埼玉県平野部なぜ暑い? 熊谷地方気象台と熊谷市長に聞いてみた
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2020年から、なかなか外出しにくい状況が続き、「おうち時間」の増加で家庭菜園への関心が高まりました。中でも、ベランダで家庭菜園を行うベランダ菜園は、マンションやアパート住まいでも手軽にできるとあって、始める人が増えています。身近に緑があることで生活に潤いが出ますし、採れたての野菜を食卓に並べられ、子供の食育にもなるなど、ベランダ菜園にはメリットがたくさん。
しかし、ベランダ菜園には、通常の畑で野菜や果物を作るのとは違った注意点があります。初心者がベランダ菜園を始める前に知っておきたいことや、育てるのにおすすめの野菜についてまとめました。
ベランダ菜園を始める際には、近隣に迷惑がかからないための配慮が必要です。プランターの落下や水やりの排水、枯れ葉、害虫など、対策しておくべきことはさまざまですが、そのほかにもマンションならではの注意点があります。
マンションなどの集合住宅でベランダ菜園を始める際、まず確認しておきたいのはマンションの管理規約です。ベランダは、ほかの住人との共有部分のため、管理規約で使い方のルールが定められています。耐荷重や使い方の制限などを確認してからベランダ菜園を始めましょう。
また、ベランダは緊急時の避難経路でもあるので、消防法によっても利用が制限されています。防災扉や避難梯子をプランターでふさいだり、子供がケガしたりしないよう、レイアウトには注意しなければなりません。
野菜や果物を育てるには日光が欠かせませんから、ベランダの日当たりも要チェックです。いつからどれだけ日があたるのかを確認して、プランターを設置しましょう。南向きや東向きなら午前中から日があたりますが、そうでない場合は日陰でも育つ野菜や果物を選ぶことも必要です。
ただし、基本的にベランダ菜園ではプランターで野菜を育てるため、日当たりのいい場所に気軽に移動させられるメリットもあります。移動させることが前提の場合は、持ち運びしやすいサイズで軽いプランターがおすすめです。鉢が極端に小さいとすぐに水切れを起こし、頻繁に水やりをしなければならなくなります。ある程度の大きさのほうがメンテナンスの手間が少なく済みますが、移動が難しそうな場合は、キャスター付きの台に乗せて管理すると便利です。
ベランダ菜園で水やりをする際には、階下に水が落ちないように注意しましょう。勢い良く水をあげてしまうと、階下の洗濯物やマンションの下を歩く人に水をかけてしまうことがあります。
また、枯れ葉や土を放置していると排水溝が詰まり、雨が降った際に水が流れずあふれてしまう可能性もあります。汚れた水や枯れ葉が隣家に流れてしまうこともあるので、ゴミを排水溝の手前で堰き止める工夫や不織布やネットなどで排水溝を覆い、こまめな掃除も必要です。
鶏ふんや魚粉、油かすなどの有機肥料は、土の中の微生物が増えて農作物が育ちやすい土になりますが、製品によってはにおいが気になる場合があります。もしにおいが気になる場合は、完熟発酵などにより無臭化された有機肥料や、無機肥料(化学肥料)を選ぶのもひとつの方法です。
害虫予防や退治のために薬剤を散布する際は、薬剤が風にのって飛んでしまうと、周囲に影響があります。風が弱い日を選んだり、大きなゴミ袋の中で散布したりするなど、配慮してください。
ベランダ菜園の初心者には、育て方が簡単で、収穫までに時間があまりかからない野菜がおすすめです。省スペースで育てられる野菜や、日当たりを気にしなくてもいい野菜など、自宅のベランダの特性に合わせて育てる植物を選びましょう。
続いては、初心者がベランダ菜園を始める際におすすめの野菜をご紹介します。
トマトやミニトマトは茎が長く上に伸び、幅をあまり取りません。プランターで容易に育ち、彩りもきれい。7~9月上旬までは次々に赤い実がなり、収穫が楽しめます。水やりは控えめのほうが、味が濃くなります。
イチゴは栽培がしやすく、花や果実の見た目もかわいいおすすめ野菜です。ハンギングでも栽培できるので省スペース。花が満開になってから1~2日後に人工受粉をすることで実つきが良くなります。
さまざまな野菜の若葉であるベビーリーフ。ホームセンターなどでは、ベビーリーフ用にレタスやルッコラ、チコリ、マスタードなど、色味や風味の良い葉物野菜の種子が7~10種程ミックスされ、販売されています。種まきから10日程で収穫でき、間引きながら長く楽しめるのでおすすめです。
ミントやタイム、オレガノ、バジル、ローズマリー、チャイブ、パセリなど、大抵のハーブ類は丈夫で病害虫に強いです。野菜類の近くに植えることで互いの成長に好影響を与えるハーブもありますので、いっしょに育てておくといいでしょう。育てるコツは伸ばしすぎないこと。こまめに収穫し、料理や入浴剤などにして、日常的に使ってください。
ビーツは、スーパーにはほとんど並んでいない珍しい野菜ですが、「食べる輸血」ともいわれるほど栄養価が高く、スーパーフードとして注目されています。発芽率がとても良く、深さ30cm程のプランターであれば問題なく育ち、種まきから1ヵ月半程で収穫できます。
春の高級野菜であるホワイトアスパラガスは、販売されている栽培キットを利用すれば、自宅で簡単に楽しめます。日光をあてずに遮光して育てるので、日当たりを気にする必要がありません。
野菜を育て始める際には、苗を購入する方法と種から育てる方法があります。苗はある程度野菜が育った状態からスタートするので失敗が少なく、収穫や開花までの時間が短いのがメリット。一方、種からの栽培は、収穫までに時間がかかりますがコストパフォーマンスは良くなります。
初心者がベランダ菜園を行う際は、失敗しにくい苗から始めるのがおすすめですが、種から発芽する様子を観察するのも楽しいもの。どちらが自分に合っているか考えて選びましょう。
種は種類よって大きさが異なり、まき方も異なります。種まきの方法や種まきの時期は野菜によって違いますので、初めての人は種袋の裏を確認してみてください。
種袋の裏に書いてあるとおりに栽培すれば、芽が出なかったり途中で枯れてしまったりしにくいです。
ベランダ菜園での作業は、基本的には地植えの管理と同様で、野菜ごとに適期に間引いたり、新しい芽の先をカットする摘心をしたり、伸びすぎた枝や茎を切ったりしながら育てます。
地植えと違うのは水やり。あげすぎても、あげなさすぎても良くありません。機械的に毎日やるのではなく、表面の土が乾いたことを確認してから水をあげてください。
水やりの基本は、鉢底から水が流れ出るまでたっぷりと。夏場は高温になって土中を通過した水が生暖かいときがあるので、冷たい水が出るまであげることがポイントです。日が高い時間に水やりすると、鉢中で水が温まって株が弱る原因となりますので、朝晩の比較的涼しい時間に行いましょう。
また、収穫が長期間にわたる野菜は、生育とともに株の体力が落ちてくるので、有機肥料や液肥を追肥します。
スペースが限られたベランダでも楽しめると人気のベランダ菜園。管理規約や排水など、通常の家庭菜園とは違った注意が必要ですが、すぐそばで野菜が育つのを眺められたり、収穫できたりするのはベランダ菜園ならでは。