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スポーツサイクルをもっと身近に。ホダカが作る高コスパ自転車の秘密

メーカー

岩永 大樹

岩永 大樹

ホダカ株式会社 営業部マーケティンググループ マネージャー。90年の歴史を持つ日常使いの実用車ブランドから本格的なスポーツサイクルブランドまで扱う同社でマーケティングに従事。

近年、密になりにくい移動手段として注目されている自転車。なかでも手軽にフィットネスを楽しめるスポーツタイプの自転車の人気が上昇している。

昔はスポーツ自転車は専門店で買うものだったが、ここ数年は家電量販店やホームセンターなどでもエントリー機を目にするようになった。

ホダカが作る「NESTO」「THIRDBIKES」もその一つ。本格スポーツサイクルから軽快車まで手がける同社ならではのブランディング戦術を聞いた。

カジュアルにスポーツ自転車を始めてほしい。すき間を埋めるブランド展開

ホダカ株式会社イメージ

ホダカ株式会社は、日本の自転車メーカーだ。本格スポーツサイクルブランド「コーダーブルーム」から、軽快車、つまり我々が日々慣れ親しむいわゆる“ママチャリ”の「マルキン自転車」まで、幅広いブランド展開を見せる。

実はスポーツサイクルを展開する会社が、軽快車まで扱うケースは数えるほどしかない。

営業部マーケティンググループマネージャー 岩永大樹さん

営業部マーケティンググループマネージャー 岩永大樹さん

「我々は海外ブランドを取り扱う代理店ではなく、自社で全てのブランドを有する日本メーカーです。始まりは軽快車の『マルキン自転車』、そして本格スポーツサイクルの『KhodaaBloom(コーダーブルーム)』を長く展開し、ここ数年で『NESTO(ネスト)』『THIRDBIKES(サードバイクス)』を追加しました」(岩永さん)

スポーツサイクルにカテゴライズされる自社ブランドを3つも持つ、この点も実はかなり珍しい。

「コーダーブルーム」がレース層も視野にいれた本格スポーツサイクル、「マルキン自転車」が軽快車なので、「NESTO*」「THIRDBIKES」はちょうど間を埋める形でラインナップされる。

*) NESTOにはスタンダードとプレミアムの2ラインが存在し、本稿では主にスタンダードモデルを指す。

自転車の価格帯を比較

「もっとカジュアルにスポーツバイクを楽しんでほしい、スポーツサイクルの敷居を低くしたブランドとして始まったのがNESTOです」(岩永さん)

このうちNESTOスタンダードモデルの販売店は、スポーツサイクルのプロショップではなく、自転車専門店、大手ホームセンター、家電量販店とした。

いわゆるピタピタのジャージを着たレーシーなサイクリストだけではなく、フィットネス感覚で、もっとカジュアルにスポーツサイクルを楽しんでもらいたい。これから始める人に届くよう、ホームセンターなど身近な販売店で目につきやすい形で展開を始めたのだという。

NESTOのクロスバイク「VACANZE」はカインズ各店でも取り扱いがある

NESTOのクロスバイク「VACANZE」はカインズ各店でも取り扱いがある

一方で、THIRDBIKESはまた少し目線が異なってくる。

シティバイク営業グループチーフ 岩瀬 勇徒さん。THIRDBIKES担当

シティバイク営業グループチーフ 岩瀬 勇徒さん。THIRDBIKES担当

「THIRDBIKESはもちろんスポーツテイストではあるものの、どちらかというとマルキン自転車のような日常使いがメインです。わかりやすくいうと、“高校生が通学用として欲しくなる自転車” ですね。スポーティーな自転車で見た目もカッコイイ、だけど手の届きやすい価格帯で届けられるよう製品づくりをしています」(岩瀬さん)

自転車の雰囲気を見ても、THIRDBIKESには “若さ” が感じられる。

趣味として乗るスポーツサイクルは、自転車自体がとても高額だ。最低でも5万円前後、30万円はミドルグレード、果ては100万円を超える高級車も存在する。とかくお金のかかる趣味であり、おのずとユーザーの年齢層もあがってくるのが実情。

そんな中、THIRDBIKESのメインターゲットは学生や20~30代だ。

ストリートテイストのクロスバイク「SUPERSONIC」

ストリートテイストのクロスバイク「SUPERSONIC」

一昔前よりもスポーツサイクルに関心を持つ人たちが多様化してきている、そう岩瀬さんは話す。特に学生へのスポーツサイクルの浸透は、高校の通学風景を見て実感できるのだとか。

「スポーティーなルックスの自転車が当たり前の存在になってきていると感じます。だからこそ皆さんの目に届きやすい量販店やホームセンターで扱ってもらい、まずはTHIRDBIKESのことを知ってもらいたいですね」(岩瀬さん)

合言葉は、FUN・EASY・SAFETY

日常使いがメインのTHIRDBIKESは、走行性能を追求したスペックより、気軽に乗ってもらうほうが優先だ。多くの人に乗ってもらいたいからこそ、安全は最も重要な指標のひとつだという。

THIRDBIKESの公式HPより

THIRDBIKESの公式HPより

THIRDBIKESの自転車には、すべてBAA*がつけられる。日本の大手メーカーの軽快車には基本的についている認証だが、スポーツサイクルではあまり見かけない。

*) 一般社団法人自転車協会認証。「安全で長持ちし、環境に優しい自転車」を目標に、乗る人の安全を第一に考えて、一般社団法人自転車協会が制定。

「THIRDBIKESは幅広い層が使う可能性があるからこそ、ひと目で安全性がわかるようにしたかった。製品づくりの面でもBAAを基準にして、価格帯とのバランスをとりつつも、安全性は決して低下させないようにしています」(岩瀬さん)

BAAマーク、覚えのある人も多いのではないだろうか

BAAマーク、覚えのある人も多いのではないだろうか

THIRDBIKESのほとんどのモデル名には、「FES」の文字が頭につく。これは「FUN」「EASY」「SAFETY」の頭文字をとった略称だ。

誰にでも気軽に乗って欲しい「EASY」、安全性を意味する「SAFETY」、そしてもうひとつが遊び心をあらわす「FUN」だ。

「THIRDBIKESにとって、『遊び心』は大切な要素のひとつです。特に本格スポーツサイクルではライドシーンを考えると、どうしても性能が重視されますが、THIRDBIKESはもっとカジュアルに、見た目だけで選んでもらって良いと思っています」

遊び心はビジュアル面でわかりやすく表現されている。たとえば、ブランドロゴは明確に統一されておらず、遊び心のあるバリエーションがいくつか存在する。

「今日着用しているこのトレーナーも、カレッジロゴデザインです。エントリークロスバイク『FESCROSS』のために作ったロゴですね」

アメリカの有名大学のロゴをモチーフとするカレッジロゴ。同じ文字列であるのに雰囲気は一変する

アメリカの有名大学のロゴをモチーフとするカレッジロゴ。同じ文字列であるのに雰囲気は一変する

「デザイナーと一緒に『ちょっとおもしろくしよう』ということで、カタカナロゴを作ったりもしましたね。自社ブランドの中でもTHIRDBIKESは自由度が高いです」(岩瀬さん)

(左)カタカナロゴの「サードバイクス」と、(右)ヘッドバッチのマーク。THIRD*の「3」とBIKEの「B」をあらわしている。 *) THIRDBIKESはホダカの「3番目のスポーツバイクブランド」が名前の由来

(左)カタカナロゴの「サードバイクス」と、(右)ヘッドバッチのマーク。THIRD*の「3」とBIKEの「B」をあらわしている。 *) THIRDBIKESはホダカの「3番目のスポーツバイクブランド」が名前の由来

社員の多様性、そしてスケールメリットが可能にする価格設定

本社の前で撮影

ひとえに自転車といっても、オンロードレースを主軸に置いたロードバイクや、オフロードを走破するMTB、ストリートカルチャーに根ざすピストバイクやBMXなど、実に多様な種類がある。それぞれフィールドや文化が異なるため、意外にも各属性が交わることは少ない。

しかし、ホダカには多属性の自転車乗りがいる。それはつまり、各分野のトレンドや経験値のクロスオーバーによる化学反応が起こりやすい環境と言える。

「“狭く深く” なりがちな業界において、社員の多様性は強みにつながっていると思います。休憩中に他分野のトレンドを聞いたりして、日常のひとコマが思わぬヒントになることもありますね」(岩瀬さん)

「社内の懐の広さが、今のラインナップにつながっているのだと思います」(岩永さん)

岩永さんはトライアスロンまで挑戦する本格派、岩瀬さんはまさにTHIRDBIKESのターゲット層と同じくカジュアルに自転車を楽しむ

岩永さんはトライアスロンまで挑戦する本格派、岩瀬さんはまさにTHIRDBIKESのターゲット層と同じくカジュアルに自転車を楽しむ

スポーツサイクルのくくりで言うと、THIRDBIKESの価格設定は破格だ。設計思想が異なるとはいえ、安全性も担保された自転車が低価格で勝負できる秘訣はあるのだろうか。

「自社ブランド全体、つまり本格スポーツサイクルから軽快車まで展開しているスケールメリットは大きいですね。ブランドが1つだと販売台数が限られてしまいますし、価格付けにも影響が出てくる部分です。1ブランドのみでは工場との価格交渉が難しい局面でも、自社ブランド全体で直接取引をしているからこそ可能になるケースがあります」(岩永さん)

「たとえば本格スポーツサイクルのコーダーブルームにKESIKIというモデルがありますが、THIRDBIKESのFESRESORTでタイヤを共通化しています。THIRDBIKESとしては高めのタイヤなのですが、まとめて発注することでOKしてもらえるケースもあるし、弊社側の管理もしやすくなる」(岩瀬さん)

インタビューに応じる岩瀬さんと岩永さん

台数を担保したうえで、工場とも長期的なスケジュールを組む。短期間での無理な発注はほぼないという。

「『今年はこれぐらい作る予定だから準備しておいてください』あるいは『時間がかかりそうだったら先に仕入れだけお願いします』など、工場とは密なやりとりを続けて良い関係を築かせていただいています」(岩瀬さん)

インタビューに応じる岩瀬さん

基本的に自社物流を活用しているホダカは、配送コストも大きく抑えられている。

「自転車は配送コストがかなり高いので、物流面でのメリットは大きいですね。取引先の多くが関東一円に集中していることもあり、自社物流で多くをカバーできています」(岩永さん)

倉庫も兼ねるホダカの本社

倉庫も兼ねるホダカの本社

複数のブランド展開によるスケールメリットに加え、自社物流を活用したコストカット。製品づくりの裏側の積み重ねも、手の届きやすい価格に反映されている。

ホダカの本社

さらにコーダーブルームやNESTOのプレミアムモデルなど、本格的なスポーツサイクルを作る会社という背景が、信頼につながる。イメージ面でも相乗効果は大いにあるだろう。

「各ブランドのキャラクターをもって、より多くのニーズに適した自転車を選んでもらいたい。そして我々は、その想いがユーザーに届くようなコミュニケーションをしていきたいですね」(岩永さん)

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