縄文時代の鍋料理が食べたくて、とりあえず土から鍋を作ることにした
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キリッとした太眉とピンクのほっぺ。スーパーやホームセンターの台所・掃除用品の売り場に行けば必ず、つぶらな瞳でニコリと微笑む憎いアイツと目が合うはず! 彼の名はメラミンスポンジの【激落ちくん】。使ったことのない人はいないと思われるほどの人気を誇る、ホームクリーニング界のスーパーヒーローだ。それが、ふと気づけば、【激落ちくん】は何だかたくさん種類があるような……?
業界屈指の知名度と実力を誇る【激落ちくん】は、なぜこんなに愛されているのか? そして、なぜこんなに種類があるのか? “彼ら”を生み出したレック株式会社で、シリーズの企画開発を担当する萩原智之さんに、【激落ちくん】の歴史と最新のファミリー商品について教えてもらった。
レック株式会社 本社開発統括本部 ハウスホールド部の萩原智之さん
1983年に創業したレック株式会社(以下、レック)は、社名“LEC”の由来でもある「生活に楽しさと便利さを!(=Life Enjyoyment & Convenience)」をモットーに、プラスチックを主原料とした家庭用雑貨を主力商品にしていた企業だ。
「例えば、茶色い半透明のシュガーポットや醤油差しなどの『リブジョイシリーズ』は、ご家庭や食堂などで今も見かけることのある往年のヒット商品です。赤いキャップの油ひきポットや、プラスチックカップの『ハミーコップ』は、現在も続いているロングセラー。“レック”の社名はご存じなくても、キッチンの戸棚や洗面所を見渡していただくと、弊社の商品をいくつかお持ちのご家庭は多いはずです」
そんな便利な雑貨を送り出していたレックが、それまでの耐久性の高い商品とは一線を画す、メラミンスポンジの【激落ちくん】を誕生させたのは1999年のことだった。
【激落ちくん】は、ドイツ生まれの建築素材・メラミンフォームが原材料。断熱材や防音材として使われていたプラスチックの発泡素材が、従来の用途とは違う洗浄スポンジ=メラミンスポンジとして、日本人の手によって再開発された。特長は、強力な研磨力。水を含ませて軽くこするだけで、茶渋や水垢を落としてピカピカにする画期的な洗浄スポンジだ。
カインズオリジナルパッケージの「激落ちくんキューブ40P」
だがウィークポイントもあった。メラミンスポンジは、使用すると消しゴムのように本体が消滅。発泡素材なので、水を含ませる前はもろく、力をかけると本体が割れてしまう。普通のスポンジとは性質があまりに異なるため、プロジェクトは難航した。実際、発売直後には「洗浄力はすごいが、使っているうちになくなってしまうとは、どういうことだ!?」というクレームも少なくなかったそうだ。
さらには、すでに複数の他社から「研磨クリーナー」や「メラミン○○スポンジ」という名前で同様の商品が発売されており、そこに追随しては、消耗日用品の販売実績がないレックがシェアを獲得するのは難しい。
「そこで当時の開発者が注力したのが、目立つ商品名とパッケージでした。洗浄力の高さが一目で感じられる【激落ちくん】という大胆なネーミングと、マンガ風の親しみやすいキャラクター顔のイラストを考え、紆余曲折の末に発売にこぎ着けたそうです」
現在の【激落ちくん】キャラクタービジュアルは、実は三代目。1999年誕生の初代は今よりも少し眉毛が太く、表情もやや無骨だった。シリーズを重ねて【激落ちくん】の名前のついた商品が増えていくなかで、より現代的にリニューアルしていった。
初代【激落ちくん】の商品パッケージ
さらに以前は、商品パッケージには「顔だけ」か「上半身だけ」しか描かれていなかったが、現在の三代目【激落ちくん】は、スポンジを表す白く四角い体から丸っこい手足が伸び、赤いマントを着込んで燐と立つ、颯爽たるヒーロー姿も披露している。【激落ちくん】がこのような全身姿になったきっかけは、絵本を作ったことだった。
「今から10年ほど前、せっかく皆さんに認知していただいた【激落ちくん】というキャラクターを、これから大人になる子どもたちが“キレイを大切にする心”を育むことに役立てたいと考えました。そこで作ったのが、この2冊の絵本です」
『げきおちくんとべとべとベータ』と『げきおちくんとぽいぽいポイッキー』。残念ながら現在は絶版
みんなをベトベトに汚してしまう “べとべとベータ”を “げきおちくん”が退治する『げきおちくんとべとべとベータ』(PHPパブリッシング)と、『げきおちくんとぽいぽいポイッキー』(レック)の2冊。この絵本制作を機に、困った汚れに立ち向かうヒーローとしての【激落ちくん】の新しいキャラクター性も生まれたという。
「【激落ちくん】のブランドサイトで現在公開している公式プロフィールにある「性格:元気いっぱい、正義の味方」は、絵本によって追加された設定です。2冊の絵本は、図書館やお子様が集まる公共施設などにも寄贈しているので、お手にとっていただけたらうれしいです」