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「良い畑にはミミズがたくさんいる」などといわれるように、ミミズは人間に利益をもたらす益虫に分類されています。釣り餌用に育てている方もいたり、家庭の生ゴミを食べてもらうために飼っている方もいたりと、実はかなりの人気者。もちろん、純粋にペットとして飼育してみたい方もいるでしょう。
そこでこの記事では、ミミズを飼うのに必要なアイテムや餌の種類、注意点などをまとめました。ミミズのフンが混ざった糞土を肥料として利用する「コンポスト」作りについても紹介します。
ミミズは「環形動物門貧毛綱(かんけいどうぶつもんひんもうこう)」という分類に属する生き物の総称です。環形動物とは無脊椎動物の一種で、骨格がなく、一般的に細長い体をしています。また、頭と尻尾のほかは似たような構造を持っているのが特徴です。
貧毛とは、目立たないながらも無数の短い毛が体表に生えている生き物を指します。ミミズを顕微鏡で見ると、短いながらも太く硬い剛毛という毛が確認でき、これを土に引っかけながら滑り止めとして利用して直進していることがわかります。
ミミズは土の中で暮らしていることから、多くが茶色~褐色をしています。しかし大きさや体型は種類・個体差によってばらつきがあり、一概にいえません。
どのミミズも基本的には生体の構造が酷似しており、頭の先端には口、尻の末端には肛門があり、体は同じゴムリングがいくつも連なったような構造をしているのが特徴。この繰り返し構造を「体節(たいせつ)」と呼びます。頭部近くの白っぽい一部分は「環帯」といい、生殖のための穴が空いています。また、成熟するとほかの部分より長くなるのも特徴の一つです。
雑木林、畑、公園、植え込み、道路脇の落ち葉の下など、幅広い場所に生息しています。土の表層を好むものもいれば、浅い層を好むものもいます。深い層を好む深層種は体長・体格が大型の傾向があります。
日本の代表種であるフトミミズは表層に多く見られるため、採集の際も見つけやすいでしょう。
脇本さん
基本的にはどこにでも生息できるミミズではありますが、針葉樹だけは苦手で、イチョウの木の下などにはミミズは集まりにくいといわれています。
枯れ葉、枯れ草、虫や動物の排泄物、死骸など、有機物であれば基本的に何でも食べます。種類によっては家庭から出る生ゴミも食べてくれます。
ミミズは雌雄同体ですが、1匹では卵を産めません。別の個体から精子をもらい、受精して初めて産卵ができます。ミミズたちは環帯をくっ付けて互いに精子を注入し、粘液に包まれた受精卵を産卵します。精子を注入しあうと、両方のミミズが産卵できるようになります。
脇本さん
一度、精子を注入しあうと数週間の間、週に数個を産卵し続けることが可能です。産卵数は環境下で変わります。1個の受精卵から1匹~5匹前後のミミズが生まれます。
日本に多く住むフトミミズは夏頃に産卵しますが、シマミミズは年中卵を産むことで知られています。卵は卵のまま越冬でき、春頃になると孵化、約4~8週間か月で成体となり、産卵できる体になります。
フトミミズは産卵後の秋~冬に寿命を迎えることが多いといわれていますが、民家近くでもよく見かけるシマミミズは2~4年ほど生きられます。環境が良ければさらに長生きする可能性もあるでしょう。
ミミズは良い土壌作りに欠かせない分解者や世界の生命循環を回す立役者だと知られています。落ち葉や生き物の排泄物、死骸などを土と一緒に飲み込み、カルシウム、カリウム、リン酸など多くの栄養分を含むフンを排泄するためです。また土中に穴を掘って移動することで、水や空気が通りやすい環境ができあがります。周囲の植物が元気に育つ手助けなども行います。
このようなミミズの働きは、進化論で有名なチャールズ・ロバート・ダーウィンの時代から知られており、「世界中のどんな生き物よりも重要な存在」と絶賛されています。
ミミズは世界のいたるところに生息していますが、正確に何種類いるのかはよくわかっていません。7,000種という研究者もいれば、2,300種だと主張する研究者もいます。日本国内では300種以上いるといわれていますが、実態は不明です。ただ、生息が判明しているミミズは日本国内だけで181種であるという研究結果もあります。
ここでは、特に身近なミミズを3種類取り挙げて紹介します。
日本に生息するミミズのほとんどはフトミミズ科だといわれるほど、代表的な存在です。細かく分類するとさまざまなフトミミズがいるようですが、その多くには名前が付いておらず、一括りにフトミミズと呼ばれることも多いです。ちなみに、釣り好きな方は「ドバミミズ」と呼ぶこともあります。
生息場所は、畑の土や落ち葉の下、日陰でじめじめした場所の柔らかい土です。土の表層にいる有機物やそれらを含む土を食べ、栄養のあるフンをします。越冬できない個体が多く、次に紹介するシマミミズと比べると飼育・繁殖の難易度が上がります。
世界中に分布しているツリミミズ科の一種です。体にシマのような模様があることが最大の特徴です。体格はフトミミズよりも細く、体長は5~10cmほど。
シマミミズはゴミ捨て場や堆肥の中、あるいはその周辺に生息していることが多く、自然環境で見かけることは少ないでしょう。フトミミズがあまり食べない生ゴミなども食べるため、コンポスト(家庭から出るゴミをミミズなどの働きを活かして堆肥にする)作りに向いています。
越冬ができ、繁殖力も強いため、飼育難易度はフトミミズより下がります。なお、シマミミズはサプリメントなどにも用いられます。
イトミミズは、3~10cm程度の細長い糸のような体をしているミミズです。金魚や熱帯魚の餌として使われることも多く、「イトメ」という略称(愛称)もあります。
土中のほか、水中でも生息でき、水田や下流の泥の中などに集団でいることが多いです。水中では頭だけを土の中に入れ、中の有機物や微生物を食べて栄養のあるフンを外に排泄します。下層の土を表面に持ち上げたり、土を縦方向に掘ったりすることで土中に栄養が行きやすくなり、土壌が豊かになります。
水がなくても生きられますが、飼育するにはカルキ抜きをした水と酸欠防止のためのエアレーションが必要です。少々のことでは死なないタフさはあるものの、シマミミズに比べると繁殖させるのは難しいでしょう。推定寿命は4~6年、飼育下では1~2年が平均だといわれています。
成長したミミズは6~8月頃に活発になります。採集中に蚊にかまれることが多いため、長袖・長ズボンや虫除けスプレーを持参することをおすすめします。
捕獲方法は、捕まえたい種類のミミズがいる場所に生き、手や小型のスコップで掘り起こすというシンプルな手法です。強く掘るとミミズを傷つけてしまう恐れがあるため、先端が丸いスコップで優しく探ってください。また、手が汚れないよう軍手をしたほうがよいでしょう。
より効率を上げたい場合は、市販の練りがらしを水で薄めたものを土にまく、という手もあります。からしには「アリルイソチオシアネート」というミミズにとっての忌避成分が含まれており、これを察知すると嫌がって地上に顔を出してきます。
ただし、畑や所有地の土などにからし溶液をまくのは避けてください。アリルイソチオシアネートに毒性はありませんが、その土壌を管理する方とトラブルになる可能性が高いです。
自分で採集するのも楽しみの一つではありますが、居住エリアの関係で目的のミミズを捕獲できない方もいるでしょう。
その場合は購入したほうが早いかもしれません。生きたミミズは釣具店や通販ショップで取り扱われています。値段はお店によって異なりますが、数十匹で1000~2,000円が相場です。
ここでは、陸棲のシマミミズ、フトミミズを飼うために必要なアイテムを紹介します。どちらを飼う場合でも、餌の種類以外は基本的には変わりません。次のものを用意しましょう。
20~40cmほどの広さ・深さのある容器なら、特に素材は問いません。観察しやすい飼育ケースは中が見やすくおすすめですが、発泡スチロール、ダンボール、衣装ケースでも問題なく飼育できます。
発泡スチロールは断熱性が高く、温度調整がしやすいためミミズ愛好家から重宝されています。冷凍食品などが入っていた空の容器があれば、再利用してはいかがでしょうか。
なお、ミミズは脱走を試みるため、ふたはあったほうが安心です。野外飼育では天敵からの攻撃をガードする役割も果たせます。
フトミミズは巣穴を作るため、畑や森の中にあるような黒土を入れてあげるとよいでしょう。少し固めのものを好む傾向があります。
シマミミズを飼う場合でも黒土で構いませんが、土は必ずしも必要なく、おがくずや新聞紙、ヤシ殻でも構いません。
餌はよく熟成された腐葉土を与えれば問題ありません。ほかに牛糞堆肥もよく食べます。シマミミズであれば、野菜くずや茶の葉の残りなどの生ゴミをあげてもよいでしょう。後述しますが、シマミミズの性質を利用してリサイクルする「ミミズコンポスト」を作れます。
腐葉土の表面が乾かない程度の水分が必要です。ドバドバと濡らしすぎるとミミズが驚いてしまうため、霧吹きやジョウロなどで適度に濡らしておきましょう。
土をかき混ぜることで土中の通気性が良くなります。小型のスコップがあると非常に便利でしょう。ミミズを傷つけないよう、優しく掘り起こしてください。ミミズの採集で紹介した、先端が丸まっているスコップがおすすめです。
ミミズを上手に飼ううえで欠かせないポイントを注意点と併せて紹介します。特に知っておきたいのは、「餌やり」「飼育適温」「外敵の存在」の3点です。
餌はなくなっていれば都度補給してあげてください。フンを土の表面に排泄するため、腐葉土などとフンの割合を見て判断するとよいでしょう。
シマミミズであれば、家庭から出る生ゴミを餌にすることもできます。野菜くずや果物の皮、特にバナナの皮やメロンの食べ残しなどはごちそうのようですが、塩分・油分・酸味を含んだ残飯は苦手です。
脇本さん
また、動物性のタンパク質や、好みであるデンプン類(芋など)を与え続けると、土が硬くなるので注意が必要です。
さらに、柑橘系に含まれる「リモネン」という物質は殺虫剤にも使われる成分であり、ミシマミミズにとっても有害です。与えると死んでしまうこともあるため注意しましょう。
ミミズが快適に過ごせるのは約20℃といわれており、30℃以上になると命の危険にさらされます。気温が高い時期などに野外に放置していると全滅する恐れがあり、要注意です。
日陰で風通しが良い場所に置くか、室内で管理するほうが安全でしょう。また、濡れた新聞紙を棒状に丸めて容器内の隅に置いておくのもおすすめ。気化熱が働き、外気よりも涼しくなります。
ミミズは水分が多くジメジメした場所が好きなイメージがありますが、与えすぎるとよくありません。実は雨が苦手であり、水分が多すぎると溺れてしまうことも。深い飼育容器を用意し、床材を豊富に敷けば少々水をあげすぎても問題はありませんが、油断は禁物です。
基本的には、乾燥する前にジョウロや霧吹きで給水する程度で構わないでしょう。
脇本さん
散水の回数も重要です。春先や夏場は気温が高くなるので、こまめな散水が必要ですが、冬場は1日1回程度で十分です。
餌とする生ゴミにコバエなどが卵を産み付けていたり、床材の土に病原菌や害虫が混入していたりするケースがあります。これらの存在はミミズの生活に影響を与えませんが、飼い主さんとしては避けたいでしょう。
シマミミズに限って土は必須アイテムではないため、床材にはヤシ殻などを用いるのも一つの解決策です。また、生ゴミはすぐに冷凍処理することで害虫や雑菌の発生を防げます。
屋外飼育では、ムカデやトカゲ、鳥などミミズを狙う生き物がたくさんいます。アリにも要注意です。自然下ではよく見られますが、アリが大群でミミズを取り囲んで襲うことがあります。
飼育容器にふたをする、ネットを張るなどして守ってあげましょう。ミミズの脱走を防ぐのにも役立ちます。
生ゴミなどをミミズと微生物の力を借りて分解し、栄養価の高い堆肥に変える処理方法を「ミミズコンポスト」といいます。簡単にいえば、ミミズに生ゴミを食べさせたうえ、そのフンを堆肥として使うというリサイクルシステムです。
フトミミズは生ゴミを食べてくれませんが、シマミミズを飼うのであればミミズコンポストを作るのもおすすめです。
ミミズと生ゴミを入れ、効率良く肥料を作らせる容器は「ミミズ箱」などの商品名で市販されていますが、自作も可能です。用意するものは次の通りです。
容器の底に液肥を受け取るための排水穴(1cmほど)を複数開けます。ふたを締めると密閉状態になる場合は、空気穴を開けて換気口を設けてください。
黒土や落ち葉、牛ふんなどを敷き詰めますが、シマミミズは土を必要としないため、ヤシ殻でも段ボールの切れ端でも問題ありません。東京農工大学農学部の自主ゼミナール『ミミズコンポスト管理局』では、コーヒーの残りカスを利用しているそうです。
家庭で出た野菜くずや果物、卵の殻といった生ゴミの水を切り、薄く広げて与えます。量はミミズの重量の半分程度が目安です。
餌を新聞紙で覆うことでミミズが好む湿っぽい環境を保て、光を遮断できます。また、餌がなくなると新聞紙も食べてくれます。コバエ等を発生する効果もありますが、不織布やネットでも代用可能です。
ブロックやレンガなどの上にコンポスト容器を置き、下に液肥をキャッチする受け皿を設置します。受け皿に貯まった液肥は、観葉植物や家庭菜園の肥料に利用できす。
なお、コンポストは毎日かき混ぜないと悪臭が出がちですが、ミミズは中で活発に動き回ってくれるため、放置していても基本的には問題ありません。
ミミズはまだまだ謎の多い生き物で、飼育するうえでわからないことも出てくるでしょう。ここでは、ミミズを飼うにあたりよく出てくる素朴な疑問や不安をQ&A形式でまとめました。役立ちそうなものがあれば、ぜひ参考にしてください。
A.具体的な数字を上げるのは難しいですが、基本的に繁殖力は強いといえます。
ミミズの種類にもよりますが、性成熟を迎えるのが産まれて約4~8週間と早く、週に2~3個の卵を産むといわれています。さらに、卵(抱卵と呼ばれる殻に包まれています)の中からは数匹のミミズが誕生します。
適切な飼育環境であれば、1年間で5倍ほどに増えることもあるでしょう。
A.ヤマトヒメミミズというミミズは、半分とはいわず、切断した分だけ増える驚異の再生能力を持っています。ただ、多くの種類は、半分に切断すると死んでしまうか、頭部側の部分しか再生せず、2匹にはなりません。
A.まずはバクテリアが分解してくれないと、ミミズは生ゴミを食べられません。キャベツや白菜、トウモロコシの芯といった野菜くずは分解に時間がかかるため、細かく切るか、量を調整してみてはいかがでしょうか。
A.ミミズたちが元気なのであれば、主に考えられるのは次の3点です。
メロンの食べ残しやスイカの皮など、甘くて水分が多いものも与えましょう。また、餌には新聞紙を被せて乾燥を防ぎます。ミミズは新聞紙も食べるので、穴が空いたらその上にさらに新聞紙をかけてください。
A.昔の大人はよく、「ミミズに小便をかけるとおちんちんが腫れる」などと少年に注意したものです。実際に腫れたという証言もあるようですが、もちろん因果関係を説明できる話ではなく、迷信の類だと思われます。
ただ、ミミズが生活するような場所で元気いっぱい遊び、汚れた手で性器やその近くを触ると細菌が入って炎症する可能性は大いにあります。
ミミズはまだまだ謎が多い生き物です。種類によって食べるものや好む環境が違いますが、釣り餌によく使われるフトミミズも、生ゴミ処理部隊として活躍してくれるシマミミズも、飼い方そのものは難しくありません。深めの飼育容器、腐葉土などの餌、適切な水分を与えてください。
注意点は、温度管理、餌やりの量、外敵の存在です。直射日光が当たらない場所で保管し、脱走や外敵リスクを回避するためにふたやネットで対策しましょう。
ガーデニングや家庭菜園をしている方は、ぜひコンポスト作りにチャレンジしてみてはいかがでしょうか。自分で必要素材をそろえ、DIYするのも楽しいものですよ。
※売り切れや取り扱い終了の場合はご容赦ください。
※店舗により取り扱いが異なる場合がございます。
※一部商品は、店舗により価格が異なる場合があります。
脇本さん
小さいものは目視で確認するのも難しい数mm程度、日本国内でよく見られる一般的なものは4~25cm程度です。一方で南半球には5mほどの個体も確認されています。