プチプチに表裏ってあるの? 引っ越しシーズンに役立つ正しい梱包方法
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自宅で過ごす時間が増え、生活に「自然」や「緑」を求める人が増えている。中でも、小さめの観葉植物や丈夫な鉢植えなど、気軽に楽しめるグリーンの需要が急増中だ。
ガーデニングと聞くと初心者にはハードルが高く感じられるが、ベランダの一角から始められる「ベランダガーデニング」の手軽さは、まだあまり知られていない。
「戸建てはもちろんマンションやアパートのベランダでも、鉢植えひとつからスタートできるのがベランダガーデニングの最大の魅力です」
こう語るのは、センスの良い空間づくりに定評のあるガーデニング&フラワーショップ「渋谷園芸」の店長。今回、ガーデニングに初めて挑戦する人に向けてアドバイスをくれた。
そもそもガーデニングとは、植物を植え、育てながらお庭を作ること。自宅に広い庭があれば、地面に種をまいたり植物の苗を植えたりしてすぐに始められる。一方、ベランダという限られたスペースでも、植木鉢やプランター、フェンスなどを上手に使うことで、ドラマチックな空間を作り上げることが可能だ。
「ベランダガーデニングでは、好みのデザインの鉢で飾れる楽しみをより実感できますね。鉢のサイズはもちろん、色や模様、素材などをうまく組み合わせると立体感のある空間ができあがります。また、鉢植えだと鉢替えが楽というメリットもありますよ」
ベランダガーデニングを始める前に、確認しておきたいことと準備が必要なものがある。
まずは、自宅のベランダの寸法を確認しよう。望ましいのは、奥行きが90cm以上あるベランダ。ホームセンターや園芸店でアイテムを購入する際にも役立つので、スマートフォンにベランダの横幅・奥行き・柵の高さをメモしておくのがおすすめだ。
植物の成長に欠かせない日光が、どのくらい入るかも見ておきたい。日当たりが悪いと感じたら、植物育成ライトを取り入れるのもひとつの手。
自宅のベランダの状態をチェックしたら、ホームセンターや園芸店で最低限必要なアイテムを揃えよう。
「種からまくのか苗を植えるのかにもよりますが、基本的には、植木鉢・土・肥料・種または苗があればスタートできます。特に肥料は、植物にとってのご飯なので、品種に合うものを店員さんに相談してみてくださいね。
このほかにあると便利なのは、ガーデニンググローブ・エプロン・ジョウロ・シャベルの4アイテムです。日用品で代用できるものもありますし、徐々に揃えるくらいでいいでしょう」
そしてアイテム選びで忘れてならないのは、ベランダの耐荷重。建築基準法によって「1㎡あたり約180kg」と定められている。大きな鉢植えや植物をいくつも置かない限りあまり心配はないが、重さに直結する土選びにはこだわりたい。
「改良用土であるパーライトやビーナスライトがおすすめです。いずれも軽量かつ水捌け・通気性が良く、四方が囲まれてしまうベランダガーデニングに適しています。ヤシの実のスポンジ状繊維を特殊加工した“ベラボン”を土に混ぜ込んで使うのもいいですね」
ガーデニングに初めて挑戦するなら、春はうってつけのシーズン。店頭には植え付けができる苗が種類豊富に並び、目移りしてしまいそうなほど。
「春に植えるなら、マリーゴールドがイチ押しです。発芽しやすく、初心者でも種まきから楽しめるうえ、秋まで長く咲いてくれます。また、春にはいろんなお店が夏野菜の種に力を入れているので、多種類から選べるのも魅力的ですね」
暑い夏は植物もバテてしまうので、穴を埋める程度に店頭で選ぶくらいがベスト。秋になれば、春まで咲くガーデンシクラメンや失敗の少ないチューリップなどを植えるのがおすすめだ。冬は休眠する品種が多いので、夏と同じようにささやかにガーデニングを楽しみつつ、春の訪れを待とう。
「数は多くありませんが、通年楽しめる品種ももちろんあります。ミントやローズマリーなどのハーブ系は、料理に使ったりインテリアに活かせたりするので人気がありますね。慣れてきたら、バラの栽培にもぜひチャレンジしてみてください。手をかけるだけ応えてくれるので、育てがいがありますよ」
限られたスペースをセンスよく彩るには、まずは同系色の品種や鉢で統一感を持たせるのがコツ。
「SNSなどでいろんな人のガーデニング例を見て、真似してみるところから始めるのがいいと思います。初めのうちは赤系や黄色系などの同系色でまとめてみましょう。慣れてきたら、赤×紫、黄色×ピンクなど、自分好みの色の組み合わせを探すのもガーデニングの醍醐味です」
ベランダの床にただ鉢を並べるだけでは、味気ない印象になってしまいがち。エアコンの室外機の上をディスプレイに活用したり、アイアンのスタンドや壁掛けプランターなどを使ったりすることで、空間に動きが出てにぎやかな雰囲気になってくる。
華やかなガーデニングを満喫するためには、気をつけなくてはいけないポイントも。特に、ガーデニングにつきものの虫問題はしっかりと対策しておこう。ベランダガーデニングの場合は、とにかく風通しを良くすることが虫の発生を防ぐのに重要だ。
「壁と窓に囲まれているベランダは、空気が停滞してじめじめしがち。そこに虫が発生します。虫が増えると植物が食べられたり枯れてしまったりするので、通気性の良い土を選んだり鉢の間に空気が通る隙間を確保したりして、風の通りを良くしましょう。
また、床に人工芝やタイルを敷く方もいますが、特にウッドパネルなどの腐食しやすいものは掃除が大変なので、初めのうちは床にものを敷くのはおすすめしません」
虫が付きにくい品種を植えるのも有効だ。ハーブ系の中でも、特にペパーミントやレモングラスなどは虫が嫌う香りで防虫効果があると言われている。ほかの花と一緒に植えておくのもいいが、ハーブ系は繁殖力が強いので、こまめに刈り取るなどしてバランスをとろう。
それでも虫が減らない場合は、市販の虫除けアイテムも試したい。オーガニックの薬剤も出回っているので使い比べてみるのもいいだろう。
落ち葉や伸びた枝葉、虫などによるご近所トラブルには注意が必要。
特にマンションやアパートのベランダは隣家との距離がとても近いので、伸びた枝やツル、落ち葉などが仕切りの向こうに侵入しないように注意。ツルが伸びる品種を育てない、こまめに剪定と掃除をするなどの対策が効果的だ。
意外と忘れられがちな排水口の掃除。土や枯れ葉が詰まった状態で水やりをすると隣家のベランダに流れてしまうので、定期的に掃除をして、常に水が流れるきれいな状態をキープしておこう。
ベランダの柵の外側にプランターを掛けるケースをよく目にするが、落下した際に下にいる人が怪我をするリスクがある。水やりをする際にも、下の階の住人や通行人にかかってしまわないか注意を。水やりするときだけプランターや鉢を動かせると、より安心だ。
マンションやアパートのベランダは、避難ハシゴや蹴破り戸などがあり、周りにものを置いてはいけないケースも多い。避難経路を塞いでしまうと、いざというときに自分だけでなく隣家や上下階に住む人の避難にも影響が出るので、しっかりとスペースを確保しよう。
風が異常に強い日や台風の日などは、ベランダに置いている鉢やプランターが飛ばされてしまうリスクがある。風が強くなる前に、ガーデニングアイテムを室内に片付けられるようにしておきたい。ディスプレイにフェンスやスタンドを使っている場合は、普段からあえて固定しないでおくのも手だ。
限られたスペースだからこそ、アイテムや品種の選び方で個性を出しやすいベランダガーデニング。ベランダの耐荷重、避難経路の確保などのルールや近隣に住む人へのマナーを守りながら、自分だけの癒やしの空間を作り上げてみよう。