文系の知名度ほぼゼロ!? 理系が偏愛する紙ワイパー「キムワイプ」ってなに?
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目次/ INDEX
毒を持つ恐ろしい巨大グモというイメージが強いタランチュラですが、実はおとなしい種類もたくさんおり、お世話も比較的簡単な初心者向きのペットです。ちょっと変わったペットを飼ってみたい方には特におすすめできます。
そこで今回は、タランチュラの上手な飼い方を注意点とともに解説します。繁殖のさせ方についても紹介するので、これからタランチュラの飼育を考えている方はぜひ参考にしてみてください。
タランチュラとは、特定のクモを指すのではなく、オオツチグモ科に属するクモの俗称です。かつてはアシダカグモ科のクモもタランチュラと呼ばれていた時期があり、実は曖昧で大雑把な呼び方だといえます。
なお、名前の由来はイタリアの港町「タラント」に生息するコモリグモの一種からきている説が有力です。このクモに強い毒性はありませんが、15~17世紀の南ヨーロッパで起こったタランティズム(ヒステリー症)の原因が「毒グモに咬まれたせいだ」という噂が広まり、「タランチュラ=猛毒の恐ろしいクモ」というイメージが定着したとされています。
タランチュラは生息地や生活様式により、「バードイーター」「バブーン」「アースタイガー」「ツリースパイダー」の4タイプに分類されています。
主な生息地 | 南北アメリカ |
生活様式 | 主に地表棲 |
性格 | 温厚な種類が多い |
代表種 | メキシカンレッドニー、 カーリーヘアー、ブラジリアンブルー、ブラジリアンブラック、ローズヘアー |
直訳すると「鳥食いグモ」に分類されるバードイーターは、鳥をも襲う恐ろしいクモのような印象を受けますが、実際に鳥を捕食することはまれで、襲うとしても小さな小鳥や雛です。とはいえ、「鳥をも食べるクモがいる」という衝撃からこの名が付けられたと推測できます。
バードイーターの多くは、獲物を求めて地上を徘徊する地表棲です。たくさんの糸を吐かず、地中に深く潜ったりもしないうえ、実は温厚な性格が多いため鑑賞向きといえます。
初心者の方でも飼いやすいですが、むやみに刺激すると腹部にある毒性の「刺激毛」を飛ばすことがあるため注意しましょう。体質にもよりますが、数日間とても痒くなる場合があります。なお、刺激毛があるのは南北アメリカ大陸のタランチュラのみです。
主な生息地 | アフリカ大陸 |
生活様式 | 主に地中棲 |
性格 | 獰猛な種類が多い |
代表種 | カメルーンレッドバブーン、ソコトラアイランドブルーバブーン、ゴールデブルーレッグバブーン、ウサンバラオレンジバブーン、キングバブーン |
バブーンを直訳すると「ヒヒ」。アフリカ大陸に生息するタランチュラの総称です。その姿が猿の手に見えることからこの名が付いているといわれています。地中で暮らすタイプが多いタランチュラです。
バードイーターよりも気性が荒い種類が多く、毒性も強いため扱いには注意が必要です。また、動きが素早いうえに脱走にも積極的にチャレンジします。
特徴的な見た目のタランチュラが多く、面白い種類です。飼育に慣れてきたらチャレンジしてみましょう。
主な生息地 | 東南アジア |
生活様式 | 地中棲・樹上棲 |
性格 | 引きこもりがちで、刺激をすると攻撃してくる種類も多い |
代表種 | コバルトブルー、マレーシアアースタイガー、シンガポールブルー |
直訳すると「地中のトラ」に分類されるアースタイガーは、バブーンのように獰猛な種類が多い中〜上級者向けのタランチュラです。幼体時は環境の悪化や蒸れに弱い種類も多いため、こまめな管理が必要です。
アジアの熱帯地域に幅広く分類しており、地上に穴を掘って生活する種類もいれば、木の上で狩りをする種類もいます。
飼育するには相応の経験が必要ですが、コバルトブルーなど美しい体色や模様を持つ種類が多く、ペットとして根強い人気があります。
主な生息地 | アジア・南米 |
生活様式 | 主に樹上棲 |
性格 | 臆病で逃げ足が速い |
代表種 | インディアンオーナメンタル、グーティサファイアオーナメンタル、アンティルピンクトゥー、トリニダードシェブロン、シンガポールブルー |
直訳のまま、樹上で生活するタランチュラです。樹状で巣作りをして獲物を待つタイプもいれば、激しく獲物を追いかけ回してハントするタイプもいます。
バードイーターなどに比べると脚が長い種類が多く、体色も鮮やかでペットとしては人気があります。アジアのツリースパイダーの性格はとても臆病で刺激をするとすごい早さで逃げるため、初心者向きとはいえないでしょう。
バードイーター以外のタランチュラは獰猛な種類が多いと紹介しましたが、人間を見ると積極的に襲ってくるわけではありません。いたずらに刺激さえしなければ、本来はおとなしい性格が多いといえます。
奇蟲屋 榊さん
バブーン以外のタランチュラは自ら咬んでくることはほぼありません。鋭い牙は人間でいう「歯」であるため、攻撃には使用しないことがほとんどです。多くの種類が逃げることを選択します。
種類にもよりますが、タランチュラの寿命はオスで約3年、メスは10年以上といわれています。バードイーターではメスの寿命は20年を超えます。長く一緒に生活できる点も、タランチュラがペットとして愛されている理由の一つです。
「毒グモ」という言葉自体に迫力があるためか、タランチュラに攻撃されると大変なことが起こると思っている方は少なくないようです。しかし、タランチュラの毒で死亡例はありません。咬んでくること自体が稀なこともあり、タランチュラの毒についての研究はあまり行われていないのが現状です。
もちろん、タランチュラに咬まれると無傷では済みません。患部が数日腫れ、ひどい場合は発熱や筋肉の麻痺を伴う可能性もありますが、多くのケースで大事には至らないでしょう。ただし、動機が激しくなる、異常な量の汗が出るなどの「アナフィラキシーショック」の危険を感じたら、すぐに病院に行ってください。
なお、チリアンコモン(ローズヘアータランチュラ)を飼育していた米国男性の目の角膜に刺激毛が刺さり、半年以上も不快感を訴えていた例がセント・ジェームズ大学病院で紹介されています。ペットとして飼育できるタランチュラの毒性は弱いものの、扱いには十分注意しましょう。
ここでは、ペットとして人気のあるタランチュラの種類と大まかな特徴、販売価格の目安などを紹介します。
飼いやすいタランチュラの種類はバードイーターが圧倒的に多いです。おとなしく、身体がとても丈夫なので安心感があります。
主な生息地 | メキシコ |
生活様式 | 地表棲 |
体長 | 6~7cm |
性格 | 温厚 |
寿命 | ・オス:約5〜7年 ・メス:約20〜年 |
幼体の値段相場 | 5,000~1万5,000円 |
メキシカンレッドニーは、ペットとしてお迎えするタランチュラの代表種といえるほど人気です。かつては学名の「Brachypelma smithi」から「スミシー」の愛称でも親しまれていましたが、現在は「Brachypelma hamorii」という学名に変わっています。単に「レッドニー」と呼ぶことが多いです。
「おとなしい」「丈夫」「きれい」と3点セットがそろっており、初心者の方には特におすすめできます。ただし、前述のとおりバードイーターは刺激毛を持つため、不用意に刺激しないようにしてください。
なお、近似種である「メキシカンレッドレッグ」「メキシカンファイアーレッグ」「メキシカンフレームニー」も負けず劣らず人気です。
主な生息地 | チリ、アルゼンチン、ボリビア |
生活様式 | 地表棲 |
体長 | 5〜6cm |
性格 | 温厚 |
寿命 | ・オス:約5〜7年 ・メス:約30年 |
幼体の値段相場 | 4,000~1万円 |
メキシカンレッドニーと並ぶ定番種がチリアンコモンです。淡い赤みを帯びた頭部の色合いから「ローズヘアータランチュラ」という通称で呼ばれるほうが多いかもしれません。より赤みが強い「レッドモルフ」という品種もおり、こちらは「チリアンローズ」と呼ばれています。名前がとても似ているので注意が必要です。
奇蟲屋 榊さん
チリアンコモンと呼ばれる蜘蛛は、これまで「Grammostola porteri」という学名でしたが、2022年に「Grammostola rosea」と同種ということがわかり、「Grammostola rosea」に統合されました。とはいえ、見た目には明らかな違いがあり、「ホワイトモルフ」など分けて呼ぶほうが正確でしょう。タランチュラ飼育の趣味のなかでは明確に分けられて流通されていますので、交雑は避けましょう(参考)。
チリアンコモンも丈夫で大人しく、価格も手頃なことから以前は「タランチュラの入門種」といわれていました。チリの輸出規制から価格は高騰していましたが、最近では繁殖物が出回り、お迎えしやすい価格に戻りはじめています。
主な生息地 | ブラジル |
生活様式 | 地表棲 |
体長 | 6~7cm |
性格 | 温厚 |
寿命 | ・オス:約7年 ・メス:約20〜年 |
幼体の値段相場 | 8,000~1万5,000円 |
全身が漆黒のふわふわ毛、まん丸い大きな臀部、短めの脚が特徴のブラジリアンブラック。まるで黒猫のようなかわいらしさがあり、タランチュラファンから根強い人気があります。似たタランチュラには、鮮やかな青が映える「ブラジリアンブルー」もいます。
バードイーターのなかでも特に穏やかな性格だといわれており、多少の乾燥にも耐えられるため飼育難易度は低めです。初心者の方でも十分お世話できるでしょう。コンスタントに殖やされていますが、成長が遅く人気種なためすぐに売り切れてしまうことが多いです。見つけたら購入しておくことをおすすめします。
主な生息地 | ブラジル(アマゾン流域)、サンタレム地方の熱帯雨林 |
生活様式 | 地表棲 |
体長 | 約7~8cm |
性格 | 温厚 |
寿命 | ・オス:約3~4年 ・メス:約20〜年 |
幼体の値段相場 | 3,000~5,000円 |
「Acanthoscurria geniculate」の学名から「ゲニキュ」の愛称でも親しまれているバードイーターです。淡いピンクと黒のコントラストが強めで、全長も比較的大きい(レッドスパン20cm)ことから、鑑賞のしがいがあるタランチュラです。ただし、大きさの割に動きはあるため扱いには注意してください。
サンタレムピンクヘアードが属するAcanthoscurriaは非常に多産でブリードしやすいことから、比較的お手頃な値段で入手できることが多いです。
主な生息地 | コスタリカ、ニアラグア |
生活様式 | 地表棲 |
体長 | 4~5cm |
性格 | 温厚 |
寿命 | ・オス:約5~7年 ・メス:約20〜年 |
幼体の値段相場 | 2,000~5,000円 |
カーリーヘアーは、その名のとおり全身がカールする毛に覆われたタランチュラです。食欲旺盛で餌の食いつきがよいと感じる飼い主さんが多いようです。バードイーターのなかでは成長が早めで、すくすくと育っていく様子を観察できます。
カーリーヘアーも繁殖がしやすく、販売価格は幼体であれば2,000円ほどとお迎えしやすいといえます。成長過程をじっくり楽しみたい方には特におすすめできる種類です。
主な生息地 | パラグアイ、アルゼンチン |
生活様式 | 地表棲 |
体長 | 約7〜8cm |
性格 | 温厚 |
寿命 | ・オス:約4~6年 ・メス:約20〜年 |
値段相場 | 3,000~5,000円 |
チャコジャイアントゴールデンストライプニーは、「チャコジャイ」と略称で呼ばれ愛されているバードイーターの一種です。体長は約8cm、レッグスパンを含めると約18〜20cmほどになり、「非常に丈夫」「おとなしい」「バードイーターのなかでは成長が早い」「走らない」「美しい」「値段が手頃」と、初心者の方向けのタランチュラといえます。
「とにかく性格が穏やか」と評する飼い主さんが多く、「威嚇すらしない」「刺激毛を飛ばしてこない」など飼育のしやすさを感じている模様。食欲旺盛のため、餌やりの楽しさも味わえるでしょう。
主な生息地 | 小アンティル諸島のマルティニーク島 |
生活様式 | 樹上棲 |
体長 | 5~6cm |
性格 | 温厚 |
寿命 | ・オス:約2~3年 ・メス:約15~年 |
幼体の値段相場 | 5,000~8,000円 |
アンティルピンクトゥーは、非常にきらびやかなタランチュラです。頭部には光沢感のある緑や青の毛が、臀部には濃いオレンジ色の毛が、そして脚にはふわふわとした茶色の細かい毛が生えそろっています。ただでさえ鮮やかな体色は見る角度によって印象が変わることから、「カリブの至宝」「世界一美しいタランチュラ」などと評されています。
アンティルピンクトゥーは樹上棲でありながら刺激毛を持っていますが、飛ばしてくることはほとんどなく、おとなしい性格だといえます(かといってハンドリングはおすすめしませんが)。
初心者の方が注意したいのは温度・湿度管理で、最悪の場合は突然死します。アンティルピンクトゥーに限ったことではありませんが、お世話には気を配りましょう。
主な生息地 | ベネズエラのパラグアナ半島 |
生活様式 | 半樹上棲 |
体長 | 5~6cm |
性格 | 温厚 |
寿命 | ・オス:約2~3年 ・メス:約15〜年 |
幼体の値段相場 | 5,000~8,000円 |
グリーンボトルブルーは青緑の身体とおしりの橙色が特徴的な半樹上種のタランチュラです。巣を張り巡らせ自分のお家を作る様子がとてもかわいく、飼育していて楽しいと感じることができます。
特筆すべきことは成長がとても早いこと。ぐんぐん脱皮を繰り返し2年ほどあれば成体になります。
「成長が早い」「餌食いが良い」「丈夫」と、とても飼育しやすいので、初めてのタランチュラとしておすすめできます。幼体時の体色も金色できれいです。
飼育に慣れてきて、二匹目以降であればどのタランチュラに挑戦してもよいでしょう。
たとえば通称「メタリカ」で愛される「グーティサファイアオーナメンタル」は、紫の脚が非常に美しいツリースパイダーの人気種です。「ゴールデブルーレッグバブーン」も色鮮やかで成長がとても早く、おすすめなタランチュラです。
ギネスブック公認の世界最大のクモ「ゴライアスバードイーター/ルブロンオオツチグモ」は迫力満点で、体長は平均9~12cm、レッグスパンを含めると25~30cmにも成長します。
ほかにもたくさんのタランチュラがいるため、飼育に慣れてきたら難易度が高めのタランチュラもお迎えしてみてはいかがでしょうか。
タランチュラは幼体と成体で注意する点が大きく変わります。今回はタランチュラの成体を飼育するために必要なものを紹介します。
タランチュラは脱走の名人です。タランチュラが脱走すると近所の方を不安にさせてしまうだけでなく、生態系に悪影響を及ぼす恐れもあるため、しっかりとふたができるものを選んでください。大きさは、タランチュラの体長の約5倍が目安です。素材はプラスチックでもガラス(水槽)でも構いません。
タランチュラの種類にもよりますが、ヤシガラやピートモス、バーミキュライトを混ぜたものを使用している方が多いです。また、ダニ対策として少量のくん炭を混ぜるのも効果があるといわれています。ただし、ダニが嫌がる成分はタランチュラにとっても嫌なものである可能性はあるため、ごく少量にしておきましょう。
タランチュラにとって給水は非常に大切なので、水入れを用意しましょう。床材が十分に湿っていれば必要ないこともありますが、あっても邪魔にはなりません。タランチュラがおぼれない程度の浅い水入れがよいでしょう。爬虫類用の水入れがおすすめです。ペットボトルのふたはギザギザしているので使用を避けたほうがよいでしょう。
多湿を好むタランチュラの場合は、床材の湿度を適量に保ってあげる必要があります。床材を湿らせる道具は霧吹きではなく、給水ボトルや洗浄瓶を使うほうがおすすめ。霧吹きだとタランチュラに水がかかってしまい、驚いて攻撃的になったり走り回ったりすることがあるためです。
シェルターは必須ではありませんが、隠れる場所があるとタランチュラが安心します。木の枝やコルクバーグ、割れた植木鉢などを入れるとよいでしょう。ただし、断面が鋭利なものはタランチュラが傷つく恐れがあるため要注意です。
タタランチュラにとって日本の冬は寒すぎるため、飼育ケージを置く室内全体をエアコン等で温めるか、温室を用意しましょう。温室は園芸用の器具を使う方がほとんどです。
基本的には生き餌を与えますが、冷凍マウスや雛鶉、肉食生物用として販売されている加工食品を食べてくれる個体もいます。
【餌としてよく選ばれるもの】
奇蟲屋 榊さん
最初は抵抗があるかもしれませんが、レッドローチが管理が楽で一番おすすめです。成体にはジャイアントミルワームを与えることが多いです。
タランチュラに餌を与えるときに使用します。タランチュラを傷つける恐れのない、先端が丸いものがおすすめ。
タランチュラが元気で快適に暮らせるよう、上手な飼育方法を紹介します。気をつけてほしい注意点も併せて解説しますので、初心者の飼い主さんはぜひ参考にしてみてください。
タランチュラの体長(脚は含まず)よりわずかに小さい餌が理想だといわれています。成長度合いに合わせて食べやすいサイズの餌を選んでやることが大切です。思ったより大きな餌に食いつく個体も多いです。
餌やりの頻度は、幼体では食べるだけ与えるのが成長が早くてよいです。ただし、必ず食べかすが出るためこまめに掃除をしてあげることが大切です。餌をあげた次の日に必ずふたを開けて確認し、掃除をしてあげましょう。
成体では10日に1回で十分です。満腹になるほどの食事をしたタランチュラは、その後1か月間食事をしないこともあります。野生の環境に近づけるのであれば、たまに餌やりの間隔をずらしてやるのもよいでしょう。チリアンコモンなどの過酷な環境に住むタランチュラは半年以上餌を食べないこともあります。
なお、脱皮前のタランチュラは餌を食べません。幼体であれば1~4週間は様子見し、食いつきを見てみてください。幼体時は餌虫に食べられてしまう事故もあるため、締めた餌を置いておくのがよいです。
タランチュラにはコオロギやレッドローチ(ゴキブリの仲間)などを与えますが、これらの昆虫を自分で採集する際は要注意です。なかには農薬や毒餌を摂取している個体もおり、タランチュラが二次被害に遭うかもしれません。特に、家庭に出るゴキブリを捕まえて与えるのは止めたほうがよいでしょう。
タランチュラの様子がおかしくなる原因の一つに、不衛生な環境によるものがあります。飼育ケージは定期的に清掃し、清潔な環境を保ってあげましょう。幼体時は一か月に一回程度の床材交換がおすすめです。成体は半年に一回程度でよいでしょう。
タランチュラの食べ残しや、与えてから丸1日経っても口をつけない生き餌は取り除きましょう。死骸を放置するとカビや害虫を引き寄せますし、狭い飼育ケージ内で生き餌と暮らすことはタランチュラにとってストレスになりかねません。
水皿の水が少なくなってきていると感じたら、水を溢れさせるように追加してあげましょう。
タランチュラの飼育適温を把握しましょう。多くのタランチュラが23~27℃を好み、日本の夏には耐えられる場合もありますが、越冬はできません。25℃を基準として考えてください。「人間が快適な温度はタランチュラにとっても快適」とよくいわれています。
また、湿度が適していないと弱ることが多いため、定期的に床材を濡らすなどして整えてやる必要があります。この際に濡らしすぎないよう注意してください。洗浄瓶で床材の3~4/10程度を濡らすのがよいです。
初心者向きのタランチュラはおとなしい種類が多いものの、咬みつかれるとかなりの痛みが伴うでしょう。数日は皮膚が腫れたり、痒みが引かなかったりするかもしれません。
タランチュラは触れ合ってコミュニケーションを取るペットではなく、むやみに触ることはおすすめしません。適度な距離感を保って接しましょう。
タランチュラはどの種類も似たような交接の仕方をするため、流れはどの種類でも同じです。ここでは、ペットとしてお迎えしたタランチュラを自分でブリードさせる方法を簡単に紹介します。
性成熟をしたメスのタランチュラが交接を受け入れられる環境を用意する必要があります。メスは最大サイズの80%以上で繁殖が可能といわれていますが、生体の負担を考えるとなるべく大きいサイズのほうがよいでしょう。なお、メスは生涯脱皮を続けます。
行うことは、次のとおりです。
広く快適な場所で、お腹が満たされていればタランチュラのメスが交尾を受け入れる可能性が高まります。オスと同居させる直前ではなく、数週間前から準備しましょう。
オスを同居させる最適なタイミングは、脱皮直後に餌をしっかり食べてある程度満腹になった頃です。交接してから脱皮をすると精子と脱皮した殻が一緒に外れてしまうため、有精卵を得られなくなります。そのためか、過去6か月間脱皮していないタランチュラは交接しないという声もあります。
性成熟に達した同種のオスを用意します。オスには最終脱皮があり、触肢の先端に馬の蹄のような構造ができます。交接できる状態に入ったかどうかは、精子網(スペルマウェブ)と呼ばれる巣を張れるかどうかで判断します。クモのオスは精子をいったん網の上に吹き付け、それを触肢で吸い取るという行動をします。精子網は普段の網と違い、ハンモックのような形状をしているので見分けはつきやすいでしょう。
交接前にオスを小さなプラスチックケースなどに入れた状態で、数日間メスが暮らす飼育ケージに入れてください。こうすることでお互いを意識しやすくなります。
必ず、メスの居住空間にオスを入れましょう。逆をすると交接どころか争いが勃発する恐れがあります。また、いきなりメスの近くや中央に置くのではなく、できれば反対側の隅などに置きましょう。
順調にいけば数分から数時間で交接しますが、メスがオスを襲おうとした場合はお見合い失敗です。そのままでは食べられてしまうため、ピンセットでメスの牙を防ぐようにしてすぐに救出してあげてください。交接は複数回行わせましょう。
タランチュラは恐ろしい毒グモというイメージが強いですが、バードイーターであればおとなしい種類が多く、咬んでくることはほぼありません。こちらから刺激しなければ攻撃してくることもありません。とはいえ、素手で触るのは非常に危険なので、ハンドリングは控えることをおすすめします。
飼育するうえで注意したいのは、「不衛生な環境による床材の劣化」「不適切な環境による脱皮不全」「コオロギなどによる外傷」です。どれもタランチュラの寿命を縮めるため、飼育ケージのメンテナンスや温度・湿度管理に気を配ってください。
また、脱走して家の外に逃げ出すと、近隣住民をパニックに陥れる恐れがあります。タランチュラ自身にとっても不幸な結果が待ち受けているかもしれないため、脱走対策には力を入れてください。
ある程度の経験を積み、飼育に慣れればバブーン、アースタイガー、ツリースパイダーもお迎えしてみてはいかがでしょうか。バードイーターにはない個性があり、きっと飼い主さんを癒やしてくれます。
奇蟲屋 榊さん
メンテナンスに手間がかからず忙しい現代社会向きのペットといえます。完全に観賞用なので金魚などと同じような目線で飼育しましょう。ご飯を食べる姿はとても愛らしいですよ。ただし、毒虫ではありますのでその点は注意が必要です。