をつけ根から切って切り花にして楽しむのがおすすめです。

シャクヤク(芍薬)の夏越しと冬越し

ボタンを育てる植えで大敵なのは夏の高温と多湿です。庭植えの場合は植えつける際に西日が避けられる場所を選びます。西日を避けられない場所に植えてしまった場合は、なにか遮蔽物があった方がよいでしょう。西側に落葉樹を植えたり、遮光ネットを張って日当たりを調節したりしましょう。

過湿については人の手で後から調節することが難しいので、庭植えにする際はくれぐれも植え場所をしっかりと吟味してください。

鉢植えの場合は西日が当たらない場所に移動させます。過湿を避けるためにも、雨が当たらない場所に置いた方が土の乾き具合をコントロールしやすいでしょう。

建物の東側の軒下など、午前中は日ざしが当たるけれど、午後からの日ざしと雨はよけられるような場所は理想的といえそうです。もちろん土が乾ききらないように水の管理をしっかりとしてくださいね。

日が当たらないだろうと思って建物の北側に置いていたりすると、夏の太陽は思ったよりも北側に回り込んでいて日没間際に直射日光が当たってしまうこともあるので要注意です。

シャクヤク(芍薬)の植え替え

たくさんの芍薬

鉢植えは2〜3年育てていると根が詰まり、株が混んでくるので9月下旬〜10月に植え替えます。

庭植えはあまり植え替えなくてもよいですが、植えつけから7〜8年経って株が混み合うようになったら根を切らないように掘り上げて、鉢植えと同様に切り分けて植え直します。

シャクヤク(芍薬)の株分けと芽かき

鉢植えを植え替える際、株が大きくなりすぎているようであれば、根の塊にそれぞれ2〜3芽がつくように切り分けてから植え直します。庭植えも、株分けの際に株が大きくなりすぎていたり、生育期に芽が混みすぎたりするようであれば株分けして植え直します。

春に生育が始まったときに、目と目の距離が近すぎて風通しが悪いようであれば、芽を折り取って減らしてもよいでしょう。花後に茎が混み合っているときも、生育が悪い茎を株元で切り落とします。

シャクヤク(芍薬)の病害虫

梅雨の時期に黒斑病が、生育期間を通じてうどんこ病が発生することがあります。そのままにしているとほかの部位にも広がるので、発生箇所を取り除いて適用のある薬剤を散布しましょう。

そのほかにも灰色カビ病や立ち枯れ病なども発生するので、それぞれ適用のある薬剤を使って防除しましょう。いずれの病気も、周囲の環境を風通しよくし、有機質をすき込んで土壌改良することなどである程度防ぐことができます。

ボタン(牡丹)とシャクヤク(芍薬)の違いと見分け方

木質化した枝が横に張ったボタン

ボタン(牡丹)とシャクヤク(芍薬)は、非常に似ています。見分け方のポイントを紹介します。

株姿の違い

ボタン(牡丹)は冬になると葉が落ちますが、枝が残ります。翌年の春からは新しい枝が横に張っていく樹形。これに対し、シャクヤク(芍薬)は茎が立つように上に伸びていきます。

そのためボタン(牡丹)はどっしりとした株姿になり、シャクヤク(芍薬)は縦方向にしなやかに伸びる株姿に。「立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花」という言い回しは、こうした株姿の違いをうまく捉えた表現だといえます。

ちなみにすぐ上の画像は木質化した枝が横に張ったボタン(牡丹)です。

つぼみの形の違い

ボタン(牡丹)もシャクヤク(芍薬)も大きく丸々としたつぼみをつけますが、ボタン(牡丹)の蕾の先端が尖るのに対し、シャクヤク(芍薬)は全体に球形のつぼみになります。

葉の形の違い

どちらも1つの葉柄に3枚の葉がつきますが、ボタン(牡丹)の葉には切れ込みが入るのに対し、シャクヤク(芍薬)の葉には切れ込みが入りません。また、ボタン(牡丹)よりもシャクヤク(芍薬)の葉の方がつやつやとしています。

幹の質感の違い

ボタン(牡丹)が樹木(木本)であるのに対しシャクヤク(芍薬)は草花(草本)です。ボタン(牡丹)は冬に落葉した後も幹や枝が残り、翌年はそこから新しい枝を出します。

そのためボタンのゴツゴツとした木質化した質感なのですが、シャクヤク(芍薬)は冬になると地上部が枯れて翌年の春になると新しい茎を伸ばし始めるため、茎はつやつやの緑色です。

春から秋の間は株元のみ木肌を見ると見分けがつきますし、冬になるとボタン(牡丹)は葉が落ちた状態で地上部があるのに対し、シャクヤク(芍薬)は地上部に姿が見えなくなってしまいます。

まとめ

芍薬の花咲く庭

シャクヤク(芍薬)は華やかさの中にもそこはかとない清楚さも兼ね備えた人気の花。きれいな花を咲かせ株の成長を促すには、高温多湿な夏をうまく乗り切るのがポイントです。

牡丹の成長はゆっくりで、根は育ちにくい傾向です。植え替えを避け、根気よく栽培しましょう。

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